2021.12.05撮影
アメリカ大陸に住む「クチバシの短いカラス(Corvus brachyrhynchos)」さんたちは、基本的
には、夫婦が単位で、それに、2、3歳までの子どもがくっついてグループを形成しています。よって、4〜5羽がいっしょにいることもあります。
2羽で寄り添っているのがよくいるのですが、それらは、夫婦だと想像されます。別々に行動しているように見えるときでも、1羽が呼べば、すぐにもう1羽が駆けつけます。
子どもたちは、親や年上の兄弟に守られているか、あるいは、1羽で行動することが多いです。ですから、見ていて、危なっかしいこともあります。それでも、家族のだれかがごく近くにいるようです。
わたしのうちのあたりが縄張りの一部であるようなカラスさんのご一家に、ピーナツを差し上げている話しをすでにいたしました。
今日は、その後、事情が変わってきたことについて、お話しします。
2021.04.29撮影
ピーナツが体裁よく袋詰めにされたものは、結構高いので、わたしは、量り売りのちょっと質の落ちるピーナツを大量に買っていたのです。が、コロナの影響で、スーパーなどでの量り売りは規制(不特定多数の人が触るので)となり、ピーナツを買うのがお高くなってしまいました。その上、そもそも、出かけなくなった。それで、ピーナツがついに底をついたのです。
仕方ないので、古いお米を出してみると、パクパクと食べてくれました。あんなちっちゃいものをカラスのクチバシが器用にはさみ上げられるとは、知らなかった。
次には、古いお米もなくなり(自分で食べられるお米を供出しようとまでは思わなかった)、考えて、これも古いシリアルを食べていただくことにしました。それもうまく行った。
そして、シリアルもなくなって、、、
つれあいが、外で買い食いしたものの残りをあげよう、と言うのです。玄関口にそんなものを置くわけにいかないので、じゃあ、あまり出入りしない庭の部分(上の画像のカラスさんが食事中の石畳部分)に置いて、、、でも、これ、植え込みと植え込みの間なので、カラスさんには危険な場所ですよね、さっと飛び立てないから。それで、もっと開けたところをお食事処とすることにしました。
上の画像では、左側が玄関に続く石畳、真ん中の石畳が1羽のカラスさんがお食事中の場所、右側のが幅広の石畳です。
2023.04.25撮影
この広い方に残り物を置いたら、カラスさんたち大喜び。
それ以来、つれあいが帰ってくるのを、カラスさんたちは待つようになりました。似たような車はたくさんあるので、どのようにして彼の車が彼のだとわかるのかわからないのですが、彼の車を1ブロックぐらい前から見つけて、ついてくるんです。そして、その辺の枝にとまって、彼がお給仕してくれるのを待ちます。
あるとき、彼が手ぶらで帰ってきたことがあります。すると、期待して集まっていたカラスさんたちが激怒しちゃって、木にとまったまま、体を上下に揺すって、威嚇活動を始めました。こちらは、怖かったけど、と言うか、怖かったからこそ、無視するしかありませんでした。でも、彼ら、その辺の知恵はあったみたいで、食べ物をくれるわたしたちを実際に攻撃することはありませんでした。
その件があってから、わたしのつれあいは、何も持っていない時には、思わせぶりな振りをせず、素知らぬ顔をして、カラスさんたちのいる所を通り過ぎるようにしました。こちらも知恵を働かせなくてはね。
2023.02.21撮影
で、なんで、つれあいがそんなにカラスさんたちに人気があるか、と言うと、、、あやつめ、カラスさんたちに肉を与えるんですよ。わたし自身は肉を食べないので、どうかやめてくれ、とお願いしているのですが、残ったものを捨てるのはもったいない、と言って、聞いてくれません。
上の画像は、チキンを片足で押さえてむさぼっているカラスさんです。レタスの破片が画像左下に見えます。レタスやトマトやニンジンは、絶対に食べてくれません。お野菜も食べないと体に悪いよ、と言い聞かせたいのですが、聞く耳を持ちません。
それどころか、わたしが与える食べ物には、寄ってきません。
でも、知っていますよ〜〜だ。すぐには来なくても、後でちゃんときれいに食べてしまっているのを。
カーテンを開けたら飛んでくる、と言うのは、もう昔のことになりました。世代交代もあるのかも。寂しいなあ、、、これからピーナツを買って、また一からやり直してみようかな、と思っています。
2023.02.26撮影
これは、まだ若いカラスさん。去年の子ガラスでしょうか。このように、路上駐車したつれあいの車のすぐ側までやってきます。人間にそんなに近づいてきちゃダメよ、とさとしたいのですが、かわいい姿を見せてくれると、つい、うれしくなってしまいます。
カラスさんたちについては、今回はここで置き、またの機会に取り上げます。
2021.12.05撮影
「カラスさんたち、ピーナツ大好き」のつづきです。
カラスさんたちは、ピーナツをまくと、すぐに集まってくるようになりました。そして、わたしが玄関内に引っこんでいる限りにおいては、ドアが大きく開いていても、階段の一番上で、平気でお食事。だいたい、そのころには、ピーナツは玄関ポーチにしか置かなくなっていたので、そこで食べるしかなかったよね。
そのうち、カラスさんたち、わたしを待つようになったんです。
うちの居間は玄関側にあります。朝起きると、わたしが窓のカーテンを開けます。そのカーテンが開くのを合図に、カラスさんたちがうちのモミジバフウ(Liquidambar styraciflua)に飛んでくるのです。いた場所から、わき目もふらず、一直線に。わたしは、突撃されるようで、怖いぐらいです。
カーテンが開くのがカラスさんたちにどうしてわかるのか、わたしにはわからない。カーテンが開くと窓ガラスが反射し出す(だろう)ので、それでわかるのか???
