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緑色つきオリエンタリス

2025年03月18日 17時30分00秒 | キンポウゲ科ヘレボルス

2025.03.01撮影

今日は、めでたく、
・斑点つき
・延点(?)つき
・ソバカスつき
・脈つき
と続いてきましたオリエンタリス交雑種シリーズの最終回になりました。

今回は、
・緑色つき
です。

冒頭画像の花は、今年になって初めて咲いた花なんですよ。わたしが育てたわけじゃない。わたしの庭で、実生からここまで、勝手に成長してくれたんです。そう、3年? 4年? かかった?

この個体は、特に草丈が低いです。草丈が低いヘレボルス(Helleborus)が、地上近くに花を咲かせていると、わたしは感動します。この花のお顔を初めて拝見した時には、さらに、いたく感動いたしました。赤と緑の絶妙な組み合わせ!

ヘレボルス・オリエンタリス(Helleborus orientalis)には、花弁(形態的には、ガクですけど)5枚のうちの2枚が、緑っぽいことがあります。ここまで咲き分けると、美しい!

ところで、今日の画像は、すべて、わたしの庭からです。

2025.03.01撮影

これは、10年ほど(以上?)もの間、わたしの庭で咲き続けてくれている古株。平均的な高さの株です。例年はもっと全体的に茶色っぽい赤なんですが、今年は、なぜか、緑が出ている花が多いです。

画像左上の花びらは、半分ガクへ「先祖返り」したようです。

次の花も、先ふたつのオリエンタリス交雑種と同じく、緑の花弁が2枚(と数えていいと思う)ついています。でも、模様も色も形も異なります。


2025.03.13撮影

この個体では、「ソバカス」が多く出ていて、それらがさらに重なり合った部分があります。また、透明の脈も見えます。

ヘレボルスの個々の花の「満開」というのは、オシベから花粉が出だした状態の時の花の様子です。ここまでの画像中の花は、まだ花粉は出ていないかな? ちょっと出ているかな? という段階。


2021.03.23撮影

これは、もう4年も前の画像なんですが、このような状態で「咲いている」ところを発見しました。ミヤマシキミ(Skimmia japonica)の影に隠れて、見落としていたのです。それで、ミヤマシキミは、下枝を払いました。

この状態は、すでに「咲き終わった」状態です。オシベも蜜腺も落ち、メシベの下部の子房がわずかに膨らんでいるか、膨らんでいないか、です。多分、受粉がうまくいかなかったのでしょう。

次の画像は、9日後の同個体の画像です。

2021.04.01撮影

こちらの画像の方の撮影時間が先の画像の撮影時間より1時間遅いので、その影響もありますが、花びら(=ガク)がくすんできているのがわかります。花がさらに古くなっている現象です。

花が「咲いていた」ときには、どんな花だったのでしょう。1年待つしかないのね・・・すると、翌年・・・


2022.03.13撮影

こんな花が咲きました。緑色が、花びらの中心部から花びらの先に向かって出ているのですね。古い花に比べて、やはり、色が明るいです。

2025.03.01撮影

この花の模様の特徴のひとつは、花の中央部に点々が集まっている、ということですが、緑色もきれいに「筋」のように出ています。緑、というより、黄緑ですが。

2025.03.06撮影

同様に、緑の「筋」が出ています。ここでは、以前の記事で述べました「延点」が、花びらの外側に向かうあたりでは、薄れたところがあるのが見えます、特に、画像左上。

2025.03.13撮影

放っておいてもいろいろ交雑してくれて、何が生まれてくるかわからない、おまけに、生まれてくるものが多様、というのが、オリエンタリス交雑種の魅力です。

ただ、単純な構造なので、園芸種を好まれる方には、物足りないかもしれませんけど・・・

自然交雑が続くと、2枚の花弁が、緑色になってきます。わたしは、そんな花(例えば、冒頭画像)は美しいと思うのですが、園芸的には(つまり、販売するには)優秀な形質ではない、とされます。

でも、その緑色の出方ですが、「優秀な形質」かどうかは、どの辺で線引きするのでしょう。花びらの中心部に出るのは、いい? 花びらに縦に走るのは、いい? 例えば、直前の画像の花なんか、どう? 色も点のつき方もきれいだと思うけど。

わたしの庭のオリエンタリス交雑種は、まだまだたくさんあります。またの機会にご紹介することにします。


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脈つきオリエンタリス

2025年03月14日 06時00分00秒 | キンポウゲ科ヘレボルス
2023.04.14撮影

オリエンタリス系ヘレボルス交雑種(Orientalis hybrid)も、だいぶん終わりに近づいてきました。今日は、「斑点」「延点」「短線」「ソバカス」につづき、「脈つき」です。「脈あり」ではありません。


「斑点」「延点」「短線」「ソバカス」は花びらの表面に見えるものでしたけど(実際には、花の裏からも見えることがある)、今日の「脈」は花びらの組織自体からくる「模様」です。

結局は、わたしが「脈」と 呼んでいるものは、「葉脈」に当たるものなのだと思います。

ヘレボルスの花弁は、実際にはガクであり、ガクは葉とよく似た性質を持つものです。ガクにある脈は葉にある葉脈に当たるもの、とすれば(そして、それは、多分、正しい)、ヘレボルスの花弁の「脈」は葉脈に当たるもの。

