カラスといちごとクロッカスと

身の回りの鳥や小動物、庭の花や畑の野菜など、日々日々、季節季節の情報を、
個人の目をとおしてお届けします。

寒いよ〜(夏休み中、緊急報告)

2023年07月27日 08時00分00秒 | 気温、天気、天候、気候

2023.07.24撮影

昨日、夜中に雨音で目が覚めました。お天道様に感謝。やっと雨。6月半ばから、バンクーバーは、からから。お庭の植物がいっぱいあちらの世界へ行った。散水制限があるので、水は自由にまけない。

ベッドから出ると、震えましたよ。うちは床暖房なんですが、暖房が自動的に入っていました。その温もりに、ホッとしました。

いつものように外の温度計を見ると、13℃ちょっと。

フサフジウツギの薄い色のが雨に濡れているのを撮影しましょう。


2023.07.24撮影

夕方、お友だちが届け物をしてくれて、ふたりで、雨の降っていることを「ありがたい」、文字通り、「有り難い」、と感謝しました。寒い、なんて言っていられません。

翌日も、朝、震えました。

暖房は22℃にセットしてある(夏でも)のですが、室温は、20℃行くか行かないか。仕方ないので、室内用の上着を羽織りました。

2023.07.25撮影

今日の気温は、昨日よりちょっとマシなのね。14℃を少し出たぐらい。


2023.07.25撮影

バンクーバーでは、例年、8月の1週間目がが〜〜んと暑くなります。その後は、暑さが来たり行ったり。さあ、来週はどうなるのだろう。

わたくしメ、今のところ、予定どおり、8月の始めころに、ブログを再開したいと思います。ただ、建築屋さんにしてもらう改装(屋内の一部ですけど)がいつまでかかるのか・・・、というか、いつ工事が始まるのか・・・今、まだ設計の段階です。工事が始まると、工事やってる横で、のんきにコンピュータなんかいじってられないかもしれない。

以上、夏休み中の、緊急報告でした。


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暑くないよ〜〜(近況報告)

2023年07月18日 08時00分00秒 | 気温、天気、天候、気候
2023.07.13撮影

バンクーバーでは、そう暑くありません。外へ出ると、ここ数日は、ちょっと蒸しっとしますけど、そして、お出かけなんかすると、暑くは感じますけど。第一、日本生まれ、日本育ちの日本人が、バンクーバーで「暑い」なんて言っちゃいけません、うん。

上の温度計は、うちの北側の窓の外につられているものです。北側であるだけでなく、ここは木々に覆われているので、他所よりは気温が低いでしょうが、お天気サイトに出ている気温と、そんなに変わりませんよ。

以下は、カナダ政府の出している、(わたしがこの記事を書いている)現在(北米太平洋岸時間で7月16日)と(7月17日に始まる)先1週間のお天気情報です。昼間の気温として上段に書かれているのは、その日の最高気温、夜の気温として下段に書かれているのは、その日の最低気温です。スクリーンショットでお見せしています。

Government of Canada
British Columbia > Vancouver



うちは主寝室が2階の南向きで、家中で一番暑い部屋です。でも、今のところ、寝るのに全く問題ありません。この部屋は、大体が、1年の半分以上は、厚いカーテンを閉めたままです、熱を入れないようにするために。

本当に暑くなってくると、1階の居間(リビング)で寝ることになります。もっと耐えられなくなると、ひんやりした地下室へ避難することもできますが、それはしたことがありません。

今年は、エアコンを買おうか、検討中です。理由のひとつは、ブリティッシュ・コロンビア州内陸部でもう何週間も山火事がつづき(消防士が各地からの応援も含め、2000人で消火活動をしているそうです)、バンクーバーもその影響で煙が流れ込んでいて、窓をなるべく開けたくないのです。

窓を開けない(数ヶ所、少し開けてありますが)となると、空気の入れ替えができませんので、やっぱりエアコンが必要か? と。でも、あまりにも長く検討していると、売り切れになるかも。

2023.07.04撮影(フサフジウツギ)

今、フサフジウツギ(Buddleja davidii)がきれいに咲いています。うちには、3色で合計4本ありますが、どれも、植えずに生えてきた物です。

わたしは、4本のうちの1本か2本をだれかにもらって欲しいのですが、だれももらってくれません。なぜなら、みんな、うちで大きく茂るフサフジウツギを見て、恐れをなしているからです。チョウやハチドリが訪れるよ、となだめすかしているのですが、だれも要ると言いません。

うちで一番大きいフサフジウツギは、南側の庭にあるせいもあって、幹も枝も太く、丈も4メートル近い。元気なのはいいのですが、このフサフジウツギさんに、このままお好きにしていただくと、南の庭にさえ日影が誕生します。それでは、困るんですよ。

それで、今年は、電動のノコギリを購入して、春にこの一番大きい株を大伐採しました。ふ〜〜。

それでも、花をたくさんつけてくれています。庭中甘い匂いがただよいます。主寝室の窓を開けていれば、寝室はもちろんのこと、2階中、うっとりするような香りが満ちます。


2021.08.18撮影(フサフジウツギにとまるハチドリ)

今年も、ハチドリ(Trochilidae)が、フサフジウツギにやってきています。今年こそはもっといい写真を撮りたいと思うのですが、あ、チャンス、と思うときには、カメラを持っていない。庭に出る時には、必ずカメラを携えるようにしないとダメですね。

上の画像は、2年前のものです。この個体は、英語で Anna's hummingbird「アナのハチドリ」(学名 Calypte anna)と呼ばれるハチドリ、そして、これはそのメスだと思われます。オスは、背中側が赤茶色です。


以下のビデオもご覧ください。

Female Rufous hummingbird

2023.07.14撮影(ブルーベリー)

うちには、ブルーベリーの木が3本あります。みんな異なる園芸種で、実の大きさや形、また、味や歯触りなどが異なります。実のなる時期も少しずれています。

最初に実が熟しだした木(上の画像)からは、この2週間ほどで、すでに700個以上を収穫しました。短い果柄が出ているのが、実を摘んだあとです。画像、左奥には、青い実がまだまだついているのが見えます。

このブルーベリーの木ですよ、うちの庭に出没するネコさんが、いつも低い方の枝にスリスリしていたのは。今は、そのあたり一帯、夏の草花が茂っているので、ネコさんは通り道にしていないとは思うのですが、食べるときにはよく洗おう、と思いました。そして、案の定、ネコさんのらしい毛がくっついている実がありました〜


後の2本のブルーベリーは、収穫を始めたばかりです。下の画像が、そのうちの1本。まだ花殻がくっついている実もあります。

2023.07.14撮影(ブルーベリー)

ブラックベリーも実を結び始めました。これからどんどん熟していって、それに追いついて実を摘まないと、熟したのがポタポタ落ちるようになります。そうすると、一帯が赤紫に染まるし、第一、食べ物がもったいない。でも、白状すれば、ブラックベリーはイヤというほどなるので、かなり飽きてくるんですよね。