うちのモミジバフウには、カラスさんたちがとまれるように、横に出る丈夫な枝を数本残してあります。そのうちの家の建物に一番近い方の枝が、特に、このカラスさんたち一家の休憩所となっています。
次の記事に掲載の3番目と4番目の画像で、カラスさんが止まっている枝が、その枝です。カラスさんたちみんな、そこにとまってクチバシをぬぐうので、樹皮がはがれてしまっています。次の画像の横に出た枝も、その枝です。
2022.10.15撮影
うちの庭によく来るカラスの一家は、うちの敷地あたりを縄張りの最西端としているようで、そのため、飛んでくるとすれば、東側からうちに向かってやってくることが多いです。上の画像では、右手が東方向です。わたしはこのカラスさんの一家を「東の一家」と呼んでいます。なぜかと言うと、西側に住んでいるカラスさんの一家もいるからです。
さて、カーテンが開くのを合図に飛んできたカラスさんを、わたしがもてなさないわけがありません。それで、玄関口に、ピーナツを、ふたつかみほど、ばらまきます。すごく気前がいいですね?
すると、カラスさんが玄関口にやってきます。わたしは、しばらく眺めさせてもらってから、ドアをそっと閉めて、居間の出窓の方へ引っ込んで、そこからカラスさんたちの観察を続けます。
そうこうしているうちに、わたしは、悪いことを考えつきました。次の画像をご覧ください。柵の一番上は、丸いパイプです。
わたしは、そのパイプの上にピーナツを置くようになったのです。それだけでは気づいてくれないかもしれないので、柵の足元に集中してピーナツを置き、かつ、柵の下段の水平の部分にもピーナツを置きました。
すると、カラスさんたちは、玄関口のを食べつくし、次に下の段のも食べ、次に、難なく、上のパイプの上にもピーナツがあることを見つけました。
下から眺めて思案していただけのカラスさんの負け! 早いもん勝ちで、1羽が、パイプの上に飛び上がり、上を歩きながら、あっという間に平らげてしまいました。というか、クチバシの中に詰めこんで、貯蔵しに飛んでいってしまいました。
ふ〜〜む、これは簡単すぎた。それにしても、ポーチからパイプの上へ、ほぼ垂直に飛び立てるなんて!
2021.11.06撮影
その後、わたしは、もっと悪いことを考えつきました。
次の画像をご覧ください。
2017.10.22撮影
手すりに輪の形のものが見えますね。その輪の形のものは、水平の柵の上に乗っています。そして、その輪の形のものの左右には、面積としては小さいながらも、水平の平面があります。そこにピーナツを置くことにしたんです(この画像は、ピーナツの置いていない時のものです)。
パイプに立ったままでは、カラスさんは、この位置に置かれたピーナツは絶対に取れないんですね。首を伸ばしても取れない、前のめりでずり落ちるようにしても取れない。取るには、次の方法っきゃない。
・空中に浮かんだまま
・縦(垂直)の柵につかまる
・横(水平)の柵につかまる
2017.10.22撮影
この画像は、頭脳明晰、かつ、勇気のあるカラスさんが、さて、どのようにしてピーナツを取ろうか、と画策中のもの。目に決意が表れ、脚にその決意を遂行する能力がみなぎっているが、見て取れますね。なんて、ひいき目の解説ですが。
やっぱり、最初にしたのは、空中で浮かんだまま、という方策です。これは、クチバシを適切なところへ持っていくのが難しいみたい。それでも、これで成功するカラスさんたちが数羽出現しました。
次に、空中組が試したのか、他のカラスさんたちが試したか、その辺はわからないのですが(なんせ、みんな制服を着ているので)、縦の柵につかまって、足元を安定させ、そして、クチバシのねらいをより正確にする、と考えたらしいカラスさんたちが現れました。これ、みんな失敗。なぜなら、つかんでも、つかんでも、金属製の縦の柵だから、そのままずり落ちちゃった。
最終的に試みたのは、空中に浮かんだ体勢から、すばやく横の柵に足をかけ、その一瞬でピーナツをつかみ取る、という方法。
カラスのみなさん、お見それしました。ますます好きになりました。
カラスさんのお話しは、もう一度続きます。実は、カラスさんたちが、もっと好きなものがあるんです。それは・・・
2021.12.27撮影
今日は、前回の「カラスさんたち、お食事どうぞ」のつづきです。
カラスさんたちは、ピーナツに釣られて、玄関の最上段まで上がってくるようになりました。以下の画像をご覧ください(説明を先に入れます)。画像がよくなく、申し訳ございません。
これ、玄関のドアが大きく内側に開いたまま、玄関の内側にわたしが立って撮影しているのです。この距離感で逃げないぐらいまで、訓練(?)しました。なお、カナダの家屋のドアは、内側に向かって開きます。公共の建物のドアは外へ向かって開きます。そう建造するよう、法律で決められています。
わたしが立っていても、この画像の位置よりもう少し近づいてくるのですが、カメラのシャッターの音が嫌いなようなので、もっと近づいた写真でお見せできるのはないんです。ゆっくりとご飯を食べてもらうために、わたしは引っ込みます。ドアを少し開けて見ていると、ドアのごく手前まで近づいてきます。
2021.10.18撮影
もう十分直接観察させてもらった、と思ったら、わたしは、ドアをそっと閉めて、居間に移動します。そして、居間の出窓から、玄関の方を見ます。
次の画像は、出窓の二重ガラス越しに撮影しました。カラスさん1羽がピーナツをクチバシにくわえたところです。小ぶりのピーナツなんですが(なんせ、ケチって安物しか買っていないから)、1個や2個じゃないんですよ、一度にくわえるのは。5、6個はよくあることで、わたしは、11個まで詰め込んでいくのを見ました。
