2023.08.18撮影
「ヒマワリとラウンドアバウト」については、今日で終わりです。
いろいろな国のラウンドアバウトの写真を見ていると、「島」の部分が「ピンからキリ」で、へ〜〜、と笑ってしまいます。なんの変哲もないコンクリートであったり、芝生がはられているだけだったり、なんらかの植栽があったり、また、見事な噴水があったり、彫刻があったり、、、
バンクーバーの住宅街に設置されているラウンドアバウトの「島」は、多くの場合、花が植えられていて、目を和ませてくれます。虫たちの集まる場所でもあります。
でも、中には、大きな岩石をどか〜っとおいてあるだけのラウンドアバウトもあります。そういうあたりは、大通りから車両が侵入するのを本当に防ぎたい場所なのだろうなあ、と思います。目の前に石が迫ってくると、視界がまったく遮られて、怖いですもん。ですから、近寄りたくない。
その大きい岩石は、石舞台古墳の一番上にある、あの大きい石ぐらいではないか、と感じるほどです。(話しが大きくなってきたので、石の話しは、ここで終わり。)
イギリス、レッチワース田園都市(Letchworth Garden City)にあるブロードウェー(The Broadway)に設置された、イギリス初のラウンドアバウト(1909)
撮影者:Jack1956
撮影日:2014
パブリックドメイン
上の画像は、イギリス初のラウンドアバウトで、レッチワースという田園都市にあります。このラウンドアバウトでは、イギリスなので標識(青地に白の矢印)が左向きになっています。左側通行では、ラウンドアバウトでは時計回りをします。
下の画像は、わたしがヒマワリの写真を撮った、うちから一番近くにあるラウンドアバウトで、カナダは右側通行なので、標識(白地に黒の矢印)の示すように、反時計回りをします。
このラウンドアバウトは、大きさとしては、上の画像のレッチワースの4分の1くらいかな、と思います。ラウンドアバウトの大きさは、当然ながら、交差点の大きさ(=道の幅)に左右されます。
2023.08.18撮影
レッチワースのラウンドアバウトの「島」には木や草本の植物の植栽があり、外縁部には芝生が植えられています。うちのあたりのラウンドアバウトは、植物がもっと密に植えられていますが、木は植えられていません。外縁部は、芝生ではなく、コンクリートです。
コンクリートの部分は、直前の画像では、右下、標識の下(陰になっている)に、次の画像では、右上(陽があたっている)に、あります。
2023.08.18撮影
では、このラウンドアバウトに植えられている花々、だれが植え、だれが管理しているのでしょうか。それは、直前の画像に出ている標識に説明されています。以下に、その部分が大きく写った画像を載せます。
2023.08.18撮影
つまり、バンクーバー市(the City of Vancouver)の音頭取りで、近所の住民が管理している、と言っています。それで、咲き乱れたラウンドアバウトもあれば、あまり植っていないのもある、また、最初から、前述のように、石が置かれているのもある(アパート街など)、んですね。
そこに書いてあるリンク先へ行ってきました。そこには、管理者になればいくつかの恩典がある、というのがわかりました。
でも、これだけの大きさの土地を、自宅の敷地内にあるわけでもないのに、庭として管理するの、大変ですよ。恩典では割りが合わず、これ、勤労奉仕よ(うわ、出た、古い言葉)。
話がそれますが、わたしの母が、女子高校生たちが何やら労働をしていたので、「勤労奉仕ですか」と聞いたそうな。すると、女子高校生たちは「ボランティアです」って答えたんですって。この話し、母から何回も聞かされるのよ、表現は変わっていくもんだ、という例として。
え〜〜と、そうそう、その勤労奉仕、確か、わたしのうちの隣のおばさんがこのラウンドアバウトの面倒を見ている、みたいなことを、何年も前に言っていたなあ、それに加え、もうやっていない、みたいなことも。
ということは、うちの近くですごくお花を咲かせているおうちがあるので、そこのおばさんがやっているのかな?
でも、散水制限の厳しいこの夏、水やりはどうしているんだろう。水道栓が「島」のどこかに設置されているのかしら。そして、ランドアバウトだったら、散水制限を無視して、自由に水やりしていいのかな?
