巌本善治の「海舟座談」という本があります。巌本善治が晩年の勝海舟に質問して答えるといった形のものです。勝海舟に「道」について質問しています。
「主義だの、道だのといって、ただこればかりだと、極めることは、私は極く嫌いです。道といっても大道もあり、小道もあり、上に上があります。その人一つを取って、他を排斥するということは、不断から決してしません。人が来て、色々八釜しく言いますと、『そういうこともあろうかナ』と言って置いて、争わない。そしてあとでよくよく考えて、色々に比較して見ると、上に上があると思って、真に愉快です。研究というものは、死んで初めて止むもので、それまでは苦学です。一日で止めるということはありません。」(巌本善治編「海舟座談」より)
勝海舟らしい答えです。優柔不断のようで一日一日苦学の連続。やはり地道に一歩一歩進めということでしょうか。私などは耳の痛い言葉です。