2022.03.24撮影
わたしの庭には、ヘレボルスの株がたくさんありますが、お店から購入した個体はその10%にものぼりません。計画したわけではないのですが、自然交雑して子孫が次々とできました。わたしが交配したのではありませんよ、わたしはそんなメンドウくさいことはしません。
冒頭の画像のヘレボルスは、園芸店で購入したオリエンタリス系(レンテンローズ系)の園芸種です。他の若いヘレボルスの花をその特徴から観察すると、この株は、多くの個体の親株となっているようです。
ヘレボルスの交雑種のほとんどは、オリエンタリス系ですが、それらの交雑種の学名は、前回の記事でも申しましたとおり、Helleborus x hybridus(ヘレボルス交雑種・交配種)となります。何系と明記しないこの書き方は、貢献した株の種類を挙げていかなくていいし、新しい名前を作り出す必要もありません。
Helleborus x hybridus という表記は、次のことを示します。
・Helleborus が属名で、「ヘレボルス属」
・「x」が交雑種・交配種であること
・hybridus が具体的な系統を示さない書き方(いわゆる、「ハイブリッド」)
2023.04.30撮影
わたしのヘレボルスの庭は、一部をお見せすると、上の画像みたいな感じ。時期(4月末)的に、一重のヤマブキ(Kerria japonica)とミヤマシキミ(Skimmia japonica)も花ざかり(両方とも、種小名は japonica)。ヘレボルス自体はもうガクだけになって、タネのサヤがふくらんでいます。
遺伝子の組み合わせは無限なので、花も葉もそれぞれ異なります。変わった花も生まれてきます。はっ、と美しいのもあります。でも、ここ数年、わたしの庭では、数種類の同じような形質がいくつも出てきました(それでも、細かくはそれぞれ異なり、美しいのですが)。それで、新しい遺伝子の注入が必要か、と思うようになりました。
株があまりにもたくさんあるので、これ以上増やしても・・・とも思ったのですが、20年に近いヘレボルスとのお付き合いから、ヘレボルスが、勢いが落ちることもあれば、永遠に生きているのでもないことがわかってきたので、更新するのは大切だと思いました。
ただ、ナマケモノのわたし・・・そんなわたしが既存の株を掘り上げて株分けするわけはない(よそ様に差し上げる時には、ちゃんと掘ります)ので、新しい個体によそから来てもらうしかありません。
2023.04.30撮影
上の画像は、ヤマブキの植わっているところを、先の画像とは別の角度から。プルモナリア・ロンギフォリア(Pulmonaria longifolia)の青い花と長い葉につく白い斑点が目に飛び込んできます。
バンクーバー近辺では、1月の終わりから2月にかけて、園芸店にヘレボルスが大量に並びます。その時期をねらって園芸店へ出向いたのですが、新しいヘレボルスの個体を探すのを目的としてこの時期に園芸店に行ったのは、これで、続けて3年目です。
今年の印象としては、草丈の高めのものが多かったこと、また、花が一重で、大きく、横向きに咲くのが目立ったこと、です。本来はうつむいて咲くヘレボルスが多い中、園芸種が横向きに咲いてお顔を見せてくれるのは、うれしいです。でも、うつむいているのがかわゆいとも言えるので、ちょっと複雑な気持ちです。
2023.03.30撮影
直前の画像で花の裏側(外側)が見えるのは、花のうつむいているこれらの個体を真上から撮影してあるからです。次の画像は、うつむいた花を、地上の位置から斜め上に見上げて撮影してあるので、花の表側(内側)が見えます(この画像には、ヘレボルスが5〜7種類ぐらい写っています、判別しにくいですが)。
2022.03.13撮影
園芸店で、去年まではよく見られた八重のが、今年はあまり見られなかった(ないわけではない)のは、ちょっと新鮮な驚きでした。でも、最近読んだヘレボルスについての本(年末年始に日本に帰国していた時に買った)によると、八重の人気は下火になりつつある、とのことで、それに合致しているのか、と思いました。
2022.04.10撮影
もうひとつのちょっとした驚きは、オリエンタリス系の、千差万別の花びらの模様のついた、素直に美しいもの(例えば、直前の画像、ここではガクだけになった花ですが)があまりなく、がっかりでした。これも流行りの推移なのでしょうか。わたしの庭では、みんないろいろなのが咲いているよ! スポット、ベイン、ネット、フラッシュ、、、
2023.03.30撮影
今回、わたしは、新しいヘレボルスを3鉢買い求めました。新しい遺伝子の注入であります。これから3回に分けて、これらの新しいお仲間をご紹介します。
ヘレボルスの記事が続いていますが、ご容赦ください。(今、ヘレボルス以外に咲いている花は、ほとんどないので、仕方ない。)
上の、まだヤマブキの咲いていない画像では、木の根本、右側に、オリエンタリス系の黒いヘレボルスが見えます。手前左手は、オリエンタリス系ではなく、アルグティフォリウス(Helleborus argutifolius)です。
2006.02.05撮影
このヘレボルス(Helleborus)は、現在はもうわたしの庭にないヘレボルスで、ヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger)のはずです。ニゲルなら、クリスマスローズです。少なくとも、そのつもりで購入しました。この画像では、子房が発達を始め、蜜線も落ちているので、クリスマスローズの典型的な写真とは異なって見えるかもしれません。
学名 Helleborus niger
英名 Christmas rose「クリスマスローズ」
別名 Black hellebore
和名 ユキオコシ(雪起こし)
別名 カンシャクヤク(寒芍薬)
流通名 クリスマスローズ
キンポウゲ科(Ranunculaceae)ヘレボルス属(Helleborus)
