ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

─ 腟断端縫合 ─ TLHのこだわり5

2025-01-20 | 腹腔鏡
子宮全摘術において、手術の終盤に行う腟断端縫合は非常に重要な手技です。なぜなら、この縫合が不十分だと、術後に腟壁が開いてしまう「腟断端離開」という合併症が起こる可能性があるからです。

従来の開腹手術や膣式手術では、腟断端離開の発生率は1/500~1/1000程度と低いものでした。しかし、腹腔鏡下手術では、腟断端離開の発生率が1/100~1/300程度と報告されている施設が多く、 開腹手術や腟式手術に比べて高い傾向にあります。これは、腹腔鏡下手術では、縫合などの鉗子操作が容易ではなく創部が適切に縫合されない場合があること、エネルギーデバイスの過度な使用による腟断端の熱損傷、腟切開や剥離の不適切などが原因として考えられます。

子宮全摘術は機能温存手術
子宮全摘術は、子宮を摘出する手術ですが、実は性機能を温存するという側面も持ち合わせています。腟断端離開の多くは、性行為や強い腹圧をかけた際に発生します。そのため、腟断端をしっかりと縫合することで、患者さんが安心して性行為を行ったり、お腹に力を入れたりできるようにすることが重要です。
当院では、4000例の子宮全摘術において、腟断端離開の症例はわずか1例のみでした。(なお、このケースでは、緊急で腹腔鏡下手術を施行し腟断端を再縫合することで無事治療することができました。)それも特殊なケースであったため、通常であれば膣断端離開を心配する必要はほとんどありません。これは、創部と創部をきちんと合わせるという、基本的なことを忠実に実行している成果だと考えています。



次回は、腟断端縫合の具体的な方法について、さらに詳しく解説していきます。

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