かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 190

2021-03-26 19:15:02 | 短歌の鑑賞
 渡辺松男研究23 【眉間】『寒気氾濫』(1997年)79頁~
   参加者:泉真帆、かまくらうてな、渡部慧子、鹿取未放、石井彩子と鈴木良明は紙上参加
   レポーター: 泉 真帆 司会と記録:鹿取 未放
            
    
190 われの手がソープレスソープにまみるるを積乱雲は湧きやまぬなり

        (レポート)
 ソープレスソープとは合成洗剤、中性洗剤のことだ。屋外で何かの作業を終えた作者なのか、手を洗っている。むくむくと湧く入道雲とソープの泡がひびきあう。(真帆)


       (紙上意見)
 ホイップクリームに似た石鹸の泡が次々、生れている。それを積乱雲に見立てている。少年のように無心な、作者の手の動きを想像すると微笑ましい。(石井)

 石鹸ではなく、泡立ちが良く汚れがよく落ちる合成洗剤「ソープレスソープ」で手を洗いながら、 その泡立ちに積乱雲が湧く様を連想している。(鈴木)


      (当日意見)
★我の手が汚れていたのはどうしてか?罪があると思っているのか、とかいろいろ後から考えまし
 た。(真帆)
★現代文明批判だと思います。ソープレスソープは非常に肌荒れも起こすし、海洋汚染にも通じま
 すから。「まみるる」というのはマイナスイメージで言っていますから。積乱雲の中身だって汚
 染されていますから。(うてな)
★では、積乱雲は怒りに通じているの?(慧子)
★私は一連の続きなのでここも隠微な秘密めいた性的な感じにとりました。ソープとか泡ですから。
 次の東郷健にも繋がります。だから積乱雲も湧いてくる衝動のような。(鹿取)

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