その上、クチバシの中、いっぱいにしておいて、飛びながら「カーカー」と鳴くんです。ほんとですよ。ウソだと思うなら、うちに遊びにきてください。
なぜそんなことができるのか。鳴管(めいかん)にある振動膜を呼気で振動させるだけだからです。声帯で声を発する人間だって、口の中いっぱいにしても声は上げられます。舌が使えないので、言語音が出せないだけ。
2017.10.22撮影
カラスさんたちが最上段でも平気で食べるようになってからは、階段の途中には少しだけ、最上段には多く、ピーナツをまくようになりました。
一度にいっしょに食べているのは、ご一家です。よその一家は仲間に入れてくれません。うちの敷地を縄張りにしている一家を、わたしは「東の一家」と呼んでます。東の一家とは別に、お隣のうちあたりから西側に別の一家が住んでいて、それをわたしは「西の一家」と呼んでいます。
西の一家は、うちの敷地に侵入は許されず、東の一家に追い払われます。東の一家の方が、実際に腕力(翼力?)が強いのかどうか知りませんが、必ず、西の一家の方がやられます。東の一家が西の一家の縄張りに入ったら追い出されるのかもしれませんが、それは、わたしの庭からは見えない場所なので、知りません。
いずれにしても、東の一家がずっとピーナツを守っているわけではないので、街路樹に止まって見ている西の一家は、東の一家がみんな飛び立っている間をねらって、急襲します。空き巣行為ですから、食べる速度がものすごいです。
2021.08.22撮影
なぜだれもピーナツを見張っていない時間帯ができるか、というと、家族の結束があるとは言え、みなさん、テキトーに、食べ物を隠しに飛びたって行ってしまうんですよね(その辺がカラスさんたちの知能の限界か?)。カラスには、食料を蓄える習慣があり、ピーナツは腐らないので、格好の貯蔵用食料となるのです。
なお、カラスは、どの食品がどれぐらいの早さで傷むか知っていて、蓄えた順番ではなく、蓄えたものが傷んでしまわないように計算して、食料を回収します。
2021.07.08撮影
翼を広げているのは、この年の子どもです。体の機能はもう自分で食べ物を拾えるまで発達しているのに、大人のカラスさんに食べ物をねだっています。大人のカラスさんは、そこにある食べ物を全部食べてしまわずに、子ガラスさんに残しておいて、飛んでいってしまいます。すると、子どものカラスは、あれ? どうしたらいいのかな? という感じで、戸惑いながらも、しばらくしてなんとかひとりでついばみ始めます。
次回も、カラスさんたちとピーナツ!
2019.07.12撮影
このお隣の屋根の端にとまっているカラスは、うちのあたりに住み着いているカラスさんです。ご夫婦と、その2、3歳ぐらいまでの子どもたちが住んでいます。この画像中のカラスさんは、見張り役をしているお父ちゃんだと思われます。
カラスさんたちについては、今までにも書きました。そちらの記事は、この記事のPC画面左手の「カテゴリー」の欄のうち、かなり下の方にある「カラス」をクリックくだされば、見ることができます。
北米大陸のうち、メキシコ北部、アメリカ合衆国全土、カナダ南部、には、「短いくちばし」のカラスが住んでいます。以下の地図の赤く塗られた部分です。
学名 Corvus brachyrhynchos「短いくちばしのカラス」
英名 American crow
和名 アメリカガラス
カラス科(Corvidae)カラス属(Corvus)
アメリカガラス(Corvus brachyrhynchos)の分布
パブリックドメイン
アメリカガラスは4つの亜種に分けられていて、バンクーバーを含むアメリカ大陸の西部に住むカラスは、「西アメリカガラス」と呼ばれます。バンクーバーあたりのアメリカガラスを「北西アメリカガラス」と別立てにして、アメリカガラスを5亜種に分けるのは、古い分類です。
学名 Corvus brachyrhynchos hesperis
英名 Western American crow
和名 西アメリカガラス
アメリカガラスは、日本にもいるハシボソガラス(嘴細烏 Corvus corone)と同じかやや小型のカラスです。アメリカガラスは、でも、ハシボソガラスに比べ、地上にいることが多く、脚を片方ずつ出して歩いたり、両足でピョンピョン跳んだり、します。かわいいですよ。
2017.04.25撮影
あるとき、わたしは、あちこちのよそ様がカラスさんたちに食べ物を与えているのを見て、わたしもしてみよう、と思い立ちました。それで、同じするなら、玄関口まで上がってきて欲しいと思い、計画を立てました。
直前の画像をご覧ください。これは、うちの玄関口から外を眺めた景色です。玄関は、カラスさんの立っている地上から、階段で上がってきたところにあります。この画像中には、最上段以外の階段は、撮影角度のため写っていません。石畳は、門から玄関にいたる階段に向けて、幅が広がっています。
カラスさんたちに食べ物を置くところは、次のことを考慮しました。
1。カラスが危険を察すれば、植え込みに翼を邪魔されずにすぐに飛び立てる
2。玄関口にいるわたしから安全な距離がある、とカラスが感じる
ということで、初期には、上記の写真のような位置に食べ物を置きました。
置いてあるのは、ピーナツです。古いパンを与える人々が多いのですが、パンは体積の割に栄養が少ないので、カラスに限らす鳥に与えるのに良い食物ではない、と一般にされています。それで、わたしは、ピーナツがいいだろうと思い、スーパーマーケットで量り売りの(つまり、安くて大粒でない)ピーナツを買ってきました。
2021.11.03撮影