水やりが行われているところを、実は、わたしは一度も見たことはありません。ですから、水やりがあまり行われていない可能性があります。それでも植物は元気に咲いているのです。ということは、ラウンドアバウトに植えられている植物を庭に取り入れれば、庭を水不足に強い庭に変えていくことができるでしょうか。
一考して良いと思いました。
以下は、そのラウンドアバウトで、今咲いている花の一部です。
2023.08.11撮影(アマランス)
2023.08.11撮影(コスモス) 2023.08.11撮影(コスモス)
2023.08.11撮影(チドリソウ) 2023.08.11撮影(チドリソウ)
2023.08.11撮影(クサキョウチクトウ) 2023.08.11撮影(クサキョウチクトウ)
2023.08.11撮影(ムシトリナデシコ)
2023.08.17撮影
ヒマワリの頭花は、まず、一番外側の花びら様の舌状花が開きます。そして、次に、内側の管状花・筒状花が、舌状花に接した方から順番に、中央に向かって咲いていきます。1,000個を超える(のだそうです)小花が秩序正しく咲いていくのは、見事なものです。
管状花・筒状花を、以下、わたしの好みで、独断で、筒状花、とだけ呼びます。
ヒマワリの小花を、今度は、中央から外側へ向かって、見てみると、ヒマワリの頭花は、
1.ツボミの筒状花
2.オシベの出た筒状花
3.メシベの開いた筒状花
4.メシベのしぼんだ筒状花
5.舌状花
という構成です。もっと段階を細かく区切ることもできますが、この辺りで妥当だと思います。
中央のツボミの筒状花は、若いのほどより黄緑色、外へ向かうにつれオレンジ色が増していきます(上の画像)。
次の画像で見えるのは、異なる段階の筒状花の帯です。
2023.08.17撮影
この画像中、下側が頭花の中央に近いツボミの部分で、上側が花びらの大きい舌状花に近づく部分です。
画像真ん中を帯状に横切るものは、オシベの出ている筒状花です。黒っぽいものがオシベの葯(やく)、その先端に黄色っぽい花粉。
オシベの中央からつき出ている黄色いものは、メシベ。そして、メシベは、先端が割れてきて、「Y字型」となります。メシベは、オシベの間から出てくるときには、オシベの花粉に触れながら出てきます。でも、そのころのメシベはまだ成熟していないので、自家受粉はしません。
黒っぽいオシベの見える筒状花のさらに外側には、もっと発達したメシベが見えます。黄色のぴろぴろとしたのがメシベです。画像では判別しにくかと思いますが、「Y字型」が進み、頭の方が反りかえって、「M字型」のようになっています。
まあ、これは、アンテナを出しているようなものなので(こら、それ以上、想像するな!)、この形のおかげで、他所から花粉を受けることができるようになります。
「M字型」の形が見やすいように、画質は不鮮明になりますが、画像を拡大してみます(上の画像からではなく、他の画像から)。
2023.08.17撮影
次は、冒頭の画像の花より古い頭花です。画像の左下と右下に、舌状花が見えます。筒状花は、この頭花では、ほぼ全部咲ききっているようです。中央部にあるメシベは、「Y字型」も混じっていますが、多くは「M字型」でしょうか。
ヒマワリでは、中央部の筒状花が咲かないままのこともよくあるようです。その場合は、咲いている筒状花と咲いた筒状花だけが、ドーナツ状に盛り上がったままになります(冒頭の画像)。
でも、下の画像のようにほぼ全部が咲くと、筒状花の部分がドーム状になります。
2023.08.11撮影
ぴろぴろしたメシベが見えない筒状花では、メシベはもうしぼんでいます。メシベは、小さく薄茶色になっているので、目立ちません。その代わりに、筒状花の「花弁」がはっきり見えます。
その部分だけを写したものがあるので、それをご覧ください。
2023.08.11撮影
これは、舌状花に一番近い、つまり、外縁にある筒状花です。画像右上に、舌状花の花びらが数枚見えています。
メシベは、薄茶色のフィラメントみたいな形状のもので、すでにしぼんでいます。しぼんでいないのは、「M字型」の薄黄色です。筒状花の中に見える黒っぽいものは、オシベ。筒状の花の先が5裂しているのが、この段階になるとよく観察できます。「5裂」とは言いましたが、これは、花弁5枚の根本が合弁しているのです。
2023.08.11撮影
うちの近くのラウンドアバウトには、こんなかわいい花も植っているんですよ。ヒマワリの太い茎とゴワゴワした葉っぱに半ば埋もれて咲いています。他の色のも咲いています。
学名 Linaria maroccana「モロッコのウンラン」
英名 Moroccan toadflax「モロッコのウンラン」
別名 Annual toadflax「1年草ウンラン」
和名 ヒメキンギョソウ(姫金魚草)
オオバコ科(Plantaginaceae)ウンラン属(Linaria)
原産 モロッコ
つづく(次回は、「ヒマワリとラウンドアバウト」の最終回)
2023.08.17撮影
これは、うちの近くのラウンドアバウトに植えられているヒマワリを、上から見て撮影したものです。矮性なので、上から写せます。また、横に向いて咲いているので、上から写すと、このように見えます。
舌状花の花びらの根本に、総苞があります。総苞とは、多くの花を一度に包み込んだ萼(がく)のようなものです。ヒマワリは大型の花(頭花)なので、総苞も大きいです。
ヒマワリの頭花がツボミの時には、総苞は、以下の画像のように重なり合っています。鎧(よろい)みたいですね。指で先を触ってみると、ちょっと痛いです。やってみなかったけど、縁に沿って指を滑らせると、(指が)切れると思う。
2023.08.17撮影
ラウンドアバウトは、本来、車両の流れをなめらかにするために交通量の多い大きな交差点に設置されます。でも、バンクーバー市の場合は、目的が異なります。
