Days of Dragonflies & Moths

トンボや蛾に関わる記事中心。
当ブログの写真、文章の無断使用禁止。
写真集「関東甲信越のトンボ2010plus」

写真集完成

2010年01月14日 | トンボ
ホームページで言及していたマイ写真集の本年度版最終形がついに完成した。

タイトルは、「関東甲信越のトンボ 100」(キリッ!)



その名の通り、関東甲信越のトンボ100種を写真で紹介するというものだ。
体裁は横長A4版 ハードカバー 100ページという贅沢なもの。
Apple社発注のオンデマンド印刷である。

オンデマンドだからと侮る無かれ。
確かに市場に出ている本式製本に比べると、柔軟性に欠ける質感だが、印刷の
クオリティは決して引けをとるものではない。
オンデマンド印刷はだいぶ前から簡易製本等で利用されてきたが、昨今のもの
はクオリティ的にだいぶ向上したと実感できるものだ。

しかし、いかんせん、コストが半端でない・・・。汗。
このスペックで一冊あたりの作成コストは、軽く10Kを越してしまう。
従って、個人の財力ではまとめて何十冊もそうそう作れるものではないし、
売るなんて畏れ多い・・・ということで、熟考の末、昨夏にお世話になった二つ
の公共機関に寄贈し、一般の目に触れるようにして頂こう!と思いついたのだ。

今回の写真集を作る前に、より安価な写真集を作った。内容は、やはり関東甲信
越のトンボを紹介するものだが、挿入文が多少あり、一種に付き場合により複数枚の
写真を使い、その関係で60ページほどずつ上下巻に分けたものだった。
コストを考え、2L相当・ソフトカバーというスペックで、まとめて少部数を
発注作成して、希望者に制作コスト(マイナスα=興味を示して下さったお礼)で
お譲りするという形で、ホームページで宣伝したところ、ありがたいことに完売した。

当方としては、買って頂いたことに、恐縮しつつも感謝の念を込めて、上記の
方策を思いついたのだ。

そして、昨年末に寄贈分二冊を発注したのが、めでたく本日届き、後は寄贈するだけという
ことになったので、今日は前夜祭だ。(笑!)

ということで、その全内容をここで一挙に公開してしまおうと思う!
勿論、すべてをフルスペックで紹介するわけにはいかないので、
縮小画像のタイリングで紹介しつつ、写真集のコセンプトにも若干触れる。
本物は、A4サイズの迫力で是非ご覧頂きたい!



表紙カバー裏と1~15ページの内容

本書は関東甲信越のトンボ100種の紹介であるが、基本的に土着の種類を扱い、
飛来種は勘定に入れていない。
関東甲信越の土着種が厳密にちょうど100種なのか?と言うと、野暮な
考え(又は学術的な考え)で言うと、微妙だ。
例えば、今回入れなかったが、土着の種として定義できるのに、キバネモリトンボ
がいる。これは一応甲信越に産することになっているが、当方の行動範囲(笑)では
見られないこと等の理由(というより、まだ出会えていない)で、見送っている。
タイワンウチワヤンマは、神奈川で記録が出てきているが、土着なのか?自分は
その辺の詳細な情報知識を持たないので、今回入れたけれども微妙。
ベッコウトンボは、関東甲信越では近年得られていないので、こういった生息が
微妙な仲間の扱いも難しい。
また、厳密に言うと、今回の写真集で扱った種類は101種類である。
裏表紙に載せているのが101種目だ。昨年までの間に成虫の撮影機会を持てなくて、
残念ながら載せることが出来なかったので、羽化殻の写真をおまけ的に載せている。
負け惜しみを言うと、特に遠征を始めた昨年のシーズンに色々トラブルが重なり、
生息地にまともに出向けなかったのである。
この辺は、予定している改訂版で雪辱を!と思っている。
その関係で、改訂版(早ければ今年中に出したい!)では、100種のラインナップをどうするか?
再考しようとも思っている。



16~31ページの内容。

今回は公にするマイ写真集としては一応初めてのものになるので、自分の
一番基本的なスタイルにこだわって画像を選んでみた。
トンボ写真にはまりだした頃は、誰でもそうだが、人に写真を見てもらいたくて、
何かの集まりがあると、2Lに焼いたお気に入りの写真をスクラップにして、
トンボ仲間などに見てもらっていた。(さすがにフィールドに持参してまで見せる
ような真似はしなかったが・・・)
実はその頃、トンボの知人から「図鑑写真みたいで綺麗ですね」と言われたが、ちょっと
その事がショックだった。その後、自分はどんな写真を撮っていったらいいか?試行錯誤
することになるわけだ。自分の主流は正攻法というか、望遠系マクロでトンボの模様が分かるように
撮るやり方だったが、広角マクロも同時にやってはいた。そんな中、「図鑑的」と「芸術的」
という二つの言葉が気にかかるようになった。


