カラスといちごとクロッカスと

身の回りの鳥や小動物、庭の花や畑の野菜など、日々日々、季節季節の情報を、
個人の目をとおしてお届けします。

スイセンに口紅を

2024年04月26日 08時00分00秒 | ヒガンバナ科
2024.03.30撮影

わあ〜、口紅がついているわ〜〜。クチベニスイセンよね、これ。

去年の秋に球根を買ったときに控えておいたラベルによると、このスイセンの園芸種名は、「フラワー・レコード(Flower Record)」。副花冠(花の中央にあるカップ状のもの)にぐるりとついた模様から「花のレコード」と呼んでいるのでしょうか。

学名 Narcissus cv. 'Flower Record'
和名 スイセン「フラワー・レコード」
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)スイセン属(Narcissus
ディビジョン2・大杯スイセン

実は、前にも、クチベニスイセンをご紹介しました。ウクライナの花の特集をした時のことです。その特集は、ロシアがウクライナの領土を侵略し始めて1年目の、2023年2月24日に始めました。それからさらに1年以上経った今、その侵略は続いています。ロシアは、武力行使をやめろ。


以下の画像のスイセンは、その、クチベニスイセン(口紅水仙)です。学名は Narcissus poeticus詩人の水仙」という意味です。


Narcissus poeticus
撮影者:Meneerke bloem
撮影日:2012.04.30

学名 Narcissus poeticus詩人の水仙
和名 クチベニスイセン(口紅水仙)
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)スイセン属(Narcissus
ディビジョン9・口紅スイセン

あら? ディビジョンが違う??? この2種のスイセンを、並べてみます。

 
「フラワー・レコード」(冒頭画像に同じ)  「クチベニスイセン」(上の画像に同じ
ディビジョン2・大杯スイセン         ディビジョン9・口紅スイセン

なるほど、出自はともかくとして、副花冠の大きさ・長さが違うんですね。

園芸の流通上では、園芸種の多いスイセンやチューリップは、種(しゅ)で分けられるよりも、特徴で分けられる傾向にあります。スイセンは、13ディビジョン、チューリップは、15、ないしは、16ディビジョンに分けられます。

以下は、ディビジョン1、2、3、そして、9の定義を。1〜3は副花冠の長さで、9は出自で定義されます。

ディビジョン1「ラッパスイセン」
・副花冠の長さが、花弁の長さと同じかそれ以上
ディビジョン2「大杯(たいはい)スイセン」
・副花冠(=杯)の長さが、花弁の3分の1を超える〜花弁の長さを超えない範囲
ディビジョン3「小杯スイセン」
・副花冠の長さが花弁の3分の1以下
ディビジョン9「口紅スイセン」
・原種 Narcissus poeticus詩人の水仙」の園芸種

では、ディビジョン2の「大杯スイセン」とディビジョン9の「口紅スイセン」の特徴を比較してみると、

ディビジョン2「大杯スイセン」
・大きめの花冠
・大きめの副花冠
ディビジョン9「口紅スイセン」
・平たい副花冠
・副花冠が濃い紅赤で縁取られる
・香りがある

ということは、、、大杯スイセンの副花冠に赤っぽい縁取りがあるかどうかは、ディビジョンの分け方にまったく関係なく、「口紅」がついていても口紅スイセンではないのであ〜る。副花冠の大きさを見れば、わかる。

と残念がりながら、考えてみると、前に同じような記事を書いたことがあるような・・・と思って探してみました。すると、ウクライナの花シリーズの1ヶ月半ほど後に、ちゃんと口紅スイセンと大杯スイセンを区別した記事を書いていました。パシフィック・リム」(「環太平洋」という意味)の園芸種です。

このように忘れたり、思い出したりしながら、記憶が形成されていくんだな、と思いました。(人間は、あることを覚えるには、それに5〜7回は触れないと覚えないそうです、心理学者によると。)


学名 Narcissus cv. 'Pacific Rim'
和名 スイセン「パシフィック・リム(環太平洋)
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)スイセン属(Narcissus
ディビジョン2・大杯スイセン