冒頭画像では、その「脈」が、透明に透けて見えます。この花では、オシベが1本落ちかけています。

蜜腺が茶紫色に見えますが、これは、ヘレボルス・オリエンタリス種(Helleborus orientalis)の3つの亜種のうちのアブカシクス(abchasicus)からきているのかもしれません。花弁の色も、その亜種からでしょう。

なお、画像中、背景左に見えるオリエンタリスは、花弁がもっとピンクで、蜜腺が黄色の、別の個体です。背景右側のも別個体で、「ソバカスつき」のようです、この画像からははっきりとは分かりませんが。

今日の画像は、1枚以外ははわたしの庭でわたしが撮影したものです。


2023.04.18撮影

この花も、透明の脈がついていて、先の花に似ていますね。でも、この花には、その上に、ソバカスがついています。画像では、ちょっとわかりにくいかもしれません。

それと、この個体の花弁と、先の個体の花弁は、形が異なります。それで、花の姿の印象が違ってきます。


2023.04.18撮影

このピンクの花は、花弁の中央部に緑の色が出ています。透明の脈が太めに出ています。ただ、太く見えるのは、花がやや小型だからかもしれません。蜜腺が茶紫っぽく、また、花弁の裏側が表側よりも濃いピンクです。

画像左下に見える花は、オシベと蜜腺が落ち、メシベの根本についた子房がふくらみかけているところです。この時期になると、緑になる花弁は多いものです。


2023.04.18撮影

この花は、撮影時点で、オシベが数えるほどしかありません。つまりは、オシベがだいぶん落ちてしまっているのです。その意味で、この花は、盛りを過ぎた花だと言えます。

このきれいなピンク色の花は、見たら脈つきですけど、透明なところが脈? 色つきのところが脈???? 透明なところの残りが色つき? さっぱりわかりません。

「脈つき」の定義をしっかりするか、変えるか、あるいは、2種類に分けるか、する必要がありそうです。


撮影者:Dominicus Johannes Bergsma
撮影日:2015.03.18

こちらも、脈が濃い色で出ているものです。そして、その脈が、花びらの縦線に沿った線の広がり方ではなく、網目になっていますね。

これも「脈つき」という分類の危機であります。「網目つき」というのを別に設けるべきなのかもしれません。と、このようにして、延々と分類がつづく・・・


2023.04.14撮影

この花は、いわゆる「黒」と言われるヘレボルス・オリエンタリスですが、実際には、黒みがかった赤です。ですから、うつむいた花を下から見上げて撮影すると、「黒」が光を通して、このように赤く見えます。

色の印象は、画像左下の、花の裏側をご覧ください。これなら、「黒」と呼びたくなります。

この花は、いわゆる、「模様なしの無地」なのですが、よく見ると、脈つきであることがわかります。

ふうむ・・・何にでも脈がついているなら、「脈つき」という分類は、要らないんじゃないか・・・でも、人情として、脈が見えたら「脈つき」としたいですよね。


次回は、ついに、オリエンタリスの最終回です。


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ソバカスつきオリエンタリス

2025年03月10日 13時15分00秒 | キンポウゲ科ヘレボルス

2023.04.16撮影(わたしの庭から)

今日も、オリエンタリス系の交雑種(Orientalis hybrids)について続けます。

オリエンタリス系の交雑種は、
・花弁の形、模様、色、
・蜜腺の形、色、
等の変化が激しく、形質のかなり固定された園芸種では型式の分類が(一応)されていますが、庭で生まれてくる自然交配種には、よく当てはまりません。

自然に生まれてくる花を愛でているわたしなんかは、その千差万別(千株も万株もあるわけではありせんが)の姿を見て、人間だからでしょうか、パターンに分類したくなるわけですよ。それが難しいので、結局、できないじまいなのですが。

今日は、「斑点」「延点」「短線」に続けて、これもわたしが命名いたしました「ソバカス」を見ていただきたいと思います。冒頭画像と以下の画像は、全てわたしの庭からです。「斑点」「延点」「ソバカス」をお比べください。


 
2023.04.19撮影「斑点」           2025.02.18撮影「斑点、重なり」

 
2023.04.14撮影「延点、重なり」       2023.04.16撮影「ソバカス」=冒頭画像

「点」は、主に、赤い濃いめの色ですが、形状と散らばり方は、どの花も異なります。ですから、「点」に名前をつけても、連綿と続くスペクトラムの恣意的な一点というだけです。

上に、なるべく比較しやすいように、ピンクの花に絞って例をあげてみました。「ソバカス」というのは、小さな点が散らばっている、という意味です。

なお、「点」が、花弁のどこに出ているか、で分類する方法もありますが、今回続けている分類では、避けて通ることにします。

以下の画像は、今までどおり、Wikimedia Commons から借りてきています。オリジナルからの改変はありません。すでにご紹介した画像も混じっています。


撮影者:Roland.aprent
撮影日:2021.04.04

この個体は、オシベがまだ出そろっていず、花粉も出ていないので、まだ開いて間もない花です。きれいな色ですね。こういうの、好き! って自分の好みを言っても仕方ないのですが。

この花では、小さめの「点」が散らばって出ているので「ソバカス」としましたが、実際、線引きは難しいです。よお! それだからこそ、オリエンタリス交雑種!!