2023.07.14撮影(ブラックベリー:初物として収穫)

上の画像中、恐ろしいトゲがあるのが見えますか。このブラックベリーは、園芸種ではなく多分野生種(勝手に生えてきたので)なので、こんなにトゲがあるんです。実を摘むときには、気をつけないといけません。それでないと、泣くことになります。


今年は、実が熟し始めているのに、花もまた同時に咲いている(これは多分、わたしが日本から帰ってきてから、強選定したため)ので、収穫期間が延びることでしょう。

次は、日暮前に撮影したブラックベリーの花です。いくらなんでも、これは撮影には暗すぎる。そのせいではありませんが、今回の花の花びらは、かなりピンクがかっています。

2023.07.14撮影(ブラックベリーの新しい花)

そして、もうあんまり暗くなったからと、家の中に入ろうとすると、キウイの棚の前にぼ〜〜と浮かび上がったものが・・・それは、ユリの色づいた大きなツボミ。この百合は、英語では、Lily tree「ユリの木」とか、Tree lily「木立ユリ」とか、言うのですが、名称が眉唾ではある。そのことについては、またのときに書きます。

2023.07.14撮影(ユリ)

と、まあ、このように、わたしはまったりとしています。と言っても、業者さんに家に入ってもらわなくてはならないことがあるので、そうゆっくりもしていられませんが。

その業者さんのこともあって、今日から、2週間ほど、夏休みを取ります。8月の始めにまたお目にかかります。

再開するころには、わたしがブログを書き始めてから1年になります(開設したのは、何年も前であるようなのですが、ブログアカウントがあるのを忘れていた)。記事更新をしない間、わたしの古い記事など、読んでくだされば、幸いです。

以下は、今朝(7月17日:日本から約1日遅れている)、お昼前ですが、温度計を見ると、20℃を切っていました。うれしがるべきなのか、心配するべきなのか、ちょっと複雑な気持ちでした。気温が低いうちに、庭仕事に精を出しましょう。


2023.07.17撮影


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エリゲロン

2023年07月17日 08時00分00秒 | キク科
2013.06.12撮影

これは、うちのエリゲロン(だった)。

「だった」というのは、悲しい物語があるのです。その悲しい物語というのは、いつもの、樹木が大きくなって日陰ができて、植物がおなくなりになった、だと思うでしょ。違うんです。

わたしのエリゲロンに起こった、このあまりにも悲しい出来事は、今思い返しても、なぜこんなことに?? とよく理解ができない。

このお話をする前に、バンクーバーの宅地がどのようになっているか、一般的なところを説明します。住宅地は、次のようになっています。車道から家屋に向かって、

1.車道
2.(芝生+)歩道
3.市の所有地で、住宅の所有者が管理を任されている土地(半〜数m)
4.住宅の前庭
5.家屋
6.住宅の裏庭
7.車庫
8.市の所有地で、住宅の所有者が管理を任されている土地(半mぐらい)
9.路地

わたしがこのエリゲロンを植えたのは、うちの南側の庭(=裏庭)が、まだ芝生と野菜畑で、花壇のなかったときです。太陽の当たるところを求めて、わたしは、このエリゲロンを8の市の所有地に植えました。うちが管理を任されている土地です。

8は、車庫と路地の間の部分であるので、大抵のうちではその土地をコンクリートで固めてあります。そして、うちもそうしてあります。ところが、お隣に接した部分に、わずかに土がむき出しになった所があります。

その土がむき出しの部分の向こうには、お隣が、自分の裏庭の延長として花壇にしている、市の所有地がつづいています。

(うちのあたりの住宅地では、法律で、車が最低2台は止められる車庫、あるいは、カーポートを作ることになっているのですが、この家は、法律違反をして、車を止める施設を作っていないのです。だからね、お庭が広いのよ。)

わたしは、このピンクのエリゲロンを植えて、何年もきれいに元気に咲いてくれて、大満足でした。

2013.06.12撮影

上の画像をご覧ください。石畳というか、コンクリートの部分が見えますね? これは、うちの敷地内のものです。お隣との境界線は、画像で右上から斜めに降りてくる石畳の端より向こうにあります。

ですから、このピンクのエリゲロンがきれいに咲いている土地は、うちが市に委託されている土地なんです。つまりは、常識の範囲内であれば、うちがこの部分の土地をどうしようが勝手、、、

ある日、エリゲロンを目で楽しもうと路地の方へ出ていったら、ない、ない、ない、エリゲロンがどこにもない、ないだけでなく、掘り起こした形跡がある、まさか、お隣が??? そんなことないだろ、だって、そこを掘り起こすなら、ついでに、他の植物も掘り起こしただろうから、それに、植物好きの隣のおばさんがあんなにきれいに咲いていた植物を引き抜くわけがない、どこ? どこ? どこへ行った? 一体、だれがこんなことを?

と思いながら、周りを見てみると、ははあ、シャベルが立てかけてあるじゃないか、ということは、人が意図的に掘ったということである。だれよ、こんなところにシャベルを忘れているのは・・・よそからわざわざ出かけてきた人が道具を忘れていく、とは考えにくい。

そのあたりで、これは隣だろう、と思ったが、腹立ち紛れに怒鳴り込んでも仕方がないので、お涙頂戴作戦に出ることにした。

掘り起こされた周辺に木の枝を刺して、ヒモをめぐらせ、そのヒモに嘆願書をくくりつけた。その嘆願書、曰く

2013.06.12撮影

ここには、わたしが大好きな花を植えてありました。たいへんきれいな花です。そして、昨日までここできれいに咲いていました。でも、今、ありません。どこへ行ったんでしょう。だれかが掘ったんでしょうか。掘った方、あるいは、ゆくへをご存知の方、わたしの花がどこにあるか、教えてくださいませんか。早く返してください。大急ぎで植えて、救いたいですから。

すると、1時間もしないうちに、隣のおばさんがすっ飛んできました。あの花、あなたが植えたのだと知らなかった、って。申し訳ない、申し訳ない、って。

わたしは、心の中で、あんな花がだれも植えないのに咲くわけないだろ? 植えるとしたら、お宅じゃなければ、うちだろ? と思ったが、口に出したのは、じゃあ、抜いたのを植えてくださいよ。すると、もう捨てた、と言うわけです。(え? なんであんなきれいな花を捨てる? 第一、抜く?)

この辺でわたしは面倒くさくなって、じゃあ、あそこの土地、お宅の路地沿いの花壇の延長にあるから、今後は、お宅が管理してくれない? 