以下、ディビジョン2の大杯スイセンでありながら、「口紅」の模様のついているスイセンを2種並べてみます。「大杯」ですから、副花冠が平たくなく、大きめ(長さが、花弁の3分の1を超える〜花弁の長さを超えない)です。

白い方が「フラワー・レコード」(上、または、左側)、黄色い方が「パシフィック・リム」(下、または、 右側)です。パシフィック・リムは、去年なくしたと思いましたが、今年咲いてくれました。感謝。

2024.04.02撮影

2022.04.24撮影

2024.04.04撮影

2022.04.20撮影

うちでは、白い「フラワー・レコード」は南側の庭に、黄色いパシフィック・リムは北側の庭に植えてあります。北側の庭には、アネモネ・ブランダ(Anemonoides blanda)が、時季にはたくさん花咲きます。以下の右側の画像2枚の「パシフィック・リム」の足元には、アネモネ・ブランダが見えます。

 
2024.04.03撮影               2024.04.04撮影

 
2024.03.30撮影               2024.04.02撮影

これらのスイセンの花を裏から見てみると、次のようになります。どちらがどっち?

 
2024.03.30撮影「フラワー・レコード」    2024.04.02撮影パシフィック・リム

左がやはり「フラワー・レコード」なんですが、これは若い「フラワー・レコード」の花です。一方、右はこれもここまで通りパシフィック・リムなんですが、こちらは、盛りの過ぎたパシフィック・リムの花です。

白いはずの「フラワー・レコード」が若い時には黄味がかっていて、濃いレモン・イエローであるはずのパシフィック・リムが年老いて色を失っていき、このように一見同じように見えてしまいます。もちろん、他の特徴を見れば、区別はできるのですが。

次は、開きかけたツボミ〜だいぶん開いた花です。

 
2024.03.27撮影               2024.04.01撮影

 
2024.03.27撮影               2024.04.16撮影

「フラワー・レコード」(白い方)は去年の秋に植えたばかりなので、植えただけ咲いてくれたようです。これ以降、定着してくれればいいな、と思います。北側の庭ではなく南側の庭に植えたので、大丈夫だろうとは思います・・・


2024.04.04撮影「フラワー・レコード」

草丈は、画像からは比較が難しいですが、パシフィック・リムは普通の高さ、「フラワー・レコード」は、その半分〜3分の2ぐらいです。

ところで、検索していると、「フラワー・レコード」などの、花びらが白い、「口紅」模様つき大杯スイセン(ディビジョン2)を、クチベニスイセン(ディビジョン9)と混同してしているサイトが、いくつか見られました。

たとえば、次の植物名検索サイト(Pl@ntNet)のクチベニスイセン(Narcissus poeticus)のページの最初の画像は、クチベニスイセンではないように見える・・・副花冠が大きすぎる、幅が広すぎる、と思いませんか。ページの下の方にたくさん挙げられている画像のいくつかも、間違っていると思います。

(このページはクリックで開きません。リンクをコピペして別ウィンドウにてご覧ください。)

コメント (1)

八重咲きスイセン

2024年04月15日 08時00分00秒 | ヒガンバナ科

2014.03.24撮影(10年前)

今日は、「リップ・ヴァン・ウィンクル('Rip Van Winkle')」という名前の、八重のスイセン(Narcissus)についてです「リップ・ヴァン・ウィンクル」については、去年、4月3日にも書きました。内容の重複を避けたいと思いますので、ぜひ、この古いほうの記事リップ・ヴァン・ウィンクル - カラスといちごとクロッカスとも読んでくださいませ。

このスイセンは、冒頭画像にみられる通り、普通に考える、スイセンの花びらとカップ状であるはずの副花冠の両方が、細く避けたようになっています。花の色としては、やや黄緑色がかっています。

去年の記事を書いた段階では、このスイセンは、周りのヘレボルス(Helleborus)に埋もれてなくなってしまったよ〜〜、買い求めたいがどこを探してもないよ〜〜、何年もないよ〜〜、と泣いていたんです。それが、去年の秋、球根のカタログを見ていると、載っているじゃありませんか!!! なんで〜〜〜??? 今まで見落としていたの〜〜〜? まあ、理由はどうでもよくて、飛びついて注文しました。