バンクーバー市では、ラウンドアバウトは、住宅街の小さい交差点に設置されます。これは、車両の交通量を減らすためです。
小さい円形の「島」の周りを走るには、かなりスピードを落とさなくてはなりません。つまり、突っ走れないのです。突っ走れないなら、ラウンドアバウトのある道は避けよう、という心理が働きます。
ラウンドアバウトが普及する前は、大通りが渋滞すると、迂回車両が住宅街に侵入していたものですが、ラウンドアバウトの設置に伴い、それが随分軽減されました。
それでも、道の交差のし具合によったら、滞ってイライラするより、ラウンドアバウトのある住宅街に侵入して遅いスピードで走る方がマシ、ということはあります。
わたしは、自分自身が大通りに近い住宅街に住んでいることもあり、そんなことは、住民のことを考えてなるべくしないようにしていますが、時々、ええい、あっち行っちゃおか、と思うことはあります。実際に行くことは、滅多にないけど。
左側通行の場合のラウンドアバウトの車両の動き
作成者:Mintguy
改変者:Fredrik
改変作アップロード日:2004.06.12
オリジナルからの改変、なし
上の動画は、左側通行の場合のラウンドアバウトの車両の動きです。(カナダは右側通行です。)
片側3車線なので、全ての車両を一度に見ると目が回るかもしれませんので、一度にひとつの車に注目してください。そうすれば、どう走ることになっているかわかります。
1.右側を見て(この時点で、方向指示器を *右* に出す方法もある)
2.安全なら、ラウンドアバウトに進入し、
3.必ず左へ向かい、時計回りをし、
4.ラウンドアバウトから出る前に *左* に方向指示器を出して、
5.ラウンドアバウトから出る
これ、慣れれば、大変簡単です。1の段階で方向指示器を *右* に出すのは、わかりにくい・・・そこにいたらランドアバウトに進入する意思があるのは他の運転者にはわかっているので、出さなくていいのだ、うん・・・そして、安全なら、一時停止しなくていいです。
以上がラウンドアバウトの走行法ですが、バンクーバーの住宅街に設置されているラウンドアバウトは、大変小さいです。それで、トラフィックサークル(traffic circle)とも呼びます。
以下の画像は、そんなトラフィックサークルの例です。バンクーバー市(The City of Vancouver)のサイトからですが、わたしの見た限りでは著作権の表示がどこにもなかったので、勝手に借りてきました。
How traffic circles work
オリジナルからの改変、なし
ラウンドアバウトの使い方は難しくないのですが、バンクーバーの人間は、どう使えばいいか知らない人が結構いて、とんでもない運転の仕方をする人がいます。
上の画像の右手の方に、交通標識が見えます(実は、これが全部で4つある、四つ辻なので)。この交通標識には、白地を背景に、黒い盾のような形の図形と黒い矢印が描かれています。これの意味は、何がなんでも「島」に沿って右側へ行きなさい、反時計回りをしなさい、というです。
が・・・左折したいから、と、これを無視して左側に向けて進入する人がいるんです。左折したくても、まず右側に向かって走らないといけないのに。こういう逆走をする人に出会うと、こちらは自己防衛で止まるしかありません。
これは、先の左側通行の動画で言えば、動画左手から入ってくる黄色の車両が、時計回りをせずに、そのまま、「流れに逆らって」右折してしまうことになります。
2023.08.17撮影
この虫さんは、だあれ? もちろん、ツボミではなく、咲いている小花にへばりついています。
次は、主に小花について見てくださいね。
つづく
2023.08.11撮影
先週は、バンクーバーでも、25℃を上回る日が何日かあり、その程度なのに、「高温注意報」が出ました。2階の南側の寝室は寝るには暑くなったので、わたしは、ひんやりしている1階で寝ました。
ところが、週末には、最高気温が25℃を割る気温。そんなときには、夜間の気温は、10℃台半ば。そうすると、1階で寝るのは寒すぎて、朝方、寒さで目が覚めました。次の日からは2階に帰って、「ぬくぬく」と寝ました。
バンクーバーは、ブリティッシュ・コロンビア州のほぼ南端にあるにもかかわらず、州の中では涼しい方なんです。なぜ涼しいか、と言うと、それは、バンクーバーが、海、入江、フィヨルド、川、に囲まれていて、風が吹き、空気が停滞しないからです。(風が吹くので、花の写真を撮るのは、風が吹き止む一瞬をねらうしかありません。)
日本人であるわたしの気持ちとしては、バンクーバーで30℃も超えないときに、「暑い、暑い、と文句を垂れるな」です。それに、たとえ30℃を出ても、湿気が比較的低いので、なんとかなるんです。(と言いながら、暑いときは1階で寝ていますけど。)
それより、ブリティッシュ・コロンビア州では、南部内陸部が高温になります。そして、それらの地域では、現在、山火事が続いて、多くの住民に避難命令が出ています。これについては、もう書きました。
最高気温の記録に関しては、次のリンク先の表をご覧ください。先週のこと(8月14日)ですけど、リットン(Lytton)では、41.4℃を記録しました。その右側の39.4℃というのは、それより以前の記録(リットンの場合は、2008年)です。
Heat wave topples temperature records in southern B.C., as conditions raise wildfire fears「熱波、南部BC州の高温記録を書き換える、気象状況が山火事の心配を上げる中で」
(英文+画像+表)
2023.08.11撮影
今日は、そんな「涼しい」バンクーバーでも、真夏の花、ヒマワリがきれいに咲くことを、他の話題ともからめ、お見せしたいと思います。