と言うことで、今は、あちらは、なんか、触っていいのかな、いけないのかな、という感じで世話しているみたいです。でも、きれいな花は植えてくれないのよ。

いや、別にお隣とは喧嘩していませんよ。それぞれ別人格だから考えることも違うのだろう、と思っていますから。悪意はなかったはずなんです、、、でも、なんできれいに咲き乱れている花を、わざわざ抜いて捨てる? そのへんがもう10年経った今でも不思議に思うんです。

2013.06.12撮影

あの事件以来、これと同じエリゲロンを手に入れたいと思っているんです。特に、南側に花壇を作ったので、そこに植えたい。なんなら、路地側の、例の同じところにもう一度植えてもいい。でも、なぜか、植物屋さんで見つからない。大きいお店へ行っているんですけどね。

学名 Erigeron glaucus
英名 Seaside fleabane「浜辺のキク」
別名 Beach aster「海岸のアスター」
別名 Seaside daisy「浜辺のデイジー」
和名 ないもよう
キク科(Asteraceae)ムカシヨモギ属(Erigeron
原産 アメリカ合衆国西海岸(オレゴン州〜カリフォルニア州)

このエリゲロンの学名の種小名 glaucus は、「灰色っぽい、灰緑の」という意味です。上の画像内の葉をご覧ください。灰色がかっていますね。

このラテン語 glaucus は、Rosa glauca「ロサ・グラウカ」のところですでにご紹介しました。

花より団子、ヒップより花

Erigeron glaucus「エリゲロン・グラウクス」は、ムカシヨモギ属(Erigeron)ですから、ヒメジョオン(Erigeron annuus)の親戚です。「エリゲロン・グラウクス」英名は、 Seaside daisy「浜辺のデイジー」などで、これは、自生地が海岸線であることを表します。

分布は、アメリカ合衆国西海岸ですが、カリフォルニア州から北にたどってオレゴン州までで、その北のワシントン州、そして、国境を超えてさらに北のブリティッシュ・コロンビア州には自生しません。つまり、このエリゲロンは、ブリティッシュ・コロンビア州では、庭の花であることになります。


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マーガレット、って?

2023年07月16日 08時00分00秒 | キク科
Leucanthemum vulgare(フランスギク)
撮影者:AnRo0002 
撮影日:2017.05.25
オリジナルからの改変、なし

今日は、シャスタ・デイジーに見かけのよく似ている「マーガレット」についてお送りしたいと思います。

シャスタ・デイジーの第一の親種は、冒頭の画像に見える、フランスギク(Leucanthemum vulgare)です。

シャスタ・デイジー、出生物語

学名 Leucanthemum vulgare 
英名 Ox-eye daisy「牛の目のデイジー」
別名 Marguerite(フランス語から)「マーガリート」
フランス語名 Marguerite commune
和名 フランスギク
キク科(Asteraceae)フランスギク属(Leucanthemum
原産 ヨーロッパ、温帯アジア
移入 北アメリア、オーストラリア、ニュージーランド

原産は、ヨーロッパと温帯アジアですが、この花が特にフランスに多く産したのかどうかは、調べた限りでは、わかりませんでした。ですから、なぜ和名が「フランスギク」なのかは、想像の域を出ません。

基本的には、野草です。北アメリカなどに移入されていて、うちのあたりでも、道端などで見られます。きれいなので欲しいのですが、車の往来する通りまで行って、盗掘できないし・・・植えたものでないのはわかっているのですが。

このキク科の植物の学名 Leucanthemum vulgare は、「俗な、白い、黄色い花」、つまり、「どこにでもある、白い花びらの、真ん中が黄色い花」、つまり、「どこにでもあるデイジー」です。

Leucanthemum vulgare(フランスギク)
撮影者:Andrés Nieto Porras
撮影日:2011.04.01
オリジナルからの改変、なし

フランスギクは、フランス語での名称が、Marguerite commune「マルガリート・コミュン」、それは、英語で、Common marguerite「コモン・マーガリート」、つまり、「普通の、普通にある、マーガリート」、それを略して、Marguerite「マーガリート」。そして、フランス語形 Marguerite「マーガリート」の英語形は、Margaret「マーガレット」。

なので、、、フランスギク(Leucanthemum vulgare)は、日本語的には英語形を使って「マーガレット」でいいんじゃ?

と言いたいですよね。でも、日本ではそうではない。

Argyranthemum frutescens(モクシュンギク)
撮影者:Houss 2020 
撮影日:2021.01.23
オリジナルからの改変、なし

日本語で現在「マーガレット」と呼ばれる植物は、モクシュンギクです。フランスギクとは、属が異なります。

学名 Argyranthemum frutescens
英名 Paris daisy「パリのデイジー」
別名 Marguerite「マーガリート」
別名 Marguerite daisy「マーガリート・デイジー」
和名 モクシュンギク(木春菊)
別名 マーガレット
キク科(Asteraceae)モクシュンギク属(Argyranthemum
原産 カナリア諸島

なぜこんなことが? 英名が、「パリのデイジー」だの、「マーガリート」だの、「マーガリート・デイジー」だの、なら、日本語でも「マーガレット」と呼びたくなりますよね。

そして、実際、このモクシュンギク(Argyranthemum frutescens)が、現在、園芸では「マーガレット」と呼ばれています。

Argyranthemum frutescens(モクシュンギク)
撮影者:Dinkum 
撮影日:2011.09.18
オリジナルからの改変、なし

つまりは、フランスギク(Leucanthemum vulgare)もモクシュンギク(Argyranthemum frutescens)も、Marguerite と呼ばれる。ついでに、フランスギクの園芸種であるシャスタ・デイジー(Leucanthemum × superbum)も、Marguerite と呼ばれたりする。

カタカナの和名をつけるとき、フランスギクとモクシュンギクのどちらに「マーガリート」あるいは「マーガレット」という名称をつけるべきか。

フランスギクの方が元々「マーガレット」と呼ばれ、モクシュンギクは「モクシュンギク」だった、というような説明をあちこちで見ましたが、どちらが先だったかは、わたしにはわかりません。

言えることは、現在、フランスギクが「フランスギク」で、モクシュンギクが「マーガレット」、と呼ばれることです。

なぜこんなことが起こったか。

それは、憶測ではありますが、業界の仕業では? と思います。

「モクシュンギク」という名前では、植物が売れにくい、だから、「マーガレット」と呼ぼうよ。「マーガレット」って、少女趣味よね? 女性の購買意欲をかき立てません? お花も小ぶりでかわいいし。

じゃあ、「マーガレット」という名前を奪われたフランスギクはどうする? 「フランスギク」なんて「おフランスな」名前で気分いいじゃありませんか。でも、大体、なぜ「フランスギク」が「フランスギク」と呼ばれるの?

