クロスジギンヤンマは止水域流水域を問わずしたたかに生息域を広げているヤンマである。
昔秩父の渓流に春の流水性トンボを求めて出かけたが、どこへ行ってもクロスジギンの姿ばかりで
がっかりしたことがある。しかし割とどこでも見かける種類ほど、いざ撮影となると困ることが
少なくない。このヤンマはまず撮影に適した確実な生息場所を探すのが難しい。
今年もはや、新緑にみずみずしいトンボが飛び交う五月がもうすぐ終わってしまう。
6月を過ぎると何となくだが晴れても空(気)に透明感なく気怠い感じのイメージに支配される。
今シーズンも隙をみて地道にいろんなトンボに会っているが、春の身近なトンボで出会って
いないのがまだいくつかいる。そこで今期未見種を見つつ、色々な種類の撮影を楽しめそう
な場所に出かけることにした。
今回の目的はムカシヤンマとヤマサナエだ。
ムカシヤンマは、生息地が少なく出現期間も短いので見逃してしまうことの多いトンボ。
ヤマサナエは今期まだ「里山環境」をちゃんと探索していないので出会えていなかった。
目的地に着いて早速探索を始めるが、ムカシヤンもヤマサもなかなか現れない。
しかし色々楽しめる場所なのでヤンマの撮影で時間をつぶして本命出現を待つことにした。
このところそのソフト描写にはまって70-200ズームばかり稼働していたが、速写性を考えるとヘリコイド回転方向と
レンズ本体の軽さ、解像の確実さ、そのまま近接可能などの点から今回は200マクロが久々のメインレンズとなった。
サラサは近づきやすいが気に入ったショットが撮れるかどうかは当のトンボの機嫌次第?ということになる。
今回数頭が見られたが、いずれも落ち着き無くじっくり撮影できなかった。
そして課題のクロスジギン。今回は少しは落ち着いて撮影できたが、まあまあ許せる程度のカットしか撮れず。
またの機会を楽しみにするとしよう。。。
そんなこんなで小一時間経ち、そろそろムカシヤンでも降りてくるかも?と場所を移動しようとしたら
いきなり上から降りてきて我が服の肩口に図々しく止まる姿が。。。ムカシヤンだ!
首から下げていたコンデジで写し取ろうとするが、残念ながら飛び上がって別場所に止まってしまった。
全くいつもながらのパターンである。
その後は比較的好調で何頭かのムカシヤンを見つけて写すことが出来た。
おなじみ電柱に止まる姿。この電柱が気に入っていたようで、何度か飛び立ってもまた同じ電柱に止まっていた。
ムカシヤンは今ひとつ生理の読めないトンボで無神経なのか神経質なのかわからないところがある。このあとコンデジ
で数センチまで接近しても全く動じなかったが、更にその後飛び上がってまた戻って止まり直したときに足が滑ってう
まく止まれなかったのが気に入らなかったようで、そのままどこかへ飛び去ってしまった。
そういえば試用していたLR4の使用期限が切れそうなのでアップグレード版を通販で取り寄せた。
下のショットは補助光を使うのが面倒でそのまま写したため、トンボが黒くつぶれてしまった原画と
LR4で補正ししたもの。
左が原画 右が補正後。おおよそ4EVの照度差があり、彩度やノイズなどでだいぶ無理は出てくる。
まあ通常はここまで無理のある補正現像はしないが、この程度も可能ということで。
LR4の売りであるシャドウとハイライトはなかなか強力だ。
色飛び再現のハイライトもさることながら、シャドウはLR3の「補助光効果」とは一味違い、画像を
アンコントラストに陥らせること無く、より自然に暗部を持ち上げることが出来て秀逸。各パラメー
タをうまく組み合わせれば昨今流行のHDRと同等かそれ以上の現像結果を導き出せるかもしれない。
ところで、ムカシヤンマは見つけられたが、もっと簡単に見つけられると思っていたヤマサが全く現れない。
これはまた後日別場所でのフィールド計画を練らねばか?と思っていたら、申し訳程度に一頭だけ現れた。
「里山」の顔でもあるヤマサ。とりあえず今年も姿を見ることが出来て安心した。