学名 Helianthus annuus
英名 Sunflower「太陽の花」
和名 ヒマワリ(向日葵)
キク科(Asteraceae)ヒマワリ属(Helianthus)
原産 北アメリカ西部
なんと、ヒマワリの原産地は北アメリカ西部!!! それなら、ヒマワリがバンクーバーで元気に咲いて、なんの不思議もありません。
冒頭の画像は、花びらがぱっちりと開ききったばかりのところです。直前の画像は、それより少し前、次の画像は、それよりもまだ前の花びらが半ば閉じている時のものです。
2023.08.11撮影
ヒマワリも、他のキク科の花と同様、ひとつの花のように見えるものは、多くの花の集合です。ひとつの花のように見えるものを「頭花」、それぞれの花を「小花」と言います。
ヒマワリの場合、外側の小花は、花びらが発達していて、この花びらが「舌」のように見えるので、この種類の小花を「舌状花」と呼びます。内側の小花は、花びらが目立たず、よって「管」あるいは「筒」のように見えるので、「管状花」あるいは「筒状花」と呼びます。
外側の花びらが開ききっていない時、また、開いてしばらくは、内側の管状花・筒状花は、ツボミのまま硬く固まっていて、「毛並み」が中央に向かっています。そのため、表面が、すべすべに見えます。以下の画像をご覧ください。
なでなでしたら、いい気持ちですよ。もちろん「毛並み」に沿ってなでてください。
2023.08.11撮影
今日お見せしているヒマワリは、実は、うちの庭で育てているものではありません。
わたしの家の位置する住宅街、および、他の住宅街でも、10年ほど前に一斉に市によってラウンドアバウトが設置されました。そのラウンドアバウトの中央には「島」があり、それが「分離帯」として働きます。「島」には、植物が植えられたり、大きい「島」では噴水が設置されたり、します。
うちのあたりのラウンドアバウトの「島」には、植物が植えられました。その植物のひとつが、今年の場合は、このヒマワリなのです。矮性だけれども、頭花は、普通の草丈の頭花と変わらない大きさです。ですから、花を間近に撮れました。
ラウンドアバウト(Roundabout)は、日本語では「環状交差点」と言うようです。車両は、交差点中央の「島」の周りを回る仕組みになっています。
ロータリー交差点と似ていますが、ロータリー交差点には一時停止線や信号機があり、ラウンドアバウトには、それらがないこと。
と言っても、現実には、ある程度以上の大きさのラウンドアバウトでは、「一時停止線」が破線などで路上に描かれます。強制的な一時停止ではなく、安全なら一時停止せずに進めます。
ラウンドアバウト
Small modern roundabout in the United States, where vehicles are driven on the right
(右側通行のアメリカにおける、小さいラウンドアバウト)
撮影者:Andrew Bossi
撮影日:2008.03.16
オリジナルからの改変、なし
上の画像は、右側通行の場合の例ですけど、破線のような一時停止線が引かれています。その手前にあるのは横断歩道で、もちろん、必要に応じ、その手前での停止が求められます。
このラウンドアバウトの「島」にも植物が植えられていますが、バンクーバーの住宅街のラウンドアバウトの植物は、こんなんじゃありません、庭みたいなものです。
つづく
これは、CBC(日本のNHKに当たる)のインターネット版ニュース(8月18日付)からです。
著作権のついている記事ですが、多くの人が危険にさらされている天災に関するニュースだということで、許可を取らずに転載(「天災」とゴロってるわけじゃない、たまたまそうなった)いたします。
現在、BC州に非常事態宣言が出ています。上の記事の中の英語の表現では、under state of emergency「非常事態下にある」がそれを示します。
山火事は(毎年のことながら)もう数ヶ月ずっと続いていたのですが、先週半ば、いよいよ、オカナガン地方の中心地、ケロウナ(Kelowna)に迫っていました。
ケロウナは、観光地として知られ、夏には、オカナガン湖とその湖畔で湖水浴やウォータースポーツが楽しまれます。また、ブドウが多く栽培されていて、ワイナリーが点在します。アイスワインも作られます。
上の画像では、高層ビルは画像中央に見えるだけで、基本的には、観光地、住宅地、農業地、の広がった街です。
この画像に写っているのは、川ではなく湖です。この湖の向こう側がウエスト・ケロウナ、こちら側がケロウナです。
以下の地図では、湖が細長い形であるのが見えます。そして、その左側(西側)がウエスト・ケロウナ、右側(東側)がケロウナです。地図中右下の地図は、BC州のどこにケロウナとウエスト・ケロウナが位置するか、示されています。
赤く塗られているのは、8月20日現在で、今後ここまで火事は広がるであろう、と推測される地域。
8月16日にはすでにウエスト・ケロウナ住民に避難命令が出ていました。そして、わたしは、オカナガン湖畔近くのケロウナ側に住む友だちに、大丈夫なのか聞いたのですが、「いや、対岸の火事だよ」なんて呑気なことを言っておりました。
ところが、火が西岸から東岸へ飛び火し、同日の夜のうちにケロウナ側にも避難命令が出て、わたしの友だち家族も避難しました。彼女たちは、たまたま、火の手の届かないところに親戚のうちがあるからよかったけど、他の人々はどうしているのか。
3万人がすでに避難しており、そのうちの数千人は、東隣の州のアルバータまで至っているとか、そして、そのうちの3千人は、さらにその東隣のマニトバまで至る模様、と報道されています。
また、早くに避難命令に従った人たちは、車で高速道路まで出られたが、出遅れた人たちは、湖をボートで逃げたとか。でも、両岸が燃えているんですよね?