2024.03.18撮影(今年)

そして、この3月に、きれいに咲きました。上の画像では、開いたところです。

ツボミは2月の半ばから出ていたんです(左下の画像)。でも、そのツボミが大きくふくらむまで1ヶ月かかりました(右下の画像)。

 
2024.02.13撮影               2024.03.14撮影

ツボミがふくらんでからは、花びらはどんどん開いていきました(以下の画像2枚)。

 
2024.03.14撮影               2024.03.15撮影

次の画像のように、「いびつに」開いてきた花もありました。「裂けた」花びらが多数あるのが見えます。

2024.03.20撮影

「リップ・ヴァン・ウィンクル'Rip Van Winkle')」、古くからある園芸種です。こんな、本来の姿からかけ離れた姿の花は、近代の作出か、と思ってしまうんですが。

「リップ・ヴァン・ウィンクルというのは、小説の主人公の名前です。それとは別に、「リップ(rip)」」というのは、英語で「引き裂く」という意味。花びらの形状を表した命名だと考えていいようです。

この八重咲きのスイセンは、草丈は低めです。だいたい20〜25cm。その軸の長さとの関係もあるのでしょうか、「リップ・ヴァン・ウィンクル」の頭は、重たそうに見えます。花びらが何枚あるか興味があるのですが、いじって花を傷めたくないので、まだ数えたことがありません。

花がほぼ開き切ると、次のようになります(以下の画像)。う〜〜ん、みとれるわあ〜〜

2024.03.15撮影

後ろ姿もどうぞ。

2024.03.20撮影

次の画像に写っている個体は、特に花びらの数が多いようです。花の中心が3つあるように見えます。スイセンの本当の花弁の数は3枚なので、それに対応しているのでしょうか。

2024.03.19撮影

次が、直前の画像の個体の数日前の姿です。ね? 花の中に、花が3つ咲いているように見えません?

汚れがついているのは、雨の多いバンクーバーで、比較的地上に近く咲くからです。去年は、わたしが何度も日本と往復した(これからも続きますが)ので、庭の世話ができておらず、この南側の庭にはマルチがほとんど入れられていないのです。それで、雨が降ると、泥が植物に跳ねます。クロッカスなんか、かわいそうなもんでした、もう花は終わっていますが。

2024.03.15撮影

コメント

スノードロップ、そろそろ終わり

2024年03月11日 08時00分00秒 | ヒガンバナ科
2024.02.19撮影

うちの庭では、スノードロップ(Galanthus nivalis)が春一番に咲きます。1月末に咲き始め、2月中咲き続け、3月ほぼ半ば現在も咲き続けています。


スノードロップについては何度か書きましたので、今日は、まだ書いていないかな、と思うことを集めてみます。

冒頭画像は、きれいに開いた花です。まず目を引くのは、緑の印ですが、よく見てみると、花被片に、地の白色よりも透明な縦線が入っています。その模様(?)は、内側の花被片(内花被にはっきりと見えますが、外側の花被片(外花被にも出ているようです。

2024.02.03撮影

これは、ツボミですが、ここに写っているツボミの大方が、ふくらんだツボミです。このようにふくらんだツボミは、短い花柄から提灯状に垂れてきます。この一群の右奥部分には、まだ上を向いているツボミがいくつか見えます。

画像中の地上にある茶色い葉っぱは、冬になってしまう前にわたしがかき集めたものです。庭に大きい木が何本かあるので、落ち葉の量には欠きません。

腐葉土になることを期待しているのですが、かき集めた全てが一冬で腐葉土になるわけではありません。ですから、春になると、半分以上取り除きます。取り除いたものは、改めて、コンポストとなります。


2024.02.10撮影

芽がだいぶん伸びていた一部分に、厚く落ち葉がかかっていたので、それを手で大づかみして取り除きました。葉っぱに埋まっていたところが、黄緑のままです。その部分のツボミは、葉に埋もれていたので後発となり、まだ上を向いたままです。向こう側の一群は、もうツボミが下がっています。


2024.02.19撮影

これらの花は、冒頭の花より大きく開いています。カメラを下から斜め上に向け、ピントが合うことを祈りながら撮影しました。内花被の内側を捉えたかったのです。それで、この画像を見て、ちょっとびっくりしました。なぜなら、内側が緑の縦線になっていたのです。

あ〜〜、この緑の線と線の間が、表から見たら透明の線になるのか!? 