ピーナツを置くと、カラスさんたちは見つけてくれて、というか、うちの木のあたりとか屋根の上によくたむしているんですよね、わたしが置くのを見ていて、すぐに食いついてくれました。でもなあ、、、わたしが地上に置いたものが食べ物だ、となんでわかるんだろう・・・
1羽がピーナツのあるのを発見すると、安全な場所(例えば、木の枝の上)で「カーカーカーカーカーカー」(正確な回数までは観察できていない)と早口で宣伝します。すると、数羽がすぐに寄ってきます。たいていは、1羽が見張りに立ったまま、残りのカラスさんたちがお食事をします。
見張りのカラスさんまで饗宴に加わることもあります。それは、イヌを連れた人が歩道を歩いていないとか、地上にネコがいないとか、低空にカモメが飛んでいないとか、また、隣のカラス一家が侵入しようとしていないとか、のときのようです。
わたしの存在に慣れてほしい、また、ピーナツを置いているのはわたしだと学習してほしい、と思い、ピーナツを置く位置を少しずつ階段のほうへ近づけていきました。そして、カラスさんたちも、それに従い(疑いもはさまず?)、階段の方へ移動してきました。
ピーナツが階段の下のところまで来たとき、わたしは、階段の1段目にピーナツを数個置きました。そして、次の日には、1段目と2段目に置きました。これをくりかえすことにより、カラスさんたちは、階段を登ってきてくれました。ぴょん、ぴょん、と跳び上がるんですよ、階段を。上の画像は、階段の下から2段目にいるカラスさんです。
そして、ついに、わたしは、最上段の縁にピーナツを置いたんです。でも、これは、さすが、カラスさんたち、躊躇しました。わたしが玄関口に立っているんですから。
カラスさんたちは、結局、最上段には上がらず、それでもピーナツはちゃんと食べたんです。ひとつ下の段に立ったまま、首を伸ばして、最上段の縁にあったピーナツを取ったんですよ〜〜。あんなに首を伸ばすことができるとは思わなかった。1段下の階段にあった足元は見えなかったけど、背伸びもしていたのかしら。
カラスさんとピーナツの話し、つづく。
2021.11.03撮影
秋になりました。子ガラスさんたちが巣立ちして4ヶ月が過ぎました。
冒頭画像で、葉が半分ちょっと黄色く色づいているのが、うちのカラス家族がよく集まるモミジバフウです。画像中、カラスさんがとまっている木は、別の木です。
このカラスは、確証はありませんが、この年の春に生まれた子ガラスだと思います。わたしの観察では子ガラスはひとりで行動することが多いようです。でも、若いカラスかどうかは、多くは、体の大きさと、羽の艶や色からわかります。また、行動からもわかります。
このカラスがとまっている木の生えている(つまり、植えたのではない)場所は、うちの建物からほんの3メートルぐらいしか離れていないところです。それで、カラスさんがこちらに近い方の枝にとまれば、窓から手を伸ばせば触れそうなぐらいに感じます。
大人のカラスがこの木にこのように不用意にとまることはありません。とまるのは、若い鳥ばかり。
この木は、シナノグルミ(Juglans regia)で、木肌が独特です。クルミを生産する木ですが、今年、ひとつ実がなりました〜〜。
学名 Juglans regia
英名 English walnut「イングランドのクルミ」
和名 シナノグルミ(信濃胡桃)
クルミ科(Juglandaceae)クルミ属(Juglans)
2021.11.03撮影
画像に見えている石畳は、画像ではちょっとわかりにくいですが、階段です。うちの玄関へ上がってくる階段です。ここを、若いカラスさんが、ぴょんぴょんとひとりで上がってきています。わたしがまだ玄関口で立っているのにね。
ここに来れば食べ物があるのを知ってやってきているのですが、ひとりで来れば見張り番がいなくて危ないだろう、という計算が働いていないようです。
でも、それも仕方ないか。
秋ともなると、親ガラスが、自分がごはんを食べているときに、子ガラスも来て食べようとすると、追い払うんですよ。そこまでしなくていいと思うんですが。でも、大抵は、全部食べ尽くさずに、子ガラスのために残して飛び立ちます。
カラスさんたちは、食べ物が見つかると、「ガーガー」ないて、一族郎党にエサのありかを知らせます。カラス社会が一体どのように機能しているのか、わたしの観察はまだまだ足りません。
2023.02.26撮影
これは、年が明けての2月も末の画像です。生まれて大方7ヶ月ぐらいの子ガラス(次の赤ちゃんガラスが生まれていないので、子ガラスと呼んでいい?)です。
この子ガラスは、わたしたちが車を路上にとめている、その足元に寄ってきたのです。カラスの立っているぬかるみが、駐車する時にできる車輪の跡です。
かわいいけど、そんなに寄ってきちゃダメよ、と思いました。意地悪人間はいるんだからね、と。でも、わたしたちのことは、エサをくれる人間、と認識しているのでしょう、子ガラスながらも。
2021.03.26撮影
春になりました。スモモの花が咲いています。一見サクラのように見えますが、これはスモモです。サクラかスモモかというのは、複雑な問題なので、ここでは立ち入りませんけど、、、その話は、いずれまた。
学名 Prunus cerasifera ‘Thundercloud’
英名 Cherry plum「サクランボのようなスモモ」
和名 ないもよう
バラ科(Rosaceae)スモモ属(Prunus)
この満開のスモモの花を背景に、子ガラスが、モミジバフウの枝にとまっています。
もっと小さい時には、座り込んでいる時には疲れ切って見えました。でも、同じように座り込んでいても、ここまで成長すると、疲れ切って座っている、というようには見えません。体のプロポーションも大人に近づきました。
2023.03.28撮影