また、ここまで色が濃いと、花弁(=ガク)の中央などに葉脈のような「脈」が出てきます。


撮影者:Roland.aprent
撮影日:2021.04.04

この個体も、直前の画像の個体とよく似た特徴が見えます。こちらの花びらには「脈」が多く出ます。画像左の花か、画像下の花を見てくださればわかりますが、この「脈」は、花弁の裏側でも観察することができます。

タネのサヤの形成されている花では、オシベも蜜腺も落ち、花弁の色が、緑色の部分も含め、濃くなっています。



撮影者:LPC / Wikimedia Commons
撮影日:2013.03.31

この画像は、前にも見ていただきました。この個体の花には、確かに「ソバカス」のような「点」が出ています。でも、近くで見ない限りは、全体的な印象は、「模様なし」です。画像中、各種の開花段階の花をお楽しみください。


実は、書いている本人が言うのも勝手なのですが、ヘレボルス・オリエンタリス(Helleborus orientalis)について書くのに、ちょこっと飽きてきました。でも、ここまで来たので、計画したことはやり遂げよう、と、読んでくださる方々の迷惑も考えず書き続けますので、このあと2回続きまする
「〜〜つきオリエンタリス」
に請うご期待!


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延点(?)つきオリエンタリス

2025年03月07日 08時00分00秒 | キンポウゲ科ヘレボルス
2023.04.14撮影(わたしの庭から)

オリエンタリス系の交雑種(Orientalis hybrids)には、赤、赤紫、紫の斑点が出ることがよくあります。それは、ヘレボルス・オリエンタリス(Helleborus orientalis)の3つの亜種のうちの、グッタトゥス(guttatusの形質からくるものです。

この、斑点つきオリエンタリスを、前回の記事でいくつかご紹介しました。

今回は、そのつづきとして、丸めの斑点からやや伸びた点、そして、短いながらもほぼ線に見える模様つきのオリエンタリス交雑種をお見せしたいと思います。模様の形状を言葉で述べるのは難しく、ここまで「斑点」という言葉を使ってきましたが、ここで造語をし、引っ張られた形ではあるが「線」ではないものを、「延点」と呼ぶことにします。

冒頭画像の模様は、「斑点」でしょうか、「延点」でしょうか。

冒頭の画像は、わたしがわたしの庭で写したものです。が、他の画像は、みんな、今までどおり、Wikimedia Commons から借りてきています。オリジナルからの改変はありません。


撮影者:Dominicus Johannes Bergsma
撮影日:2011.04.17

いかがでしょう。こちらの斑点はやや長いですね。そして、その「延点」がやや重なり合っています、特に花の中央の方で。


撮影者:Dominicus Johannes Bergsma
撮影日:2013.04.17

こちらの個体でも「延点」が重なり合います。そして、さらに、その点が、花の中央から放射線状に出る配置になっています。点の数が多い部分は、面状に色がついているように見えます。


撮影者:Dominicus Johannes Bergsma
撮影日:2014.03.01

この花の色は、サーモンピンクと言えばいいでしょうか。この美しい色を背景に、赤目の大きめの「延点」が密に出ています。

わたしの庭でも、このような花が、多くはありませんが出現します。そういうのが見つかると、幸せな気分になります。


撮影者:Meneerke bloem
撮影日:2015.04.04

こちらは、「延点」というより、「短線」と言えばいいでしょうか。点が密について、色が面に塗られているように見えます。

ところで、背景に、紫色の花のツボミが見えますが、これは、葉から判断して、キョウチクトウ科(Apocynaceae)のツルニチニチソウ(Vinca major)か、あるいは、その小型版のヒメツルニチニチソウ(Vinca minor)のいずれかで間違いないと思います。


撮影者:Andy Morffew
撮影日:2020.03.27

この個体は、模様がペタッと出ているだけでなく、花びらの形がかわゆく丸いです。オリエンタリス交雑種には、花びらも形がいろいろあります。先が尖り気味のとか、ややヒラヒラしているのとか。でも、この花は、花びらの先までほぼ丸い。

ただ、この花が、自然にこのように上横向なのか、撮影者が花のお顔を撮ろうと花軸を支えているのか、分かりません。オリエンタリスは、基本的には、やや下を向いて咲きます。横向きは、普通、努力を重ねてそのように作った園芸種です。


撮影者:Dominicus Johannes Bergsma
撮影日:2013.04.21

斑点と「延点」の最後の例として、このきれいな色の花をご覧いただきたいと思います。この色は、なんと形容すればいいでしょうか。紫がかった桃色?

それと、5枚の花弁のうち、2枚は中央が縦にやや黄緑色ですね? そして、ややですが、小さい。その上、この2枚は、斑点の出方が、他の3枚とは異なります。5枚の花弁のうち2枚が異なるのは、オリエンタリス種ではよくあることです。

次回は、お顔にソバカスのついているオリエンタリスさんを。


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斑点つきオリエンタリス

2025年03月03日 16時25分00秒 | キンポウゲ科ヘレボルス

2025.02.18撮影(わたしの庭から)

前回の記事で、ヘレボルス・オリエンタリス(Helleborus orientalis)には、亜種が3つあることをご紹介しました。

オリエンタリスは、レンテンローズ(Lenten roseともいいます。でも、日本での流通名は、多く、ヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger)と区別せずに、クリスマスローズ(Christmas rose)と呼ばれます。

オリエンタリスの亜種3つは、以下のとおりです。属名 Helleborus と種小名 orientalis を省略し、特徴をごく簡単につづけます。
オリエンタリスorientalis)花弁は白で、クリーム〜緑の色調
・グッタトゥス(guttatus赤、赤紫、紫の斑点
・アブカシクス(abchasicus)花弁は赤い、蜜腺は紫っぽい