 
2024.02.19撮影(冒頭画像)         2024.02.19撮影(直前の画像)

でも、実は、わたしは、花びらの内部の緑の印はハート型だ、とこの時まで思っていたんです。その認識が間違いだったのかも。


次の画像では、内側の緑はハート型に見えません? でも、よく見てみると、線だなあ・・・


2021.02.16撮影

うちには、こんなにたくさんスノードロップがあるんですが、これ、元々は、10個か12個の球根から始まったんです。ありがたいことです、こんなに元気に生きていて、そして、増えてくれて。

なお、わたしは落ち葉を利用するので、肥料は一切施しません。わたし、ナマケモノですからね。

 
2024.02.10撮影               2024.02.10撮影

わたしのうちの庭では、スノードロップは球根がこぼれるように土中から出てくるので、それらを花が終わったら拾って、というか、つかんで、植えます。

2024.03.07撮影

数日前の画像です。花びらが透明っぽくなっている花があります。スノードロップも、もうそろそろ終わりかけ、、、

コメント

わたしのお庭、4月前半、黄色〜赤

2023年04月23日 08時00分00秒 | ヒガンバナ科
2023.04.12撮影

今日は、「わたしのお庭、4月前半」の最終回です。黄色〜赤の花を集めました。

まず初めの花は、黄色い花びらに赤っぽいオレンジ色のカップのスイセン(Narcissus)です。去年の秋に初めて植えた園芸種で、すでにきれいに開いてくれています。

園芸名は、'Loveday'「愛の日」。ディビジョン2。ディビジョン2というのは、「大杯スイセン」で、カップの長さが、花びらの長さの3分の1以上、でも、花びらの長さよりは短いものです。前にご紹介しました 'Pacific Rim'「パシフィック・リム(環太平洋)」もディビジョン2です。


スイセンの園芸上の分類については、次の記事をご覧ください。そこにディビジョンのリンクもあります。


2023.04.10撮影

このスイセンは、以前にもご紹介しました 'Tête-à-Tête'「テ・タ・テです。3週間もきれいに、しっかりと咲いてくれています。1株しかないんですが。うちではうまく増えてくれないのです。丈夫で育てやすい、と言われているのに。

テ・タ・テは、ディビジョン12、「その他」というカテゴリーです。


2023.04.07撮影

これは、ツーショットと言うべきか、スリーショットと言うべきか。。。
1。ほころび始めの、まだ上を向いたままの、スイセンのツボミ
2。ふくらんでいる、すでに横向きの、スイセンのツボミ
3。ヘレボルス・アルグティフォリウス
(背景に、ヘレボルス・オリエンタリス)

このスイセン、'Fortissimo'「フォルティッシモ」、も、'Pacific Rim'「パシフィック・リム(環太平洋)」'Loveday'「愛の日」、と同じく、ディビジョン2のスイセンです。

4月前半には、まだ花が開いていません。4月後半の花をまとめることになれば、咲いたところをお目にかけます。

2023.04.10撮影

これは、「オレゴンのヒイラギナンテン(オレゴン・グレープ)」(Mahonia aquifolium)が、
硬い米粒以下の大きさのツボミの状態(次の画像)を長く保った後、やっと花を咲かせたところです。ふくらんだツボミがぷくぷくしてかわいいです。そして、花びらが、柔らかい黄色で、目に優しいです。

2023.03.03撮影

ヒイラギナンテン属(Mahonia)は、メギ科(Berberidaceae)です。



2023.04.12撮影

うちではチューリップ(Tulipa)はまだまだなんですよ。ツボミが出ているのは他にもありますが、花に色までついているのは、唯一これだけ。

Tulipa Kaufmanniana「トゥリパ・カウフマンニアナ」は早咲きで、この園芸種は 'Johann Strauss'「ヨハン・シュトラウス」と呼ばれます。動きの感じられるチューリップですよね。

2023.04.14撮影

4月前半のわたしのお庭の花は、バンクーバーでも自生しているケマンソウの1種 Lamprocapnos formosa(旧名 Dicentra formosa)の花がふくらんだところで終わりにします。背景に写っている青い花は、チオノドクサ(Scilla forbesii)です。



コメント

パシフィック・リム

2023年04月07日 08時00分00秒 | ヒガンバナ科
2021.01.17撮影

今日のは、口紅つき!!

