2025.01.18撮影
今日は、前回の記事の続きです。
前回は冒頭に、サザンカ(Camellia sasanqua)の「御美衣(おみごろも)」を掲げましたが、今回は、「御美衣」様よりも何よりも、ほんとうにほんとうに楽しみにしていたヘレボルスについて、取り上げます。ヘレボルス(Helleborus)だけです。
冒頭画像は、ニゲル(niger)系のヘレボルスの花開いたものです。純粋なヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger)ではありません。園芸名を、「ハニーヒル・ジョイ 'Honeyhill Joy'」といいます。純粋なニゲルにはない黄緑の帯が花びらに出ます。
このヘレボルスは、12月に帰国する前にすでにツボミでした(以下の画像)。うちでは、早く咲くヘレボルスが2種ありますが、これは、そのうちの1種です。
2024.12.06撮影
わたしの庭で早く咲くもう1種は、ヘレボルス・アルグティフォリウス(Helleborus argutifolius)です。
草丈が高く、花は黄緑で花びらの先が丸いです。
2025.01.18撮影
これも、帰国前に書いた記事に掲載しました、でも、葉だけです。実は、その時すでに、このヘレボルスにはツボミが出ていたのですが、まだ開いておらず、そこでは、葉を見ていただくだけにしました。
下の2枚の画像のうち、左の画像が、それです。2種類見える葉のうち、右の濃い緑の葉が、それです。葉が、3つに分かれるのが特徴。左の少しだけ見えているシマシマの葉はオリエンタリス(orientalis)系のヘレボルスのひとつです。今、やっとツボミがふくらみかけたところ。
右下の画像は、アルグティフォリウスが咲いたところを真上から写したもので、結果、花の裏側が見えています。若い花やツボミ(=若い、若い花)は、特に裏側が白っぽいです。
2024.12.06撮影 2025.01.18撮影
わたしのブログを読んでくださっている方々の中には、わたしのブログのカテゴリはほぼ植物の「科」(バラ科、キク科、など)からなっており、キンポウゲ科に属するヘレボルスは、キンポウゲ科から独立させられて、「キンポウゲ科、ヘレボルス」となっている、また、わたしがヘレボルスを庭で多く育てていて、何度もヘレボルスについて書いている、というのをご存知の方もいらっしゃると思います。(ふう、これは、長い文だった!)
そんなヘレボルスの中で、一番多いのは、オリエンタリス系。次のふたつも、オリエンタリス系です。
2025.01.18撮影
これは、園芸名が「ペパーミント・アイス 'Peppermint Ice'」という、花びらが多重の花です。帰宅すると、もう咲いていました。次の画像は、上から写した、花の「裏側」です。うつむいて咲くのでこうなります。白っぽい帯がかわゆいです。
2025.01.18撮影
もう1種、オリエンタリス系のヘレボルスをご覧ください。これは、買い求めて植えたものなのか、わたしの庭でヘレボルスさん同士が仲良しした結果なのか、ちょっと覚えていないんです。でも、生えている場所から見て、この庭の生まれだと思います。それと、形質がくっきりしないのも自然交配であるという可能性が高いです。
この花は、まだ開き切っていません。形質がはっきりしない、と言っても、花びらの色合いと斑点の出方が大変きれいな交雑種です。
2025.01.18撮影
これからどんどんヘレボルスが咲いてくると思います。楽しみ! これからばっちりと記録を撮ろう!
と言いながら、カメラのバッテリーのチャージャーを実家に置いたままこちらに帰ってきたことに気づいた。こんな忘れ物をしたの、初めて! どうすればいい。仕方ないので、常には(微力ながら)ボイコットしているAmazon大王様に助けていただきました。
2024.02.08撮影
わたしの庭では、ヘレボルスが自由恋愛で増え続けています。でも、形質が少々停滞して、同じような個体が隣同士に咲いています。でも、今年は、特に、勢いが弱く、それは気候変動のせいかもしれませんが、長年の近親交雑のせいもあるかも、と考えました。
それで、新しい遺伝子を注入しようと、今年は思い切って、一度に3株を新しく迎えることにしました(一昨年は1株、去年は2株)。すでにご紹介した園芸種は、次の2種。
が! その2株は、大チョンボ、発覚。子孫を残さない園芸種なんだって。そんなことは、ラベルには書いてないもん。買ってきた新しいヘレボルスを、ここのブログで自慢しようと思って、調べていて、初めて分かった。うるうるうる
2024.02.23撮影
実は、購入する時から、園芸種は子孫を残せるタネがができない場合があるからなあ〜〜、と危惧はしていたんです、特に、異種間の交配種は。でも、花の美しさにフラッとなって連れ帰ってしまいました。
今年の子孫繁栄の一縷の望みをかけた最後の1種を、ここにご紹介します。その名も、「ハニーヒル・ジョイ(Honeyhill Joy)」、「ハチミツの丘の喜び」だって。(この記事を読まれているそこのあなた、何を想像しています?)
