かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 111 スペイン⑥

2024-10-15 10:06:02 | 短歌の鑑賞
  2024年度版 馬場あき子の外国詠13(2008年11月実施)
    【西班牙4 葡萄牙まで】『青い夜のことば』(1999年刊)P65~
      参加者:T・K、崎尾廣子、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:T・S   司会とまとめ:鹿取未放
          

111 グラナダに徴税吏たりしセルバンテスのはるかなる悲(ひ)にサングリア献杯

       (まとめ)
 徴税吏とあるが、その職に就けたのはかなり晩年になってからである。複数の資料によると、セルバンテスは下級貴族の出で父は医者だったが貧乏で各地を転々としている。1571年に20代で従軍したレパントの海戦では左腕の自由を失ったり、その後5年間も虜囚生活を送ったりしている。大勢の家族を抱えて徴税吏になった後も50歳頃には税金を預けておいた銀行が破産して追徴金が払えず投獄されている。『ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』が出版されたのは1605年、58歳頃である。『ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』は大評判になり版を重ねてゆくが版権を売り渡していたため本人はあまり潤わなかったようだ。その後『ドン・キホーテ 後編』も著しているが、69歳で没した。そんな数奇な運命をたどったセルバンテスを思い、はるか昔の彼の悲しみに向かってサングリアを献杯しているのである。旅の表層から一歩入って、セルバンテスの心の内を深く思いやっている。(鹿取)


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