あら、前にウクライナの花のところで、口紅つきのスイセンをご紹介しましたよね。それは、花が白でしたけど。


上の黄色いスイセンとの比較のために、以下にその「詩人のスイセン」の学名等と画像を再録しておきます。

学名 Narcissus poeticus「詩人のスイセン」
耐寒区域 3-8
ディビジョン9

Narcissus poeticus
撮影者:Martinas Angel
撮影日:2011.04.26
オリジナルからの改変、なし

Narcissus poeticus「詩人のスイセン」の特徴を持つ園芸種は、ディビジョン9です。でも、今日のスイセンは、その特徴的な口紅模様にも関わらず、ディビジョン9ではありません。

今日の黄色のスイセンは、園芸種名を 'Pacific Rim'「パシフィック・リム(環太平洋)」といい、ディビジョン2です。

学名 Narcissus 'Pacific Rim'「パシフィック・リム(環太平洋)」
耐寒区域 3-8
ディビジョン2

「ディビジョン2」のスイセンは、1本の花茎にひとつの花が咲き、カップは、長さが花弁の3分の1を超え、でも、花弁より短いもの。ここでカップ(副花冠)の長さ、というのは、副花冠をカップと呼んだ場合の、深さ、高さ、です。

2022.04.20撮影

改めて、「詩人のスイセン」を見ていただくと、そちらのカップは、小さめであることがわかります。そして、花全体が正面から撮られている写真ではわかりにくいですが、「詩人のスイセン」のカップは平たい、つまり、短い、つまり、浅い、です。

そんな画像がインターネット上にあり、かつ、借りてきても著作権侵害でないのがあるのか!!! と思われるような写真を見つけてきたので、見てください!!!

Narcissus poeticus
撮影者:Blauweissgelbrot
撮影日:2009.04.30
オリジナルからの改変、なし

「詩人のスイセン」のカップが横から見ることができます。浅いですね。

「パシフィック・リム(環太平洋)」の方にこういう写真は見つからなかったんです。次の画像でカップの深さがはかり知れればいいんですが。

2022.04.20撮影

今日の黄色のスイセン 'Pacific Rim'「パシフィック・リム(環太平洋)」も、今はもう庭にないんです。でも、近いうちに再導入したいと思います。ただ、問題が・・・球根類を植えられる土地があまり残っていない・・・

コメント

テ・タ・テタ(テ・タ・テではなく)

2023年04月06日 08時00分00秒 | ヒガンバナ科
2022.03.24撮影

* 2023年4月24日付で、訂正を入れます。他のブロガーさんが指摘してくださいました。ありがとうございます。

今日のスイセン(Narcissus)は、園芸種の 'Tête-à-Tête'「テ・タ・テ」「テ・タ・テタ」です。

あれ? これ、昨日の園芸種 'Jetfire'「ジェットファイア」と変わらないんじゃ? カップが色違い、というだけで。ごもっとも。でも、「テ・タ・テ」「テ・タ・テタ」の方が草丈が低く、園芸種としても別種なんです。親戚ですけど。

「ジェットファイア」は、原種 Narcissus cyclamineus「シクラメン咲きのスイセン」の形質を色濃く残した園芸種です。よって、ディビジョン6となります。

一方の「テ・タ・テ」「テ・タ・テタ」は、
・片親が、原種 Narcissus cyclamineus「シクラメン咲きのスイセン」
・もう片方の親が、原種 Narcissus cyclamineus「シクラメン咲きのスイセン」と他の園芸種との交配種
でありながら、原種の形質を色濃く残していない、ということで、「その他」のディビジョン12。