Argyranthemum frutescens(モクシュンギク)
撮影者:lxitixel 
撮影日:2008.03.21
オリジナルからの改変、なし

モクシュンギクは、漢字で書けば、「木春菊」。「木立」の「春菊」ということです。

株が大きくなってくると、茎が木質化します(上の画像)。そして、その性質を利用して、1本立てに作ることができます(下の画像)。このように作られているモクシュンギク(マーガレット)は、バンクーバーでも売られていますが、耐寒性が低いので一夏のパティオの花になります。あるいは、温室に入れる。

フランスギク属の茎は木化しないはず、わたしの知っている範囲内では。

Argyranthemum frutescens(モクシュンギク)
撮影者:G.castelain
撮影日:2016.03.22
オリジナルからの改変、なし

モクシュンギクの「春菊」の部分は、わたしたちが野菜として食べる「シュンギク」(Glebionis coronaria)の「春菊」です。以下の画像のシュンギクの葉と、3枚前の画像に写るモクシュンギクの葉をお比べください。

フランスギクの葉は、一般に、平たい細長のヘラ状で、縁がギザギザしていることが多いです。青空の写った上の方の画像で葉が見えますか。

2021.09.19撮影(シュンギク)

モクシュンギクも、フランスギクと同じように、白い花びらのものが多いですが、園芸種にはいろいろな色のがあります。

以下のリンク先などでご覧ください。画像が左右に並んでいる右上に、< > があります。そこをクリックすれば、異なる画像が出てきます。

Argyranthemum(英文+画像)
Garden Center Marketing 
https://www.gardencentermarketing.com/plantName/Argyranthemum-frutescens-Multiple-Varieties

また、そこに「Zone:9-11」と書いてありますが、それは、栽培可能な温度の範囲を示すもので、ゾーン8のバンクーバーでは寒すぎる、ということになります。

Argyranthemum frutescens(モクシュンギク)
撮影者:阿橋 HQ
撮影日:2004.02.22
オリジナルからの改変、なし


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うちのシャスタ・デイジー

2023年07月15日 08時00分00秒 | キク科
2023.06.27撮影

わたしはシャスタ・デイジー(Leucanthemum × superbum)が好きです。

その花の咲き方は、基本は、「ヒナギク型」です。「花」の中央が筒状花(管状花)で、その周りが花びらに見える舌状花です。

シャスタ・デイジーは、基本は「ヒナギク型」ですが、交配の進んでいる園芸種では必ずしもそうではありません。昨日の記事で、ご近所さんが育てている園芸種をいくつかご紹介しました。

典型的な「ヒナギク型」のシャスタ・デイジーは、次のような形態です。

ウクライナの野や畑に咲くヒマワリ(Helianthus annuus)も、「ヒナギク型」ですね。(ヒマワリの種の生産は、2020年の統計では、ロシアとウクライナで、世界中の生産の半分以上を占め、ロシアの方がウクライナよりやや多く生産しています。さて、2023年はどうなるのでしょう。)

Common sunflower(英文+画像+統計)

Leucanthemum x superbum 'Becky'(シャスタ・デイジー「ベッキー」)
撮影者:Captain-tucker
撮影日:2009.07.06
オリジナルからの改変、なし

「ヒナギク型」の花を魅力的だと思うのは、わたしだけでしょうか。お目々がぱっちりと開いていて、対面すると、にっこりと微笑みたくなってしまいます。

それで、わたしの庭にも来ていただいたんですよ。ず〜〜〜っと前に。

そうすると、、、同じことをブログ記事に何度も書いて恥ずかしいが、木々が成長して、日陰を作って、お花に陽が当たらなくなって、、、もうそこから先はお分かり、、だ、と、思います。

煮ても焼いても枯れそうにないシャスタ・デイジーさまを(文字通り)なくなるまで放っておいたのは、わたしです。そのようにして、「ヒナギク型」のシャスタ・デイジーを(文字通り)なくしました。

それで、新しく買うことにしたのですが、「ヒナギク型」がなかなか見つからない。流行りすたりということかな? いずれにしても、求めた新しいシャスタ・デイジーは、冒頭の画像に似たシャスタ・デイジーでした。

そうです、「でした」なんです。もう、白状しちゃいます。ここなら大丈夫だろう、と思って植えた場所が、あっという間に日陰になった。うっそ〜〜〜〜。植え替えるにも、ほかにいいところがない。力が抜けた。

これは、わたしが、家の南側から芝生を取り去り、ベリー類の根のからんだのを掘り起こして取りのぞき、陽の当たる南向きの花壇を新たに作る前のことです。

2023.06.13撮影

この南向きの花壇が準備できてから、買ってきましたよ、お花を、続々と。だいぶん、庭らしくなってきました。

日本から帰ってきたら、花壇が、そんな多数の草花でジャングルになっていた。

2021.04.12撮影

3つ目のシャスタ・デイジーを迎えるにあたり、まずインターネットで物色しました。そして、イメージを固め、植物屋さんへ繰り出しました、月に1回ある会員割引の日に。

そして、不思議なことに、そのイメージと同じものを、ひとつ、棚に見つけたのです。要するには、売れ残りだったのだと思います。

上の半開きの画像では、そのシャスタ・デイジーのイメージがつかみにくいと思いますので、次の画像をご覧ください。(焦点のあっていない画像で、済みません。)

2022.07.05撮影

このシャスタ・デイジーは、その園芸種名を ‘Belgian Lace’「ベルギーのレース」といいます。

ベルギーのレース(ブリュッセル・レース)については、次のリンク先など、ご参照ください。

アンティークレースの種類 〜ベルギーのボビンレース〜

シャスタ・デイジー「ベルギーのレース」は、ブリュッセル・レースのように繊細で、それでいて、華やかだ、ということかもしれません。また、筒状花(管状花)の外縁がレモン色の花びらを発達させていても、筒状花(管状花)の中央の部分「目」はそのまま、というところを、ブリュッセル・レースの織り目に例えてあるのかもしれません。

2022.07.05撮影

上の画像には、開花度の異なる花が写っています。

ツボミがほころびかけたときには、花びらは白いものしか見えない(3枚前の画像)のですが、ちょっと開いてくると、花びら全部が黄色く見えます(上の画像で、花びらが縦に立っている花、いくつも)。

もう少し開いてくると、内側の花びらは黄色いままで、外側の花びらは白くなります(上の画像、右下の、半分写っている花、および、直前の画像)。

もっと開いてくると、内側の花びらも白くなってきますが、花びらの根本と花びらの先は黄色いままです(画像、右上の花)。

花がほぼ平らに開いた状態になると、花びらは、全体的に白さが増します(画像中央の花)。

2023.06.27撮影

上の画像は、もっと花の日齢が進んだ状態です。花びらの張りが弱まり、柔らかい印象を受けます。そして、「目」(=筒状花の部分)の割合が小さくなっていっています。外縁の筒状花が、日齢が進むにつれて舌状花に変わっていっているようです。「目」に近い花びらは、根本と先が黄色いままです。

そして、以下が、花がもっと古くなった状態です。ここまで来ると、花は平らな形を失っています。

2023.07.10撮影

以下の画像で、もう一度、シャスタ・デイジーが群れて咲いているところをご覧ください。(わたしは、こういうのを見ると、単純に幸せになる。)

ジャングルの中に埋まっているでしょ? 変ね、なぜ? シャスタ・デイジーって、もっと草丈が高いわよね?

そのはずだったんです。でも、あわて者のわたしは、このシャスタ・デイジーに出会ったとき、その幸運さに感激して、ラベルをまともに読まずに買ってしまったのです。ちっとも大きくならない、と思ったら、「ベルギーのレース」は、矮性種でした。

それで、庭の中を探しに行かないと、このお花は見られないのよ。

もっと咲いてくれるといいなあ。終わりかけの花を取りのぞかなくちゃ。いや、待て、ブラックベリーの収穫の方が、優先事項か?