32~47ページの内容。

まあ、当初から撮影一本槍というわけではなく、分布の解明が主体だったから、常に意識という
訳ではなかったけれども、写真に関しては結局開き直り、自分は作品が撮りたいのではなく、
トンボが撮りたいんだ!と決めた。勿論だからといって、構図その他を度外視していたわけでは
ない。多少そのあたりに気を遣いつつも、トータルリコール可能なデジタルの世界、トリミングも
レタッチも自由自在なところに最初から注目していたため、写真はデスクトップの最終処理
云々で全然おkと思っていた。



48~63ページの内容。

それが去年の夏、以前よりお世話になっており、今回寄贈させて頂くことになった自然の博物館の学芸員の
方から、写真展示のお話を頂いた。枚数が半端でなかったので、選んで頂いた写真を撮って出しの状態で
提供し、それをA3で強制出力していただいたのだった。
そして、「夏休み」期間中展示して頂いたもう一つの寄贈先の熊谷市図書館での展示を見に行ったとき、
今まで大判出力のことを考慮した撮影を必ずしもしていなかったことを後悔するに至る。
画面で鑑賞する限りでは、トリミングして見やすい配置にすれば問題なかったので、今までその辺を
おざなりにしてきたことが悔やまれた。展示して頂いた写真によっては、大判出力に耐える大きさに写って
いるものに差し替えてもらおうとも一瞬考えたが、自分の写真を展示して頂けるだけでもありがたいという
気持ちの方が勝ってしまい、結局、そのままになった。



64~79ページの内容。

そんなこんなで、夏以降は大判出力も睨んだ、原画としての完成形を意識した撮影をするようになった。
その結果、自分的に納得のいく写真がだいぶ撮れたこともあり、それが、写真集を作ろう!という考えの
原動力になったのは間違いない。
作品ではなくトンボを写すことを主眼とする正攻法的ショット。相撲で言えば、四つ相撲が好みで、
蹴手繰りが嫌いな自分としては、広角ノーファインダー撮影など、奇をてらった系のショットは今回の
選からはなるべく外した。



80~95ページの内容。

自分の場合、正攻法ショットとは、自分なりの構え方アングルで、200マクロのすっぴん表現領域と
いうか、絞り開放にて写すというものである。その考え方が特に強くなったのが、写真展以降のこと。
絞り開放にてなるべく光を多く取り込み、バックも含めて画像を構成すると考えに沿ったミルンヤンマ
のショットなど、一つの限界に挑んだ作品だと言える。
APS_Cサイズのため、200ミリではフルサイズの感覚で寄ると相当画面いっぱいに大写しになってし
まう。フォーサーズだったらもっと凄いことになってしまうだろう。
今回選んだ写真の多くは、殆どトリミングしていないものである。左右見開きでトンボ同士を向かい
合わせる配置を採用し、それに沿って画像を選んだので、バランスの関係でトリミングをしたものも
多少はあるが、試作品においてより迫力を出そうと試みたいくつかのショットが、A4という大きなサ
イズと相まって、威圧的に思えたため、トリミングをしない方向に落ち着いたのだ。




96~裏表紙の内容。

晴れて寄贈完遂の暁には、改めてHPやここで発表するつもりである。
我が写真集をご覧になったら、是非手にとって見て頂きたい。
先述の改訂版は、絶対に出したいと思っている。いずれは関東甲信越のトンボ写真集を
出したいと10年前から漠然と思ってはいたが、今年出すつもりは当初なかったので、
ヤマトンボ系などは殆ど写していなかった。そう言った個人的に納得いかない種類を
是非今年重点的に写して、より納得のいく写真集として改訂版を出したい!
改訂版は上記公共機関に再び寄贈の予定であるので、そちらも楽しみにされたい。

謹賀新年

2010年01月01日 | トンボ


センス悪いレイアウトですが・・・汗、旧年中の成果です。
今年もトンボ年でがんばりますので、よろしく!