冒頭の画像と直前の画像は、満開の「ハニーヒル・ジョイ」(ヘレボルスで「満開」というのは、オシベが花粉を出し始めた時の状態です)。次の画像は、開いてすぐの花、オシベがまだ固く閉じています。
2024.02.08撮影
学名 Helleborus x nigercors 'Honeyhill Joy'「ハニーヒル・ジョイ」
英名 Hellebore 'Honeyhill Joy'
キンポウゲ科(Ranunculaceae)ヘレボルス属(Helleborus)
園芸店で、ああ〜、ニゲル(Helleborus niger)にそっくり〜〜、と思ったんですね。そうしたら、名称も、
Helleborus x nigercors
でした。
x nigercors の niger というのがその「ニゲル」です。
次のニゲル(Helleborus niger)の画像をご覧ください。この画像は、たまたま、花が開いてかなり日数が経ったものです。
2006.02.05撮影
学名 Helleborus niger
英名 Christmas Rose
和名 ユキオコシ(雪起こし)
流通名 クリスマス・ローズ
キンポウゲ科(Ranunculaceae)ヘレボルス属(Helleborus)
ニゲルもお店にあったんです。でも、草丈がずっと低いので、わたしの庭の他のヘレボルスに埋もれてしまってはいけないと思い、花茎の高い「ハニーヒル・ジョイ」 を求めました。
x nigercors の niger は「ニゲル」ですが、では、x nigercors の cors は何でしょう。それは、corsicus で、イタリア半島の西にあるコルシカ島の Corsica(コルシカ)の形容詞形です。
2023.03.28撮影
学名 Helleborus argutifolius
英名 Corsican Hellebore「コルシカのヘレボルス」
キンポウゲ科(Ranunculaceae)ヘレボルス属(Helleborus)
2021.02.26撮影
これ、わたしの庭では、あちこちに広がっているんですよね。多くの人に差し上げました。それでも、掘り上げてコンポストにせざるを得ないほど増えます。勘弁してくれ。きれいな花で、草の姿も美しいのだが、ほんと、勘弁して。
でも、この1月の雪害で、成長済みの個体(次の画像)は、花が咲く前の葉っぱだけの状態の時に、地上部が全滅した。地下で生きていることを祈ります。見えなくなると、恋しい。アルグティフォリウスの姿が見当たらない庭って、変〜〜〜。どうか、生きていてください。
2023.04.03撮影
今日ご紹介の交配種ヘレボルス x ニゲルコルス「ハニーヒル・ジョイ」(Helleborus x nigercors 'Honeyhill Joy')は
・原種ヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger)と
・原種ヘレボルス・アルグティフォリウス(Helleborus argutifolius)を
かけあわせたもの。
この場合は、x nigercors とはっきりと系統が明示され、わかりやすかったです。
そして、有効なタネができるかどうかの最終判決が出た、と一瞬思った。英語の記事ですが。不妊だそうです。これで、3打席続けて三振。
ところが、他の有名サイト(英文)には、
>> 花芽の発達を促すために、タネが必要でない人は、
>> タネができる前に花茎を切り取るように
と書いてある。
はい、はい、はい、インターネット上の情報を無批判に信じたりしませんからね。それにしても、両者とも、それなりのサイトである。でも、この場合は、どちらかと言えば、わたしは「不妊」の方を信じます。
なぜなら、
>> タネができる前に花茎を切り取るように
というのは、ヘレボルスの記事全てにデフォルトで入れた可能性がある上、「不妊」というのは、わざわざ書き加えなくては書かれないことであろうので。
でも、わたしにはできることがある。うちの「ハニーヒル・ジョイ」の観察を続けること。タネのサヤはできるであろうか。タネはこぼれるであろうか。
2024.02.08撮影
2024.02.05撮影
このヘレボルスも、遺伝子の多様化を図って庭に導入したヘレボルスの株のひとつです。園芸種名を「ピッパズ・パープル(ピッパの紫)」('Pippa's Purple')といいます。
先日ご紹介した「アイスンローゼズ、ピコティ」は、去年買った真っ白な「アイスンローゼズ、ホワイト」の兄弟姉妹、ということで、園芸店で目が留まりました。
今日ご紹介の「ピッパズ・パープル」は、「アイスンローゼズ」と同じように、花茎が高くて目を惹くんですが、それより、「ピッパズ・パープル」は、花びらの色、バラ色が、夢見心地できれいだと思いました。葉っぱも美しく、模様が入ります。
2024.02.23撮影
こういうピンクって、わたしの経験上、うちにあるようなフツーの雑種のヘレボルスには、なかなか現れないんですよね。赤紫系やピンク系はたくさん生まれるんですが。
次の画像3枚をお比べください。大きい画像が「ピッパズ・パープル」、小さい画像2枚がわたしの庭で生まれたオリエンタリス系の個体です。画像上の色は、もちろん、撮影条件に左右されます。
2024.02.05撮影(「ピッパズ・パープル」)
2022.03.01撮影(オリエンタリス系) 2022.03.13撮影(オリエンタリス系)
オリエンタリス系のヘレボルスは、通常斜め下向きに咲きます。それで撮影の時には、カメラを斜め下から斜め上に向けて構えるか、あるいは、片手で花茎を支え、花の顔の向きを変え、もう片方の手でシャッターを切ることになります。後者はなるべくしませんが。花が不自然な向きになるばかりでなく、手ブレが起こりやすいですから。
「アイスンローゼズ」や「ピッパズ・パープル」は、園芸種として開発され、花の顔を人間が目で捉えやすい、ほぼ横向きの姿で咲いてくれます。新しいヘレボルスを開発するヘレボルスの園芸家たちは、ヘレボルスを横向きに咲かせよう、と長らく努力してきました。