2023.06.27撮影

昨日、daisy の語源についてお話ししたときに、記事の流れを簡潔にするために説明と出典をつけませんでした。今日、シャスタ・デイジーの話しを終えるにあたり、最後にそれらをつけ加えます。

解釈がふたつあり、一般には、次の1の解釈がなされることがほとんどなのですが、わたしは2の解釈を取りました。なぜなら、1のような花は、他にたくさんあるからです。1だという人々は、花のことをよく知らないのかな。それに、デイジー(ヒナギク)を見たら、太陽そのものでしょう、子どもの描くお日さまのように。

1。花が、夜明けに開き、夕暮れに閉じる、太陽が出ている間だけの「1日」の花

2。花が太陽のように見える、白い花びらが太陽の周りの太陽光線、黄色い中央部分が太陽の球


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ご近所さんのシャスタ・デイジー

2023年07月14日 08時00分00秒 | キク科

2023.07.08撮影「1」

わたしのうちのご近所に、それは、それは、きれいに庭を作っているおうちがあります。わたしの趣味からすると、ちょっとやりすぎ、と思うぐらいなのですが、そのように咲き乱れるのは、かなり肥料を入れているからです。臭うし、見ただけでもわかります。

うちなどは、植物さんたちに、腐葉土や堆肥(コンポスト)で生活してもらっているので、そのような茂り方、咲き方はしません。

そのおうちは、敷地内で庭を作っているだけでなく、敷地周りの、市所有の公共の歩道の両脇にも花を植えています。実は、これは、バンクーバー市では許されていることで、うちのあたりでも、他にする人もいます。

冒頭の画像は、その、花を派手やかに植えているご近所さんが、歩道と車道の間に植えてあるシャスタ・デイジーです。この画像(下の画像も)は、昨日もお見せしました。夕方の西日に当たっているところです。それで、上の画像では、花びらの色が真っ白ではありません。

2023.07.08撮影「1」

わたしは、ときどき、ご近所を歩いて、花の写真を撮ります。市所有の土地だと知っていても、やはり、よそ様が作っている花に近寄って写真を撮るって、ちょっと気が引けますよ。

わたしが、自分が作っている花の写真を撮るのは、普通は、夕方から、日没前にかけてです。そのころには光の具合が均等になってくるので、花に陰影を入れずに撮影することができます。

ところが、そんな、撮影に適した(とわたしが思う)時間である夕暮に、うろつきながら、人の家に近づいたり離れたり、花をしげしげ見たり吟味したり、ってねえ、できるもんじゃありませんよ。それで、ご近所での花の撮影には、怪しまれないように、と、まだ日の高いうちに出かけることになります。

そうすると、冒頭のようなテカテカした画像になります(修正してありません)。直前の画像は、わたしが自分の体で影を作って写したのですが、被写体を覆いきれませんでした。でも、これで、花びらの白さが出ました。

黒い雨傘でも持っていけばいいか? 中国系のおばさん、おばあさんたちが、雨傘を日傘がわりに使うので、そんなに目立たないかも・・・

今日の画像は、みんな、わたしが満足していない環境で撮った写真です。光線の加減で目がチカチカ、カチカチするかもしれませんが、ご容赦ください。

今日も、昨日に続き、シャスタ・デイジーです。

2023.07.08撮影「2」

「1」と番号をつけた1番目と2番目の画像は、シャスタ・デイジー作出の初期の姿を濃くとどめている種類ではないか、と想像します。

では、直前の画像「2」は、どうでしょう。「1」の「花びら」がスッと平たく線状に長めに伸びているのに対し、「2」の花びらは、短めでプツと切れたみたい、アイロンかけが必要かな、と思わされるような丸まり具合ですね? おまけに、「2」は、かなり草丈が低いんです。

次も、「2」です。

2023.07.08撮影「2」

「1」と「2」は、わたしの目には、ずいぶん形質が異なります。ひょっとして、「2」は、シャスタ・デイジーではないのでしょうか。

2023.07.08撮影「3」

上の画像「3」は、シャスタ・デージーと見ていいと思います。花びらの先が「ヘビの舌先のように」割れています。

「3」のまだ開ききらない花は、次の画像のようなこんな感じです。

2023.07.08撮影「3」

キク科(Asteraceae)の花の作りは、次の3種類の可能性があります。

・筒状花(管状花)のみ(例:ハハコグサ)
・筒状花(管状花)と舌状花(例:ヒナギク)
・舌状花のみ(例:タンポポ)

シャスタ・デイジーは、「ヒナギク型」、つまり、筒状花が中央に、舌状花がその周りを取り囲む花です。「ひとつの花」に見えるものは、多くの花の集合です。上で「花びら」と言ったのは、この舌状花の花びら部分です。

英語で Daisy「デイジー」と言うと、次のような花を指します。
・Daisy(ヒナギク Bellis perennis
・Ox-eye daisy(フランスギク Leucanthemum vulgare
・Nippon daisy(ハマギク Nipponanthemum nipponicum
・Shasta daisy(シャスタ・デイジー Leucanthemum x superbum

daisy の語源的な語の成り立ちは、day’s eye「1日の目」です。舌状花を太陽に、筒状花を「目」に見立て、太陽が「1日」の周期を表すので、「太陽=1日」から、day’s eye「太陽の目」となります。

Bellis perennis(ヒナゲシ)
撮影者:Alexmenk
撮影日:2011.04.10
オリジナルからの改変、なし

ここから後の「4」と「5」は、デイジーの「目の部分」、すなわち、花びらの出ていない筒状花であるはずのところが、変形したものです。

2023.07.08撮影「4」

「4」は、中央部分の、本来、筒状花であり花びらがないはずのところに、小さいながらも花びらが出ています。その小さい花びらが白いので、結果的に黄色い部分が少なくなっています。

2023.07.08撮影「5」

「5」は、「4」とは別の種類の花を、上部から撮影したものです。この園芸種では、筒状花はほとんど失われています。そして、元の筒状花の花全体に占める割合が大きくなっているようです。

舌状花は、ないわけではないのですが、撮影の向きの加減で、ほとんど見えていません。花の左下に少し飛び出して見えるぐらい。それと、画像左上の花の舌状花が見えます。

次も「5」です。小さい、短い花びらでほぼ球状になっています。こんにちは、アリさん。

2023.07.08撮影「5」

このように、このご近所のおうちは、何種類ものシャスタ・デイジーを育ています。市所有の土地に花を栽培しているわけですが、道行く人々の目を楽しませてくれます。

で、ちゃっかり、このおうちの人、「植物を有料でお分けします」って、電柱に張り紙してあるんですよ〜〜。わたしは、前に、向こうから「あげる」と言って、ただでタネをもらったけど。タネだもんね、苗じゃなくて。ひょっとして、この人たちは、生業が苗屋さんなのかしら。そこまで個人的な話はしていませんから、知りません。