そんなこんなで、新年早々のアホ実験。
またテレコンだ(笑)。
実は、シグマのEXDGテレコンが以前から欲しかったのであるが、
何故欲しかったのか?性能よりもモノとしての質感による収集欲
と言うことにしておこう(これとは別にアホ実験の為に揃えたい
アイテムがあり、その購入の足しになるポイント稼ぎも兼ねるという
目的もあったことにしておこう・・・笑)
それが中古で半額以下で出ていたので、買ってしまったのだ。
シグマのテレコンは前玉がやや飛び出しており、マスターレンズの
後群にその分だけ前玉が近いため、画質のロスが少ないと思われ、
また、DG仕様、APOレンズ使用による画質keep力?に期待した部分
もあった。要は、DA300につけて使ってみたかったのである(苦笑)。
注目点は、テレプラスとの画質差なのだが・・・
はっきり言って、テレコンの性能よりも、撮影時のコンディションやら
撮影能力やらによって結像が左右される確率が圧倒的に高いのは、承知
してのことである。
あとは、テレプラスに出やすいフレアが、シグマテレコンではどのくらい
まで抑えられるか?が焦点となる。
そして、テレプラスではいい加減になってしまうAFはどうか?
持ち出す前に試してみたが、ビクともしなかった(?)
DA300では、AFは作動しないようだ。。。

以下はDA300mm+EXDG1.4Xの画像で、いつもの等倍切り出しノンレタッチである。

まずは、そのフレアチェック。
ちょうど地表近くに虫がいたので写した。



ピントもいい加減だが、何だかフレアっぽいぞ?
これは、後日、その気があったら(笑)再検証しよう。。。汗

続いて・・・



あらま!これはまた壮大なフレア!?・・・というのは嘘で、草カブリしたまま写した
からである。もう少しアングルを選びたかったが、鳥の方の相棒が飛び立ったら、一緒
に去ってしまったので、残念だった。。。
それを差し引いて考えると、まあまあの結像では無かろうか?

しかし・・・撮影中にある重大なことに気がついた。
液晶表示がプレイバックを除いてコントロール不能になったのだ!
ISO感度もホワイトバランスもすべての設定がいじれない!
まさか?本体が故障か???
DA300の電気系統とsigmaテレコンの電気系統が相互干渉して本体
に影響を与えている可能性が浮かび、マスターレンズやテレコンを換える
とカメラは正常に戻った。。。DA300と一緒には使わない方がよいという
ことだ。。。うへー。
気を取り直して、家の前でたむろしているムクドリを待ち伏せて写してみた。



ピントはまだ追い込めそうな気もするが、基本的にこの鳥は苦手だ。。。
テレプラスも持ち出していたので、付け替えて更に待ち伏せていたら、今度は
近くに寄ってきた。



非常に落ち着きのない鳥なので、ざっと写した感じでは、あと少しのピン追い込みが
足らなくて残念。。。ピン合わせのスピードをもっと上げないとダメですな。

ちなみに、↓は今年の初撮り画像。DA300単体である。賀正以外はノンレタッチの
等倍切り出し。このように相手がしばらくじっとしていてくれればピントは追い込
めるのだが・・・。



いずれにしてもピントの追い込みは遠目では難しいことが改めて体感できた。
そこで、今度はシグマの400ミリにEXDGテレコンをつけてみることにする。
レンズ同士は純正なので、マッチングはばっちりなはずだ!



あいにくの薄曇りでやや光量が足らないが、ISO200でここまで追い込むことが出来た。
まあまあ実用範囲か?ただ、やはり画質はやや曇る感じが否めない。望遠レンズ単体と
ミラーレンズの中間ぐらいの印象で、本番にはちょっと使えない感じだ。
まあ、本番ではこんな長焦点は使わないけど・・・。
で、結局、物欲?で手に入れた見た目の立派なシグマEXDGテレコンの
使用場所は?・・・・実は、考えている。
200マクロにかまして、「280ミリ1.4倍マクロF5.6」
としての利用価値やいかに!!!これは後日の実験を待て(笑)

・・・・「280ミリ1.4倍マクロF5.6」は結局収差を拡大するだけで
定石通り二線ボケが目立つだけだった。。。ので、テレコン無しの
300ミリと400ミリの濁りのないカットをいくつか紹介してお茶を
濁すことにしよう。