日本にお住まいのみなさんは、この植物を、英語の名前 Christmas Rose にちなんで「クリスマスローズ」と呼ばれていると思います。実際、早く咲く個体はクリスマスのころに咲きます。
2023.04.18撮影
うちの庭には、冒頭画像のクリスマスローズはもうないんですが、上の画像のようなヘレボルスはたくさんあります。オリエンタリス系のヘレボルスです。
学名 Helleborus orientalis
英名 Lenten rose「レンテンローズ」
流通名 クリスマスローズ
別名 ヘレボルス
キンポウゲ科(Ranunculaceae)ヘレボルス属(Helleborus)
オリエンタリス系のヘレボルスは、一般に、キリスト教のレント(四旬節)の時期(2月始めから3月始めにかけて)に咲き出すので、英語では Lenten Rose「レンテンローズ」と呼ばれます。
2023.03.30撮影
上の画像は、うちの庭の一角(柵の内側と外側と)です。ヘレボルスは、他にもたくさんあります。
わたしが英語圏に住んで、英語で生活しているからだ、とは思いますが、レントのころに咲くオリエンタリス系のヘレボルスを、クリスマスのころに咲くクリスマスローズと呼ぶことには、わたしは大変抵抗があります。
それで、わたしは、一貫して、学名からとったヘレボルス(Helleborus)という言い方をしてきました。それは、属名です。英語では、ヘレボルス全体(Helleborus)を Hellebore「ヘレボー」と呼びます。
ヘレボルスの園芸種は、多くは、オリエンタリス系(Helleborus orientalis)です。オリエンタリス系が交雑しやすいのだそうです。これらの園芸種は、一括して、Helleborus x hybridus(ヘレボルス交雑種・交配種)と呼ばれます。
「x」が、学名の表記上、交雑種・交配種であることを示す上に、この場合は、hybridus 自身も「交雑種・交配種」という意味です。園芸家が Helleborus x hybridus という表現を用いれば、事実上、「ヘレボルス園芸種」ということになります。
わたしの頭の中では、「交雑種」が自然にできたもの、「交配種」が人間が意図的に交配したもの、という区別をしていますが、簡単に交雑・交配する植物ではあまり意味のある区別ではないのかもしれません。
2024.02.22撮影
日本では、ヘレボルス全体をクリスマスローズと呼ぶのが主流でしょうか。そして、短くして、「クリロー」とも呼ばれるんですね? それから、ヘレボルスと呼ばれる方々もいて、そこからは「ヘレボ」という言い方もある。
わたしは、ナマケモノであるだけでなく、ガンコなので、レンテンローズ(Helleborus orientalis)のことをクリスマスローズ(Helleborus niger)とは呼べず(だって、それは、ソメイヨシノをカンザクラと呼ぶようなもの)、これからも両者(と他のヘレボルス属の種も)を指してヘレボルスという言い方を続けていくと思います(本当は、「ユキオコシ」と言いたいの)。ですので、わたしがヘレボルスと書けば、日本の流通名でいうクリスマスローズのことだと思ってくださいまし。
2024.02.02撮影
わたしの庭で今年最初に咲いたヘレボルスを、前回と今回、ご紹介しています。前回は、赤紫系の花を集めてみました。今回は、薄いピンク色のです。
わたしの庭には、ヘレボルスの交雑種が、少なく、少なく見積もっても100株以上あります。そのほとんどは、わたしの庭で生まれ育った株です。みんなそれぞれの美しさがあるのですが、好みで言えば、前回最後にご紹介した個体がわたしの好みのひとつです。
その個体にやや似たのが、今日の冒頭の個体です。こちらは、色が薄いピンクで、スポットが淡く見えます。こちらも、写真より、実物の方が格段にきれいです。この花を見ると、わたしはつい見とれてしまいます。わたしは、実は、こちらの色の淡い方が好きです。
以下に、このよく似た個体をふたつ並べてみました。
2024.02.10撮影 2024.02.02撮影
次の個体もピンク色ですが、そのピンクの色調は、薄く、やや青っぽいです。この個体にもスポットが見られます。でも、こちらのスポットは、冒頭の個体のスポットより、間が空いて、それだけで、異なる印象を与えます。
また、花びらに黄緑の色が出ています。ヘレボルスの花びらは、そもそもはガクなので、このように黄緑の色が花びらに現れます。自然交配で世代を重ねていくと、この花びらへの緑色の出現率が上がります。
2024.02.06撮影
次の個体の花びらでは、ピンクよりも黄緑の方の割合が高いでしょうか。花びらに緑色がついている、というより、ガクにピンク色がついている、という感じ。小さいスポットが花びらの根元近くにわずかにつくのですが、その模様の出方は、花びらごとに不均等です。模様の出方がはっきりしないので、フラッシュ「閃光」とまでは呼べないでしょう。
2024.02.10撮影
さらに薄いピンク色の花が、次の個体です。大変優しい色です。この個体も、花びらに黄緑の部分があります。スポットが花びらそれぞれの中央に塊って出ているので、フラッシュということになりますが、かなり不規則ですから、不規則なフラッシュ、と言いましょうか。花びらの薄い地の色を背景に、濃い小豆色のスポットが出るのは、きれいです。
2024.02.05撮影
スポットというのは、大きさ、形、散らばり方、散らばる密度、現れる場所、色、などの違いにより、印象が大きく異なります。
次の個体のスポットも、ここまでの例と異なりますね。花びらの色も、異なります。少しずつ異なる特徴が組み合わさるので、同じ模様のはない、ということになるのです。よって、市販される「名称つき」のヘレボルスは、あれは、タネから育てたものではなく、クローンです。
2024.02.05撮影
次の個体は、濃い色の大きめのスポットがはっきりと浮かんでいる例です。花びらの地の色も少し変わっています。ウメの花のような色?