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シャスタ・デイジー、出生物語

2023年07月13日 09時00分00秒 | キク科
Leucanthemum × superbum(シャスタ・デイジー)
撮影者:Jamain
撮影日:2012.07.08
オリジナルからの改変、なし

この花は、シャスタ・デイジーです。シャスター・デイジー、とも、シャスター・デージー、とも、いいます。発音してみると、あまり変わりませんが。また、書くときには、「・」を入れたり、入れなかったりします。

学名 Leucanthemum × superbum
英名 Shasta daisy「シャスタ・デイジー」
和名 シャスタ・デイジー
キク科(Asteraceae)フランスギク属(Leucanthemum

学名に現れる「×」は、その植物が交雑種であることを表します。

シャスタ・デイジーの場合は、それに superbum が続きますが、これは、英語で言えば、superb あるいは superior で「すばらしい」という意味です。「花がすばらしい、目が覚めるようだ、大きい」ということです。

2023.07.08撮影(シャスタ・デイジー、ご近所の庭から)

シャスタ・デイジーの作出は、アメリカの園芸家、ルーサー・バーバンクによって、1880年代から1900年代にかけて行われました。

使われた種は、キク科(Asteraceae)の、フランスギク属(Leucanthemum)に属する「デイジー」3種と、ハマギク属(Nipponanthemum)の「デイジー」1種の、合計4種です。これらを順次交配し、さらに、選別して、完成させました。

『ガーデニングの図鑑』シャスターデージー

Leucanthemum × superbum(英文+画像)

親種1(フランスギク)
Leucanthemum vulgare(フランスギク)
撮影者:Chiswick Chap
撮影日:2021.06.16
オリジナルから、トリミング

ルーサー・バーバンクは、まず、第1の親種となるフランスギク(Leucanthemum vulgare)を育成して形質の選抜を行いました。

学名 Leucanthemum vulgare 
英名 Ox-eye daisy「雄牛の目のようなデイジー」
別名 Marguerite「マーガレット」(フランス語名から)
和名 フランスギク
原産 ヨーロッパ、温帯アジア
移入 北アメリア、オーストラリア、ニュージーランド

この花は、わたしの住むカナダにも、野原や道端に、上の画像のような感じで夏にたくさん咲いています。野草という捉えられ方をしています。

親種2(中国名:大滨菊
Leucanthemum maximum(中国名:大滨菊)
撮影者:xcabale
撮影日:2006.03.04
オリジナルからの改変、なし

ルーサー・バーバンクは、次に、選りすぐったフランスギク(Leucanthemum vulgare)に、中国名ででいうところの「大滨菊」(Leucanthemum maximum)を交配して、2種間交雑種を作りました。

学名 Leucanthemum maximum
英名 Max chrysanthemum「大きいキク」
和名 ないもよう
中国名 大滨菊(大浜菊)
原産 フランス、スペイン

親種3(レウカンテムム・ラクストレ)
Leucanthemum lacustre(レウカンテムム・ラクストレ)
撮影者:Alvesgaspar
撮影日:2012.08.15
オリジナルからの改変、なし

フランスギク(Leucanthemum vulgare)と「大滨菊」(Leucanthemum maximum)の2種間交雑種に、バーバンクは、さらに、レウカンテムム・ラクストレ(Leucanthemum lacustre)を交配し、3種間交雑種を作りました。

学名 Leucanthemum lacustre
英名 Portuguese daisy「ポルトガルのデイジー」
和名 レウカンテムム・ラクストレ(和名は、ないもよう)
原産 ポルトガル

ここまでで、フランスギク属(Leucanthemum)の3種が交配されたわけです。

親種4(ハマギク)
Nipponanthemum nipponicum(ハマギク)
撮影者:KENPEI
撮影日:2008.09.23
オリジナルからの改変、なし

フランスギク属(Leucanthemum)3種の交配種に、さらに交配されたのは、同じくキク科(Asteraceae)ではあっても、属の異なる、ハマギク属(Nipponanthemum)の「デイジー」、ハマギク(Nipponanthemum nipponicum)です。

ハマギクは日本原産・固有であり、ハマギク属に属する種は、このハマギクだけです。

学名 Nipponanthemum nipponicum
英名 Nippon daisy「日本のデイジー」
和名 ハマギク
原産 日本(青森県〜茨城県の太平洋側)
野生化 アメリカ、ニューヨーク州とニュージャージー州の海岸線

これで、4種間交雑種のできあがりです。

なんだ、同じような花ばかりかけ合わせたのか・・・と言っても、花と姿の美しく、また、栽培するのに丈夫な品種を求めたわけですね。

2023.07.08撮影(シャスタ・デイジー、ご近所の庭から)

ここから先も、園芸種は、どんどん開発されていきます。

なお、Shasta daisy「シャスタ・デイジー」という命名は、アメリカ、カリフォルニア州の、頭に白い雪をかぶったシャスタ山(Mount Shasta)に因むそうです。

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アナベルって、あたしのこと?

2023年07月12日 08時00分21秒 | アジサイ科
京都府立植物園のアメリカノリノキ「アナベル」
撮影者:Fritsmann2002
撮影日:2023.06.18
オリジナルからの改変、なし

「アナベル」って、日本で人気があるような・・・

わたしは日本に住んでいないので、日本の情報はインターネットを使って得ているんですけど、ネット上でよく「アナベル」について書かれているのを見ます。

学名 Hydrangea arborescens ‘Annabelle’
英名 Hydrangea Annabelle
和名 アナベル(園芸種名から)
アジサイ科(Hydrabgeaceae)アジサイ属(Hydrangea

そして、このアジサイ属の植物は、日本では、園芸種名「アナベル」だけで呼ばれるんですね。わたしの見聞きしている範囲での英語圏では、この植物は、アジサイ「アナベル」、あるいは、アナベル・アジサイ、のような言い方で呼ばれます。

「アナベル」は、種的には、アメリカノリノキ(Hydrangea arborescens)です。

アメリカノリノキは、アメリカ合衆国の東部から中部にかけて自生する、アメリカ合衆国の固有種。

「アメリカノリノキ」という和名は、中国南部、中国東部、朝鮮半島、日本、樺太に産するノリウツギ(Hydrangea paniculata)、別名、ノリノキ、に、原産地名の「アメリカ」をつけたものです。


アメリカ、バージニア州で野生で生えている、地元産のアメリカノリノキ
撮影者:Fritzflohrreynolds
撮影日:2012.05.24
オリジナルからの改変、なし

ノリウツギ、別名、ノリノキ
撮影者:Qwert1234
撮影日:2008.07.16
オリジナルからの改変、なし

「アナベル」の出自を、いくつもの日本のサイトで調べたんですが、それらをつぎはぎにして短く記すと、次のようになります。

アナベル ‘Annabelle’ は、アメリカ合衆国固有種のアメリカノリノキ(Hydrangea arborescens)の野生の変種(Hydrangea arborescens f. grandiflora)を品種化したもの。

