アチャコちゃんの京都日誌

あちゃこが巡る京都の古刹巡礼

813 あちゃこの京都日誌  泣き笑い から  笑い泣き へ

2021-03-19 09:17:23 | 日記

現在の朝ドラ「おちょやん」は、朝ドラ史上最高の作品だと思う。親子の切ない人情を中心に、大阪の道頓堀での新喜劇の歴史がうかがえる。曾我廼家兄弟劇や先代渋谷天外の松竹家庭劇など、史実に基づき脚色を入れた名作である。浪花千恵子が実家庭では大変な苦労をし日本の母の称号を得る過程をうまく表現している。

富田林市出身、昭和の名女優 浪花千栄子さん - 富田林市公式ウェブサイト

筆者の若い時、正しい大阪弁をしゃべる最後の役者と呼ばれたのが、浪花千恵子だった。今回の役者たちの大阪弁は、ネイティブの域だ。筆者の大阪弁は河内弁だが、それもほぼ正しく伝えている。トータス松本とほしやんの二人が傑出して良い。特に、おちょやんの父親の照男役のトータスが素晴らしい。

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「泣き笑い」

そこで、劇中、余命を悟った照男がおちょやんの夫、天海天海(あまみてんかい)に写真を撮ってもらう。数々の悪行を重ね、娘に迷惑をかけ続け、天海にも憎まれて来た照男は、複雑な表情のままカメラの前に座る。そこで、天海が人生で一番の笑顔を、と求める。

おちょ簿 2020年12月25日(金)|1974|note

これで史実との関係が分かる。ほしゃんと板尾との対立は、五郎・十郎の事だ。

筆者の父もそうだったが、昔は教育が十分でない為、破天荒な人間は多くいた。稼いではすぐ飲んで借金を作る。博打で取り返そうとしてやくざに追いかけられる。どうしようもない堕落人生の父親でも、子供への愛情は本能として持っていて、子の悪行には怒り、成績が良ければ近所に自慢する。

ドラマ「おちょやん」の出演者・ゲスト一覧 | ザテレビジョン(0000969903)

そんな父親が、子の成長を見届けられず憎まれたまま死んで行く。そこで写真を撮る時に笑えない。むしろ自分の人生の悔いが募り涙が出る。遂には、声を出して号泣する。そんな時、人生一番の笑顔を要求された。照男(トータス松本)は、目から涙を流したまま大笑いをするのである。

泣き笑いである。我が人生は如何にアホだったのか。その写真が、葬式で掲げられた。見たおちょやんの仲間たちが、ええ笑顔やないかと大笑いしている。しかし、みんな笑っているが、目から涙。「笑い泣き」である。大阪道頓堀には、どんな悪人でも心からは憎まない人情があった。

おちょやん】のモデル曾我廼家十吾とは?『ほっしゃん』こと星田英利 ...

真ん中、浪花千恵子の左が、ほしゃん演じる曾我廼家十吾である。左奥に若き日の藤山寛美が見える。

今こそ松竹新喜劇が目指した「泣き笑い人生」を見直したい。いじめ・自殺・格差・ハラスメントなど、情の無い話が多い昨今。泣いても笑っても人生は、オモロイものだ。

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