2025年度版 馬場あき子の外国詠16(2009年1月実施)
【ニルギリ】『ゆふがほの家』(2006年刊)83頁~
参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、N・T、藤本満須子、
T・H、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放
ネパールのアッパームスタンに「こしひかり」を実らせた
近藤亨翁をたずねてジョムソンに行った。
(この詞書のような2行は、「ニルギリ」の章全般に掛かる。鹿取注)
134 暮れ残るニルギリ山頂一点のひかりとなりてわれあるがごと
(まとめ)
暮れてゆくニルギリを眺めている。だんだんと光がその山肌から消えてゆき、今や山頂に一点のひかりとなって残っているだけだ。もう、まるで自分が一点の光となって暮れ残る山頂にいるようだ。それほどに、暮れてゆく山を見つめつづけているのである。(鹿取)
135 眠りゐしをとめ醒むると声をのむほのかなりニルギリの初(う)ひのくれなゐ
(レポート)
夜のとばりに包まれていたニルギリが、仄かな朝日に照らされて、目を覚ますと(光が当たってくると)、全く息を呑む美しさである。その紅の色は。(T・H)
(まとめ)
山のいちばん高いところ、針のような一点に紅色が射す。そして徐々にその紅色が広がり山を覆っていく。初めて朝の陽光が射した瞬間の紅色の美しさ、それを眠っていた処女が目覚めたととらえた。(鹿取)