2024.02.23撮影
「ピッパズ・パープル」を改めてご紹介します。
学名 Helleborus x iburgensis 'Pippa's Purple'「ピッパの紫」
英名 Lenten Rose 'Pippa's Purple'
キンポウゲ科(Ranunculaceae)ヘレボルス属(Helleborus)
Pippa「ピッパ」というのは、ギリシャ語由来の英語の女性名 Philippa「フィリパ」(男性形は Philip「フィリップ」)を短くした愛称で、最近では、愛称形 Pippa そのものも実名として使われることもあります。イギリスのウィリアム皇太子妃キャサリンの妹が、Philippa で、この人は、通常 Pippa と愛称形で呼ばれます。
2024.02.23撮影
では、「ピッパズ・パープル」の Helleborus x iburgensis は、何と何(と何と何・・・)がかけあわされて、出来上がったのでしょうか。名称からは分からないので、調べてみました。
交配種ヘレボルス x イブルゲンシス(Helleborus x iburgensis)は
・交配種ヘレボルス x ヒュブリドゥス(Helleborus x hybridus)と
・交配種ヘレボルス x バラーディアエ(Helleborus x ballardiae)を
かけあわせたもの。
ヘレボルス x バラーディアエ(Helleborus x ballardiae)って、どっかで見たよねえ〜〜〜、と自分の写真の記録を見てみると、去年、遺伝子注入のために来てもらった 'Merlin'「マーリン」が Helleborus x ballardiae でした。これも葉がきれいな園芸種です。
2023.03.05撮影(マーリン) 2023.03.28撮影(マーリン)
2023.05.11撮影(マーリン) 2023.04.30撮影(マーリン)
この「マーリン」くんは、今年1月に、雪でコテンパンにやられ、葉はなんとか少々生き残りましたが、花芽を(多分)全部失いました。普段は、上右の画像のようにきれいな葉を繁らせています。
では、交配種ヘレボルス x バラーディアエ(Helleborus x ballardiae)の出自は、というと、
・原種ヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger)と
・原種ヘレボルス・リヴィドゥス(Helleborus lividus)を
・原種ヘレボルス・リヴィドゥス(Helleborus lividus)を
かけあわせたもの。
ここまでさかのぼって行って、やっと原種の名前が出て来ました。
2024.02.08撮影
さて、「マーリン」は有効なタネを作るのか。続けて調べていくと、え? 「マーリン」は・・・不妊? そんなあ・・・。言われてみれば、確かに、タネのサヤが結実したのを見たことないわ。
じゃあ、「マーリン」と近縁関係にある「ピッパ」は? と懸念しながらあっちこっち情報を探すと、うそやん、「ピッパ」は「完全に不妊」と書いてある。じゃあ、わたしがお迎えに行ったのは、庭の繁栄のためにはムダだったのか?
なぐさめに、「ピッパズ・パープル」の美しい葉をご覧ください。左下の画像では、ピンクの模様が、右下の画像では、黄色の模様が出ています。
2024.02.23撮影 2024.02.23撮影
やっぱりねえ、異種間の交配種は、自然繁殖が難しいのか・・・
2024.02.05撮影
新しいヘレボルスさんをお迎えしようと、2月の初めに園芸店へ行ってきました。目的は、新しい遺伝子の注入。
まず見つけたのが、このピンクの縁取り(ピコティ)のヘレボルス。花茎をすくっと伸ばし、大型の花を横に向けて咲かせている花で、その葉の特徴とも合わせ、去年求めたヘレボルスと同じ園芸種の色違いだ、とすぐにわかりました。
2023.02.04撮影
直前の画像が、去年購入した
ヘレボルス x グランドルフェンシス「アイスンローゼズ、ホワイト」です。
Helleborus x glandorfensis 'Ice N' Roses' white
冒頭の画像が、今年購入した、白地にピンクの覆輪(ピコティ)、
ヘレボルス x グランドルフェンシス「アイスンローゼズ、ピコティ」です。
Helleborus x glandorfensis 'Ice N' Roses' picotee
2024.02.19撮影
どんなお花かは、写真を見ていただくとして、今日は、名称に噛みついてみたいと思います。ただし、ヘレボルスはやや毒性がありますから、植物自身には噛みつきません。
園芸種では、その園芸品種名を一重引用符「' '」で囲んで示します。今日の品種では、'Ice N' Roses' と書かれた部分が園芸種名です。
'Ice N' Roses' は、カタカナで「アイスンローゼズ」としておきましたが、ちょっと変な名前。英語の単語を使っているというのは分かります。Ice「氷」と Roses「バラ(複数)」なんですから。
でも、「氷」と「バラ」をつなぐ N' が曲者ですよ。and の省略だろうというのは文脈でわかるのですが、なぜ後ろにだけアポストロフィがついている???
英語の辞書の権威、オクスフォードの辞書によると、and の省略形は、
'n'
'n
n
しかないんです。
つまり、
n'
というのは、ないんです。
まあ、商標「氷とバラ」ということで、許してあげますわ。少なくとも、N' のついた 'Ice N' Roses' という命名は、わたしの注意はしっかりと引いたので、宣伝効果は最低ひとりにはあったということです。2年続けて買いましたもん。
2024.02.08撮影
Helleborus x glandorfensis(ヘレボルス x グランドルフェンシス)の「x」は、交雑種・交配種であることを示しますが、それに続く glandorfensis(グランドルフェンシス)は、系統を示しているのよね〜〜、と思いません?