2024.02.10撮影
うちには、ヘレボルスがもっともっとあるんですが、それらのご紹介はまたの機会にします。次回は、2月初めに園芸店で買ってきた新しいヘレボルスを見てくださいませ。
2024.02.05撮影
わたしの住むバンクーバーでは、この1月の半ばに、例年より厳しい低温、雪、雨、が続きました。それで、それより前、12月〜1月にかけて花芽を出していたヘレボルス(Helleborus)が大きな被害を受けました。(サザンカも、花とツボミがダメになりました。)
でも、気温が寛解すると(と言っても、庭仕事するには寒いんですが)、まだ花芽を出していなかったヘレボルスが花芽を出して、1月末には咲き出しました。そして、2週間もしないうちに、庭中で開花。
今日は、そのように咲いているヘレボルスのうちのいくつかを、ご紹介します。すべて、オリエンタリス系(orientalis)の交配種・交雑種です。
オリエンタリス系のヘレボルスは、多くは下向きに咲くのですが、冒頭の画像のヘレボルスは、ほぼ横向きに咲きます。
この花の色は全体的に薄めの赤紫で、特筆できる模様がついていないので、プレーン「無地」という分類になると思います。でも、花びら(実は、ガクですが、以下、「花びら」あるいは「花弁」という呼び方をします)のつけ根が薄黄色なので、そちらを優先する分類もあるかもしれません。
以下の画像は、冒頭の画像のヘレボルスを上から撮影したものです。見えているのは、花びらの裏側(=外側)です。
2024.02.05撮影
この花びらの裏側(=外側)には、濃い色の脈が現れています。ベイン「静脈」という用語があり、それは、花の表側(=内側)に現れる脈状のものを言います。このベインという用語が、裏側に見える脈についても言うのかどうかは、わたしは知りません。(大体、花びらの裏側まで見て喜んでいるのは、わたしみたいなカワリモノだけ?)
冒頭の画像の花びらのつけ根に見える薄黄色の部分は、裏からも見えます。この薄黄色の部分は、でも、直前の画像中には、撮影角度のため写っていません。
次の花は、今年、わたしの庭で一番最初に咲いたヘレボルスです。1月末に咲きました(画像は、その数日後、2月に入ってから撮影しました)。きれいなバラ色で、ややうつむき加減に咲きます。
2024.02.03撮影
この個体には、透明の脈がたくさん走っています。花びらの地の色よりも濃い色の脈はベインと言うのですが、透明の脈には名前がついているのでしょうか。透明の脈が出ている花は結構あるので、なんらかの用語があっていいと思います。
このバラ色の花は、オシベがもう開いているので、咲きたての花ではありません。でも、花びらがカップ状のままです。このような咲き方を、文字通り、カップ咲きといいます。
2024.02.03撮影
この3番目のヘレボルスは、花弁の先が尖っています。このような形の花びらを、剣弁、そして、そのような形の花弁の咲き方を、剣弁咲き、といいます。
この個体には、小さめのスポットが花びらのほぼ全体に出ていますが、色が花びらの地の色とほとんど変わらないので、この花は一見プレーンに見えます。このような個体をスポットと呼ぶのか、プレーンと呼ぶのか、わたしにはわかりません。
ヘレボルスの花は、交雑によって変化に富むので、花のフォーム「形状」の分類は難しいです。全く同じ花はない、とまで言われる所以です。
2024.02.10撮影
この個体の特徴は、小さいスポットが花びら一面に出ていること、ベインがはっきりではないが出ていること、また、透明の脈もあること、花びらのつけ根と一部が黄緑色であること、などです。
わたしの庭にはヘレボルスが多数あり、みんなが自由恋愛をするので、一体どういう子孫ができるかは、全くわからないのです。形質が混ざり合うので、園芸店に並んでいるようなくっきり、すっきりしたフォームにはなりません。代わりに中間的な形態の個体が生まれてきます。わたしにとっては、それがヘレボルスを育てる醍醐味でもあります。
2024.02.13撮影
この個体は、先の個体よりも色が濃く、赤紫色をしています。そして、花弁の先が部分的に黄緑です。花弁全体に大きめのスポットが広がり、重なり合ってブロッチ「シミ」を形成します。
この個体の花びらは、先が鋭角に尖っていないので、丸弁といい、その咲き方を、丸弁咲きと言います。と言っても、花びらの形も、交雑の仕方により、千差万別で、分類と言っても、程度問題です。
この花は、平たく開いているので、この咲き方を平咲きといいます。これも程度問題で、中間形態がたくさんあります。
2024.02.10撮影
今日ご紹介する最後の個体は、写真でより、実物で見た方がとびきりきれいな花です。やや大きめのスポットが、花びらのかなり外縁まで広がります。でも、重なり合っていないので、ブロッチには見えません。かなり幻想的な花です。
今日は、赤紫系のヘレボルスでしたが、次回は、薄いピンク系のヘレボルスをお見せします。
2023.02.18撮影
このヘレボルスは、去年購入した園芸種、ヘレボルス・バラーディアエ「マーリン」(Helleborus × ballardiae 'Merlin')で、ヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger)と
ヘレボルス・リヴィドゥス(Helleborus lividus)の交配種です。
ヘレボルス・ニゲルは、冬が比較的暖かい地方ではクリスマスのころ咲きます(よって、「クリスマスローズ」と呼ばれる)。ヘレボルス・リヴィドゥスも、冬の中ごろという早い時期に咲き始めます。その交配種であるヘレボルス・バラーディアエ「マーリン」は、晩冬から。
2023.12.16撮影
去年冬の終わりに植えて、夏の間中葉っぱ(大変、美しい)は元気いっぱい、そして、12月の半ば(わたしが帰国する前)には、もうツボミがふくらんでいました。うちの庭で、1番。
わたしがバンクーバーに帰ってきたのは、1月半ば。寒波の始まった2日目でした。最低気温が、マイナス9℃、マイナス13℃、マイナス10℃、マイナス6℃、と推移する中、わたしは、最低気温がマイナス13℃の日の午後(つまり、一番寒かった日の午後)、気温がややゆるんだマイナス10℃の時に空港から出てきました。
以下は、バンクーバーの1月の気象状況です。こりゃいい、と思って見つけたサイトが、なんで、ニュージーランド(nz)のサイトなんだろう???
