アチャコちゃんの京都日誌

あちゃこが巡る京都の古刹巡礼

904 新シリーズ 令和に巡る京の神社  ⑰ 福王子神社

2022-02-17 10:25:47 | 日記

第17番 福王子神社

右方向に仁和寺

京都市右京区宇多野福王子町52

主祭神    班子皇后

ご利益 子孫繁栄・家内安全

 

神社の御祭神には、世に禍をもたらす「怨霊」を封じ込める為の神社も多い。各地の御霊神社や菅原道真の天神信仰が典型的ではあるが、実はそれ以外にも案外多い。ここ福王子神社の御祭神である班子女王(はんしじょうおう)もそのお一人だ。平安初期光孝天皇の妃であるが身分は高くなく、光孝天皇となる以前親王時代からの妃である。自分の子である定省(さだみ)親王が、次の天皇(宇多天皇)となった事で皇太后となった。人柄が良くその時の藤原氏とも関係が良好であった為と思われる。ただしその班子女王も晩年は、後継問題で藤原氏と確執があり複雑な経緯の後、恨みを持って亡くなったと言われている。福王子の名は、女王が4男4女をもうけて福王神と言われたことに由る。

扁額は砥石

手水

本殿正面

 

北区の立命館大学校舎のある衣笠方面から「衣かけの道」を西に仁和寺を右手に見てすぐの福王子交差点にある。仁和寺は御室御所と呼ばれ、光孝天皇の意志を継いだ宇多天皇の創設の真言宗の勅願寺である。元号を寺の名前にした数少ない例だ。従って、こちらとセットで訪れることをお勧めする。

重要文化財の石碑

福王子神社の境内は狭いが本殿の前に立つと天皇の母としての思いが伝わる気がする。正面鳥居の扁額は「鳴滝砥石」と聞いているが普通の青銅に見える。境内のほとんどを占める大きな拝殿がある。左に手水、このあたりも良質の水は出るはずだ。そして奥に朱色の本殿があり、心を込めて祈る。前の交差点は五差路になっていて、南に行くと双ヶ岡や嵐山方面に行く。西へは周山街道経て高雄・栂尾・槇尾の京の三尾へ行ける。途中には平岡八幡宮があるので、是非立ち寄りたい。

記念碑

 

 

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903 新シリーズ 令和に巡る京の神社  ⑯ 敷地神社 (わら天神)

2022-02-09 17:27:10 | 日記

第16番 敷地神社(わら天神)

 

京都市北区衣笠天神森町10

主祭神    木花開耶姫命

ご利益 子宝・安産・子育て

鳥居。

 

先日、作家筒井康隆が「美人絶滅」と言う散文を発表した。美人がいなくなる?と思いきや、「美人」と、表現できない世の中になると言う。比較対称する「美人」は、「不美人」を貶める差別語であると言う世論をちゃかしたものだ。文学の世界では、現代の差別語でも当時の世相を正しく表わす為に必要な表現があるのだと言う。まさにその通りで、古事記・日本書記にも差別的な表現は満載だ。差別するよこしまな気持ちがないのならば表現の自由は保証されるべきだと。先生は「断筆」した。

我々でも昨今、女性には言えないワードが格段に増えた。「可愛いね」「スタイル良いね」や「彼氏いる?」など言えない。まして「子供いるの?」も微妙で、新婚さんに、「妊娠はいつ?」や「子造り頑張っている?」はもっての他だ。最近、ある国会議員が結婚式のあいさつで、「ぜひ元気な赤ちゃんを沢山・・・。」と言って物議をかもした。

子供は国の宝だ。

しかし、つい最近まで(昭和の時代)は、当たり前のあいさつだった。誰もが子供を持つのを当然に思っていて、周囲もそう認識し激励した。寿退社やお目出度退社が好ましいとしていた。価値観の多様性と今は言うが何万年の人類の歴史上「妊娠出産」は神に願うほど普遍的なものであった。当然に、そのことを担当?する神様も多い。

ここ敷地神社は、愛称「わら天神」と言う。安産の神として信仰されているが、御守として藁が授与される。その藁に節があれば男児、節がなければ女児が誕生すると言われその為、わら天神と呼ばれる。主祭神の木花開耶姫命(このはなのさくやびめ)は、天照大御神の孫の男神に求婚される。姫の父はそれを喜んで、姉と共に差し出すが、男神は醜い姉ではなく美しい妹とだけ結婚した。父は怒り「私が娘二人を一緒に差し上げたのは姉を妻にすれば御子の命は岩のように永遠のものとなり、妹を妻にすれば木の花が咲くように繁栄するだろうと誓を立てたから」と言い、妹の木花開耶姫命だけと結婚すれば、「天津神の御子の命は木の花のようにはかなくなるだろう」と告げたのだとされている。その後、今のように寿命が短くなったとされる。また、醜い女性も大切にすべきだとの教えも伝えているのだと解釈したい。決して差別的表現ではない。

