東京新聞が面白い。信濃毎日が長野県の情報を豊富に掲載すると同じように、東京新聞はその名の通り、東京版地方紙でもある訳で、例えば「首都圏名水紀行」などが連載されるなど、東京関連の情報が多彩である。
その東京新聞12月12日(水)朝刊に「150年ぶり 月の松」と題する以下の一文(要約)が載った。 『浮世絵師、歌川広重は上野の、月の松をよぽど気にいったのか、これを題材に構図を変えて、春と秋の景色二枚を書き残している、彼の代表作の一つ「名所江戸百景」に描かれた、その「月の松」が約150年ぶりに復活した。月の松は、輪のように丸めた松の枝を満月に見立てて、そこから見える不忍池の風情を楽しむのが江戸っ子の粋だった。
寛永寺の住職で、清水観音堂を管理する大多喜義慶さんは、5年前、広重の浮世絵を見て月の松の復元を思いつき、造園業者に依頼。ハプニングもあったが、このほど漸く完成し、12月17日(月)午前10時45分から除幕式が行われる』(写真:「名所江戸百景」に登場する月の松と不忍池)
(「江戸百景」上野清水堂不忍ノ池) 偶然にも、12日に東京国立博物館へ「中国王朝の至宝」展を観に行く予定の私達は、都バスを「池端一丁目」で下車し、不忍池を半周して、清水観音堂へと急いだ。ひょっとして除幕式以前に月の松を鑑賞出来るのではとの魂胆。やや急な階段を上ると、養生された、それらしき松が見えて来た。階段側から見た後、観音堂正面に立って、松を眺めた。目の前に見える。残念ながら輪の中に不忍池は現れない。今は、清水寺を模したこのお堂から、琵琶湖に見立てた不忍池は見えない。松の枝を輪に丸めるという人工的な作業ではあるが、原画と見比べて見ると、かなり似た風情に造られていた。青空と名残の紅葉を背景に、すっくと建った月の松のお披露目はもう間近である。(写真:観音堂下から見上げる月の松)
(月の松の輪の中に紅葉)
(清水観音堂)