2024.01.14撮影
自宅について、門の脇にある「マーリン」を見てみると、花茎も、咲きかけていた花も、常緑の葉も、くたっとなっていた。気温が下がると、ヘレボルスの花茎はしょっちゅうこのようになり、気温が上がれば普通になるので、大丈夫、大丈夫、とその時は思いました、というか、寒波が尋常でなかったので、祈りました。
まもなく雪が降り始め、積もったままになり、気温がやや上がってきたと思ったら、その後、何日も冷たい雨が降り続きました。雨の合間に植物を見に行くと、「マーリン」の花茎は腐ってしまっていることがわかり、切り取るしか他にできることはありませんでした。
2023.04.03撮影
このヘレボルスは、ヘレボルス・アルグティフォリウス(Helleborus argutifolius)です。これも、地方によっては晩冬に咲き始めます。わたしの庭では、2月ごろにツボミがふくらみます。アルグティフォリウスの花期は長く、夏まで咲き続けます。
2023.02.09撮影
ヘレボルスの葉は、どの種も、一般に、常緑なんですが、ヘレボルス・アルグティフォリウスは、特に、真冬を通じて元気な葉を維持します。日本から帰ってきた時も、変わらない深緑だったので、よかった、アルグティフォリウスは大丈夫、と思いました。
2024.01.24撮影
その後、アルグティフォリウスも雪に埋もれ、草丈が高く葉が茂っている分、雪の重量を受け、茎が折れてしまいました。その後、これも腐る方向へ向いていきました。泣く泣く、何10本も切り取って処分しました。
うちの庭中に広がっていた「大人」のアルグティフォリウスは、全滅です。まだ1〜2歳の「子ども」のアルグティフォリウスがなんとか傷つきながらも残っているだけ。この後、どうなるんでしょう・・・
2023.04.12撮影
これは、ヘレボルスでも、オリエンタリス系(Helleborus orientalis)です。これは、クリスマスのころに咲くのではなく、レント(四旬節)のころ(=2月〜3月)に咲き出すので、「レンテンローズ」といいます。日本では、レンテンローズのこともクリスマスローズと呼びますが、両者は別のものです。
上の画像のオリエンタリス系のヘレボルスは、ちょっと変わり者。「花びら(実は、ガク)」があまり開かないのです。ガクだけになるころ(右端の花)には、だいぶん開いてきますが。
2024.01.26撮影
このオリエンタリス系のは、わたしが帰国する時、まだ花芽を出していませんでした。葉はついたままでしたが。それで、雪にやられたのは、葉っぱ(上の画像)と、ツボミの先の方だけ。これなら、傷んだところを取り除くだけで、元気にやっていってくれると思います。
なお、上の画像中、ツボミを見せているのは、スイセン(Narcissus)で、「ジェットファイア」('Jetfire')という園芸種です。
また、画像中、地上にある茶色いものは、去年の秋の落ち葉です(ゴツゴツしたものは、モミジバフウの実)。腐葉土になるように寄せてありますが、全部はこの短期間で腐葉土にならないので、春先に半分以上どけます。その作業をしたら、ヘレボルスがきれいに見えるようになります。
「ジェットファイア」の植っているところを画面左にたどると、以下のようにツボミが見えます。
2024.01.26撮影
以下に2枚、傷んだヘレボルスの画像を載せます。特に損傷の激しいものは、腐っていて、お見せしても気持ちのいいものではないので、掲載しません。
左の方は、花茎が雪の重みで折れました。右の方は、葉っぱが随分やられています。花びらの傷みは大したことありません。でも、咲くと歪になるかもしれません。
2024.01.26撮影 2024.01.31撮影
以下は、ほぼ被害を受けなかったツボミ。左のは、でも、先が少し傷んでいます。
2024.01.31撮影 2024.01.31撮影
結局、早くに花芽を出していたものと、葉を茂らせていたものが被害を受けました。オリエンタリス系(レンテンローズ)は、ニゲル系(クリスマスローズ)ほど花芽が出るのが早くないので、雪の大打撃を免れた、ということです。
2024.01.31撮影
わたしの庭で、毎年一番に咲く花は、スノードロップ(Galanthus nivalis)です。スノードロップの植え込みは2ヶ所にあるのですが、1ヶ所がこれも決まって先に咲き、もう1ヶ所がそれに続きます。先に咲くほうは、1月末には、冒頭画像に見られるように、こんなにきれいに開きます。茶色く見えているのは、腐葉土用に落ち葉を寄せたものです。
学名 Galanthus nivalis
英名 Snowdrop
英名 Snowdrop
和名 マツユキソウ(待雪草)
別名 スノードロップ
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)マツユキソウ属(Galanthus)
別名 スノードロップ
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)マツユキソウ属(Galanthus)
花びらの先につく緑の印は、「V」あるいは「U」が逆さになっているように見えますが、花びらの内側をのぞいてみると、「ハートの形」がひっくり返ったように見えます。次の記事の5番目の画像でお確かめください。
2024.01.24撮影
この画像では、手前に、ふくらんで垂れているツボミ、その後ろに、ふくらみかけてはいるがまだ固く上を向いているツボミ、が見られます。これが1週間で冒頭画像のようになります。
もう1ヶ所にあるスノードロップは、1週間〜10日ほどおくれで花が発達してきます。こちらでは、球根が土からあふれるようにできます。このこぼれた球根をつかむようにして土に埋め直してやるのが、わたしの夏の庭仕事のひとつです。
先に咲く方のスノードロップの北隣には、早咲きのスノークロッカス(Crocus chrysanthus)が植わっています。スノードロップに続いて、このスノークロッカスのツボミがふくらんできます。まだ落ち葉を敷きつめたままの地上を背景に、小さくて低いところにある花ながらも、その色が目をひきます。オレンジ色がかった黄色です。
2024.02.02撮影
学名 Crocus chrysanthus「黄金色の花を持つクロッカス」
英名 Golden crocus「黄金色のクロッカス」
別名 Snow crocus「雪のクロッカス」「スノークロッカス」