それが違うんですよ(その場合もあるんですが)。その「x」の後の部分は、その園芸種の開発者が好きに名づけることができるんです。つまりは、「x」というのは、交雑種・交配種である、ということを示しているだけで、それに続く部分は、必ずしも出自を表さない。
Helleborus x glandorfensis(ヘレボルス x グランドルフェンシス)の glandorfensis(グランドルフェンシス)の場合は、開発者の故郷、ドイツの Glandorf(グランドルフ)に因むそうです。
2024.02.23撮影
さて、ヘレボルス x グランドルフェンシス「アイスンローゼズ」(Helleborus x glandorfensis 'Ice 'n Roses')の系統は? と言いますと、
・ヘレボルス x エリックスミシイ(Helleborus x ericsmithii)
・ヘレボルス x ヒュブリダ(Helleborus x hybrida)
がかけあわされたものであります。
ちょっと待って。
・ヘレボルス x ヒュブリダ(Helleborus x hybrida)
がすでに「ヘレボルス交雑種・交配種」って意味じゃないのか? そして、x hybrida というのは、系統を明記しない書き方。
これは、要するに、開発者が企業秘密ということでこの園芸種の出自を隠してあるの? それとも、開発者自身が、系統を把握していないの???
2024.02.19撮影
さて、x グランドルフェンシス(x glandorfensis)のもうひとつの親、
・ヘレボルス x エリックスミシイ(Helleborus x ericsmithii)
は、どこのだれさん? これも交雑種・交配種なのね、「x」がついているから。そして、これも系統を必ずしも表すとは言えないのよね。
でも、この「x」から後の部分 ericsmithii には、最後に「ii」がついている。そして、それは、学名の規約上、人名につく語尾。つまり、これは、Eric Smith(エリック・スミス)という人の名前に因む名称です。
2024.02.22撮影
実際、エリック・スミスという人は、園芸家で、難しいとされた
・中間種のヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger)と
・有茎種のヘレボルス x スターニイ(Helleborus x sternii)と
のかけあわせを、世界で初めて成功させ、
・ヘレボルス x エリックスミシイ(Helleborus x ericsmithii)を作出しました。
(無茎種、中間種、有茎種、については日を改めて。)
ほ〜、これはそんなにすごい交配種なのか、と感心しながら説明を読み進むと、x エリックスミシイは子孫を残すタネを作れない、って。え? わたしは遺伝子注入のために新しいヘレボルスを導入しているのに!!!!!
2024.02.23撮影
x エリックスミシイが有効なタネを作らないなら、それを片親とした x グランドルフェンシス「アイスンローゼズ」は、どうなの? 「アイスンローゼズ」も不妊なの? そんな〜〜
上の画像をちょっとご覧ください。この緑の花(実は、ガク)は、先日撮影した「アイスンローゼズ、ピコティ」です。オシベと蜜線が落ち、メシベの根元の子房がふくらみかけている段階の花です。子房の状態から見て、そのうち、タネができるわ〜、と思っているのですが、、、
2023.05.01撮影
実は、去年買った白い「アイスンローゼズ、ホワイト」がタネを産出するかどうか、去年からすでに心配だったんです。それで、わたしは、このヘレボルスを4〜5ヶ月間見張っていました、いつ妊娠、出産するか、と。うまくタネのサヤがプックリとふくれた時には、安堵しました。上の画像をご覧ください。
ただ、タネは、できるが有効でない、ということもあります。それに、わたし、日本とバンクーバーを行き来していて、観察を続けられず、タネがこぼれるところまで成熟したかどうか、確認できていないんです。バンクーバーに帰って来てから、サヤが開いて空になっているのは見ましたが。
「アイスンローゼズ」が子孫を残すかどうかに関しては、今後に請うご期待。数年後にご報告できるかもしれません。
ただ、多数ある実生、どの個体が親かは推測の域を出ない、という現実があり、「アイスンローゼズ」の貢献度は、分からないままになるのでは・・・
2022.03.24撮影
わたしの庭には、ヘレボルスの株がたくさんありますが、お店から購入した個体はその10%にものぼりません。計画したわけではないのですが、自然交雑して子孫が次々とできました。わたしが交配したのではありませんよ、わたしはそんなメンドウくさいことはしません。
冒頭の画像のヘレボルスは、園芸店で購入したオリエンタリス系(レンテンローズ系)の園芸種です。他の若いヘレボルスの花をその特徴から観察すると、この株は、多くの個体の親株となっているようです。
ヘレボルスの交雑種のほとんどは、オリエンタリス系ですが、それらの交雑種の学名は、前回の記事でも申しましたとおり、Helleborus x hybridus(ヘレボルス交雑種・交配種)となります。何系と明記しないこの書き方は、貢献した株の種類を挙げていかなくていいし、新しい名前を作り出す必要もありません。
Helleborus x hybridus という表記は、次のことを示します。
・Helleborus が属名で、「ヘレボルス属」
・「x」が交雑種・交配種であること
・hybridus が具体的な系統を示さない書き方(いわゆる、「ハイブリッド」)
2023.04.30撮影
わたしのヘレボルスの庭は、一部をお見せすると、上の画像みたいな感じ。時期(4月末)的に、一重のヤマブキ(Kerria japonica)とミヤマシキミ(Skimmia japonica)も花ざかり(両方とも、種小名は japonica)。ヘレボルス自体はもうガクだけになって、タネのサヤがふくらんでいます。
