2024年度版 渡辺松男研究44(2016年12月実施)
『寒気氾濫』(1997年)【半眼】P148~
参加者:泉真帆、M・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部 慧子 司会と記録:鹿取 未放
370 悲しみは深すぎるときしずかにて風なかの樹の揺れぬ一本
(当日意見)
★ざわめいている樹の中で一本だけ揺れない樹を見た時に、その悲しみは深すぎるほど静かなんだと思ったと思います。先に光景を見ていると。(M・S)
★私は悲しみが深すぎて動くことさえできない無力な状態と取りました。風の中で動かない樹を見て自分の気持ちを投影していると思いました。(真帆)
★私は書いてあるとおりに読もうとしているので、樹の歌は樹の歌として読みました。揺れない一本を見て悲しみは深すぎると静かなんだなあ、あの樹もそれで揺れていないんだと〈われ〉が見ている。M・Sさんが「ざわめいている樹の中で」とおっしゃったので以前に鑑賞した「単独者」の中の次の歌を思いだしました。「俺はいわゆる木ではないぞと言い張れる一本があり森がざわめく」。この俺とは対称的な木ですね。(鹿取)
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