㉒ 徳利とお銚子
いずれも日本酒を飲む時の器である。日本酒は、一升瓶☞徳利・銚子☞盃の順で口に運ぶ。徳利はひょうたん型の器でほぼ陶磁器で出来ているもので、お銚子は金へんである通り錫や鉄製で鉄瓶のような器である。燗酒はちろりから徳利に移して飲み、お銚子なら直接火にかけることも多い。ただし、両方をお銚子という事も多い。家庭で飲む場合、盃とお銚子を揃えのもので楽しむ。筆者は主に清水焼の季節ごとの文様を楽しんでいる。冷酒は徳利でも口の大きく開いた形式で楽しむ。なお、ちろりは、小生子供の時には「たんぽ」と言っていた。
若い時はほとんどが燗酒の宴会だったので、徳利があちこちで転がる宴会場を覚えている。陶器製の徳利は空なのか中身が見えず分からないので、飲み切ったら転がしておけと教えて貰ったものだ。先輩や上司から注がれたら、飲めずとも受けねばならない。「俺の酒が飲めないのか?」と、恫喝されたものだ。「お前の酒ではない。」と、言いたかった。
ワンカップ大関などと言う一気飲みのスタイルも出て来て、大人の作法と言うものも廃ってしまった。