遺伝子の組み合わせは無限なので、花も葉もそれぞれ異なります。変わった花も生まれてきます。はっ、と美しいのもあります。でも、ここ数年、わたしの庭では、数種類の同じような形質がいくつも出てきました(それでも、細かくはそれぞれ異なり、美しいのですが)。それで、新しい遺伝子の注入が必要か、と思うようになりました。
株があまりにもたくさんあるので、これ以上増やしても・・・とも思ったのですが、20年に近いヘレボルスとのお付き合いから、ヘレボルスが、勢いが落ちることもあれば、永遠に生きているのでもないことがわかってきたので、更新するのは大切だと思いました。
ただ、ナマケモノのわたし・・・そんなわたしが既存の株を掘り上げて株分けするわけはない(よそ様に差し上げる時には、ちゃんと掘ります)ので、新しい個体によそから来てもらうしかありません。
2023.04.30撮影
上の画像は、ヤマブキの植わっているところを、先の画像とは別の角度から。プルモナリア・ロンギフォリア(Pulmonaria longifolia)の青い花と長い葉につく白い斑点が目に飛び込んできます。
バンクーバー近辺では、1月の終わりから2月にかけて、園芸店にヘレボルスが大量に並びます。その時期をねらって園芸店へ出向いたのですが、新しいヘレボルスの個体を探すのを目的としてこの時期に園芸店に行ったのは、これで、続けて3年目です。
今年の印象としては、草丈の高めのものが多かったこと、また、花が一重で、大きく、横向きに咲くのが目立ったこと、です。本来はうつむいて咲くヘレボルスが多い中、園芸種が横向きに咲いてお顔を見せてくれるのは、うれしいです。でも、うつむいているのがかわゆいとも言えるので、ちょっと複雑な気持ちです。
2023.03.30撮影
直前の画像で花の裏側(外側)が見えるのは、花のうつむいているこれらの個体を真上から撮影してあるからです。次の画像は、うつむいた花を、地上の位置から斜め上に見上げて撮影してあるので、花の表側(内側)が見えます(この画像には、ヘレボルスが5〜7種類ぐらい写っています、判別しにくいですが)。
2022.03.13撮影
園芸店で、去年まではよく見られた八重のが、今年はあまり見られなかった(ないわけではない)のは、ちょっと新鮮な驚きでした。でも、最近読んだヘレボルスについての本(年末年始に日本に帰国していた時に買った)によると、八重の人気は下火になりつつある、とのことで、それに合致しているのか、と思いました。
2022.04.10撮影
もうひとつのちょっとした驚きは、オリエンタリス系の、千差万別の花びらの模様のついた、素直に美しいもの(例えば、直前の画像、ここではガクだけになった花ですが)があまりなく、がっかりでした。これも流行りの推移なのでしょうか。わたしの庭では、みんないろいろなのが咲いているよ! スポット、ベイン、ネット、フラッシュ、、、
2023.03.30撮影
今回、わたしは、新しいヘレボルスを3鉢買い求めました。新しい遺伝子の注入であります。これから3回に分けて、これらの新しいお仲間をご紹介します。
ヘレボルスの記事が続いていますが、ご容赦ください。(今、ヘレボルス以外に咲いている花は、ほとんどないので、仕方ない。)
上の、まだヤマブキの咲いていない画像では、木の根本、右側に、オリエンタリス系の黒いヘレボルスが見えます。手前左手は、オリエンタリス系ではなく、アルグティフォリウス(Helleborus argutifolius)です。
2006.02.05撮影
このヘレボルス(Helleborus)は、現在はもうわたしの庭にないヘレボルスで、ヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger)のはずです。ニゲルなら、クリスマスローズです。少なくとも、そのつもりで購入しました。この画像では、子房が発達を始め、蜜線も落ちているので、クリスマスローズの典型的な写真とは異なって見えるかもしれません。
学名 Helleborus niger
英名 Christmas rose「クリスマスローズ」
別名 Black hellebore
和名 ユキオコシ(雪起こし)
別名 カンシャクヤク(寒芍薬)
流通名 クリスマスローズ
キンポウゲ科(Ranunculaceae)ヘレボルス属(Helleborus)
日本にお住まいのみなさんは、この植物を、英語の名前 Christmas Rose にちなんで「クリスマスローズ」と呼ばれていると思います。実際、早く咲く個体はクリスマスのころに咲きます。
2023.04.18撮影
うちの庭には、冒頭画像のクリスマスローズはもうないんですが、上の画像のようなヘレボルスはたくさんあります。オリエンタリス系のヘレボルスです。
学名 Helleborus orientalis
英名 Lenten rose「レンテンローズ」
流通名 クリスマスローズ
別名 ヘレボルス
キンポウゲ科(Ranunculaceae)ヘレボルス属(Helleborus)
オリエンタリス系のヘレボルスは、一般に、キリスト教のレント(四旬節)の時期(2月始めから3月始めにかけて)に咲き出すので、英語では Lenten Rose「レンテンローズ」と呼ばれます。
2023.03.30撮影
上の画像は、うちの庭の一角(柵の内側と外側と)です。ヘレボルスは、他にもたくさんあります。
わたしが英語圏に住んで、英語で生活しているからだ、とは思いますが、レントのころに咲くオリエンタリス系のヘレボルスを、クリスマスのころに咲くクリスマスローズと呼ぶことには、わたしは大変抵抗があります。
それで、わたしは、一貫して、学名からとったヘレボルス(Helleborus)という言い方をしてきました。それは、属名です。英語では、ヘレボルス全体(Helleborus)を Hellebore「ヘレボー」と呼びます。
ヘレボルスの園芸種は、多くは、オリエンタリス系(Helleborus orientalis)です。オリエンタリス系が交雑しやすいのだそうです。これらの園芸種は、一括して、Helleborus x hybridus(ヘレボルス交雑種・交配種)と呼ばれます。