このスモモの咲く3月末になると、親ガラスたちが巣作りを始めます。古い巣を補修することが多いようです。新しいつがいは、新しい巣を作るか、あるいは、もう使われていない巣を利用するのでしょうか。
小枝が地上に落ちているようになると、巣作りが始まったな、とわかります。カラスさんたちが巣作り用の小枝をクチバシで挟みちぎり、その多くを落とすからです。そして、上の画像のように、風流な枝が落ちていることもあります。
スモモに巣を作るカラスさんたちは、スモモの季節による変化をうまく利用することができます。花は咲いているけれども葉が茂りきっていないときに、巣作りを始めます。こうすると、巣を作る枝等を持ち込むのに便利です。そして、巣作りが終わるころには、葉が巣をほぼ隠してしまいます。
子どものカラスたちは、数年、親ガラスの元に留まり、子育てを手伝います。子ガラスはこのようにして学習を続ける、親ガラスはいい手伝いがいてくれる、ということになります。
2021.06.03撮影
計算で行くと、西アメリカガラス(Corvus brachyrhynchos hesperis)の子ガラスは、バンクーバーあたりでは、5月の終わりごろ巣立ちします。
冒頭画像のカラスさんたちは、一方が大人のカラスで、他方が子ガラスです。
この画像では、子ガラスが、赤い口の中をわずかに見せています。右のカラスさんが、その口の中の赤い子ガラスです。
この子ガラスは、わたしがこの画像を撮影するしばらく前まで、左側にいる大人のカラスに向かって、エサをねだっていました。この大人のカラスは、親鳥かもしれないし、年上の兄弟かもしれません。
でも、くれないので、むなしく不平を赤ちゃん言葉で言っているところです。子ガラスの鳴き声は、大人の鳴き声よりやや高く細いです。アメリカガラスの鳴き声は、一般に「ガー」みたいなものですが、子ガラスは「アー」みたいに鳴きます。
この、カラスさんたちの止まっている木は、モミジバフウ(Liquidambar styraciflua)です。このモミジバフウについては、数度書きました。そのうちのひとつは、次の記事。
このモミジバフウは、かなり太い幹で、その幹からは、水平に出ている裸の枝が数本あります。カラスさんたちが何度もとまって、表面がはげちゃった枝です。
上の画像には、そのうちの2本が写っています。これらの枝は、木の伐採業者に入ってもらったときに、わたしが、切り取らないように頼んで残しておいてもらいました。なぜ残しておいてもらったか、と言うと、うちのあたりをナワバリとするカラスの家族が、集まって団欒するからです。
その団欒する場所に、子ガラスが家族の他のメンバーととまっているのは、成長の証だと思いました。
2021.06.03撮影
上の画像は、もう寝る準備を始めている時間です。明るく見えますが、それは、やや西陽に向かってカメラを向けているからです。
巣立った子ガラスは、夜、寝るとき、みんながバラバラの場所でひとりで身を隠して寝ます。その方が「分散」できていて、安全、ということでしょう。全員一度にやられるより。
親鳥が「点呼」をしているようにあちこちを飛び回っているのは見たことがありますが、それが実際に、子どもたちが寝る場所を確かめていたのかどうかは、分かりません。
この子ガラスは、まだまだ場所を物色しているところ。わたしは、このような子ガラスを見つけると、時間があれば観察を続けます。すると、そのうちしっかりと隠れるのです。でも、わたしには大体どこにいるかわかっているので、木の枝の間から子ガラスを認めることができます。そして、暗くなるにつれて、子ガラスの姿も闇に紛れてしまいます。
ただ、目の前に木があって、例えそこに子ガラスが潜んでいても、それを探し出すのは難しいです。
子ガラスが、うちの敷地内や、うちから見えるところで寝てくれると、うれしく感じます。うちのカラスちゃん、と情が移ります。
2021.06.09撮影
これは、子ガラスが、同じモミジバフウの木の高いところで、ひとりでいるところ。それを、切り取りではなく、大写しにしたのが、下の画像。クチバシの脇が赤いのが見えます。足を使ってすくっとは立っていないので、休憩中だと思われます。体型が幼いですね。
2021.06.09撮影
さあ、上の写真から、1ヶ月が経ちました。次の画像をご覧ください。
わたしは、カラスさんたちにエサをやるのですが(実は、ここ半年ほどはしていないけど)、普通は、玄関を出たところに、古くなったお米とか他の穀物類とかクラッカーとかをばらまきます。下の画像では、米粒が写っているのですが、見えますか。
この米粒を、大人のカラスは器用にクチバシで拾うんですね。
この画像には、2羽のカラスさんが写っています。右側のカラスさんは大人のカラスです。うつむいている姿のシッポの方は、白い(きたない)柱に隠れています。左側のカラスさんが、子ガラスさんです。
この子ガラスさんが、大人のカラスさんに、エサを求めています。翼をこのように広げるのは、食べ物ください、のジェスチャーです。
実は、子ガラスは、前にも述べましたが、小さいうちは自分ではエサが目の前にあっても拾えないのです。でも、ここまで成長すると、拾えるんですよ。でも、やっぱり筋肉を操るのは大変なんでしょうか、あるいは、甘えているだけ? 大人のカラスさんがいたら、とにかく、ねだります。
この大人のカラスさんは、子ガラスさんを、無視。
2021.07.08撮影
次の画像は、それから10日経って。この木は例のモミジバフウで、ここはカラス家族のリビングみたいなものです。そこで、大人のカラスさんは、子どものカラスさんを、完全無視。でも、子ガラスさんも、そろそろ、現実を受け入れかけているようです。
2021.07.18撮影
