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スイセンに口紅を

2024年04月26日 08時00分00秒 | ヒガンバナ科
2024.03.30撮影

わあ〜、口紅がついているわ〜〜。クチベニスイセンよね、これ。

去年の秋に球根を買ったときに控えておいたラベルによると、このスイセンの園芸種名は、「フラワー・レコード(Flower Record)」。副花冠(花の中央にあるカップ状のもの)にぐるりとついた模様から「花のレコード」と呼んでいるのでしょうか。

学名 Narcissus cv. 'Flower Record'
和名 スイセン「フラワー・レコード」
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)スイセン属(Narcissus
ディビジョン2・大杯スイセン

実は、前にも、クチベニスイセンをご紹介しました。ウクライナの花の特集をした時のことです。その特集は、ロシアがウクライナの領土を侵略し始めて1年目の、2023年2月24日に始めました。それからさらに1年以上経った今、その侵略は続いています。ロシアは、武力行使をやめろ。


以下の画像のスイセンは、その、クチベニスイセン(口紅水仙)です。学名は Narcissus poeticus詩人の水仙」という意味です。


Narcissus poeticus
撮影者:Meneerke bloem
撮影日:2012.04.30

学名 Narcissus poeticus詩人の水仙
和名 クチベニスイセン(口紅水仙)
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)スイセン属(Narcissus
ディビジョン9・口紅スイセン

あら? ディビジョンが違う??? この2種のスイセンを、並べてみます。

 
「フラワー・レコード」(冒頭画像に同じ)  「クチベニスイセン」(上の画像に同じ
ディビジョン2・大杯スイセン         ディビジョン9・口紅スイセン

なるほど、出自はともかくとして、副花冠の大きさ・長さが違うんですね。

園芸の流通上では、園芸種の多いスイセンやチューリップは、種(しゅ)で分けられるよりも、特徴で分けられる傾向にあります。スイセンは、13ディビジョン、チューリップは、15、ないしは、16ディビジョンに分けられます。

以下は、ディビジョン1、2、3、そして、9の定義を。1〜3は副花冠の長さで、9は出自で定義されます。

ディビジョン1「ラッパスイセン」
・副花冠の長さが、花弁の長さと同じかそれ以上
ディビジョン2「大杯(たいはい)スイセン」
・副花冠(=杯)の長さが、花弁の3分の1を超える〜花弁の長さを超えない範囲
ディビジョン3「小杯スイセン」
・副花冠の長さが花弁の3分の1以下
ディビジョン9「口紅スイセン」
・原種 Narcissus poeticus詩人の水仙」の園芸種

では、ディビジョン2の「大杯スイセン」とディビジョン9の「口紅スイセン」の特徴を比較してみると、

ディビジョン2「大杯スイセン」
・大きめの花冠
・大きめの副花冠
ディビジョン9「口紅スイセン」
・平たい副花冠
・副花冠が濃い紅赤で縁取られる
・香りがある

ということは、、、大杯スイセンの副花冠に赤っぽい縁取りがあるかどうかは、ディビジョンの分け方にまったく関係なく、「口紅」がついていても口紅スイセンではないのであ〜る。副花冠の大きさを見れば、わかる。

と残念がりながら、考えてみると、前に同じような記事を書いたことがあるような・・・と思って探してみました。すると、ウクライナの花シリーズの1ヶ月半ほど後に、ちゃんと口紅スイセンと大杯スイセンを区別した記事を書いていました。パシフィック・リム」(「環太平洋」という意味)の園芸種です。

このように忘れたり、思い出したりしながら、記憶が形成されていくんだな、と思いました。(人間は、あることを覚えるには、それに5〜7回は触れないと覚えないそうです、心理学者によると。)


学名 Narcissus cv. 'Pacific Rim'
和名 スイセン「パシフィック・リム(環太平洋)
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)スイセン属(Narcissus
ディビジョン2・大杯スイセン

以下、ディビジョン2の大杯スイセンでありながら、「口紅」の模様のついているスイセンを2種並べてみます。「大杯」ですから、副花冠が平たくなく、大きめ(長さが、花弁の3分の1を超える〜花弁の長さを超えない)です。

白い方が「フラワー・レコード」(上、または、左側)、黄色い方が「パシフィック・リム」(下、または、 右側)です。パシフィック・リムは、去年なくしたと思いましたが、今年咲いてくれました。感謝。

2024.04.02撮影

2022.04.24撮影

2024.04.04撮影

2022.04.20撮影

うちでは、白い「フラワー・レコード」は南側の庭に、黄色いパシフィック・リムは北側の庭に植えてあります。北側の庭には、アネモネ・ブランダ(Anemonoides blanda)が、時季にはたくさん花咲きます。以下の右側の画像2枚の「パシフィック・リム」の足元には、アネモネ・ブランダが見えます。

 
2024.04.03撮影               2024.04.04撮影

 
2024.03.30撮影               2024.04.02撮影

これらのスイセンの花を裏から見てみると、次のようになります。どちらがどっち?

 
2024.03.30撮影「フラワー・レコード」    2024.04.02撮影パシフィック・リム

左がやはり「フラワー・レコード」なんですが、これは若い「フラワー・レコード」の花です。一方、右はこれもここまで通りパシフィック・リムなんですが、こちらは、盛りの過ぎたパシフィック・リムの花です。

白いはずの「フラワー・レコード」が若い時には黄味がかっていて、濃いレモン・イエローであるはずのパシフィック・リムが年老いて色を失っていき、このように一見同じように見えてしまいます。もちろん、他の特徴を見れば、区別はできるのですが。

次は、開きかけたツボミ〜だいぶん開いた花です。

 
2024.03.27撮影               2024.04.01撮影

 
2024.03.27撮影               2024.04.16撮影

「フラワー・レコード」(白い方)は去年の秋に植えたばかりなので、植えただけ咲いてくれたようです。これ以降、定着してくれればいいな、と思います。北側の庭ではなく南側の庭に植えたので、大丈夫だろうとは思います・・・


2024.04.04撮影「フラワー・レコード」

草丈は、画像からは比較が難しいですが、パシフィック・リムは普通の高さ、「フラワー・レコード」は、その半分〜3分の2ぐらいです。

ところで、検索していると、「フラワー・レコード」などの、花びらが白い、「口紅」模様つき大杯スイセン(ディビジョン2)を、クチベニスイセン(ディビジョン9)と混同してしているサイトが、いくつか見られました。

たとえば、次の植物名検索サイト(Pl@ntNet)のクチベニスイセン(Narcissus poeticus)のページの最初の画像は、クチベニスイセンではないように見える・・・副花冠が大きすぎる、幅が広すぎる、と思いませんか。ページの下の方にたくさん挙げられている画像のいくつかも、間違っていると思います。

(このページはクリックで開きません。リンクをコピペして別ウィンドウにてご覧ください。)


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1 コメント

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初めまして (ピッピ)
2024-04-28 20:54:59
こんばんは~
バンクーバーにお住まいの方だったんですね
私のblogにコメ頂いてお花の名前教えて
頂いてありがとうございました。
ハナシノブ科フロックス分かってほっとしてます。
いつ植えたのやら分かりませんが多年草ということは
何年か前に植えたのだろうと思いますがお花が
咲いていなかったと思います。
土も硬くなってますのでお花が終わったら
植え替えてあげようと思います。
水仙も種類が多いですよね~
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