今日の画像は、冒頭の画像だけはわたしがわたしの庭で写したもので、他の画像は、みんな、今までどおり、Wikimedia Commons から借りてきます。オリジナルからの改変はありません。


撮影者:Theactivistuk
撮影日:2019.02.18

ヘレボルス・オリエンタリスの3つの亜種は、互いに交雑しやすく、また、他のヘレボルス属の種ともある程度交配させることができます。ここから、園芸用の各種の交配種が生み出されることになります。少なくとも一方の親がオリエンタリスである交配種は、オリエンタリス系ヘレボルス、あるいは、オリエンタリス交配種、と呼ばれます。

直前の画像は、オリエンタリス系の交配種の例です。つけられたラベルには、Spring Promise Conny「スプリング・プロミス・コニー」と、園芸種名が書かれています。なお、この個体の蜜腺は、黄色のようです。

次の画像は、斜め上から写されたもので、花はうな垂れているので、花のお顔は見えません。



撮影者:William Murphy
撮影日:2011.03.03

オリエンタリス種の3つの亜種が何代も繰り返して交雑すると、色も模様も多様になってきます。オリエンタリス系の交雑種には、ひとつとして同じ模様・色はない、と言われる所以は、これです。

今日は、そのうち、斑点のあるものの例を画像でご紹介します。斑点は、主に、グッタトゥス(guttatus)から受け継がれるものです。

まず、guttatus の典型的な例を挙げます。この画像はもうすでに数回見ていただきましたが、いい例だと思いますので、もう一度。


撮影者:Jay Sturner
撮影日:2011.02.19

この花では、赤紫の斑点が、ほぼ重なることなく出ています。花弁(実は、ガク)の根本にぐるりと蜜腺がありますが、ここではその蜜腺が少なくとも三重についているので、これは、原種ではなく園芸種か、と思われます。



撮影者:Stefan.lefnaer
撮影日:2021.04.09

この花でも、斑点にあまり重なりはありません。花弁は、白というより、緑ですね。ヘレボルスは、花の成熟度に応じて花弁の色が変わってくるのですが、多くは、この個体のような緑色になります。でも、この個体は、開いて日数の経ったものではなく、もともとこういう色の花です。開花しての日数がどれほどか、は、オシベの開き具合を見ればわかります。



撮影者:Dominicus Johannes Bergsma
撮影日:2013.03.16

この花の斑点もあまり重なっていません。ただ、先の個体よりも、斑点がやや伸びた形になっています。そして、この赤い色は、アブカシクス(abchasicus)からの特性なのでしょう。画像中、1本の花軸に花が複数ついているのがわかります。オリエンタリス種の特徴です。


撮影者:Jay Sturner
撮影日:2011.02.19

このピンクの色も、アブカシクス(abchasicus)から受け継いだのでしょう。この花の斑点は、点というより線と言った方がいいものが混じっています。

次回は、斑点の形や出方の異なる、薄いピンク〜赤っぽい花を集めてみたいと思います。


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オリエンタリス、亜種のご紹介

2025年02月28日 19時00分05秒 | キンポウゲ科ヘレボルス
Helleborus orientalis subsp. abchasicus(ヘレボルス・オリエンタリスアブカシクス
撮影者:Dominicus Johannes Bergsma
撮影日:2015.03.18

レンテンローズ(Lenten rose)、学名ヘレボルス・オリエンタリス(Helleborus orientalis)、
には、亜種が3つあります。

オリエンタリスって、いろいろな色や模様の花が咲き、交配種、交雑種が多いので、亜種があると知って、なあるほど、と納得しちゃいました。これが形態変化(へんげ)の元となっているのね。

オリエンタリスさんたちは、自由恋愛をモットーとし、いろいろな子孫を作ってくれます。それも、近場に種を落としてくれるので、庭がヘレボルスだらけになるの。

これを阻止する方法を考えてみました。ナマケモノであるわたしがそんなことを実行するわけがありませんが。第一、花がよく見えなくなる。
・手作業で人工受粉をして袋がけをする(これでタネが取れる)
・飛び出してきたメシベを若いうちに切り捨てる
・不純異性行為でタネができてしまったら、タネのサヤ(次の画像)を取りのぞく


Helleborus orientalis subsp. guttatus(ヘレボルス・オリエンタリス・グッタトゥス
撮影者:Dominicus Johannes Bergsma
撮影日:2013.05.28


オリエンタリスの3つの亜種は、次のとおり。
・Helleborus orientalis subsp. orientalis
・Helleborus orientalis subsp. guttatus
・Helleborus orientalis subsp. abchasicus

Helleborus が属名、orientalis が種小名、属名と種小名を合わせた Helleborus orientalis が種名、そして、種名の後に subsp. と書かれて続いているのが亜種名です。subsp. は、subspecies の略で、「亜種」という意味です。学名を書くときには、斜字体で書きますが、subsp. の部分は、名称ではないので、斜字体にしません。

学名は関心のない方も多いかと思いますが、見続けていると、便利なものであるのが見えてきます。それに、結構、覚えてしまうものです。



Helleborus orientalis subsp. orientalis(ヘレボルス・オリエンタリス・オリエンタリス
撮影者:Jay Sturner
撮影日:2011.02.19

Helleborus orientalis subsp. orientalis
これは、亜種名が、種小名と同じく、オリエンタリス(orientalis)。

特徴
・花弁(実は、ガク)は、たいていは白
・クリーム色〜緑の色調がつく
・5枚の花弁のうち、2枚は、多くの場合、小さめ
・花弁から変化した蜜腺(ネクタリー)は緑



