マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

藤田記念庭園(弘前で その2)

2011年07月07日 | 

 今期(第69期)将棋名人戦は、挑戦者森内俊之九段が出だし3連勝した後、羽生善冶名人が3番を返し、最終第7戦にまでもつれ込み、最終局は挑戦者森内九段が熱戦を制し、念願の名人復帰を果たして終了したのでした。その第4戦が、弘前市内にある藤田記念庭園内の和館で行われました。その観戦記を読んでいると、両対局者とも藤田庭園の素晴しさに感動したと書かれており、弘前散策を計画していた私は、是非ここも訪れようと決めていました。

 庭園は予想を遥かに超えて見事なものでした。庭園の素晴らしさは大きさで競うものではないでしょうが、総面積は21800平方メートル(約6600坪。因みに旧古河庭園は9300坪)は、東北地方では、世界文化遺産に登録された平泉の毛越寺庭園に次ぐ広さ。繊細さ、華麗さ、手入れの丹念さでは東北随一、日本でも有数の庭園と見ました。

 この庭園は、弘前市出身で、勅撰貴族院議員だった藤田謙一が、1919年(大正8年)に別荘を構える際、東京から庭師を招いてつくらせた江戸風な景趣の庭園で、1991年(平成3年)7月、市が市制施行百年記念事業として開園したものです。藤田記念庭園も藤田謙一も寡聞にして全く知りませんでしたが、藤田はたばこ製造販売会社他60社以上の会社代表や取締役を務め、日本商工会議所初代会頭にも就任したことのある人物とのこと。(庭園内には洋館と和館があります)

 庭園は、東京北区にある旧古河庭園のように、高台部と低地部からなる立体的な造り。庭園を入ると広々とした芝生状の庭の左手には、昨日のブログに登場させた洋館(国指定有形文化財)がまず目に入ります。

 右手側には、5月17日~18日に掛けて行われた名人戦の舞台となった書院造りの和館(これも有形文化財)が。庭園側の主座敷の裏に廻ると、岩木山を借景とするはなれ座敷が。その両棟を廊下で連結した造りになっています。この離れの座敷からも、高台の庭からも、青森県のシンボルたる岩木山が望めるという趣向の、贅沢な庭園です。(名人戦の行われた部屋)



      (縁側にはこう書かれた札が)



 高台から13mほどを、階段伝いに降ると、そこが池泉廻遊式庭園で、水琴窟・茶室・梅園などを配置されています。(有料で借りられる茶室)








 特に池には多くの種類の花菖蒲が今を盛りと咲き誇り、しかもその一つ一つに手入れ良く名札が付けられているのでした。この廻遊式庭園を、池をぐるりと一周し、ハナショウブ、滝、などの景趣の変化を眺めながら散策すると心豊かな気分になれるのでした。一見の価値ある庭園でした。