「x」が、学名の表記上、交雑種・交配種であることを示す上に、この場合は、hybridus 自身も「交雑種・交配種」という意味です。園芸家が Helleborus x hybridus という表現を用いれば、事実上、「ヘレボルス園芸種」ということになります。
わたしの頭の中では、「交雑種」が自然にできたもの、「交配種」が人間が意図的に交配したもの、という区別をしていますが、簡単に交雑・交配する植物ではあまり意味のある区別ではないのかもしれません。
2024.02.22撮影
日本では、ヘレボルス全体をクリスマスローズと呼ぶのが主流でしょうか。そして、短くして、「クリロー」とも呼ばれるんですね? それから、ヘレボルスと呼ばれる方々もいて、そこからは「ヘレボ」という言い方もある。
わたしは、ナマケモノであるだけでなく、ガンコなので、レンテンローズ(Helleborus orientalis)のことをクリスマスローズ(Helleborus niger)とは呼べず(だって、それは、ソメイヨシノをカンザクラと呼ぶようなもの)、これからも両者(と他のヘレボルス属の種も)を指してヘレボルスという言い方を続けていくと思います(本当は、「ユキオコシ」と言いたいの)。ですので、わたしがヘレボルスと書けば、日本の流通名でいうクリスマスローズのことだと思ってくださいまし。
2024.02.02撮影
わたしの庭で今年最初に咲いたヘレボルスを、前回と今回、ご紹介しています。前回は、赤紫系の花を集めてみました。今回は、薄いピンク色のです。
わたしの庭には、ヘレボルスの交雑種が、少なく、少なく見積もっても100株以上あります。そのほとんどは、わたしの庭で生まれ育った株です。みんなそれぞれの美しさがあるのですが、好みで言えば、前回最後にご紹介した個体がわたしの好みのひとつです。
その個体にやや似たのが、今日の冒頭の個体です。こちらは、色が薄いピンクで、スポットが淡く見えます。こちらも、写真より、実物の方が格段にきれいです。この花を見ると、わたしはつい見とれてしまいます。わたしは、実は、こちらの色の淡い方が好きです。
以下に、このよく似た個体をふたつ並べてみました。
2024.02.10撮影 2024.02.02撮影
次の個体もピンク色ですが、そのピンクの色調は、薄く、やや青っぽいです。この個体にもスポットが見られます。でも、こちらのスポットは、冒頭の個体のスポットより、間が空いて、それだけで、異なる印象を与えます。
また、花びらに黄緑の色が出ています。ヘレボルスの花びらは、そもそもはガクなので、このように黄緑の色が花びらに現れます。自然交配で世代を重ねていくと、この花びらへの緑色の出現率が上がります。
2024.02.06撮影
次の個体の花びらでは、ピンクよりも黄緑の方の割合が高いでしょうか。花びらに緑色がついている、というより、ガクにピンク色がついている、という感じ。小さいスポットが花びらの根元近くにわずかにつくのですが、その模様の出方は、花びらごとに不均等です。模様の出方がはっきりしないので、フラッシュ「閃光」とまでは呼べないでしょう。
2024.02.10撮影
さらに薄いピンク色の花が、次の個体です。大変優しい色です。この個体も、花びらに黄緑の部分があります。スポットが花びらそれぞれの中央に塊って出ているので、フラッシュということになりますが、かなり不規則ですから、不規則なフラッシュ、と言いましょうか。花びらの薄い地の色を背景に、濃い小豆色のスポットが出るのは、きれいです。
2024.02.05撮影
スポットというのは、大きさ、形、散らばり方、散らばる密度、現れる場所、色、などの違いにより、印象が大きく異なります。
次の個体のスポットも、ここまでの例と異なりますね。花びらの色も、異なります。少しずつ異なる特徴が組み合わさるので、同じ模様のはない、ということになるのです。よって、市販される「名称つき」のヘレボルスは、あれは、タネから育てたものではなく、クローンです。
2024.02.05撮影
次の個体は、濃い色の大きめのスポットがはっきりと浮かんでいる例です。花びらの地の色も少し変わっています。ウメの花のような色?
2024.02.10撮影
うちには、ヘレボルスがもっともっとあるんですが、それらのご紹介はまたの機会にします。次回は、2月初めに園芸店で買ってきた新しいヘレボルスを見てくださいませ。
2024.02.05撮影
わたしの住むバンクーバーでは、この1月の半ばに、例年より厳しい低温、雪、雨、が続きました。それで、それより前、12月〜1月にかけて花芽を出していたヘレボルス(Helleborus)が大きな被害を受けました。(サザンカも、花とツボミがダメになりました。)
でも、気温が寛解すると(と言っても、庭仕事するには寒いんですが)、まだ花芽を出していなかったヘレボルスが花芽を出して、1月末には咲き出しました。そして、2週間もしないうちに、庭中で開花。
今日は、そのように咲いているヘレボルスのうちのいくつかを、ご紹介します。すべて、オリエンタリス系(orientalis)の交配種・交雑種です。
オリエンタリス系のヘレボルスは、多くは下向きに咲くのですが、冒頭の画像のヘレボルスは、ほぼ横向きに咲きます。
この花の色は全体的に薄めの赤紫で、特筆できる模様がついていないので、プレーン「無地」という分類になると思います。でも、花びら(実は、ガクですが、以下、「花びら」あるいは「花弁」という呼び方をします)のつけ根が薄黄色なので、そちらを優先する分類もあるかもしれません。
以下の画像は、冒頭の画像のヘレボルスを上から撮影したものです。見えているのは、花びらの裏側(=外側)です。
2024.02.05撮影
この花びらの裏側(=外側)には、濃い色の脈が現れています。ベイン「静脈」という用語があり、それは、花の表側(=内側)に現れる脈状のものを言います。このベインという用語が、裏側に見える脈についても言うのかどうかは、わたしは知りません。(大体、花びらの裏側まで見て喜んでいるのは、わたしみたいなカワリモノだけ?)