ここまで成長すると、大人のカラスと、子どものカラスとの追いかけっこが始まります。子どもが大人にエサをねだるのですが、大人は素知らぬ顔をして飛び立ってしまうのです。すると、子ガラスがそれを、即、追いかけていく。
まあ、それはいいことだ。大人について飛べるだけの力がついたということですから。
この大人たちの行為は、子ガラスたちに自分でご飯を探して食べるように促すだけでなく、飛行力をつけさせる効果がある。実際、このような追いかけっこが始まっても、大人は、時々、子どもに食べさせていますもん。
でも、口の中が黒くなったら、もうエサはくれない。
そうすると、本格的に大人のカラスが「もういい加減にして〜〜」という感じで逃げます。そういう解釈は、想像のしすぎかもしれないけど。
2021.06.01撮影
冒頭画像に子ガラスが1羽写っているのですが、どこにいるかお分かりになりますか。クチバシの脇がちろっと赤いのを探してくだされば、わかるかもしれません。
ここは、うちの玄関前の1階へ向かって上がっていく外階段で、階段の端に、黒いプラスチックの植物の鉢を置いてあります。画像中、右と左の鉢には、まだ、値段を示すラベルが貼られています。・・・あ、でも、これらのラベルは、階段を上がり下がりする人間には、見えないんです、うん。
子ガラスさんは、2番目の鉢の、こちらから見て左手にいます。この画像を写した直前には、鉢と階段の隙間の狭いところに頭をつっこんでいました。その無防備さ、警戒心の低さ(なさ?)、に、ヒヤヒヤしたわ〜。この辺りは、ネコさんもアライグマさんも住んでいるのよ。
大人のカラスさんたちがどっかに頭を突っ込んで平気でいるなんてことは、ぜ〜〜〜〜〜ったいにありません。突っ込む必要があるなら、さっと突っ込んで、さっと頭を抜き出し、周りを仔細に確かめ、時間をかけて安全を確認してから、また、頭を突っ込む、の繰り返しです。
2021.06.01撮影
ああ、またそんな茂みの中に向かって、ひとりで、ぼう〜〜〜、としている。ハラハラするわ〜。
子ガラスが飛行練習を始めると、親は子ガラスを放っておきます。見かけ上は、ですが。人間の目で探せなくても、どっか近くで、親や年上の兄弟が見守っています。「自由」にさせられている子ガラスは、何をどのように習うのでしょうか。
この成長段階の子ガラスは、自分でエサを探してくることも、エサを食べることもできません。
子ガラスは、親などに連れられてエサのあるところまで来ます。親たちが食べ出すと、食べ物は、子ガラスの目の前にもあるわけです。でも、子ガラスは、自分でそれを拾えない。それで、親鳥か年上の兄弟が、子ガラスに食べ物を口移しして食べさせることになります。
ほら、そこに食べ物あるじゃん、と思っても、まだ運動神経が発達していないんですね。自分で首を伸ばして下へ差し出せない。それで、大きく口を開けて、食べさせてもらっています。
子ガラスは、また、ひとりでいるところへ、親鳥などがエサを運んできてくれることもあります。これは、やはり、親鳥に随伴して飛行できないからでしょう。
2021.06.01撮影
子ガラスは、クチバシの両脇が赤いのですが、上の画像の子ガラスは、まだ幼いですね。赤い部分が大きいです。成長するにつれて、この赤い部分がだんだん小さくなっていきます。
クチバシの脇が赤いうちは、口の中も赤いです。口の中の写真は撮れていないので、お見せすることができません。そして、借りてこられる画像を随分探したのですが、見つけられませんでした。
親鳥たちは、子ガラスが口を開けて、この赤い部分を見せると、エサを与える衝動に駆られるのだそうです。子ガラスは、口の中が赤い間は、親鳥に養ってもらえます。
以下は、ツバメの子どもがエサをくれと口を開けているところですが、この黄色く見える部分が子ガラスでは赤いと思ってください。
2023.06.06撮影
ツバメ〜帰国日記1
以下の画像は、子ガラスが翼を伸ばそうとしているところです。やっぱり、頼りないわ。羽もふわふわしているし、艶々感が低い。お顔も幼い。
そして、クチバシの脇だけでなく、足も赤っぽいです。脚は黒いですが。
2021.06.01撮影
大人のカラスさんの足は、以下の画像で見ることができます。大人の足は(脚も)黒いです。
2023.04.25撮影
カラスさんからちょっと離れて隣にいる鳥は、カモメさんです。これは、ワシカモメ(Larus glaucescens)のようですが、確信はありません。バンクーバーにたくさんいます。カモメについては、またの機会に。
学名 Larus glaucescens「灰色のカモメ」
英名 Glaucous-winged gull「灰色の翼のカモメ」
和名 ワシカモメ
カモメ科(Laridae)カモメ属(Larus)
原産 カリフォルニアから北海道へかけての北太平洋岸
2021.12.27撮影
トロント発、速報:
8月4日、トロントのスパーマーケット前の路上で、女性がカラスに襲われ、鼻に流血するケガを負いました。骨に異常はありませんでした。スーパーマーケットの救急係がたまたま駐車場で休憩中の出来事で、襲撃を目撃し、路上に膝をついている被害者を助け起こし、スーパーマーケット内で応急手当を施しました。大ケガではない、ということです。その救急係の人の言うには、女性がサングラスを頭の上に乗せていたのが引き金ではないか、ということです。
・・・・・
このカラスに襲われた女性は、わたしの知り合いの娘さんです。直接話したのではないので、詳細はわからないのですが、カラスがどこからどのように飛んできたか、興味のあるところです。
人間がカラスに襲われることは、カナダでは日常茶飯にあることですが、血が出るまでには普通至りません。また、カラスが人間の頭には触ってきても、顔を攻撃するのも、そうありません。それで、なぜそこまでエスカレートしたのか、興味があります。