さらに、3万6千人に、避難勧告が出ており、それが、避難命令にいつ変わってもおかしくない状況。
現在、避難民を受け入れるように、と、メディアが要請を流しています。こういうの、カナダ人って、全体的に寛容で親切なのね。
海外からの難民でも、自宅に招き入れたりします。基本的には、地下室が独立して使える建て方になっている、というのも、他家族を受け入れるのがやりやすくなっている理由でしょうが。
上の地図は、8月19日現在のBC州山火事の状況です。異なる印の意味は:
・炎の形:危険地域
・赤:拡大中
・黄色:現条件下ではこれ以上拡大しないであろう
・黄緑:これ以上拡大しないであろう
・灰色:消火
この地図からわかるように、山火事は、オカナガン地方に限られているわけでもないのです。
また、500kmは離れているバンクーバーにも、煙がやってきます。そのせいで、昨日あたりから、空が妙に明るくどんよりとしています。「明るい」と「どんより」をいっしょに使うのはおかしいかもしれませんが、他になんと形容したらいいのか・・・空から地上までそんな空気が続いているのです。車を運転したら、辺りがピカピカします。
バンクーバーも雨は一滴も降らずカラカラで、植物も動物もホームレスの人々も苦しんでいるが、それはもう少し我慢しますので(家の中に住んでいる人間は我慢できるよな〜)、どうか、どうか、火事が荒れ狂っている地域に雨を降らせてくださいまし。
2023.07.16撮影
今日は、「リリー・ツリーは、オリエンペット」のつづきで、リリー・ツリーに関しての最終回となります。
冒頭画像は、全く世話のされていないわたしの庭です。お見せするのは恥ずかしいのですが、うちの「木のように大きい」「木のようにぐんぐん伸びる」という触れ込みのユリがどれほどの丈か、周りの植物の丈と比べていただけたら、と思いました。このリリー・ツリーは、2年目の株です。
今日は、リリー・ツリー以外のお花も見てくださいね。
冒頭の画像で、左手から見ると、手前に、ノカンゾウ(Hemerocallis fulva var. disticha)の花殻とツボミが見えます。一般的な丈のノカンゾウです。
2023.07.10撮影
ノカンゾウの向こう側には、フロックス(Phlox)が何種類も植えてあるのですが、この画像ではっきり見えるのは、2種。ごく普通の高さの白いフロックス(園芸種 'David'「デイヴィッド」)と、丈の低い赤いフロックス。
2022.09.03撮影 2023.07.14撮影
画面ほぼ真ん中の薄紫のものは、通常よりもかなり丈の低いアガパンサス(Agapanthus)で、ツボミの色づいてふらんだものです。
2023.07.21撮影
アガパンサスの奥には、普通の丈のデルフィニアム(Delphinium)がもう薄茶色のタネになっています。
2022.06.08撮影 2023.07.10撮影
右側にリリー・ツリーに寄りかかるように出ているシダの葉、これは、特大のシダ(種類は不明)なんです。なんでこんなに大きくなるのかわかりませんけど、葉の長さは大きいのは150cmにもなります。よっぽど住環境が合っているんでしょう。上にかぶさってくるキウイ(Actinidia deliciosa)のツルもモノともせず、ぐんぐん伸びます。
2021.07.19撮影
さて、これらの植物を比較の基準にしてみて、このリリー・ツリーは、丈が高いと言えると思いますか。わたしはちっとも高いと思わない。オリエンタルなら、もっと大きいんじゃ? 他にも丈の高いユリはいっぱいある。
2022.08.04撮影
リリー・ツリーに文句つけたいこと、その1
リリー・ツリーは、オリエンタルとトランペットの交配種なんですから、草丈の高いオリエンタルの性質を受け継いでいても不思議ではありません。でも、リリー・ツリーは、主張されるように、2.5mにもなるのか?
リリー・ツリーに文句つけたいこと、その2
ユリは、毎年大きくなっていくのが普通であるのに、「木のように毎年大きくなっていく」と言って売り物にするのは、道徳的か。
2023.07.21撮影
リリー・ツリーに文句つけたいこと、その3
「ツリー」、つまり、「木」は、冬でも地上に生きて立っています、落葉樹が葉を落としても。それなら、冬に地上から姿を消すユリを「ツリー」と言うのは、おかしい。
リリー・ツリーに文句つけたいこと、その4
「木」には樹皮があります。ユリの茎には樹皮はない。うわ〜〜〜、ユリには、枝もない。少なくとも、わたしは見たことない。「枝」みたいに見えなくもないものは、花柄よね? つまり、「木」とは言えない。
2023.07.21撮影
これは、わたしのリリー・ツリーにだけ当てはまることなのかもしれませんが・・・
リリー・ツリーに文句つけたいこと、その5
わたしのリリー・ツリーには、芳香はない。昼間も、夜の間も、匂わない。
リリー・ツリーに文句つけたいこと、その6
わたしのリリー・ツリーは、花期が短い。2週間も咲いていない。あっという間に花弁が傷んでくる。
2023.07.21撮影
わたしは、「リリー・ツリー」というのは、どう考えても、だまし商法だと思います。「ツリー」というのは比喩だ、と言うにしても、2.5mになる、というのは、ウソだろう。
リリー・ツリーはオリエンペット(オリエンタルとトランペットの交配種)のひとつでしかなく、オリエンペットは、平均、1.2m。
その他にも、宣伝文句がいろいろあるのですが、それらのウソッパチさについては、以下の記事(英文ですが)に、理由を添えて詳しく説明されています。ユリ専門の栽培・販売家による記事です。
Lily Tree Nonsense(英文+画像)
これによると、わたしが間違って思い込んでいたことがあることに気づきました。リリー・ツリーという名称は2008年に使い始められ、2009年に登録商標がつけられたそうです。そんなに前からだったのか。ですから、リリー・ツリーに関してのわたしの最初とそれに続く記事には、間違った記載があります。
ここに訂正し、お詫び申し上げます。そこに書いたことは、「気持ち」がそうだった、と受け取ってください。汗
ただ、販売する植物に学名を長くつけていなかったのは、確かだと思います。学名がどこかに書いていないか、と、カタログ上を一生懸命に探したのを覚えていますから。
でも、自分の記憶に自信がなくなってきたなあ・・・げ、歳?
