11時過ぎ、船は市兵衛河岸船着場からスタートし、神田川を上流へと遡りました。残念ながら、川面は澄んでいません。少し黒味を帯びていますが、近年、川の浄化装置が大幅に改善され、不潔ではなくなり悪臭も漂わなくなったそうですが、清流とはほど遠い感じです。 まずは「三崎町中継所」を通過。実はここはゴミの中継所。千代田区・文京区・台東区から排出される不燃ゴミは、ここ三崎町中継所までは清掃車で陸路運搬され、ここからは船(=艀=はしけ)に積み込まれます。その後、神田川を下り、中央防波堤不燃ごみ処理センターまで運ばれ、そこで再資源化されるのだそうです。(三崎町中継所と艀)
三崎町中継所を通過後暫くして、水道橋2号分水路吐口到着。ここからいよいよトンネル=暗渠に入ります。かって、神田川は幾たびもの氾濫を繰り返してきました。その対策として川幅を拡幅してきましたが、川幅を広げる土地は既にありません。土木技術の発達によって、地下へ川を振幅するという方法が可能になり、分水路は、洪水を防ぐために地下に作られた、第二の神田川なのです。トンネルの幅は非常に狭く、高さもさほどありません。船頭さんの腕の見せ所に差し掛かりました。(写真:分水路入口)
その分水路の中ほどまで来たとき、案内人石坂さん、突然「船の電気を全て消します。真の闇を味わってください」と。分水路は船の航行を想定して作られたものではないので、照明など一切ありません。照明を落すと、真っ暗に。光の全く射さない暗闇の世界があらわれました。潜ること700mで又神田川に戻ってきて、ほっとします。 船は高速道路の真下を通り、普段見慣れた光景とはまるで違う景色を楽しんでいると、船河原橋でUターン。ここからは神田川の流れに沿って下ります。(高速道路の真下。以下3葉も船から見上げる地上風景)
後楽橋・水道橋など馴染みの橋を過ぎると、御茶ノ水の掘割です。江戸時代、神田川は本郷台地を貫く大工事の末、放水路として切り開かれました。船はその名高い掘割の箇所をゆっくりと進みます。普段御茶ノ水橋から眺める見慣れた風景がアングルを変えて眼の前に展開されます。今回のハイライトです。
(御茶ノ水橋下を往く。前方に聖橋が) 聖橋を潜り、丸ノ内線・神田橋梁を潜る寸前には地下鉄も姿を現しました。ここを過ぎて再度方向転換し、市兵衛船着場まで川を遡ります。乗船時間1時間10分で、あっと言う間に暗渠を巡る船旅は終了しました。(聖橋を見上げる)
案内人石坂さんと思しき方の、当日の案内記は以下のブログに登場します)
http://suiro.blog27.fc2.com/blog-entry-680.html
(地下鉄丸ノ内線・神田橋梁と聖橋)
(橋を通過する丸ノ内線)
(御茶ノ水橋下では梅が満開)