双頭の河童 「さへずり草 松の落ち葉」
2025.1.21
水無月の八日、弘化三年に芝口橋のもとにある一商家にて、珍らしい物を見た。
顔かたちは、猿を陰乾(ほしがため)にした物に似ていた。身長は三尺ばかりもあったろうか。特に珍らしいのは、頭が二つ並んでいた。そこの主人について聞くに、
「これは、細川侯の藩士の内田某より置いていかれたもので、水虎を陰乾にしたものです。」と言った。見物人が多く、その上、箱の中の銅網(かなあみ)の中に有ったので、よく見る事が出来なかった。それで、その真偽は知ることが出来なかった。
このものは、九州には特に多くて、かつ坂本氏の鑑定と言う「水虎十二品」の図説中、寛永中に豊後国(大分県)肥田にて獲えたと言う物に大体同じであった。
又、豊筑の産のは、人の形で猿に似ていると言うのにも合っている。
歯は上下四枚、奥歯左右に二枚あると言うのにも違わなかった。しかし、頭が二つあるのは大変珍しい。
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