2023.07.16撮影
今日は、「リリー・ツリーは、やっぱりユリ」のつづきです。
今日の冒頭の画像は、そのリリー・ツリー(Lilium OT-hybrid)のオシベの葯がキウイの葉にもたれかかり、その葉の上に花粉をこぼしているところです。強烈な色ですね。
リリー・ツリーというのは、初め、登録商標がついていなかったのですが、最近は(わたしは、2年前に気づいた)、Lily Tree® と表示されています。
登録商標をつけた理由は、lily「ユリ」と tree「木」というごく普通にある一般名詞をふたつ並べて、特別なものだ、と主張することが批判されたためだと思います。その批判は、消費者から来たかもしれないし、同業者から来たのかもしれません。
わたしでも、消費者として、苦い思いをしていましたもん。リリー・ツリーって、一体、何よ、と。まあ、そう思っても、文句をつけには行かず、商品を買わない、という「不買運動」をしただけですが。
すると、なんと、カタログにも、やっと、OT-hybrid(OTハイブリッド)と記載してくれるようになりました。オリエンタル・ハイブリッドとトランペット・オーレリアン・ハイブリッドの交配種です。
これを、Orienpet(オリンペット) 、あるいは、Orienpet(オリエンペット)とも呼びますけど、わたしには「オリンペット」は、「え? オリンピック?」ぐらいにしか思えません。「オリエンペット」の方が、「オリエント」風情が残っていていいかな?
2023.07.16撮影
以下、
・オリエンタル・ハイブリッドを「オリエンタル」
・トランペット・オーレリアン・ハイブリッドを「トランペット」
・OTハイブリッドを「オリエンペット」
と略して呼びます。
オリエンペットは、オリエンタルとトランペットを交配することによって生み出された交配種で、次のような性質を持ちます。
オリエンタルから
・芳香
・花の華麗さ、優雅さ
・花の形
・花期の長さ
・大きい草丈
トランペットから
・花の各種の色
交配することにより
・花びらの厚さ
・耐寒性
・強健さ
以上の情報は、以下などを参照しました。
What are OT Hybrid Lilies?(英文+画像)
Orienpet(英文+画像)
では、次に、オリエンタルに貢献した原種の例をご覧ください。
これは、オリンタルの代表格、ヤマユリ(Lilium auratum)です。多くの日本人にお馴染みの姿ですね。近畿地方以北の本州(北陸地方を除く)に自生します。
次は、ヤマユリ(Lilium auratum)の変種、サクユリ(Lilium auratum var. platyphyllum)です。サクユリは伊豆諸島にしか生えないので、全国的には知られていないか、と思います。
次は、カノコユリ(Lilium speciosum)です。四国、九州、台湾、中国の江西省に自生します。
それでは、これら、3種のオリエンタルの草丈を比べてみます。サクユリは、最大2mにもなるそうです(わたしは見たことがありませんが)。
オリエンタル
サクユリ(最大2m)
ヤマユリ(100〜150cm)
カノコユリ(100〜150cm)
オリエンタルって、みんな、草丈が高いんですね。
リリー・ツリーの話しは、さらにつづく。
2023.07.16撮影
わたしの庭には、リリー・ツリー(Lily Tree)が3本あります。
一昨年の秋に鱗茎(りんけい)を3つ買って植えつけたもので、去年は2本しか発芽しませんでした。でも、鱗茎は土中に残っていて太りつつあるはずだ、とその時は思い、今年を期待していました。
でも、そのリリー・ツリーのことは、日本と行き来していて忙しい気持ちだったので、すっかり忘れていました。すると、この7月半ばに、ピンクがかった大きなツボミが。ツボミが大きくなるまで、気づかなかったのです。
2023.07.14撮影
この画像は、次の記事でもご紹介しました。
去年出てこなかった株(一番手前の)はやっぱり他のより草丈が低く、ツボミもふたつしかついていませんでした。でも、一番陽の当たるところだからでしょうか、ツボミのほころび方が大きいです。株同士は、お互い、30cmも離れたいないんですけど、太陽の力って、偉大ですね。
さて、このリリー・ツリーとはどんなものなのか。
2023.07.16撮影
こんなユリです。でも、色は数種類あるので、姿だけにご注目ください。
リリー・ツリー(Lily Tree)は、某社が、登録商標マークをつけて販売しているユリで、Lily Tree® と表示されています。
その特徴は、その某社によると、
・1年目には、草丈は最高90〜120cmに至る
・2年目には、150〜180cmになる
・3年目には、最高180〜250cmまで伸びる
へ〜〜、そんなにでっかくなるのか。
うちの場合は、
1年目:100cmくらい
2年目(今年):120cmくらい
ふ〜〜ん、2年目の伸びが少ないなあ。
それは、わたしが留守がちで世話をしなかったからか? 今年のバンクーバーのカラカラ気候のためか? それとも、、、わたしが宣伝文句に乗せられただけで、これはウソッパチ商品であったか?
2023.07.17撮影
リリー・ツリーと呼ばれる「商品」の存在は、もう何年も前から知っていたんです。でも、最近まで買わなかったのは、どうしても信用しきれなかったからです。
この会社の一番イヤなところは、とんでもない高値をふっかけておいて、それを斜め線で消し、セールス価格をつけて、今ならお安いです、75%引きです、などと売るところ。これを、年がら年中やる。
おまけに、この会社は、販売している植物に学名をつけていなかった(今は、つけている)。そういうことは、カナダやアメリカの植物専門の会社では、まず考えられない。学名がなければ、一体何かわからないじゃないですか。「リリー」が「ユリ」、「ローズ」が「バラ」とも限らないのだから。
それで、この会社には、なるべく近寄らないようにしていたのですが、まあ、カタログは、慰みに見ていたの。それで、再び Lily Tree が目に止まったのが2年前。
おや? 前は、®、ついてなかったよね? ついに登録商標にしたのか? そんなら、もうちょっと、出自をはっきりさせなくていいのか?
