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大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

尿管に優しい手術 TLHへの私のこだわり2

2025-01-15 | 腹腔鏡
前回は「尿管損傷ゼロ」を目指したTLHへのこだわりについてお話しました。 今回は、尿管に優しい手術という観点から、さらに掘り下げていきたいと思います。 

術野を大きく展開する 
TLHにおいて、私は術野を大きく展開することを心がけています。具体的には、子宮を周囲の組織から十分に剥離し可動性を高めるようにしています。これにより、以下のメリットがあります。 
・子宮と他臓器の間にトラクションをかけやすくなるため、解剖学的な位置関係が把握しやすくなる。 
・膀胱や尿管と子宮・腟との間隙がはっきりするため、尿管損傷のリスクを低減できる。
体に優しい手術をするためには、大きく展開することが大事ですが、無駄な切開剥離をしないこと・無駄な出血をさせないことも重要です。


巨大子宮筋腫のTLHの序盤における術野展開(ドライな術野を保つことが大事)

尿管や膀胱周囲の結合織を大事にする 
尿管や膀胱を丸裸にするが如く剥離操作をする術者もいますが、私はこの方法を避けています。なぜなら、尿管や膀胱周囲の結合織を過度に剥離すると、泌尿器側の血管を損傷するリスクが高まるからです。TLHは子宮を摘出する手術であり、泌尿器系への侵襲は最小限に抑えるべきだと考えています。尿管や膀胱周囲の結合織を可能な限り温存することで、泌尿器系の機能を保護し、合併症のリスクを低減することができます。 

尿管側に入る場合も、それを最小限にする 
子宮内膜症などで強固な癒着がある場合は、尿管側に侵入する手術操作が必要となることがあります。しかし、その場合でも、尿管表面を剥離する部位は最小限に抑え、効率的な剥離操作を行うように心がけています。尿管への負担を最小限にすることで、術後の合併症リスクを低減し、患者さんのQOL向上に貢献できると考えています。幸いにも今のところ、私は子宮頸部周囲の処理で尿管損傷をしたことがありません。 

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