バンクーバーでは、子ガラスは巣立ちして2ヶ月にもなります。が、トロントではそれより遅くて、今、ちょうど、親ガラスたちはピリピリしているのかもしれません。
あるいは、襲撃カラスさんが、彼女を、自分が常日ごろからうらみに思っている他の人と取り違えたのでしょうか。カラスは人間の顔を認識するんですが・・・
この「カラス襲撃事件」は、バンクーバーではなくトロントで起こったので、この襲撃カラスさんは、東アメリカガラス(Corvus brachyrhynchos brachyrhynchos)でしょう。バンクーバーだったら、西アメリカガラス(Corvus brachyrhynchos hesperis)です。
なお、冒頭の画像は、今日の事件速報の内容にはまったく関係がありません。季節も異なるし、アメリカガラスの別亜種だし、ましてや、襲撃したカラスご本人さまでもありません。単に、アメリカガラスの飛んでいる姿が写っている、というだけで、この画像を選びました。
「子ガラス、その2」は、明日になります。
2023.03.28撮影(若い繁殖していないカラスと思われる)
書き出してから1周年、ということで、わたしの最初のブログ記事「モミジバフウでいい感じの、カラスのご夫婦」(2022.08.02)にちなみ、今日から数日間、カラスさんについて書きます。でも、今回は、ご夫婦のことではなく、子ガラスについてです。
画像の2番目、3番目、4番目が、子ガラスさんです。冒頭の画像は、時期的なものと1羽でいるところから見て、繁殖していない若いカラスだと思います。この時期は、つがいは巣作りに励んでいます。
日本のカラスと言えば、
・ハシブトガラス(Corvus macrorhynchos「大きいくちばしのカラス」)
・ハシボソガラス(Corvus corone:種小名の意味不祥)
北米には、何種類かカラス属の鳥がいますが、そのうち広範囲に分布するのが、
・アメリカガラス(Corvus brachyrhynchos「短いくちばしのカラス」)
です。
このカラスは、日本のカラスでは、どちらかと言えば、ハシボソガラスに似ています。
学名 Corvus brachyrhynchos「短いくちばしのカラス」
英名 American crow「アメリカガラス」
和名 アメリカガラス
カラス科(Corvidae)カラス属(Corvus)
原産 北アメリカ
このアメリカガラスには、現在、4亜種が認められていて、うちのあたりに住んでいるカラスさんたちは、「西アメリカガラス」です。
学名 Corvus brachyrhynchos hesperis
英名 Western American crow
和名 西アメリカガラス
原産 北アメリカ西部
2021.05.26撮影(巣立ち直後の子ガラス)
早いつがいは4月初めころに抱卵を始め、孵化期間は18日間、巣立ちは孵化後36日くらいだそうです。
ということは、抱卵が始まってから54日くらい(約8週間)で巣立ちする、ということで、抱卵が4月初めに始まったのなら、巣立ちは5月の終わりの週であることになります。バンクーバーは暖かいので、抱卵が始まるのは3月末かもしれません。
直前の画像と、ここから先2枚の画像は、そんな巣立ちすぐの子ガラス(同一個体)です。うちの2階のベランダの手すりにとまっています。撮影は、二重ガラス(+網戸)越しにしました。
子ガラスだなんて、なぜ、わかる、って? 子ガラスの特徴は以下以外にもあるのですが、画像から読み取れるのだけにすると、
状況
・羽を膨らませて、疲れたとばかり、休んでいる
・無防備な(=逃げるのに難しい)位置(後ろは家屋のガラス戸)にとまっている
・ガラス越しとは言え、50cmに人間が近づいても逃げないほど無頓着
体
・小柄
・羽の色の黒さが薄い
決定的特徴
・クチバシの脇が赤い
2021.05.26撮影(巣立ち直後の子ガラス)
この家に引っ越してきたとき、周りにカラスが多いのにびっくりしました。巣作りに最適な木が街路樹として並んでいるからだろう、と思います。そして、立地的に、エサを求めやすい地域なんだと思います。
この子ガラスさんは、飛行練習中の休憩をしているところだと思われます。
飛行練習すると、疲れるんですよね。この子ガラスさんは手すりに足でちゃんととまって立っていますが、地上に「落ちて」いる子ガラスさんもいますよ。もう飛べなくなって、体ごと「へたり込んで」いるんです。中には、横向きに「転がって」いる子もいます。
でも、大丈夫、親や年上の兄弟が、どこにいると人間の目にははっきり見えなくても、必ず近くで見守っていますから。
中には、親の見守りや激励があっても動けない子もいます。もう日が暮れたのに草陰にうずくまり、親が長い時間促してもどうにもならず、危険な地上で一夜を過ごすことになる子もいます。巣立ちした子どもは、本来は、1羽ずつ離れて、樹上で身を隠して寝ます。
子ガラスが、人家の庭でではなく、道の近くの地上か樹上でへたっているところに、怪しい人間が近づいてくると、親ガラスは、ガーガーワーワー大変な騒ぎですよ。かすめるように飛んでこられて、それは怖いです。
でも、親ガラスは、危険な人間ではないと認識している人には、こういう威嚇行動はしません。カラスには、人間の識別能力があります。わたしのつれあいは、車のナンバープレートまで見分ける、と言いますが、それはいくらなんでも・・・
2021.05.26撮影(巣立ち直後の子ガラス)
この家に住み出して初めての、子ガラスの時期、隣の雨樋(あまどい)の曲がったところに巣をかけたカラスがいたんです。なんでそんな丸見えのところに? 新米夫婦で、巣の場所の獲得戦に負けたのか?