英名 Golden crocus「黄金色のクロッカス」
別名 Snow crocus「雪のクロッカス」「スノークロッカス」
和名 クロッカス・クリサンサス
アヤメ科(Iridaceae)クロッカス属(Crocus)
アヤメ科(Iridaceae)クロッカス属(Crocus)
ツボミは最初、先がやや尖っています(直前の画像)。でも、ほどなく、先端がもっとふくらんで、丸みを帯びてきます(次の画像)。
2024.02.06撮影
ツボミは、開くと、ゴブレット型になります(次の画像)。晴れた日には、花びらがもっと開きます。花びらの外側の根本には、やや茶色い線が浮かび上がっています。
2024.02.07撮影
上の Crocus chrysanthus(黄金色の花を持つクロッカス)の園芸種に、'Snowbunting'(スノーバンティング )という園芸種があります。「黄金色の」と同じく早咲きで、でも、色は白いクロッカスです。
このスノーバンティングを、わたしは、数十年前に、遅れて咲く方のスノードロップと隣り合わせで植えました。両者とも、幾何級数的かと思う勢いで増えたのですが、ある時、周りの木々が大きくなるのが一定のところに達したのを境に、スノードロップはそのままますます増えつづけたのですが、スノーバンティングは急速に消えていく、という対照的な運命をたどりました。
2006.02.12撮影(古い画像)
スノーバンティングは、現在、ほとんどなくなって、数本しかツボミをつけないので、花の姿のご紹介としては、古い写真を掲載します(直前の画像)。
2006.02.12撮影(古い画像)
そして、そのスノーバンティングの隣には、矮性のアイリスが咲いていたのです。上の画像のころは、木々が大きくなくて、落ち葉があまりなかったんですなあ。この画像では、被写体が太陽に照らされ、白い花びらが判別しません。
学名 Iris reticulata「網目模様のアイリス」
英名 Netted iris「網目模様のアイリス」
英名 Netted iris「網目模様のアイリス」
別名 Dwarf iris「矮性アイリス」
和名 イリス・レティクラタ
別名 ミニアイリス
アヤメ科(Iridaceae)アヤメ属(Iris)
今は、そこに、そのアイリスもありません。完全になくなってしまいました。バンティングは、数本なんとか生きながらえているだけ。
去年、わたしは、新しい矮性アイリスを求め、庭の別のところへ植えました。今年、花が咲く準備を始めた1月に、バンクーバーでは低温が続き、雪も降り積もって、さらに、その後、ツボミが冷たい雨に当たり、花びらが傷んでいます。それでも、咲いてくれました、ありがとう。
2024.01.29撮影(雨の中)
きれいに咲いているところは、次の古い写真から、どうぞ。
2006.02.10撮影(古い画像:拡大切り取り)
今日のお花は、みんなキジカクシ目(Asparagales)でした。アスパラガス(Asparagus officinalis)の属する目です。
2023.12.16撮影(日本に出立前)
日本からバンクーバーにもどってくる時、羽田空港で国際線に乗って、わたしは、早速、ヘッドホンを耳に当てて、お目当ての映画を見始めました。なぜなら、日本行きの便で3本目に見たその映画が、時間切れになり最後まで見られなかったのです。題して『レジェンド&バタフライ』(木村拓哉、綾瀬はるか、主演)。
出発後1時間ほどして、機長のアナウンスが・・・「現地バンクーバーの気温は、現在、マイナス12℃」え? わたしはその場で凍りつきましたよ。ヘッドホンで耳がおおわれていたので、他の乗客の反応は聞こえませんでしたが。
2023.12.16撮影(日本に出立前)
飛行機を降りる直前に、わたしのジャケットを物入れから取り出してくれた客室乗務員さんが、「このジャケットじゃ、寒いんじゃ?」と心配してくれました。わたし「日本ではこれくらいのがいいのじゃないか、とこのジャケットを選んだんですが、マイナス12℃には寒いと思います。でも、すぐ、迎えの車に乗り込みますから、大丈夫です。」(なんて言っておいて、空港の建物を出た途端に震えた。チメタかったわ。その時点では、マイナス10℃だったそうです。)
乗務員さんは、つづけて、「植物が寒さでやられているんじゃ?」と。その疑問に対し、わたしは、偉そうに、堂々と、「いえ、植物は大丈夫なんです。」そのわたしの答えに納得して、乗務員さんは、「ああ、植物はこちらのもので、こちらの気候に慣れている、ということですね。」そして、わたしが答えましたよ「そうなんです。」(と、表を張って言いながらも、実は、内心、心配であった。)
2023.12.16撮影(日本に出立前)
ここまでの画像3枚と次の画像(合計4枚)は、わたしが12月半ばに日本に出立する前にわたしの庭で咲いていた、サザンカの花です。今季は気温が穏やかなせいで、10月末からずっと咲いていました。日本に出立前の時点で、このサザンカを1ヶ月半楽しんでいました。
この木には、2〜3年前からツボミが多くつくようになりました。でも、例年は、今季のように早く咲かず、ツボミが開く前に気温が下がり、さらに雪が降るとツボミがくさってしまう、つまり、ツボミが開くまで生きていないので、咲いた花は滅多に多く見られないのです・・・ぐすん
それで、その対策をどうするか、というのを書いた(そして、何度かリンクした)のが、次の記事です。
サザンカのツボミ
帰国する前、ヒヤヒヤものでしたよ。こんなに咲いているのに、また、こんなにまだまだツボミがついているのに、わたしの留守中どうなるか? と。もし雪が降って、降るだけでなく枝の上に積もれば、そして、積もっている時間が長くなれば、咲いている花はどうなるのか、ツボミはどうなるのか、と。
2023.12.16撮影(日本に出立前)
客室乗務員さんにお別れを言って、空港で通常通り入国手続きをし、出迎えてもらって、いつもの道を走り、自宅に着き、車を降り、、、わたしは、一番に、でも、おそる、おそる、わたしのサザンカのところに駆けつけました。
2024.01.14撮影(帰宅後)
やっぱり・・・
開いていた花が低温でやられていました。まあ、開いていたのは花びらが無防備だから仕方ない、と思ってツボミを見てみると、ツボミも無傷ではありませんでした。
2024.01.14撮影(帰宅後)
ピンクのところが残っているから、大丈夫か? でも、色が変わっているのはツボミの根本の方だから、もうダメか?