Narcissus cyclamineus「シクラメン咲きのスイセン」は、1本の花茎に花がひとつ咲きます。そして、花びらがそり返ります。「ジェットファイア」は、そういう形質です。でも、「テ・タ・テ」「テ・タ・テタ」は、花びらがそり返らないだけでなく、1本の花茎に花が1〜3つつくのです。次の画像をご覧ください。

2006.03.08撮影

学名 Narcissus 'Tête-à-Tête'
開発者 Alec Gray
登録年 1949年以前
産出国 イギリス
ディビジョン12
耐寒区域 3-8

「テ・タ・テ」「テ・タ・テタ」とカタカナで書くとわかりにくいのですが、フランス語をご存知の方は、ピンときたかも。'Tête-à-Tête' です。日本語でのカタカナ表記に揺れがあるようですが、フランス語の発音をカタカナにすると「テ・タ・テ」「テ・タ・テタ」一番近いです妥当だと思います、「テ・タ・テトゥ」では、日本語として熟さないし、最後に軽く曖昧母音を入れてもいいので。

* なぜわたしがこんな勘違いをしたかには理由があるのですが、説明が4段階ぐらいになり煩雑なので省きます。それよりも重要なのは、お詫びをすることです。間違ったことを書き、申し訳ございませんでした。今後とも、気をつけます。

tête-à-tête というのは、意味を英語に訳せば face-to-face(顔を突き合わせて、面と向かって) なんですが、わたしは、どうしても、直訳で head-to-head(頭を突き合わせて)、と考えてしまいます。

直前の画像は、花を上から写したものです。手前のふたつの花は、同じ花茎から出てきています。この感じが(わたしには)tête-à-tête(頭を突き合わせて)、ひたいじゃなくて、こめかみですけど。

うちでは、「ジェットファイア」はたいへん元気に育っています。ゆっくりながらも株を増やしています。でも、なぜか、「テ・タ・テ」「テ・タ・テタ」はうまく行かないんです。育てやすい、と人気なんですけど。育てている人は、バンクーバーあたりには、多いです。

コメント (3)

ジェットファイア

2023年04月05日 08時00分00秒 | ヒガンバナ科
2006.03.27撮影

今日のスイセン(Narcissus)は、園芸種 'Jetfire'「ジェットファイア」です。園芸名の意味は、「ジェットエンジンのような火」。花びらがそり返っているために、長いカップが「吹き出した」ように見えるのが、命名の趣旨と思われます。

「ジェットファイア」は、元となった原種の特徴で分類されるディビジョン5〜10のうちの、ディビジョン6です。

以下のイラストで、その元のスイセンの特徴をご覧ください。原種名は、Narcissus cyclamineus「シクラメン咲きのスイセン」です。

学名 Narcissus 'Jetfire'「ジェットファイア」
開発者 Grant E. Mitsch
登録年 1966年
産出国 アメリカ
ディビジョン6
耐寒区域 4a-9b

Narcissus cyclamineus
Curtis' Botanical Magazine (1887)
パブリックドメイン

原種の Narcissus cyclamineus「シクラメン咲きのスイセン」は、わたしは実際に見たことがないんですけど、写真などを見ると、本当に花びらが花茎に向かって反って、カップが細く飛び出しています。

園芸種の「ジェットファイア」では、すべての花がそのようになるわけではありません。花びらは、しっかりとそり返るのではなく、やや水平ぐらいにしか開かないものもあります。カップは、でも、はっきりと飛び出しています。

2014.03.24撮影

花びらとカップの長さの関係は、どうでしょう。

次の画像は、ツボミが色をつけて開きかけたところです。この段階では、カップの方が花びらよりやや短いぐらいでしょうか。

でも、花のパーツは花の開く過程で割合が変わってくることが多いです。花がもっと開けば、どうなるのでしょう。

2021.03.09撮影

もう少し開くと・・・

2022.03.04撮影

開き切ると・・・

2022.03.24撮影

どうでしょうか、カップの方が長いですか、花びらの方が長いですか。

「ジェットファイア」は、原種の「シクラメン咲きのスイセン」の特徴により、ディビジョン6なわけですが、花びらとカップの相対的な長さで分けられるディビジョン1〜3に分類しないのは、原種としての特徴が優先されるからでしょう。