冒頭の画像の花びらのつけ根に見える薄黄色の部分は、裏からも見えます。この薄黄色の部分は、でも、直前の画像中には、撮影角度のため写っていません。
次の花は、今年、わたしの庭で一番最初に咲いたヘレボルスです。1月末に咲きました(画像は、その数日後、2月に入ってから撮影しました)。きれいなバラ色で、ややうつむき加減に咲きます。
2024.02.03撮影
この個体には、透明の脈がたくさん走っています。花びらの地の色よりも濃い色の脈はベインと言うのですが、透明の脈には名前がついているのでしょうか。透明の脈が出ている花は結構あるので、なんらかの用語があっていいと思います。
このバラ色の花は、オシベがもう開いているので、咲きたての花ではありません。でも、花びらがカップ状のままです。このような咲き方を、文字通り、カップ咲きといいます。
2024.02.03撮影
この3番目のヘレボルスは、花弁の先が尖っています。このような形の花びらを、剣弁、そして、そのような形の花弁の咲き方を、剣弁咲き、といいます。
この個体には、小さめのスポットが花びらのほぼ全体に出ていますが、色が花びらの地の色とほとんど変わらないので、この花は一見プレーンに見えます。このような個体をスポットと呼ぶのか、プレーンと呼ぶのか、わたしにはわかりません。
ヘレボルスの花は、交雑によって変化に富むので、花のフォーム「形状」の分類は難しいです。全く同じ花はない、とまで言われる所以です。
2024.02.10撮影
この個体の特徴は、小さいスポットが花びら一面に出ていること、ベインがはっきりではないが出ていること、また、透明の脈もあること、花びらのつけ根と一部が黄緑色であること、などです。
わたしの庭にはヘレボルスが多数あり、みんなが自由恋愛をするので、一体どういう子孫ができるかは、全くわからないのです。形質が混ざり合うので、園芸店に並んでいるようなくっきり、すっきりしたフォームにはなりません。代わりに中間的な形態の個体が生まれてきます。わたしにとっては、それがヘレボルスを育てる醍醐味でもあります。
2024.02.13撮影
この個体は、先の個体よりも色が濃く、赤紫色をしています。そして、花弁の先が部分的に黄緑です。花弁全体に大きめのスポットが広がり、重なり合ってブロッチ「シミ」を形成します。
この個体の花びらは、先が鋭角に尖っていないので、丸弁といい、その咲き方を、丸弁咲きと言います。と言っても、花びらの形も、交雑の仕方により、千差万別で、分類と言っても、程度問題です。
この花は、平たく開いているので、この咲き方を平咲きといいます。これも程度問題で、中間形態がたくさんあります。
2024.02.10撮影
今日ご紹介する最後の個体は、写真でより、実物で見た方がとびきりきれいな花です。やや大きめのスポットが、花びらのかなり外縁まで広がります。でも、重なり合っていないので、ブロッチには見えません。かなり幻想的な花です。
今日は、赤紫系のヘレボルスでしたが、次回は、薄いピンク系のヘレボルスをお見せします。
2023.02.18撮影
このヘレボルスは、去年購入した園芸種、ヘレボルス・バラーディアエ「マーリン」(Helleborus × ballardiae 'Merlin')で、ヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger)と
ヘレボルス・リヴィドゥス(Helleborus lividus)の交配種です。
ヘレボルス・ニゲルは、冬が比較的暖かい地方ではクリスマスのころ咲きます(よって、「クリスマスローズ」と呼ばれる)。ヘレボルス・リヴィドゥスも、冬の中ごろという早い時期に咲き始めます。その交配種であるヘレボルス・バラーディアエ「マーリン」は、晩冬から。
2023.12.16撮影
去年冬の終わりに植えて、夏の間中葉っぱ(大変、美しい)は元気いっぱい、そして、12月の半ば(わたしが帰国する前)には、もうツボミがふくらんでいました。うちの庭で、1番。
わたしがバンクーバーに帰ってきたのは、1月半ば。寒波の始まった2日目でした。最低気温が、マイナス9℃、マイナス13℃、マイナス10℃、マイナス6℃、と推移する中、わたしは、最低気温がマイナス13℃の日の午後(つまり、一番寒かった日の午後)、気温がややゆるんだマイナス10℃の時に空港から出てきました。
以下は、バンクーバーの1月の気象状況です。こりゃいい、と思って見つけたサイトが、なんで、ニュージーランド(nz)のサイトなんだろう???