と気をもんでいると、翌日からバンクーバー都市圏(Greater Vancouver)の山がちのところが雪に、その翌日から海に沿ったバンクーバー市(the City of Vancouver)も雪に、それから何日間も、雪、雪、雪、、、
となると、経験から、雪が消えた時にはどうなっているか、もうかわかっていたんですよ。
2024.01.24撮影(積雪が解けた後)
このように、ツボミが全部ダメになってしまいました。今季は、わたしのサザンカはこれで終わりです。来季まで花が咲くことはありません。
以下の画像は、きれいに咲いていた時の写真です。
2023.11.29撮影(日本に出立前)
このサザンカにわたしの庭で花を数多く開いてもらうには、早くから、つまり、寒くなってしまう前に、咲いてもらうしかないようです。でも、頼んだからと言って、聞いてくれるものでもないし。ですから、わたしがなんらかの対策を講じなくちゃ。雪が降り出したら、すっぽり覆えるものを被せるか?
2023.12.10撮影(日本に出立前)
直前の画像は、雨に濡れる、開き切らない、まだきれいなサザンカです。バンクーバーは雨が多いです。雪だけでなく、雨も長く降ると、花びらが傷みます。この画像の花は、雨に濡れているだけですけど。
2023.11.11撮影(日本に出立前)
これは、開いて間もないサザンカ。まだ、ピンクの色が勝っています。
サザンカの画像をインターネット上でいろいろ見ていて、うちのサザンカは、『御美衣(おみごろも)』の可能性があるかな、と思いました。
2024.01.05撮影
1年ちょっと前の帰国では、成田空港に着きました(季節や航空会社によって、着くところが異なります)。成田空港から羽田空港へのバスの車窓から、高速道路の脇にサザンカがたくさん植えられているのが見えました。10月の末でちょっと時期が早かったからでしょう、花はまばらにつき始めたところのようでした。
若かったころの両親が今の地所を家つきで購入したのは、わたしが3歳半の時です。その時に庭に植えられた花の咲く木々は、わたしと同じくまだまだ小さく、幼くて、花はそんなに咲かなかったんです。
ある年、冬の初めに、小学校低学年の時だったか、家の中から外を見ると、真っ白な花が咲いている木が目に入りました。その花は、咲きながらも、散るのです。冬に入ろうとする季節なのに、そのあたりがパッと明るくなり、すごく印象的でした。母に報告すると、母は、今年はサザンカが咲いたのね、と言いました。
人はそれぞれ心象風景ってあると思うんですよ。この咲いては散っていく白いサザンカが、わたしの子ども時代の心象風景のひとつとなりました。
それがわたしのサザンカへのこだわりとなり、わたしのバンクーバーのお庭にもサザンカを植える理由となったのでしょう。
サザンカのツボミ
サザンカの一番花、二番花、三番花
現在の両親のうちの庭には、このサザンカの木はありません。全面改築する時に、敷地に盛り土をするため、庭の植物は廃棄されたか、掘り上げられて他所へ預けられたのです。この白いサザンカはその時廃棄され、新しい庭には改めてサザンカが植えられることはありませんでした。両親は、その辺は気になっていたようですが、サザンカなしに今に至っています。
今回、年末年始に帰国・帰省し、あちこちでサザンカを見ることができて、うれしかったです。サザンカを見ることができるだろう、と期待はしていたんですが、期待以上でした。ご近所をさらっと散歩しただけでも、次々と鑑賞することができました。
前置き(すみません、ここまでが前置きです)が長くなりましたが、そして、日本の比較的暖かい地域にお住まいの方には珍しくもなんともないと思いますが、わたしが感動しつつ見たサザンカの画像をお見せしたいと思います。
他人様のお庭に植わっているものなので、カメラをじっくりと構えるわけにはいかず、手の届く範囲内で、さっと撮影したものばかりです。
品種名は、もとよりわかりません。花の色の違い、花びらの形状の違い、花全体の姿の違い、オシベ、メシベの様子などを、ご覧くださいませ。
オシベ、メシベは、冒頭の画像で大写しされています。中央にあるのがメシべ、それを取り巻くのがオシベです。メシベは、3裂するものですが、この個体は、たまたま4裂しているようです。
次の2枚は、冒頭画像のサザンカと同じサザンカです。花びらを平たく開き、目をぱっちり開けて、花自体が咲くことを楽しんでいるように見えます。
2024.01.05撮影 2024.01.05撮影
下のサザンカ2枚は、別の木から。上のサザンカと比べ、花びらが平たく開ききらないようです。でも、わたしの見たのがたまたまそういう開き具合のだったのかもしれません。花びらの感触は、上のがぴらぴらしていて、下のはやや重量感があります。
2023.12.22撮影 2023.12.22撮影
次のピンクのサザンカは、葉がかなり赤いです。花びらの質感が、ぴんとしている? ひょっとして、狭い意味でのサザンカではないのでしょうか。
2024.01.05撮影 2024.01.05撮影
次の白いサザンカは、花がわたしの手の届くところになかったので、一旦写したのを拡大切り取りしました。左右とも同じ木からです。開き具合で、花の印象が随分異なります。