比較のために記しておきますれば、

ディビジョン1「ラッパスイセン」
カップの長さが花びらの長さより長い

ディビジョン2「大杯スイセン」
カップの長さが花びらの長さの3分の1以上で、花びらの長さより短い

ディビジョン3「小杯スイセン」
カップの長さが花びらの長さの3分の1以下


コメント

ゼラニウム

2023年04月04日 08時00分00秒 | ヒガンバナ科
2022.04.20撮影(ゼラニウムスイセン)

今日のスイセンは、わたしが日本のスイセン、ニホンズイセン(Narcissus tazetta var. chinensis)、が恋しくて、近いものを、と庭に植えたものです。1本の花茎に多くの花がつき、大変いい香りがする、ディビジョン8のスイセンです。

なぜか知りませんけど、ゼラニウム(Narcissus 'Geranium')という園芸名がつけられています。ゼラニウム(Pelargonium)みたいに花茎の先に花がたくさんつく、という意味でしょうか。

ゼラニウムスイセンは、ニホンズイセンより草丈も花も大柄です。カップの色は、ニホンズイセンより赤みが強く、濃いオレンジ色(園芸種によっては、もっと黄色いのもあるようですが)。また、ニホンズイセンは早咲きですが、ゼラニウムスイセンは、春も遅くなって咲きます。

学名 Narcissus 'Geranium'
和名 ゼラニウムスイセン
別名 房咲き水仙ゼラニウム
開発者 J.B. van der Schoot
登録年 1930年以前
産出国 オランダ
ディビジョン8
耐寒区域 3-8b

Narcissus tazetta(房咲き水仙)
撮影者:Zachi Evenor
撮影日:2014.01.04
オリジナルからの改変、なし

日本で普通に咲いているニホンズイセンは、バンクーバーでは寒すぎて地植えできないんです。温暖化で、これからは変わっていくかもしれませんが。ゼラニウムスイセンの耐寒区域は3-8b、ニホンズイセンの耐寒区域は8-11で、大きい数字の方が暖かい地域です。

学名 Narcissus tazetta var. chinensis(原種)
和名 ニホンズイセン(日本水仙)
別名 スイセン(水仙)
ディビジョン8
耐寒区域 8-11

直前の画像は、Narcissus tazetta(房咲きスイセン)です。ニホンズイセン(Narcissus tazetta var. chinensis)は、これではなく、これの chinensis「中国の」と呼ばれる変種です。tazetta の語義的意味は、調べましたが、わかりませんでした。変種(この場合は、chinensis)と変種でないのは、どう見分けるのか・・・

2022.04.24撮影(ゼラニウムスイセン)

ゼラニウムスイセンのカップのアップをご覧ください。クキクキと折り目がついていて、独特ですね。その点、ニホンズイセンのカップは、浅いお椀型。

うちでは、このゼラニウムスイセンは、まあまあよく育っています。時々買い足しますけど、なくなってしまうことはありません。すっごくいい匂いなんですよ。

次の画像の背景に見える緑の葉っぱは、ヤブカンゾウ(Hemerocallis fulva)の類です。数種類あります。夏の開花に向けて、元気に育っています。

2022.04.20撮影(ゼラニウムスイセン)

コメント

リップ・ヴァン・ウィンクル

2023年04月03日 08時00分00秒 | ヒガンバナ科
2014.03.24撮影

今日も、八重のスイセンです。ディビジョン4のスイセンは、「花びら」も「カップ」もオシベもメシベも総動員されて花弁化した、という、う〜〜ん、どうかなあ、涙ぐましいか・・・

一重の花が好きだと言いながら、なんで八重の花を育てるのか? と言われれば、やはり、庭を単調にしないように、ということです。

ということ自体は本当の気持ちなんですが、このスイセンの場合は、一目ぼれしたんです。ひ・と・め・ぼ・れ。花びらに黄緑色が混じっているのも気に入った。

そのスイセンは、園芸種名を 'Rip Van Winkle'「リップ・ヴァン・ウィンクル」といいます。園芸種と言っても、古くからあるもので、だれが開発したのか、また、自然に生まれたのか、それは、わかりません。