2024.01.14撮影
自宅について、門の脇にある「マーリン」を見てみると、花茎も、咲きかけていた花も、常緑の葉も、くたっとなっていた。気温が下がると、ヘレボルスの花茎はしょっちゅうこのようになり、気温が上がれば普通になるので、大丈夫、大丈夫、とその時は思いました、というか、寒波が尋常でなかったので、祈りました。
まもなく雪が降り始め、積もったままになり、気温がやや上がってきたと思ったら、その後、何日も冷たい雨が降り続きました。雨の合間に植物を見に行くと、「マーリン」の花茎は腐ってしまっていることがわかり、切り取るしか他にできることはありませんでした。
2023.04.03撮影
このヘレボルスは、ヘレボルス・アルグティフォリウス(Helleborus argutifolius)です。これも、地方によっては晩冬に咲き始めます。わたしの庭では、2月ごろにツボミがふくらみます。アルグティフォリウスの花期は長く、夏まで咲き続けます。
2023.02.09撮影
ヘレボルスの葉は、どの種も、一般に、常緑なんですが、ヘレボルス・アルグティフォリウスは、特に、真冬を通じて元気な葉を維持します。日本から帰ってきた時も、変わらない深緑だったので、よかった、アルグティフォリウスは大丈夫、と思いました。
2024.01.24撮影
その後、アルグティフォリウスも雪に埋もれ、草丈が高く葉が茂っている分、雪の重量を受け、茎が折れてしまいました。その後、これも腐る方向へ向いていきました。泣く泣く、何10本も切り取って処分しました。
うちの庭中に広がっていた「大人」のアルグティフォリウスは、全滅です。まだ1〜2歳の「子ども」のアルグティフォリウスがなんとか傷つきながらも残っているだけ。この後、どうなるんでしょう・・・
2023.04.12撮影
これは、ヘレボルスでも、オリエンタリス系(Helleborus orientalis)です。これは、クリスマスのころに咲くのではなく、レント(四旬節)のころ(=2月〜3月)に咲き出すので、「レンテンローズ」といいます。日本では、レンテンローズのこともクリスマスローズと呼びますが、両者は別のものです。
上の画像のオリエンタリス系のヘレボルスは、ちょっと変わり者。「花びら(実は、ガク)」があまり開かないのです。ガクだけになるころ(右端の花)には、だいぶん開いてきますが。
2024.01.26撮影
このオリエンタリス系のは、わたしが帰国する時、まだ花芽を出していませんでした。葉はついたままでしたが。それで、雪にやられたのは、葉っぱ(上の画像)と、ツボミの先の方だけ。これなら、傷んだところを取り除くだけで、元気にやっていってくれると思います。
なお、上の画像中、ツボミを見せているのは、スイセン(Narcissus)で、「ジェットファイア」('Jetfire')という園芸種です。
また、画像中、地上にある茶色いものは、去年の秋の落ち葉です(ゴツゴツしたものは、モミジバフウの実)。腐葉土になるように寄せてありますが、全部はこの短期間で腐葉土にならないので、春先に半分以上どけます。その作業をしたら、ヘレボルスがきれいに見えるようになります。
「ジェットファイア」の植っているところを画面左にたどると、以下のようにツボミが見えます。
2024.01.26撮影
以下に2枚、傷んだヘレボルスの画像を載せます。特に損傷の激しいものは、腐っていて、お見せしても気持ちのいいものではないので、掲載しません。
左の方は、花茎が雪の重みで折れました。右の方は、葉っぱが随分やられています。花びらの傷みは大したことありません。でも、咲くと歪になるかもしれません。
2024.01.26撮影 2024.01.31撮影
以下は、ほぼ被害を受けなかったツボミ。左のは、でも、先が少し傷んでいます。
2024.01.31撮影 2024.01.31撮影
結局、早くに花芽を出していたものと、葉を茂らせていたものが被害を受けました。オリエンタリス系(レンテンローズ)は、ニゲル系(クリスマスローズ)ほど花芽が出るのが早くないので、雪の大打撃を免れた、ということです。
2023.04.10撮影
こんな、真っ赤な、葉っぱ(実は、苞葉)まで赤っぽい、ヘレボルスの花が咲いています。今、4月現在、花盛り。
画像自体は、花がふたつ並んでいるところを、後ろから撮ったものです。後ろから撮れる理由は、花の顔が前(=横)に向いているからなんですが。ヘレボルスはうつむいて咲くのが多いので、顔を上げているヘレボルスを見ると、あら〜〜、こんにちは、と声をかけたくなってしまいます。
なんだかかわいくて、こんな角度から撮っちゃいました。向かって左の花の後ろにピコンと飛び出ているものは、花びら(実は、ガク)ではなく、苞葉です。花茎についている葉様のものも、苞葉です。
2023.04.10撮影
このヘレボルスは、今年2月初めに買ってきた園芸種で、
・ヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger)と
・ヘレボルス・リヴィドゥス(Helleborus lividus)の
交配種、ヘレボルス・バラーディアエ(Helleborus × ballardiae)です。
最初、ヘレン・バラード(Helen Ballard)というイギリス人が1970年代に開発しました。よって、学名に ballard が入っています。「x」は、交配種である、という意味です。
2023.03.28撮影(これは、4月に入る直前)
うちのは、その交配種の中でも、ドイツのヨーゼフ・ホイガー(Josef Heuger)によって作り出されたコレクションのうちのひとつ、Merlin「マーリン」です。
Helleborus × ballardiae HGC Merlin(英文+画像)
「マーリン」は、比較的草丈が低く、葉も、花も美しいです。次の葉っぱの画像も見てください! これは、新葉を中心に写しました。観葉植物としても通用しますよね。他のヘレボルスもそうですが、1年を通して緑を保つので、バンクーバーのように庭が冬には「枯れた」ようになるところには、貴重です。
2023.04.10撮影
花は、最初は、(薄い)ピンクです。成熟するにつれて、クランベリーのような赤色になります。その色の変化を並べてみます。うちの場合、3月の終わりから4月にかけて、赤くなりました。
2023.02.18撮影
2023.03.05撮影
2023.03.28撮影
2023.04.10撮影
上の4枚の画像を観察して見ると、花びら(=ガク)の色は、蜜腺、オシベ、メシベ、の状態と、直接関係していないのかもしれません。代わりに、気温や日中の長さに影響されている可能性があります。それで、4月には、咲いてすぐの花(蜜線がついている)も、咲いてかなり日数の立つ花(蜜線が落ちている)も、みんな、赤い花になる?
明日は、花筵を形成する青い花の写真です。