鳥に嵌る気はサラサラないのだが、シーズンオフに望遠系撮影の感覚をキープするには、
鳥を撮るのが一番手っ取り早い。要は中距離でそこそこの大きさにジャスピンで捉える
ことをひたすら繰り返す段取りになる。従って、別に鳥のすばらしい写真を撮ろうなど
とは考えていない。でも、撮るからには色気が出てくるのも確かな話ではある。
望遠にテレコンを噛ますと手軽に超望遠撮影が可能だが、所詮は元レンズの像をテレコン
で拡大しているだけで、収差も拡大されるし、第一F値が暗くなって常用感度では満足な
写真が撮れない。鳥の撮影は難しいと言う人がいるが、すべてにおいてではないが、一部
においては確かにその通り。まず、鳥の多くは落ち着きが無く、枝に止まっていても大体
動いているので、速いシャッタースピードが必要→F値の大きなレンズで低感度での撮影に
は無理がある。次に、鳥は一般に近づけないので、超望遠は必須。僕のよく写すヒヨドリ、
メジロ、ジョウビタキ、モズは数メートル以内に比較的簡単に寄れるので、300ミリでも
十分な大きさに写せるが、森の泉にいるような小鳥はそうはいかない。(笑)
ロクヨンクラスの望遠レンズでもないとコンスタントに良い画像はなかなか撮れるものでは
ない。K20Dは高感度撮影にあまり強くないというのが正直な使用感で、やはりテレコン使用
は無理だな・・・と考えていたが、ひょんな事からK-xの記事を目にした。K-xは、高感度
に非常に強く他社の上級機種をもしのぐことがあるというのだ。しかし、K-xは、コンシュマー
機である。。。設計に当然妥協部分があり、ヘタに購入すると自分の求めるレベル?的には、
後悔する部分が出てくるのでは?・・・しかし、4万そこそこでレンズキットがでているのを
みて、思わずポチってしまった・・・。

そこで、すかさず試写である。



400ミリテレマクロに純正EX1.4倍テレコン iso1600
露出の傾向に慣れていないので、レンズの色乗りが悪いのも相まってオーバー気味に写ったが
光量が十分なこともあり、1600とは思えないノイズの少なさだ。



300ミリ単体で遠くの木陰の被写体 iso1600
さすがに画像エンジン処理でがんばってノイズを消しました感がよく出てしまっている。



400ミリテレマクロに純正EX1.4倍テレコン iso800
これは比較的近距離から写したもので、この仕上がりを見て、これなら使える!と
感じた。状況は多少選ぶかもしれないが、高価な大望遠レンズがなくても、ここまで
写せるのも大したものだ。ノイズは多少は出ているが自然な感じなので、気にならないし、
ノイズ処理しても無理なく行けそうなレベルである。尤も、本体のノイズ処理パラメータ
がデフォルトでは中になっている。これは裏を返せば、積極的にノイズ処理を入れて大丈夫
と言う事も出来る。

K-xのダイナミックスコントロールは、ハイライト補正とシャドウ補正があり、どちらかでも
入にすると、最低感度が一段上がってしまう。デフォルトではiso200からのスタートなので、
補正をオンにすると最低感度はiso400ということになる。拡張感度をオンにすると、最低100
からのスタートになるので、補正を入れると最低感度が200になるが、せっかく、400とか800
でもノイズが気にならない画像処理なので、高感度用カメラとして積極的に活用したいところだ。

ただ若干気になる点がある。ここがコンシュマー機である弱点と言えばそれまでだが、適正な
露出値で撮影しないと、色の崩壊が起きやすい事が判明した。K20では2段くらい露出値がずれて
いても、レタッチで大幅に画質が崩壊することは少なかった(それだけ密度が濃かった)が、K-x
では若干アンダー目に写したシャドウ部分などを多少トーンカーブ補正するだけで、色の崩壊が
起きてしまう。(当初から気になっていたことだが、jpegは三段階の圧縮方式選択になっており、
最高画質に設定しても、大幅に圧縮しているようで、一ファイル5メガ程度・・・istDsと同等か
それより少なめ・・・となっていて、jpegでは失われるデータが多いようだ)これに気付いた時、
少しだけ入手したのを後悔したが(笑)、まだRAW撮影をしていなかったので、次に持ち出した
ときには RAWで撮影してみた。



季節柄こんな画像が撮れると思い、RAWで撮影して、色々設定を変えて現像してみる。
上から 鮮やか、風景、ペットの設定で現像してある。



これは、ナチュラル現像と風景設定の画像とを比較するためにgifにしたもの。

まあ、いずれも彩度やコントラストを中心にチューニングする設定になるので、同じような
シチュエーションでは、一見似たり寄ったりの画像になる。
が、RAWで撮ってから現像の方が、納得いく画像を残すには必須だと思わされた。

しかし、当方のMac OS10.5.8のプレビューでは、K-xのRAWは開けず、SilkyPix3でも開けないので、
K-x付属の使いづらい現像ソフトで処理した。プレビューで即座に開けないのはちょっと不便かもしれない。
但し、jpegの色温度を変えられるのが便利と言えば便利。
※後日気になって、RAWのファイル形式をPEFから汎用的なDNGに変更したところ、
プレビューでも開けるようになったし、しばらくRAW現像出来なかったフォトショップCS2で
RAW現像も出来るようになった。シルキーピクスを購入しようか?と思いかけた
矢先なので、出費をせずとも済んだのはありがたい。

まだその気になってないが、機会があったらK-xの動画撮影も是非試してみたい。