アメリカノリノキ「アナベル」
冒頭画像の切り取り

もっと詳しい説明はないか、と調べつづけているうちに、挙句は、イリノイ大学(州立大学)のサイトまで行ってしまいました。見つけた記事は、大学の出している教育的内容の記事なので、出典さえ書けば、訳してもいけなくない、と思います。つまり、著作権侵害にはならないと思います。

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校
(The University of Illinois at Urbana–Champaign)
農業、消費、環境科学部
(The College of Agriculture, Consumer, and Environmental Sciences)

そこに書かれている「アナベル」の出生物語は、以下のとおり。

1.イリノイ州南部のアナという町で、ハリエット・カークパトリックという女性が、1910年に、土地の普通のものより格別大きい花房のアジサイ属の植物を見つけた。きれいなので掘り上げてうちに持ち帰って庭に植えた。そして、隣近所の人に挿し木を分け与えた。もらった人も他の人に分けて行ったので、この野生の植物は、イリノイ州の他の町にも広がって行った。

2.人々に人気があるので、カークパトリック夫人は、種苗屋に連絡し、商業化したらどうか、と提案した。が、そのときには、すでに、ヒル(名字)という人が、オハイオ州のイエロー・スプリングズで同様の野生種を見つけ、それを「スノーヒル」と名づけ(大規模ではないが)販売していた。

3.そのようにして、このカークパトリック夫人の発見したアジサイは、次の50年ほど(多くの人が知るような名前に)命名されることもなく、でも、地元では、口コミで、イリノイ州南部一帯に広がっていった。1935年には、(この記事のサイトを経営している)イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のあるアーバナにすでに至っている。

4.1960年代になり、イリノイ大学の教授で、有名な植物学者、ジョーゼフ・マクダニエル博士が、カークパトリック夫人の発見したアジサイがアーバナで栽培されていることに気づいた。彼は、そのアジサイがどこからきたか、アナの町までたどり、苗木を集め、栽培して増やし、その品種を「アナの町のべっぴんさん」という意味の「アナベル」と名づけ、1962年に商業生産に持ちこんだ。

そして、現在に至るわけです。

「アナベル」は、白が普通ですが、下の画像のように、ピンクの園芸種も存在します。

アメリカノリノキ「アナベル」と「ピンクアナベル」
撮影者:Praskacjohannes
撮影日:2015.06.30
オリジナルからの改変、なし

「アナベル」(Hydrangea arborescens ‘Annabelle’)の特徴をホンアジサイ(Hydrangea macrophylla)と比べてみると、「アナベル」は、
・装飾花が小さい
・花が装飾花の下に隠れるようにある
・葉の縁のギザギザがそれほど切れ込まない
・茎や枝の表皮が何層にもはがれる
など。

葉については、画像がはっきりしませんが、以下の2枚をお比べください。

 
2022.10.01撮影(ホンアジサイの葉)     アメリカノリノキ「アナベル」の葉
                       冒頭画像の切り取り


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マダムもアジサイ

2023年07月11日 08時00分00秒 | アジサイ科
2023.07.09撮影

うちには、アジサイが何本かありますが、昨日ご紹介した青いアジサイの横には、白いアジサイが植えてあります。上の画像をご覧ください。

昨日のアジサイも今日のアジサイも、「大きい葉の」「装飾花が半球状に咲く」アジサイです。でも、同じ園芸種の色違いではなく、異なる園芸種です。

昨日の青いのは、’Nikko Blue’「日光ブルー」、今日の白いのは、‘Madame Emile Mouillere'「マダム・エミール・ムリエール」。園芸種「マダム・エミール・ムリエール」は、100年前にフランスで作出されたそうです。どうりで、園芸名は、フランス語による命名です。

「マダム・エミール・ムリエール」の装飾花(ガク)は白いですが、次の画像に見られるとおり、ガクの中央にある本当の花の花びらは水色です。オシベは、花糸(オシベの長く伸びた部分)が、花びらと同色の水色です。オシベの先の葯(やく)は、薄いクリーム色。

白い装飾花の上にちょこんと咲く水色の花は、かわいいです。

2021.07.02撮影

日本語で「アジサイ」と言うと、わたしが最初に思い描くのは、花が半円球状に固まって咲くホンアジサイです。

でも、実は、ホンアジサイは、日本原産のガクアジサイから、江戸時代までに、変化した、あるいは、作り出されたものです。つまり、ホンアジサイからガクアジサイが作られたのではなく、ガクアジサイの方が「原種」なわけです。学名をお確かめください。(なら、ホンアジサイを「本」アジサイなんて呼ばないでよね。)

ガクアジサイ(Hydrangea macrophylla f. normalis
ホンアジサイ(Hydrangea macrophylla f. macrophylla

ガクアジサイもホンアジサイも、属名と種小名 Hydrangea macrophylla は同じです。そして、その後に、品種を示す f. が続いて品種名が書かれます。この f. は、forma(英語の form)の略です。

ガクアジサイの品種名は normalis(英語の normal)「普通の、本来の」。ガクアジサイの方が「原種」であることを名前に反映した、と考えていいでしょう。

ホンアジサイの品種名は、種小名と同じ macrophylla「大きい葉の」。ホンアジサイは、ガクアジサイとは花の形状が異なるのが特徴であるのに、花については何も言及されていないのが、不思議なところです。

以下の画像は、ガクアジサイの例です。小さい本物の花が真ん中にほぼ平たく集まり、その周りを「額縁(がくぶち)」のように装飾花が取り囲みます。ガクアジサイは、額アジサイであって、萼アジサイではありません。

Hydrangea macrophylla f. normalis(ガクアジサイ)
撮影者:KENPEI
撮影日:2007.06.17
オリジナルからの改変、なし

なお、西洋アジサイは、日本のホンアジサイが江戸末期にヨーロッパに移入され、そこで品種改良されたものです。現代では、西洋アジサイが日本に逆輸入され、さらに品種改良が進んでいます。

以前は、西洋アジサイは、色だけで(例えば、赤)「西洋アジサイだろう」ぐらいまでは区別がついたものですが、最近では、何を区別の基準にしたらいいのでしょう。区別できない、というか、区別する理由も見つからないぐらい、交雑しているのだと思います。

昨日ご紹介した「日光ブルー」は、調べた限りでは、ホンアジサイのようです。でも、今日の「マダム・エミール・ムリエール」は、フランスで作り出された、という出自から、西洋アジサイに分類となるはずです。

以下、「マダム・エミール・ムリエール」の装飾花と装飾花の中央につく花の変遷を辿ってみたいと思います。

 
2021.05.28撮影               2021.05.28撮影

左の画像は、「マダム・エミール・ムリエール」の若いツボミです。固く閉じたツボミが平たく固まっています。装飾花は発達を始めたばかりで、ツボミの塊の外縁にツンツンと出ています。この段階では、ガクアジサイのツボミと見かけは変わりません。