草丈は、通常のスイセンの約半分ぐらいです。でも、花自体はそう小さいわけではありません。

学名 Narcissus 'Rip Van Winkle'「リップ・ヴァン・ウィンクル」
開発者 不明
登録年 1884年(それより前から存在する)
産出国 アイルランド
ディビジョン4

2014.03.24撮影

‘Rip Van Winkle’ の ‘Rip’ は、多分、英語の rip「裂く」だと思うんです。そうすると、「(花弁が)布のように裂けた」ということで意味が通るのですが、ちょっと、問題が・・・

アメリカの小説家、ワシントン・アーヴィング、による、Rip Van Winkle「リップ・ヴァン・ウィンクル」という題の短編(1819-1820)があるんです。そして、主人公の名前も、この Rip Van Winkle「リップ・ヴァン・ウィンクル」。

では、このスイセンは、この小説の主人公にちなんで命名された????? このスイセンの登録年(1884)は、確かに、この小説の出版年よりは後ですが、登録前には、この種は一体なんと呼ばれていたのでしょう。


わたしは子ども時代にこの短編小説を読んだんですが、スイセンの名前で再会するとは思いもよりませんでした。

2014.03.24撮影

この八重の花、うちには、もう、ないんです。やっぱりヘレボルス(Helleborus)に埋もれてしまって。

そして、何年も球根を探しているんですが、見つけられない。毎年、カタログを見張っています。そして、球根屋さんにも毒づいています。それでも、ない・・・ので・・・それで・・・Narcissus 'Dick Wilden'「ディック・ワイルデン」に来てもらったんです、替わりに。


「替わり」なんてかわいそうな言い方ですね。反省。そんな悪い言い方をするからか、それもなくなってしまった。

コメント

ディック・ワイルデン

2023年04月02日 08時00分00秒 | ヒガンバナ科
2021.04.02撮影

今日からは、しばらく、うちの庭にある、あるいは、あったスイセン属(Narcissus)のいくつかをご紹介します。

スイセンやチューリップは、園芸種が大変多く、その園芸上の分類に「ディビジョン(Division)」を用います。

スイセンの園芸上の分類を簡単にまとめると、次のようになります。副花冠というのは、花の中央にあるカップ状・かんむり状のものです。

ディビジョン1〜3・・・副花冠の大きさ(長さ)により分類
ディビジョン4・・・・・八重咲き
ディビジョン5〜10・・・元となった原種の特徴により分類
ディビジョン11・・・・・副花冠が裂けているもの
ディビジョン12・・・・・原種以外で、1〜11に分類できないもの
ディビジョン13・・・・・原種、野生種


スイセンでは、「花びら」に見えるものは、植物学上は、花被片と呼ばれます。花被片とは、花弁ともガクとも区別のつかないものです。


以下では、記載を簡素化するため、スイセンの花被片を「花びら」、副花冠を「カップ」と呼ぶことにします。

また、植物の帰属を表す
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)スイセン属(Narcissus
は省略いたします。

2021.04.02撮影

今日のスイセンは、ディビジョン4、八重咲きの花です。

ディビジョン4のスイセンは、
・「花びら」
・「カップ」
・オシベ
・メシベ
すべてが花弁化して、八重となったものです。

画像の八重のスイセンは、園芸種名を 'Dick Wilden'「ディック・ワイルデン」(Wilden は「ウィルデン」「ヴィルデン」の可能性はありますが、ここでは、「ワイルデン」としておきます)といいます。

名称は、属名 Narcissus に、種小名なしで、直接、園芸種名を加えます。園芸種名そのものには、一重引用符をつけます。

学名 Narcissus 'Dick Wilden'「ディック・ワイルデン」
開発者 P. Th. Zwetsloot
登録年 1962年
産出国 オランダ
ディビジョン4

次のオランダのサイトに、花の大写しが出ています。合計4枚ありますが、それぞれ、やや異なる色調のを見せてくれています。


この八重の花、なくしました。ヘレボルス(Helleborus)に埋もれてしまったのです。

このスイセンは、買おうと思えば手に入るのですが、実は、これ自体が他の八重の花の身替わりだったんです・・・それで、できれば、その元の方が欲しい。

その元のスイセンは、明日、ご紹介します。

コメント