と思って見てみると、おっや〜〜、Lilium OT-hybrid と書かれている。ありがとう、ありがとう、ありがとう、これで Lily Tree® が何であるかがわかりました〜〜、少なくとも、どんな交配種であるかが。
それで、買ってみる気になったの。
2023.07.17撮影
では、Lilium OT-hybrid とは何か。
Lilium ユリ属
O = Oriental(オリエンタル・ハイブリッド)
T = Trumpet(トランペット・オーレリアン・ハイブリッド)
hybrid 交配種
OT-hybrid は、日本語では、OTハイブリッドと呼ばれます。英語では、Oriental と
Trumpet をくっつけて、Orienpet(オリンペット) とも呼ばれます。
つづく。
2021.11.03撮影
秋になりました。子ガラスさんたちが巣立ちして4ヶ月が過ぎました。
冒頭画像で、葉が半分ちょっと黄色く色づいているのが、うちのカラス家族がよく集まるモミジバフウです。画像中、カラスさんがとまっている木は、別の木です。
このカラスは、確証はありませんが、この年の春に生まれた子ガラスだと思います。わたしの観察では子ガラスはひとりで行動することが多いようです。でも、若いカラスかどうかは、多くは、体の大きさと、羽の艶や色からわかります。また、行動からもわかります。
このカラスがとまっている木の生えている(つまり、植えたのではない)場所は、うちの建物からほんの3メートルぐらいしか離れていないところです。それで、カラスさんがこちらに近い方の枝にとまれば、窓から手を伸ばせば触れそうなぐらいに感じます。
大人のカラスがこの木にこのように不用意にとまることはありません。とまるのは、若い鳥ばかり。
この木は、シナノグルミ(Juglans regia)で、木肌が独特です。クルミを生産する木ですが、今年、ひとつ実がなりました〜〜。
学名 Juglans regia
英名 English walnut「イングランドのクルミ」
和名 シナノグルミ(信濃胡桃)
クルミ科(Juglandaceae)クルミ属(Juglans)
2021.11.03撮影
画像に見えている石畳は、画像ではちょっとわかりにくいですが、階段です。うちの玄関へ上がってくる階段です。ここを、若いカラスさんが、ぴょんぴょんとひとりで上がってきています。わたしがまだ玄関口で立っているのにね。
ここに来れば食べ物があるのを知ってやってきているのですが、ひとりで来れば見張り番がいなくて危ないだろう、という計算が働いていないようです。
でも、それも仕方ないか。
秋ともなると、親ガラスが、自分がごはんを食べているときに、子ガラスも来て食べようとすると、追い払うんですよ。そこまでしなくていいと思うんですが。でも、大抵は、全部食べ尽くさずに、子ガラスのために残して飛び立ちます。
カラスさんたちは、食べ物が見つかると、「ガーガー」ないて、一族郎党にエサのありかを知らせます。カラス社会が一体どのように機能しているのか、わたしの観察はまだまだ足りません。
2023.02.26撮影
これは、年が明けての2月も末の画像です。生まれて大方7ヶ月ぐらいの子ガラス(次の赤ちゃんガラスが生まれていないので、子ガラスと呼んでいい?)です。
この子ガラスは、わたしたちが車を路上にとめている、その足元に寄ってきたのです。カラスの立っているぬかるみが、駐車する時にできる車輪の跡です。
かわいいけど、そんなに寄ってきちゃダメよ、と思いました。意地悪人間はいるんだからね、と。でも、わたしたちのことは、エサをくれる人間、と認識しているのでしょう、子ガラスながらも。
2021.03.26撮影
春になりました。スモモの花が咲いています。一見サクラのように見えますが、これはスモモです。サクラかスモモかというのは、複雑な問題なので、ここでは立ち入りませんけど、、、その話は、いずれまた。
学名 Prunus cerasifera ‘Thundercloud’
英名 Cherry plum「サクランボのようなスモモ」
和名 ないもよう
バラ科(Rosaceae)スモモ属(Prunus)
この満開のスモモの花を背景に、子ガラスが、モミジバフウの枝にとまっています。
もっと小さい時には、座り込んでいる時には疲れ切って見えました。でも、同じように座り込んでいても、ここまで成長すると、疲れ切って座っている、というようには見えません。体のプロポーションも大人に近づきました。
2023.03.28撮影
このスモモの咲く3月末になると、親ガラスたちが巣作りを始めます。古い巣を補修することが多いようです。新しいつがいは、新しい巣を作るか、あるいは、もう使われていない巣を利用するのでしょうか。
小枝が地上に落ちているようになると、巣作りが始まったな、とわかります。カラスさんたちが巣作り用の小枝をクチバシで挟みちぎり、その多くを落とすからです。そして、上の画像のように、風流な枝が落ちていることもあります。
スモモに巣を作るカラスさんたちは、スモモの季節による変化をうまく利用することができます。花は咲いているけれども葉が茂りきっていないときに、巣作りを始めます。こうすると、巣を作る枝等を持ち込むのに便利です。そして、巣作りが終わるころには、葉が巣をほぼ隠してしまいます。
子どものカラスたちは、数年、親ガラスの元に留まり、子育てを手伝います。子ガラスはこのようにして学習を続ける、親ガラスはいい手伝いがいてくれる、ということになります。