2024.01.05撮影(拡大切り取り) 2024.01.05撮影(拡大切り取り)
次のピンクのサザンカですが、左と右のとでは、同じ木か、異なる木か、覚えていません。写真って、やはり、メモをとりながら写したほうがいいのでしょうか。
2024.01.06撮影 2024.01.06撮影
次のサザンカは、「一重」に近いでしょうか。2枚とも同じ木からです。
2024.01.06撮影 2024.01.06撮影
次は、やや形状が異なるようです。花びらが重なり、ひらひらしています。
2024.01.06撮影
以上、および、今までの記事で、サザンカ(Camellia sasanqua)のように見える花をすべて「サザンカ」と呼んできましたが、サザンカは、実は、3群に分けられます。
・サザンカ群
・カンツバキ群(名称は「ツバキ」だが、サザンカである)
・ハルサザンカ群
わたしの住むバンクーバー近辺は、サザンカをよく観察して勉強できる環境ではないので、わたしは知識が少なく、よって、この3群を分けずに書いてきました。もし不都合な記述があったなら、お許しください。
サザンカ一般については、以下の国立歴史民俗博物館の
『くらしの植物苑特別企画「冬の華・サザンカ」』
という記事に、説明があります。よろしければ、どうぞ。
今回の帰国日記はここで終わりますが、次回は、わたしのうちのサザンカに再び話が戻ります。
2024.01.05撮影(ハナカタバミ)
帰国すると、実家の庭にあまりにも季節外れのものが咲いている。咲き続けているのか、早く咲いているのか。そういうことを、前回、書きました。
でも、それ、実家の庭だけじゃないなあ、ご近所の庭でも、また、道端でも、また、ブログ記事を書かれている他の方々の近辺でも(11月にアサガオ、というのも読ませていただきました)、あまりにも季節外れのものが咲いている。
そんな季節外れの花のうち、特にあきれかえるのが、カタバミ。あっちこっちに、咲きまくっているじゃないですか? あれ、どうなっているんですか? 四季咲き、というか、常時咲き? 通年咲き? なんですか。
と、ここまで毒づいておいて、はた、と気がつきました。ひょっとして、冬に咲くカタバミ(オキザリス)の種(しゅ)が存在するのでは?
それで、まず、今回の帰国・帰省中(12月〜1月)に花が咲いているのを見たオキザリス各種をリストにしてみました。
・ハナカタバミ(Oxalis bowiei)
・フヨウカタバミ(Oxalis purpurea)
・オオキバナカタバミ(Oxalis pes-caprae)
・カタバミ(Oxalis corniculata)
2024.01.05撮影(ハナカタバミ)
2023.12.29撮影(フヨウカタバミ) 2024.01.05撮影(フヨウカタバミ)
2023.03.27撮影(オオキバナカタバミ) 2024.01.04撮影(カタバミ)
以上のカタバミ属(Oxalis)の花をひとつずつ見ていきたいと思います。
ハナカタバミ(Oxalis bowiei)
これは、以前に、和名はないのではないか、と申しました・・・
・・・が、今回調べていて、Oxalis bowiei は、ハナカタバミ、と呼ばれているのが分かりました。花がやや大きめの、きれいなピンク色のカタバミです。「花が美しいカタバミ」ということで「花カタバミ」というのでしょう。
原産は、南半球にある南アフリカです。よく知られたサイトでは、花期はどうである、と書かれているでしょうか。
>> produced continuously for a considerable length of time during summer
(夏の間中、かなりな長い期間にわたり、続けて休みなく咲く)
>> 花期は7~10月
上記ふたつとも、花期は夏である、と述べています。
それに比べ、以下では、10月~翌5月となっています。このサイトは、わたしは、今まで、他の記事を見てかなり信用のできる内容を発信している、と思っていたのですが、これは、情報的に間違いではないでしょうか。
>> 開花期:10月~翌5月
原産地が南半球であることを勘定に入れずに、原産地の夏である「10月~翌5月」を、何らかの英語の文献からそのまま訳したものと思われます。「10月~翌5月」は、南半球では春から秋にかけて(つまり、夏)ですが、日本などの北半球では、そのように呼ばれる月は、秋から春にかけて(つまり、冬)、です。
以上から、ハナカタバミの花期は夏である、としていいと思います。じゃあ、なぜ今咲いているのよお〜〜
フヨウカタバミ(Oxalis purpurea)
先に、フヨウカタバミの画像をふたつあげました。左側が白花、右側が赤花(ピンクの花で、赤い葉)です。見かけはずいぶん異なりますが、同一種だと思います。他に、この中間の、白い花で赤い軸のもあります。
>> 花期は4~7月だが、暖地においては冬季の11~3月に花を咲かせる場合もある
あ、ついに出てきた!! フヨウカタバミなら冬場にも咲くのか!
結局、フヨウカタバミと同じ現象がハナカタバミにも起こっているのか? でも、その現象が最近のことで、最近のことだから、文献に挙がっていないのか? と、想像だけ、というか、夢想だけしておきます。(あはは〜〜、科学的物証のないことを、ここまでよく言うよ!)