Helleborus orientalis subsp. guttatus(ヘレボルス・オリエンタリス・グッタトゥス
撮影者:Jay Sturner
撮影日:2011.02.19

Helleborus orientalis subsp. guttatus
オリエンタリスのもうひとつの亜種は、グッタトゥス(guttatus)と呼ばれます。オリエンタリスには、多くの交配種が存在しますが、この亜種が、親種となっていることが多いです。

特徴
・花弁は白
・緑がかることが多い
・赤、赤紫、また、紫の斑点がつく
・斑点のつき方の程度はいろいろ
・5枚の花弁のうち、2枚は、多くの場合、小さめでより緑っぽい

個人の花壇で自然に交雑が進むと、多くの個体において、この2枚の花弁が、特に小さく緑っぽくなってきます。これは、優秀な形質でない、とされます。ぱっちりと平均的に大きく咲く個体は、専門家による交配種でしょう。



Helleborus orientalis subsp. abchasicus(ヘレボルス・オリエンタリス・アブカシクス
撮影者:Jay Sturner
撮影日:2011.02.19

Helleborus orientalis subsp. abchasicus
オリエンタリスの3つ目の亜種は、アブカシクス(abchasicus)と呼ばれるものです。交配種、交雑種における赤やピンクは、この亜種からきています。

特徴
・花弁は赤く染まっている
・斑点がつく場合がある
・蜜腺(ネクタリー)は紫っぽい
・ただし、先端だけが紫、あるいは、紫のスジが入っている場合もある


Helleborus orientalis subsp. abchasicus(ヘレボルス・オリエンタリス・アブカシクス
撮影者:LPC / Wikimedia Commons
撮影日:2013.03.31

画像は、今までどおり、Wikimedia Commons から借りてきました。オリジナルからの改変はありません。亜種の同定は、わたしの知識にしか基づいていませんから、間違いがあるかもしれません。ご容赦ください。

参考サイト1(英文)
The Gardener's Guide to Growing Hellebores

参考サイト2(和文)
横浜市こども植物園


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わたしは、レンテンローズ

2025年02月24日 08時00分00秒 | キンポウゲ科ヘレボルス
Helleborus orientallis(ヘレボルス・オリエンタリス)
撮影者:KENNPEI
撮影日:2008.03.16
* 花弁の先の丸い種類

わたしは、レンテンローズ! クリスマスローズじゃないもん!

と、今日のお花が言っています。

日本では、キンポウゲ科(Ranunculaceae)のヘレボルス属Helleborus)のことを、クリスマスローズ属とも呼び、どの種でも、それが流通名として通ることが多いようです。

特に、庭でよく栽培されるヘレボルス属の種、および、園芸種のうち、同じように見えるか、と思われるものが、少なくとも2種あります。

ユリウス暦のクリスマスころに咲き始めるクリスマスローズ(英名 Christmas rose
学名は Helleborus niger「黒いヘレボルス」
キリスト教の四旬節(レント)のころに咲くレンテンローズ英名 Lenten rose)、
学名は Helleborus orientalis「東方のヘレボルス」

今日は、この、レンテンローズについて取り上げます。

学名 Helleborus orientalis「東方のヘレボルス」
英名 Lenten rose「レントのバラ」
別名 Oriental hellebore「東方のヘレボルス」
和名 クリスマスローズ
別名 ヘレボルス・オリエンタリス
キンポウゲ科(Ranunculaceae)ヘレボルス属Helleborus

今日も、画像は、Wikimedia Commons から借りてきます。オリジナルからの改変はありません。「*」の印をつけて、画像それぞれに、簡単な説明を加えておきます。

Helleborus orientallis(ヘレボルス・オリエンタリス)
撮影者:Jay Sturner
撮影日:2011.02.19
* 花弁の先の尖った種類

四旬節(レント)は、太陰暦に基づいているので、現在世界的に使われている、太陽暦であるグレゴリオ暦で言うと、年によって日が移動します。

四旬節は、次の期間です。
・2月4日から3月10日の間に始まり、
・復活祭(イースター)の前日(=土曜日)まで続く、
・日曜日をのぞく、合計40日間
なお、復活祭は、3月22日から4月25日のいずれかの日曜日になります。

レンテンローズ(Lenten rose)というのは、「レント(四旬節)のバラ」という意味で、その期間に咲いている、あるいは、地域によっては、その期間に咲き出す、ということを表します。

具体的には、温帯の地域では1月の終わりか2月に、寒冷地域では3月か4月に、咲き始め、2ヶ月ほど咲きつづけます。

Helleborus orientallis(ヘレボルス・オリエンタリス)
撮影者:Dominicus Johannes Bergsma
撮影日:2014.03.01
* まだ開ききっていない花、中央近くに薄い点々がつく

クリスマスローズとレンテンローズは、つまり、名のごとく、咲く時期が異なるヘレボルスです。そして、形態上の特徴も異なります。

クリスマスローズの花弁(実は、ガク)は、基本的には白です。でも、レンテンローズは、白以外に各種の色の花弁が存在します(園芸種になると、さらに)。今日は、白い、あるいは、白っぽいレンテンローズばかり、ご紹介していますが。

