2021.05.28撮影
マゼンタの花シリーズは、今日で終わりです。マゼンタの色の花が庭で一度に咲いて、うれしかったです。
今日のマゼンタの花は、前回
のつづきで、「ビーバンのフウロソウ(Geranium macrorrhizum 'Bevan's Variety')」です。
このフウロソウは、花びらがマゼンタであるばかりではありません。ちょっと色合いは異なるのですが、花糸(オシベの軸の部分)も花柱(メシベの軸の部分)も、マゼンタです。特に、花びらが落ちてからのオシベが見事です(冒頭画像)。
オシベは束となって残り、上を向いて突き出します。実際、花よりも形がおもしろくて、目立つくらい。
2023.05.20撮影
前回、オシベがヤクを開き、花粉を出して、「授」粉できるようになっているのに、メシベはまだ「受」粉体制に入っていない、というところまでお話ししました。
なんで協力しないんだ!!! とも言いたいのですが、彼らには彼らなりの理由があり、それはそれで、理屈はある程度通っている。
直前の画像には、開いた花がふたつ写っていますが、両者は日齢が異なります。
右側の花には、まだ花粉を出しているヤク(黄色っぽい粉のついているヤク)と、衰退したヤク(茶色がかってしぼんでいるヤク)とがあります。メシベは、この画像中では判然としません。
左側の花は、右側の花よりもう少し日齢の進んだものです。ヤクは茶色っぽくしぼんでいるか、あるいは、花糸からもう落ちています。つまり、もう生殖能力がないのです。
ここで代わりに目立つのは、メシベです。画像中、オシベよりもより長くなっているメシベが、オシベの先の位置から言うと、左上方向に伸びています。そして、その先が、割れて開いています。これが、メシベが受粉可能な状態です。
2024.05.11撮影
上の画像では、オシベの束が6つ見えます。そのうち、5つの束の間から、メシベがのぞいているのが写っています。柱頭が5裂しています。
一番上部にあるオシベの束は、わたしがうかつに先を画像から外してしまったのですが、それでも、その先には柱頭があるのだろう、とわかります。なぜなら、オシベに囲まれて、タネのサヤがもう形成されていますから、軸みたいに見える緑のものです。
2024.05.14撮影
上の画像では、若いタネのサヤに柱頭のついたメシベが残っています。
タネができる? いや、これ、おかしいんじゃ? オシベが花粉を出している時には、メシベはまだ受粉できるようになっていなかった。それなのに、なんでタネができるのよ。タネって、受粉の結果よね(大方の場合)。
メシベが成熟するのをオシベよりも遅らせたのは、自家受粉を避けるためです(と、学者が言っています、植物に聞いたわけではない)。その代わりに、メシベは他の花の花粉をもらいます。
このように、メシベの成熟の方が後発、という花は、たくさんあります。
でもね、わたしは、いつも考えるんです。1個体の植物があって、その花のひとつひとつがオシベとメシベの成熟をずらしても、自家受粉は避けられないと思う。なぜなら、早く咲く花も遅く咲く花もありますから。となりに咲いている花の花粉で受粉したら、自家受粉じゃ? 遺伝子、同じよね???
2024.04.26撮影
「ビーバンのフウロソウ」の花には、メシベしかつかないものが結構現れます。オシベがない、というより、退化しているようです、痕跡みたいなものがメシベの根本についていますから(次の画像みたいな感じ)。要するには、これは、雌雄別花のハシリでしょうか。
2023.05.03撮影
上の画像では、退化したオシベだけでなく、花軸が二股に分かれること、その股のところに花がつくことがあること、また、股の部分にある「葉」が左右に分かれること、などが読み取れます。
しばらく続けましたマゼンタの花シリーズは、ここで終わりです。