右の画像では、装飾花がさらに発達してきました。色は、濃いめの黄緑色です。

 
2021.06.03撮影               2021.06.15撮影

装飾花が、薄黄緑色の色を残したまま、白っぽくなってきました。装飾花は、まだ平たくは開いていません。でも、1枚1枚の縁がギザギザになってきました。中央の花のツボミは、まだ薄黄緑色です。

 
2022.07.06撮影               2021.06.25撮影

装飾花が、縁にギザギザを持ったまま、もっと白くなってきました。そして、開き方がより平らになってきます。花のツボミが、薄黄緑色(左の画像)からほぼ白(右の画像)になります。

昨日の「日光ブルー」の装飾花には、ギザギザがありません。以下とお比べください。

 
2021.06.25撮影               2022.08.04撮影

左の方が若い装飾花で先がやや尖っています。右の方が日数の経ったもので、装飾花の縁はほぼ滑らかです。いずれにして、ギザギザはありません。

「マダム」にもどります。


2022.08.04撮影

マダム・エミール・ムリエール」の装飾花は、上の画像のように青みを帯びることがあります。でも、装飾花の周りのギザギザの存在により、「日光ブルー」でないことがはっきりとわかります。

 
2022.07.17撮影               2022.07.17撮影

「マダム」は、装飾花が白くなると、次に、中央の花のツボミが青くなってきます。そして、装飾花のツボミの根本に当たるところが、ややピンクっぽい紫色になることがあります。

ここまで来ると、あとは、花が咲くのを待つのみです(今日の記事の上から2番目の画像に、花が咲いているのが写っています)。

花が終わると、花の部分のみが枯れ、次のようになります。その後、装飾花は「咲いた」ままで、バンクーバーの場合だと、秋遅くまで枯れないでついたままとなります。そのことについては、また、秋に。


2021.07.25撮影
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アジサイの花がやっと咲いた

2023年07月10日 08時00分00秒 | アジサイ科
2023.07.07撮影

アジサイの花がやっと咲きました。固くツボミを閉したままだったのですが、やっと開きました。わたしは、このアジサイの花が咲くのが楽しみなんです。

冒頭の画像では、真ん中にとらえられているのがほぼ開いたツボミ、その上や右に見えるボタン状のものがまだ閉じているツボミ。

そうです。アジサイの花の「花びら」に見えるものは、実は、花弁ではなく、ガクです。そして、その中央にあるのが花。この花がなんとも愛嬌がある。画像中では、カップ状に小さく見えるものが花弁、薄黄色く見えるものは、オシベの先についている葯(やく)です。

花のように見えて花でないものを、「装飾花」といいます。

次の画像には、上の画像のよりもう少し開いた花が、ひとつですが、見えます。画像中の他の花は、まだツボミです。

2022.10.01撮影

学名 Hydrangea macrophylla f. macrophylla ‘Nikko Blue’
英名 Bigleaf hydrangea「大きい葉のアジサイ」
別名 Hydrangea
和名 アジサイ(紫陽花)
別名 ホンアジサイ(本紫陽花)
アジサイ科(Hydrabgeaceae)アジサイ属(Hydrangea

このアジサイは、ホンアジサイ(Hydrangea macrophylla f. macrophylla)の園芸種で、その園芸種名を「日光ブルー」といいます。この「日光」は、太陽の光のことなのか、地名から来ているのか、わかりません。

「日光」と言えば、日本では、アジサイは日当たりのいいところで育てる、とされますが、カナダでは、アジサイは、午前中に陽が当たり、あとは、半日陰、あるいは、日陰がよろしい、とされます。

なんでこんなに食い違う? 日本の方が一般的には暑いから、太陽で過熱になってはいけないはずではないのか、というとんでもなく非科学的な考えが浮かぶのだが・・・


2023.07.03撮影

上の画像では、ほぼ真ん中やや左に、咲いている花があります。オシベだけしか見えませんが。ガクである装飾花の真ん中にある「ボタン」は、みんなツボミです。そのツボミが花弁で、この園芸種では、花弁もガクも、同じきれいな青色です。

でも、最初からこんな色なのではありません。色の変化をたどってみます。同じ「個体」の変化を記録したのではないので、撮影日の新旧は花の新しさに関係ありません。

なお、次の画像のいくつかは10月に撮影されたものですが、それは、この個体が、秋までも次々と新しい花をつけるからです。

2022.10.01撮影

上の画像の段階の装飾花は、まだあまり開いていません。装飾花(ガク)も、まだ小ぶりです。この緑のガクが、薄黄色に変化し、それから、その先が水色になってきます。以下の画像です。

2023.06.13撮影

そして、次には、きれいな水色が発色してきています(次の画像)。水色でない部分は、まだまだ、春キャベツのような色です。

2022.08.30撮影

その後(下の画像)、水色の割合が増え始めます。薄黄色さ、薄緑さ、が和らぎ、白っぽくなってきます。

2022.10.19撮影

装飾花がもっと成長してくると(次の画像)、色はほぼ水色になり、装飾花の中心部に白を残すのみとなります。文字通り、目が覚めるようですね。

2021.06.25撮影

ガクでできあがった装飾花の中央にある本物の花が咲き始めるころには、全体が、冒頭の画像に見られるようなきれいな青色となります。

そして、本物の花が咲いている時には、ガクが青さを増し、さらに、花が終わるころには、ガクはやや紫みを帯びてきます。次の画像中、茶色っぽくポツポツと見えるものは、終わろうとしている花です。

2022.10.01撮影

アジサイは、植えられている土壌が酸性かアルカリ性かにより、花の色が変わります。酸性度に傾くと色は青く、アルカリ度に傾くと赤くなります。

バンクーバーは、一帯、酸性土です。そして、そこに生きている植物は、その土壌に対応したものです。言うまでもありませんが。

わたしの庭の土も酸性です。引っ越してきたときに適切な植物を導入しようと、pHを調べました。それからコンポストや腐葉土を入れていますから、pHの度数は変わってきているとは思いますが、バンクーバーの野山に産する植物がよく茂っていますから、酸性であることには違いないんでしょう。

そして、この「日光ブルー」ですが、ある年、赤くなってきたことがあります。(上の画像中の赤っぽいアジサイは、この問題に関係ありません。この件については、またいつか。)

そんなことになるわけはない、何かしたか? と自問したのですが、すぐに原因がわかりました、推測ですけど。お隣の人が、芝生に石灰をまいたのであろう。迷惑な話である。と言っても、あちらはうちに大木がありすぎて迷惑だ、と思っているわけです。

上の画像のアジサイの右手後ろに見えている白い柵の向こう側ですよ、その芝生というのが。そのとき、石灰まいた? とやんわりと聞いて、アジサイが赤くなっちゃった、と言うと、それから石灰をまかれることはありませんでした。

お隣は、そのうち芝生の手入れをするのがイヤになって、芝生に薬剤をまくということを止めたので、こちらには好都合でした。こちらからお花が引っ越しして行っても何も言いません。以下の記事に、そのお隣の芝生に引っ越して行った「うちの」ビフォリアの画像があります(上から5枚目の画像)。


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