そして長く妊娠・出産と育児は女性の切実な願いとなった。古代には出産には命の危険が伴い、赤ちゃんも多くが育たず間もなく死ぬことも多かった。さらに、男の子か女の子かも重要な関心事だった。特に、武家や商家など大きな家では、男子誕生は嫁に課せられた義務だった。従って、「藁の節」で男子か女子かを占うこちらのお守りは人気を呼んだのだと思う。勿論、男子のみの相続は現代にはありえない風習である。

西大路通りを北へ、今出川通りを越えて金閣寺方面を目指し桜で有名な平野神社のすぐ北にある。近くには、仁和寺や竜安寺など衣笠方面にも近く、見どころも多い。境内はそう広くはない、足利義満の時代に北山殿(金閣寺)の敷地に重なり狭くなったようだ。

家族の愛情は普遍だ。

現代は、子を産むかどうかは誰に強制されることも無いが、欲しい夫婦にとって子宝への願いは以前より一層切実なのかも知れない。その日、一人の御婦人が、一心不乱にお祈りを続けていた。しばらく邪魔しないように佇んでいたが、いつまでも祈りは終わらなかった。

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902 新シリーズ 令和に巡る京の神社  ⑮ 若一神社

2022-02-05 16:20:13 | 日記

第15番 若一神社

 

京都市下京区七条御所ノ内本町98

主祭神 若一王子(にゃくいちおうじ)

御利益 開運出世

若一神社に行って来た。

西大路八条にあるが、この神社の為に西大路通りがまっすぐなっていない。

碁盤目に通る京都の通りは決してすべてがまっすぐではない。2か所ゆがんだ場所がある。京都駅から堀河通りを7条通りを北に行くと、大きく東に膨らむ。西本願寺がある為だ。もう一つがここ若一神社で、北から南下すると道の行く手に大楠が見えてくる。清盛が太政大臣になった時に記念に植えた楠が大きくなったものだ。平家滅亡の焼亡の中でも焼け残ったことから道路整備の時も移植できなかった。

神社の創建は、光仁天皇の時代と言うから平安京直前だ。ある僧侶が若一王子の御神体をこの地に祀るものの、「其の後、異変により、土中に入り給う。」と言うから一旦忘れられたのであろう。その後、六波羅を拠点にしていた清盛が、「浅水の森と称し風光明媚なる処」と、この地に別邸を営んだ。そして、熊野詣での時、御告げがあり。「土中に隠れたる御神体、世に出し奉斎せよ。」との御宣託あり清盛が邸内を探したら、土中より光が放たれ「若一王子の御神体現わる。」と言うのがその由来である。

境内には、近年創られたような清盛像がある。平の清盛は政治の指揮もここで執ったのは、山陰道・西国街道に通じる街道沿いにあり、また丹波口と言う京七口に近い為、西方面からの最先端の情報が入る要所である為である。宋との貿易を最優先する清盛の政策実現の為には絶好の場所だったのだろう。

 

清盛が熱病に苦しんだ時、この神水で体を冷やしたが、効なくうなされつつ死ぬ。それでもこの御神水、開運出世の水として、新生児誕生に際しての産湯としても有名とされる。

狭い境内だが多くの見学スポットがある。正月明けなので、お守りやご利益グッズがテーブルに広げられ身動き取れない程だった。なお、水は持ち帰り自由。

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901 新シリーズ 令和に巡る京の神社  ⑭  御金神社

2022-02-03 08:30:17 | 日記

第14番 御金神社

 

京都市中京区西洞院通御池上る押西洞院町614

主祭神    金山毘古命 天照大御神 月読命

ご利益 金運全般

金札宮よりも即物的に「金運」を願う神社が二条城近く中京区の御池通西洞院にある。主祭神は金山毘古命(かなやまひこのみこと)という神様。神様の中でも特別古い。神々の祖イザナミノミコトが火傷を負って亡くなる時の苦しみ嘔吐しその物からなった神様である。他に糞や尿、はたまた陰部(ホト)からなった神様もいるのだ。副祭神に天照大御神と月読命を従えているのもうなづける。この金山毘古命は鉱物など金属に関わる神様なのだが、そこから一気に、資産運用や証券取引等の成功、競馬、競輪などでの勝利や、さらには宝くじ等の当選を願う神社となった。金色の鳥居など黄金色に飾られた神社で、霊験あらたかな印象はない。境内はとても狭い。それもそのはずで、もともとは個人所有の地に祀っていたものを評判を集め社殿が造られたのだと言う。近くに、釜座通や両替町通りなど「金」に関わる通り名が多い。茶道の釜職人や金座銀座などの両替商が多く集まっていた為で、本来の意味での崇敬者が多かったのである。

例祭の時に伺ったが、子供の工作で作った飾りなど手作り感満載で親しみは感じたが、願いが叶うかは、「本人の努力次第」と言われたような気がした。世の中そんなに甘くない。

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