レンテンローズの花弁の色の例
白、薄い緑、クリーム色、黄色、アプリコット、
薄いピンク、ピンク、赤、赤茶色、黒、

そして、レンテンローズの花弁には、クリスマスローズの花弁にはつかない、濃い赤紫色の点々などがつくことが、よくあります。

Helleborus orientallis(ヘレボルス・オリエンタリス)
撮影者:Jay Sturner
撮影日:2011.02.19
* 濃い赤紫色の点々のついた種類

レンテンローズの学名は、Helleborus orientalis で、意味は「東方のヘレボルス」です。この orientalis というのは、英語の Oriental「(西洋に対する)東洋の」と同根の語です。でも、Helleborus orientalis  orientalis は「(ヨーロッパの直近の)東方の」という意味で、中国や日本などの「極東」を指しているわけではありません。

前にもこの地図(下の画像)を掲載しましたが、もう一度ご覧ください。

ヘレボルス・オリエンタリス(Helleborus orientalis)は、以下の地図では、「13」の地域が原産地です。その地域は、主に、黒海に面するトルコの北部と、ジョージア(旧名、グルジア)に渡り、それは「ヨーロッパの東方」に当たります。


Helleborus(ヘレボルス属)の原産地の分布
作成者:Nalagtus
撮影日:2019.08.07

クリスマスローズとレンテンローズはどう見分ければいいか。

・根が黒ければ、クリスマスローズ(根を掘ってまで見る人はいないと思いますが)
・早く咲けば、クリスマスローズ
・花が白ければ、両方の可能性
・花に色がついていれば、まずは、レンテンローズ
・花弁に点々などの模様がついているなら、レンテンローズ

これに加えて、地上からの花軸1本に
・花ひとつなら(稀に例外あり)、クリスマスローズ
・1〜4個の花がついていれば、レンテンローズ
・花軸が中ほどで複数の花柄に分かれていれば(みんなではない)レンテンローズ

Helleborus orientallis(ヘレボルス・オリエンタリス)
撮影者:Simon Barnes
撮影日:2007.03.24

と言っても、、、園芸店に並んでいる個体でさえ、区別するのが難しいことがあります。比較的信用して良いと思われる Wikimedia Commons の画像にも、怪しいのがあります。白状すると、わたしが自分で判断して借りてきている画像にも、間違いがあるかもしれません。

個体によっては区別し難い理由は、3つ。
・ヘレボルス属の複数の種は、そもそも、お互い外見がよく似ている
・その上、交雑種・交配種が多いので、形質の線引きがしがたい
園芸店の「商品」に、(上のふたつの理由などで)ラベルがつけられていないことがある

ラベルに関しては、ごまかすな! と言いたいのですが、わたしのように、クリスマスローズかレンテンローズか、また、他のヘレボルスか知りたい人は、そう多くないのかもしれません。

でも、これはレンテンローズでしょう、というときに、わたしはそれをクリスマスローズとは呼べない。

それに、クリスマスも大きく過ぎてから咲きだすレンテンローズ(ヘレボルス・オリエンタリス)を、2月、3月、にクリスマスローズと呼びたくない。

Helleborus orientallis(ヘレボルス・オリエンタリス)
撮影者:Magnus Manske
撮影日:2010.05.01
* 花弁に透明の脈の見える種類

これは、もちろん、わたしの個人的な感じ方です。何をどう呼ぶかは、意味さえ伝わっていれば、個人の自由だと思います。

ただ、ヘレボルスを何でもかんでも「クリスマスローズ」と呼ぶのは、流通機構の戦略勝ちだったと思います。レンテンローズなんて、わけわからないもの、キリスト教徒の方々以外は。「クリスマスローズ」の方が、ロマンスがあるわあ。


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君の名はクリスマスローズ 2

2025年02月21日 08時00分00秒 | キンポウゲ科ヘレボルス
Helleborus niger(ヘレボルス・ニゲル)
撮影者:Petr Filippov
撮影日:2009.05.01

クリスマスに咲かないヘレボルス・ニゲルHelleborus nigerが、なぜ「クリスマスローズ(Christmas rose)」と呼ばれるか、、、

調べてわかったことがありますので、ご報告します。伝説にしか過ぎないのかもしれませんが。

今回も、画像は、Wikimedia Commons から借りてきます。オリジナルからの改変はありません。「*」の印をつけて、画像それぞれに、簡単な説明を加えておきます。

クリスマスローズがクリスマスに咲かない、と言っても、日本で豊臣秀吉がバテレン追放令を出すころまでは、ヨーロッパ各地では、クリスマスのころに咲いていたんです。少なくとも、そういうことになっています。

これ、どゆこと?


Helleborus niger(ヘレボルス・ニゲル)
撮影者:Wildfeuer
撮影日:2006.12.18
* 花弁の先が尖っている

ヨーロッパでは、ローマ帝国の昔から、ユリウス暦が使われてきました。

から抜き書きすると、
> ユリウス暦は、紀元前45年から実施された太陽暦である。
> もともとは共和政ローマおよび帝政ローマの暦であるが、
> キリスト教の多くの宗派が採用し、
> 西ローマ帝国滅亡後もヨーロッパを中心に広く使用された。 

ところが、1580年代になって、これが、グレゴリオ暦に替わりました。
> ローマ教皇グレゴリウス13世がユリウス暦に換えて
> 太陽年との誤差を修正したグレゴリオ暦を制定・実施

そして、このグレゴリオ暦が、徐々にヨーロッパで広がり、現在、ほぼ世界的に使われるようになったわけです。新旧の入れ替わり、ということで、ユリウス暦を旧暦、グレゴリ暦を新暦、と呼ぶことができます。


