かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 235

2023-05-10 09:49:21 | 短歌の鑑賞
2023年度版馬場あき子の旅の歌31(2010年8月実施)
       【砂の大地】『飛天の道』(2000年刊)185頁~
        参加者:H・A、T・S、藤本満須子、T・H、鹿取未放
        司会とまとめ:鹿取 未放

             
235 ゴビはいまも苦しむ大地皺深し文明は行き行きてここに止まらず

    (当日意見)
★「行き行きて」は「伊勢物語」東下りに例がある。歴史的な問題もあるだろう。
   (藤本)


     (まとめ)
 「ゴビ」はモンゴル語で「草がまばらに生え、若干の動物が生息する荒れ地」の意味だそうだ。「皺深し」は「苦しむ」からの連想だろうが、本質を掴んでいる。実際にも砂漠には起伏があって、それが幾筋にも皺のように延びているのだろう。昔からそうだったけれど、今も変わらず苦しむ大地なのだとの把握が深い。
 シルクロードはここゴビを通って営々と東西文明が行き来した。しかし、東西の文明はいつでもここゴビを通り過ぎるだけであった。不毛の地は人が住むことを許さず、文明がとどまることは不可能だ。「ここに止まらず」という結句の認識が苦い。(鹿取)


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