2021.06.03撮影
計算で行くと、西アメリカガラス(Corvus brachyrhynchos hesperis)の子ガラスは、バンクーバーあたりでは、5月の終わりごろ巣立ちします。
冒頭画像のカラスさんたちは、一方が大人のカラスで、他方が子ガラスです。
この画像では、子ガラスが、赤い口の中をわずかに見せています。右のカラスさんが、その口の中の赤い子ガラスです。
この子ガラスは、わたしがこの画像を撮影するしばらく前まで、左側にいる大人のカラスに向かって、エサをねだっていました。この大人のカラスは、親鳥かもしれないし、年上の兄弟かもしれません。
でも、くれないので、むなしく不平を赤ちゃん言葉で言っているところです。子ガラスの鳴き声は、大人の鳴き声よりやや高く細いです。アメリカガラスの鳴き声は、一般に「ガー」みたいなものですが、子ガラスは「アー」みたいに鳴きます。
この、カラスさんたちの止まっている木は、モミジバフウ(Liquidambar styraciflua)です。このモミジバフウについては、数度書きました。そのうちのひとつは、次の記事。
このモミジバフウは、かなり太い幹で、その幹からは、水平に出ている裸の枝が数本あります。カラスさんたちが何度もとまって、表面がはげちゃった枝です。
上の画像には、そのうちの2本が写っています。これらの枝は、木の伐採業者に入ってもらったときに、わたしが、切り取らないように頼んで残しておいてもらいました。なぜ残しておいてもらったか、と言うと、うちのあたりをナワバリとするカラスの家族が、集まって団欒するからです。
その団欒する場所に、子ガラスが家族の他のメンバーととまっているのは、成長の証だと思いました。
2021.06.03撮影
上の画像は、もう寝る準備を始めている時間です。明るく見えますが、それは、やや西陽に向かってカメラを向けているからです。
巣立った子ガラスは、夜、寝るとき、みんながバラバラの場所でひとりで身を隠して寝ます。その方が「分散」できていて、安全、ということでしょう。全員一度にやられるより。
親鳥が「点呼」をしているようにあちこちを飛び回っているのは見たことがありますが、それが実際に、子どもたちが寝る場所を確かめていたのかどうかは、分かりません。
この子ガラスは、まだまだ場所を物色しているところ。わたしは、このような子ガラスを見つけると、時間があれば観察を続けます。すると、そのうちしっかりと隠れるのです。でも、わたしには大体どこにいるかわかっているので、木の枝の間から子ガラスを認めることができます。そして、暗くなるにつれて、子ガラスの姿も闇に紛れてしまいます。
ただ、目の前に木があって、例えそこに子ガラスが潜んでいても、それを探し出すのは難しいです。
子ガラスが、うちの敷地内や、うちから見えるところで寝てくれると、うれしく感じます。うちのカラスちゃん、と情が移ります。
2021.06.09撮影
これは、子ガラスが、同じモミジバフウの木の高いところで、ひとりでいるところ。それを、切り取りではなく、大写しにしたのが、下の画像。クチバシの脇が赤いのが見えます。足を使ってすくっとは立っていないので、休憩中だと思われます。体型が幼いですね。
2021.06.09撮影
さあ、上の写真から、1ヶ月が経ちました。次の画像をご覧ください。
わたしは、カラスさんたちにエサをやるのですが(実は、ここ半年ほどはしていないけど)、普通は、玄関を出たところに、古くなったお米とか他の穀物類とかクラッカーとかをばらまきます。下の画像では、米粒が写っているのですが、見えますか。
この米粒を、大人のカラスは器用にクチバシで拾うんですね。
この画像には、2羽のカラスさんが写っています。右側のカラスさんは大人のカラスです。うつむいている姿のシッポの方は、白い(きたない)柱に隠れています。左側のカラスさんが、子ガラスさんです。
この子ガラスさんが、大人のカラスさんに、エサを求めています。翼をこのように広げるのは、食べ物ください、のジェスチャーです。
実は、子ガラスは、前にも述べましたが、小さいうちは自分ではエサが目の前にあっても拾えないのです。でも、ここまで成長すると、拾えるんですよ。でも、やっぱり筋肉を操るのは大変なんでしょうか、あるいは、甘えているだけ? 大人のカラスさんがいたら、とにかく、ねだります。
この大人のカラスさんは、子ガラスさんを、無視。
2021.07.08撮影
次の画像は、それから10日経って。この木は例のモミジバフウで、ここはカラス家族のリビングみたいなものです。そこで、大人のカラスさんは、子どものカラスさんを、完全無視。でも、子ガラスさんも、そろそろ、現実を受け入れかけているようです。
2021.07.18撮影
ここまで成長すると、大人のカラスと、子どものカラスとの追いかけっこが始まります。子どもが大人にエサをねだるのですが、大人は素知らぬ顔をして飛び立ってしまうのです。すると、子ガラスがそれを、即、追いかけていく。
まあ、それはいいことだ。大人について飛べるだけの力がついたということですから。
この大人たちの行為は、子ガラスたちに自分でご飯を探して食べるように促すだけでなく、飛行力をつけさせる効果がある。実際、このような追いかけっこが始まっても、大人は、時々、子どもに食べさせていますもん。
でも、口の中が黒くなったら、もうエサはくれない。
そうすると、本格的に大人のカラスが「もういい加減にして〜〜」という感じで逃げます。そういう解釈は、想像のしすぎかもしれないけど。