Helleborus niger(ヘレボルス・ニゲル)
撮影者:Stefan.lefnaer
撮影日:2022.02.26
* 細い花弁

日本で、中国由来の太陰暦「旧暦」から、ヨーロッパ由来の太陽暦であるグレゴリオ暦「新暦」に変わった時、旧暦の正月「旧正月」が、新暦の1月末〜2月始め(年によって変わる)になりましたよね。つまり、新暦に従うと、正月は、「早く」来ることになりました。

それと同様に、ユリウス暦「旧暦」から、グレゴリオ暦「新暦」に替わった時、クリスマスが「早く」来ることになってしまったのです。でも、季節の方は、新しい暦についてきてくれない。よって、旧暦のクリスマスに咲くはずであったクリスマスローズが、新暦のクリスマスにはまだ咲いていない、1月になって咲いた、という事態が起こったのであります。


Helleborus niger(ヘレボルス・ニゲル)
撮影者:Stefan.lefnaer
撮影日:2022.02.26
* ピンクがかった花弁の裏側

この事情は、これまた別の伝説で、述べられています。

イギリス、イングランドの、聖トマス修道院(St Thomas's Abbey)で、新暦(グレゴリオ暦)が導入された時に、クリスマスローズが1月6日に咲いた、という。1月6日が、旧暦(ユリウス暦)のクリスマスであったわけです。

クリスマスのシンボルであったクリスマスローズが、新暦、グレゴリオ暦のクリスマスに咲かなかった、ということがショックで、イングランドでは、グレゴリオ暦の導入を停止し、以降、再導入が遅れる、ということまで起こっています。

もう一度Wikipediaの「ユリウス暦」の記事を見ていただくと、
「グレゴリオ暦との差」の見出しのところに、ユリウス暦(旧暦)とグレゴリオ暦(新暦)の日数のズレが示されています。

そのズレが、16世紀終わり〜18世紀終わりまでは10日間、それが11日になり、12日になり、現在は、13日まで広がっています。

Helleborus niger(ヘレボルス・ニゲル)
撮影者:Stefan.lefnaer
撮影日:2022.02.26
* ニゲルは普通は花柄1本につき花はひとつだが、これは珍しい花ふたつつき

ユリウス暦からグレゴリオ暦への変更が、クリスマスローズがクリスマスに咲かず、1月に咲くようになった、ということなんです、、、

でも、花の咲くのは、当然ながら、地域によりますから、以上は、そういう事情がある、というだけのことです。海岸線と高山と、農村と都会では、植物の咲く時期が異なります。

そして、温暖化・・・クリスマスローズは、温暖化により、早く咲くようになるんでしょうか、遅く咲くようになるんでしょうか。

Helleborus niger(ヘレボルス・ニゲル)
撮影者:Karl Gruber
撮影日:2010.05.08
* 花弁が緑に変わり、タネのサヤがふくらんでいる

以下に、ヘレボルス・ニゲルHelleborus niger)の、ヨーロッパ語いくつかでの名称をまとめておきます。日本語での名称もつけ加えておきます。

基本的に、「黒いヘレボルス」か「クリスマスローズ」なんですが、
・ドイツ語の Schneerose「雪のローズ」
・日本語の雪起こし」
には、相通じるところがあります。

ラテン語(学名)Helleborus niger「黒いヘレボルス」

イタリア語 Elleboro nero「黒いヘレボルス」
イタリア語 Rosa di Natale「クリスマスのローズ」

スペイン語 Eléboro negro「黒いヘレボルス」
スペイン語 Rosa de Navidad「クリスマスのローズ」

フランス語 Ellébore noir「黒いヘレボルス」
フランス語 Rose de Noël「クリスマスのローズ」

英語 Christmas rose「クリスマスローズ」
英語 Black hellebore「黒いヘレボルス」

ドイツ語 Schneerose「雪のローズ」
ドイツ語 Christrose「キリストのローズ(クリスマスローズ)」
ドイツ語 Schwarze Nieswurz「黒いヘレボルス」

オランダ語 Kerstroos「クリスマスローズ」

日本語 クリスマスローズ
日本語 ヘレボルス・ニゲル、あるいは、ニゲル
和名1 雪起こし(ユキオコシ
和名2 寒芍薬(カンシャクヤク)
* 和名のユキオコシとカンシャクヤクが、ヘレボルス・ニゲル(種名)だけを指すのか、
あるいは、ヘレボルス全体(属名)を指すのか、明らかではありません。


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君の名はクリスマスローズ 1

2025年02月17日 10時00分00秒 | キンポウゲ科ヘレボルス
Helleborus niger(ヘレボルス・ニゲル)
撮影者:Dominicus Johannes Bergsma
撮影日:2021.12.16

今日も、ヘレボルス・ニゲル(Helleborus nigerについてです。前回に続き、Wikimedia Commons から画像を借りてきます。全て、オリジナルからの改変はありません。

ニゲルの英語での名称は、他にもあるかもしれませんが、代表的なのは、
・Christmas rose「クリスマスのバラ(クリスマスローズ)」
・Black hellebore「黒いヘレボルス」
です。

「黒いヘレボルス」(学名の Helleborus niger、英名の Black hellebore)と呼ばれる理由は、前回述べましたとおり、薬用になる根が黒いことから来ています。「薬用」と言っても、サジ加減では毒ですが。。。

