今日の仕事帰りの事です。
私は電車に乗って駅で降り、改札口につながる地下2階から地上への長い上りエスカレーターにいつものように乗りました。
束の間の出来事でした。
私の前に立っていたお婆さんが突然後ろ向きに私に倒れてきました。
とっさのことでしたが、私はお婆さんを抱えました。
お婆さんは90歳だと言っていました。
丁寧に私にお礼を言いました。
そして何事もなかったように私とお婆さんは別れました。
私がお婆さんの後ろにいなかったら、お婆さんは後ろ向きにそのままエスカレーターを転げ落ちて大事故になっていたでしょう。
生死にも関わったかもしれません。
その時は人助けを出来て良かったと思いました。
私がたまたまお婆さんの後ろにいて良かったと思いました。
でも、私は直ぐに思い直しました。
お婆さんが私に倒れてきた時、私は自分も一緒に倒れる、と思ったのです。
私も命が助かったのだと思いました。
お婆さんにとっては、後ろにいる人が子供や女性でなく男の私だったから、私が支えることが出来て助かったのです。
一方私は、倒れてきた人が小柄なお婆さんだったから支えることが出来たのです。
大柄な人だったら、男だったら、
恐らく間違いなく私もエスカレーターを転落していたと思います。
偶然が重なり合って、私とお婆さんは命拾いしたと、今、思っています。
神様が
「まだ生きなさい」
と言ってくれたような気がします。