かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙一首鑑賞 116

2022-08-14 11:27:28 | 短歌の鑑賞
  2022年度版 渡辺松男研究2の15(2018年9月実施)
    【〈ぼく〉】『泡宇宙の蛙』(1999年)P75~
     参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、T・S、曽我亮子、
         渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:渡部慧子   司会と記録:鹿取未放


116 生き方はいろいろあるよパパ行こう冬虫夏草菌を探しに

         (レポート)
 パパなる人は何か気落ちしているのかもしれない。それを感じているらしく「生き方はいろいろあるよ」とパパに言い、冬虫夏草菌を探しに行こうとパパを誘う。実に小さな世界の小さな者の賢さのひかる一首。112番歌「ミリにはミリのしあわせがあるとパパは泣くヤマトクモスケダニの結婚」でパパは泣くとあったが、これを受けているのかもしれない。(慧子)


       (当日意見)
★冬虫夏草は南方熊楠が研究した茸の一つですよね。漢方では肺や腎臓の機能に効果的に働
 くそうですが、中国などでは金より高価なんだそうですよ。争奪戦で中国の村では殺し合
 いにまで発展したこともあるそうです。(鹿取)
★冬虫夏草という茸は、冬は虫の中に寄生して栄養を吸い取り、夏はその虫の死骸から草み
 たいな形に伸びるらしい。だから冬は虫に見え、夏は草に見える。それで「生き方はいろ
 いろあるよ」
 というところに繋がるんですね。でも、理屈でなくこの歌はとっても魅力的で好きです。
   (鹿取)
★子どもとパパの力関係が面白いですね。パパが落ち込んでいるときに子どもが慰めてい
 る。お母さんには甘えているけど、パパには目線が違いますね。(T・S)
★おとぎ話的なニュアンスを感じさせますね。(A・K)

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