オオキバナカタバミ(Oxalis pes-caprae)
上に、黄色い花のカタバミの写真が2枚ありますが、そのうちの左側のが、「大きい、黄色い花の、カタバミ」であるオオキバナカタバミです。葉の形が独特です。次の画像をご覧ください。
2023.01.17撮影(オオキバナカタバミの葉)
オオキバナカタバミの画像については、お詫びすることがあります。実際に咲いていたのですが(つまり、咲いていた、というのはウソではないのですが)、風が強く、まともな写真が撮れなかったのです。それで、ここでは、花も葉も、去年の画像で代用しました。
>> 花期は3~5月頃(『日本の帰化植物』126頁)
この、花期が春であるとされるオオキバナカタバミも、確かに咲いていました。でも、ハナカタバミやフヨウカタバミほど咲いているわけではありませんでした。ということは、オオキバナカタバミが冬に咲くのは、そう一般的ではない、ということでしょうか。そして、冬に咲いている場合には、「早く」咲いた、ということでしょうか。
カタバミ(Oxalis corniculata)
上の画像5枚のうち、最後の小さい黄色い花のが、普通に言うカタバミです。これも属名と種名が同じで、混乱を引き起こします。このカタバミには、変種や品種がいくつかあるようですが、画像のものが、どれかは分かりません。
>> 4~10月
>> 花期は5〜9月
やはり、夏に開花するのですね。でも・・・この小さい黄色いカタバミは、わたしの子どもの時の印象では、いつでも咲いていたような・・・単に子どもがそう思っただけで、勘違いなのかもしれません。もし、わたしの印象が正しければ、カタバミは以前から「いつでも」咲く、ということになります。
2023.12.22撮影(ハナカタバミ)
今回は、季節外れに咲いている(とわたしが思った)植物のうち、カタバミ属にしぼって花期を調べてみました。ここにリンクしてあるサイト以外もかなり見たのですが、決定的には何も分からずじまいでした。
フヨウカタバミが暖地では冬場にも咲くことがある、というのは、分かりましたが、ハナカタバミは? 他のカタバミは?
それでは、歌をひとつ。
道行かば、行けども行けども カタバミの花
帰国のたびに また草抜きか
うん、いい歌である。特に、「か行」の繰り返しが苦しみを表していて、よろしい。
次に帰国・帰省するのは数ヶ月先。その時も、確実に、実家の庭はカタバミ属だらけよね、咲いているか咲いていないかに関わりなく。また、ほりほり、ほりほり、ほりほり、するのか〜〜うう〜〜〜
帰国日記、つづく。
2024.01.04撮影(今年)
わたしが帰省すると、その日は寒かったのですが、次の日から気温が緩んできて、庭に出ることができました。半年も帰省していないので、することはたくさんある。
庭に出ると、追うように出てきた父が言うんですね、「黄色いキクがず〜〜っと咲いているんだよ、見せたかったんだ。flowerconnectionちゃんが帰ってくるまでは、さすが持たないだろう、と思っていたけど、まだ咲いている、ちょっとくたびれているけどね。ま、そのほうが、風情がある」と。
ほんと、咲いている、中輪ぐらいのキク(Chrysanthemum)が(上の画像)。あ、それ、随分前から庭にあるキクよね。お父さんが植えたのかな、お母さんが植えたのかな。コロナが明けて初めてわたしが帰国した時(2022年)には、11月に咲いていた(下の画像2枚)が・・・
2022.11.15撮影(1年ちょっと前) 2022.11.15撮影(1年ちょっと前)
・・・と思いながら庭を見渡すと、前回の帰国の時、6月にわたしが植えたガーベラ(Gerbera)のツボミが、今回の帰国の時、1月に開きかけている(植えた時の花の画像が左下、この冬空に開きかけていたツボミが右下)。
うっそう〜〜〜、なんでガーベラがこの真冬に? ガーベラって夏に咲くよね? 半年前に咲いたばかりでしょう? 咲いていた鉢入りを6月に買ってきたんだから、間違いない。それで、もうツボミを出しているの? それ、体に悪いんじゃ?
2023.06.04撮影(去年の夏) 2024.01.04撮影(今年)
とにかく、園芸店に行ってみよう。(今まで「植物屋さん」と呼んでいましたが、「園芸店」という、より適切な表現があるみたいなのを学習しました、他の方々のブログ記事を読ませていただいて。)
すると、ガーベラの咲いているのが、外植え用に売られているんですね。これにもびっくりしました。と言うことは、咲いているのを今外に植えていいのか・・・この赤いの(下の画像)を買って帰ると、母が大喜びしてくれました。
2024.01.07撮影(今年)
夏の花が今咲いているのは、夏の終わりに一旦咲き終わってから半年後に咲いているのか、それとも、夏からずっと咲き続けているのか、と考えながら、また庭を見渡すと、他にも夏の花が咲いていました。夏の盛りの元気さはありませんが。
2023.12.22撮影(この冬)
2023.12.22撮影(この冬)
サルビア属(Salvia)の花は、一般的に花期が長い。でも、このまま行くと、1年中咲いていることになる? 原産地ではそのように咲く? 赤い方は、サルビア・ミクロフィラ(Salvia microphylla)、青い方は、サルビア・ガラニチカ(Salvia guaranitica)です。
スミレ属(Viola)の花も咲いていました。スミレ属の花って、春に咲くものですよね? 今、寒いのに、なぜ咲いている? バンクーバーのわたしの庭では、冬には、花が咲かないどころか、葉っぱまで枯れ込んでしまうのに。
2023.12.22撮影(この冬)
このスミレ属の花は、ずいぶん前から実家の庭にあり、増えています。画像中、タネのはじけた後の殻が見えます。スミレ(Viola mandshurica)のようです。属名が「スミレ」、種名も「スミレ」。植物の和名では、属名と種名が同じであるものが多いですが、こういう紛らわしい命名の仕方はやめてほしい。
もう1種類、スミレ属の花が咲いていました。それは、わたしが夏に買ってきて植えた、ツタスミレ(Viola hederacea)。園芸上の名前は「パンダすみれ」です。
2023.12.24撮影(この冬)
2023.12.22撮影(この冬) 2024.01.04撮影(この冬)
スミレ属については、また、改めて別の機会に書きたいと思います。
それより、季節はどうなっているんでしょう。春の花と、夏の花と、秋の花が、冬に混在して咲いている。
他にも、季節がどうなっているのか分からない植物が。それは、次回に。