かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 235

2023-01-09 09:42:29 | 短歌の鑑賞
  2023年度版 渡辺松男研究2の30(2019年12月実施)
     Ⅳ〈月震〉『泡宇宙の蛙』(1999年)P151~
     参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、菅原あつ子(紙上参加)、
         渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部慧子    司会と記録:鹿取未放


235 全身をくねらせ花粉飛ばす杉ひたぶるに木もよごれて生くる

        (紙上意見) 
 杉が全身をくねらせ花粉を飛ばす姿を「ひたぶるによごれて生くる」と感じるのは、作者自身を投影しているのだろう。花粉を飛ばす杉を見たことがあるが、私には何とも嬉しそうに見えたのだが…(菅原)


          (当日意見)
★普通、木というのはただ立っていると思われているけど、花粉を飛ばすときには
 全身をくねらせるんだっていうのですね。そうすることで花粉を飛ばしやすくす
 る。そういう行為を汚れっていうふうに作者は受け取っている訳ですが。下の句
 がやや理屈かなあと言う気もしますが。(鹿取)
★わかりやすい歌ですね。全身をくねらせて花粉を飛ばすって説得力がある。納得
 しますね。映像的で。まあ、下の句は理詰めではありますが。(A・K)
★「木も」というと〈われ〉も汚れているが……ということになりますが、「木は」
 で止めてもよかったような気もします。そうしても〈われ〉はかすかににおいま
 すから。もっとも、ご本人はわれわれのこんな感想を見て、君たちは何もわかっ
 てないなあ、なにくだらないこといいあってるんだっと思って読まれるのでしょ
 うけれど。(一同、笑い)(鹿取)

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