Helleborus niger(ヘレボルス・ニゲル)
撮影者:Albertomos
撮影日:2022.02.09

でも、クリスマスローズは、なぜ「クリスマスローズ」と呼ばれるのか。

まず、クリスマスローズが、ローズ(バラ)でないのに「バラ」と呼ばれるのは、バラに「似ていて」美しい、というほどのことでしょう。確かに5弁ではある。

クリスマスローズが「クリスマス」と冠されるのは、クリスマスのころに咲く・・・でも、実際に咲くのはそれより遅い・・・というように、わたしは理解していたのですが・・・調べ直してみると、そうでもあって、そうでもない・・・


Helleborus niger(ヘレボルス・ニゲル)
撮影者:Gerda Arendt
撮影日:2022.02.12

次の、アメリカのミズーリ大学のサイトの記事から、かいつまんで、まとめてみたいと思います。
Christmas Rose: Beautiful Plant with Interesting History
(クリスマスローズ:おもしろい歴史のある美しい植物)

ある伝説によると、
> 羊飼いの少女が、キリスト誕生に駆けつけたのはいいが、贈り物がなかった。
> それに嘆いて、泣いていると、天使が現れ、少女を厩から連れ出し、地上に触れた。
> すると、そこから即座にクリスマスローズが現れ、少女にそれをキリストへの贈り物
> とするように、と与えた。

Helleborus niger(ヘレボルス・ニゲル)
撮影者:Isiwal
撮影日:2014.02.13

Wikipediaの英語版の記事では、ミズーリ大学の説明とは少し異なりますが、同様の伝説が採録されています。

その伝説によると、
> 羊飼いの少女が、・・・贈り物がなかった。
までは同じで、異なるのは、天使は駆けつけず、
> 少女が涙をこぼすと、その涙のこぼれた雪の中からクリスマスローズが現れて、
> 少女は、それを贈り物とした。

はは、他力本願と自力本願の違いですね。いや、失礼、茶化しまして。

なお、こちらの、自らの涙でクリスマスローズを出現させた伝説の方は、そのWikipediaの記事の注釈によると、イギリスの Royal Horticultural Society(王立園芸協会)の
「The dark side of the Christmas Rose(クリスマスローズの暗い側面)」
という記事に載っているそうです。


Helleborus niger(ヘレボルス・ニゲル)
撮影者:Michael Burgholzer
撮影日:2024.02.10

では、クリスマスローズは、「クリスマスのローズ」と呼ばれながら、キリストの誕生したとされるクリスマスのころに、なぜ咲かないか。

それは、また次回に。


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ニゲル(クリスマスローズ)

2025年02月14日 17時00分00秒 | キンポウゲ科ヘレボルス
Helleborus niger(ヘレボルス・ニゲル)
撮影者:Robert Hundsdorfer
撮影日:2008.05.27

わたしの庭には、以前、ヘレボルス・ニゲルHelleborus niger)があったのですが、失ってしまいました。もう10年近くになると思います。画像もほとんどなく、それで、今日は、Wikimedia Commons から画像を借りてくることにします。全て、オリジナルからの改変はありません。

学名 Helleborus niger「黒いヘレボルス」
英名 Christmas rose「クリスマスのバラ(クリスマスローズ)」
別名 Black hellebore「黒いヘレボルス」
和名 クリスマスローズ
別名 ヘレボルス・ニゲル、あるいは、ニゲル
キンポウゲ科(Ranunculaceae)ヘレボルス属Helleborus

Helleborus niger(ヘレボルス・ニゲル)
撮影者:Wildfeuer
撮影日:2006.12.18

花びらの色は白で、ほぼ真っ白に近いの(冒頭画像)から、中央が緑の(直前の画像)もあります。

それなら、なぜ、「白いヘレボルス」ではなく、「黒いヘレボルス」?? 学名 Helleborus nigerniger というのは、ラテン語で「黒い」という意味。何が黒い? 薬用になる根が黒いんですって。

アカネ科(Rubiaceae)アカネ属(Rubia)のアカネ(Rubia argyi)みたいなものね。草木染めの原料になる、根が茜色のアカネ「赤根」。

Helleborus niger(ヘレボルス・ニゲル)の花の異なる3段階
撮影者:P.gibellini
撮影日:2020.02.23

上の画像には、同じ株のニゲルでありながら、異なる色の花びらが見えます。これは、開花してからの日数の経過により、色が「帯色」あるいは「褪色」するのです。

咲いた時には、ニゲルの花びらは白いです(画像、中段の花)。この白さはかなり続きますが、そのうち、開花してから日数が経つと、赤っぽくなってきます(画像、上段の花)。そして、タネができるころには、花びらは、緑になります(画像、下の段)。

ヘレボルス各種の原産地を、以下の地図でご覧ください。西はイギリスのイングランドから、東はトルコ、シリア、までを見渡す地図です。その中で、ニゲルの分布は、「5」で示されています。

Helleborus(ヘレボルス属)の原産地の分布
作成者:Nalagtus
撮影日:2019.08.07

次の地図は、上の地図の中央部の拡大で、そこで、ニゲルの分布「5」が、イタリアの北部、オーストリア全域、スイスの東側半分、と、いくつかの東ヨーロッパ諸国の限られた地域、に渡っているのが、分かります。

Helleborus(ヘレボルス属)の原産地の分布
作成者:Nalagtus
撮影日:2019.08.07

ニゲルは、英語では、Christmas rose「クリスマス・ローズ」と呼ばれますが、そのことについては、次回に。


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