その巣が、うちの2階のベランダからちょうど目の前に見える位置だったんです。上の画像では、ずっと右の方です。それで、わたしは、大喜びでベランダに出て、手すりから身を乗り出して、つらつらと巣の中のだいぶん成長した子ガラスたちを眺めていました。もっと早く気づけば良かったなあ、成長日記をビデオに撮れたのになあ、なんて思いながら。
すると、巣に帰ってきた親ガラスに、突如、突進してこられた。羽ばたきの空気圧まで感じられたわ。親ガラスは手すりに着地したが、その前に、わたしは手すりを押して、それをバネにして体をよけたので、大事に至りませんでした。大急ぎで屋内に避難。逃げていなければ、やられるところだった。
それから何週間も、庭や道に出るたびに、親ガラスに耳元をかすめるように威嚇飛行をされました。帽子や着るものを変えたりしても、姿勢や歩き方を変えても、認識されちゃうんです。玄関から出てみたり裏口から出てみたり、また、普段と反対方向に歩いたり、しても、それでも、分かられてしまう。
防御方法はわからなかったんですが、とにかくつば広の帽子をかぶって、うつむいて、決して相手を見ない、耳元を飛びすぎても反応しない、走らない、ひたすら同じペースで歩く、で何とかやり過ごしました。
それにしても、ヤツらは、耳元をかすめるのが効果的だと知っているんですよね。頭への攻撃と同じですからね。ヒザあたりとか、コシあたりとか、とは、怖さがまったく違う。それも、相手にやり返される可能性のある前からではなく、後ろから襲ってくる。あ〜〜、こわ。
もうひとつ分かったことがあります。傘を持っていると、もっと警戒される。うかつに傘を持って外へ出た時には、えらい目にあいました。バットでもゴルフクラブでも同じことだと思います。道具の長さを認識するんですね。
でも、あっちだって、別に人間を襲いたくないんだと思います。なんと言っても人間の方が体が大きいですからね。ですから、警告行為には出るけれども、実際に襲ってくることは滅多にない。そう思うと、わたしがあのベランダで子ガラスたちを見ていた行為は、親鳥には挑発でしかなかったんだろうな、ごめんね。
2019.07.12撮影(大人のカラス:見張り中?)
ところで、アメリカガラスの人間を認識する力については、研究がたくさんあり、また書籍もたくさん出ています。わたしのように巣の中にいる子ガラスたちを眺めていただけでなく、カラスに直接的な害を与えたと見なされる(例えば、実験として、死んだカラスの模型を持っている)人は、カラスさんたちには、何年も、世代を超えて忘れてもらえないそうです。
つづく
2022.06.01撮影
この2羽のカラスは、アメリカガラス(Corvus brachyrhynchos)の夫婦。庭によく来て、エサを取ったり、わたしたちがあげたのを食べたり、水をカラス用にと浅い容器にためてあるのを飲んだり、休憩したり、遊んでいったり、してくれます。バンクーバーでは野鳥にエサをやる文化があり、カラスもその例にもれません。
アメリカガラスは、日本のハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)よりも小さく、地上をピョンピョンと飛んだり、ひょこひょことお尻を振って歩いたりします。とてもかわいいです。
2017.05.31撮影
カラス夫婦のとまっている木は、モミジバフウ(Liquidambar styraciflua)。「紅葉葉楓」と書き、「モミジの葉のようなカエデ」?
幹の上の方は、樹皮がまだらにはがれ、白っぽくなるところがあります(冒頭の画像、左)。地上に近い方の樹皮には、コルク層があり、幹に縦に裂け目が出ます(冒頭の画像に写っていませんが、次の画像には写っています)。
2022.04.07撮影
コルク層は、古めの枝にも見られます(冒頭の画像、左上、および、次の画像)。
2019.05.09撮影
上ふたつの画像で、カラスさんのとまっている枝がはげているのは、ご夫婦に加えて子どもたちもやってきて、しょっちゅうとまって、おまけに、また、クチバシを「ふいて」行ってくれるので、こんなになってしまいました。剪定をした時に、止まり木として残してある横枝です。
葉っぱはきれいな緑で、形はカエデ様(よう)。特色のあるイガイガの実をつけ、何ヶ月もかかって順番に落ちてきて、それを踏みつけると、存在感があります。最初は緑(冒頭の画像、上方)で、熟してくると焦茶色になりますが、緑のうちでも、焦茶色になってからでも、随意に(?)落ちてきてくれます。通行注意。
後ろに見える葉っぱは、スモモの一種(Prunus cerasifera 'Thundercloud')で、紅葉ではなく、葉が出て落葉するまでこういう色です。春先に、小さめの薄いピンクの花が咲きます。日本の梅のように艶やかではありません。夏には、サクランボのような赤い実がなりますが、だれも採ろうとしないところを見ると、人間の口には合わないのでしょう。