78回転のレコード盤◎ ~社会人13年目のラストチャンス~

昨日の私よりも今日の私がちょっとだけ優しい人間であればいいな

◎所信表明・私が小説を書く理由(最終話)

2014-10-12 00:42:50 | ある少女の物語
 そして翌日。いつものように仕事。
 今更言うまでもないが、本当に様々なお客様が来る。


「ねえよ」「しろよ」と言葉遣いの乱れた女子高生や主婦。
 人前でエッチな話をするおじさん。
 ゴミを駐車場にポイ捨てする子供。
 店内を走り回る子供。
 トイレ荒らし。
 万引き。


 ふと思った。もはや日本に純粋な心を持つ人はもう居ないのだろうか。

 このままでは駄目だ。

 半年間ずっとそう思い続けていた。


 そんなある日、2chで即興小説トレーニングというサイトを知った。
 以後、毎週のように新作の短編小説を書くようになった。
 昨年は小説を書くと言って一年間も書かなかったくらいなのに、すごい変化だ。

 そして、ある人のある言葉も助けになり、ひとつの大きな目標に辿り着くのだった。



『僕の小説で一人でも多くの人に純粋な心を取り戻して欲しい』



 学生時代から自己満足で書いてきた小説に、やっと理由が出来た。
 まずは即興小説バトルで純粋に良い話を書き、評価を1人からでももらうことを目標にする。

 そしていずれは、日本を純粋な心で埋め尽くしたい。

 なんちて。

(Fin.)

◎所信表明・私が小説を書く理由(第2話)

2014-10-12 00:41:58 | ある少女の物語
 現実はどうだったのか、その一部始終を見よ。

 プレゼントはジャニーズの某若手メンバーの生写真。店内が女子だらけのオフィシャルショップにまで行って買ってきた(黒歴史2)。
 まずこれにドン引きだったという。
 まあそれは一億歩譲って仕方が無い。誕生日プレゼントが成功したから、その路線で行ってしまった僕が悪い。
 問題は手紙である。その全文を以下に起こす(多少改変しています)。

 ***

 本日はそちらに行けなくてすみません。
 3年間もの長きに渡り、お疲れ様でした。
 私は昨年10月に急遽というか場繋ぎ的な意味合いでS店に異動して来ましたが
 その数ヶ月前に減給処分さえあった本当に何も出来ない人間で
 今でもいつ異動や左遷になるか分からない恐怖の毎日です。
 それでも、せめてストレートさんが居る間は意地でもこの店に這いつくばってやるという
 たった一つの揺るぎない信念だけを頼りに今日まで何とかやってきました。
 ストレートさんを始めとするスタッフの皆様の存在自体が支えになっていたのだと思います。
 今は慣れない仕事に追われる毎日で大変だとは思います。
 今後、例え正解の見えない入り組んだ迷路に迷い込んだとしても、
 空は綺麗な青さでいつも待っていてくれるでしょう。
 今日は心ゆくまで楽しみ、明日からまたお仕事を頑張って下さい。
 そして、とにかく生きて下さい。
(最後の一行は都合により省略)

 ***

 ストレートへのメッセージでありながら、その場に居るスタッフ全員に対するメッセージでもあったのだ。
 手紙は僕の本心である。ストレートを始めとするスタッフの皆様には本当に感謝しかない。

 僕は純粋にストレートとスタッフに対する感謝の心を持って書いたのだ。

 しかし、現実はこうなった。



 手 紙 は 回 し 読 み さ れ た



 しかも、


 全 員 2 ~ 3 行 し か 読 ま ず 回 し て い た


 僕の純粋な心は完全に踏みにじられた。

 挙句の果てに
「手紙が長い」
 という批判や、
「僕さんは一体何がやりたかったのか」
 という疑問や、
「僕さんはストレートさんのことが好きなのか?」
 という憶測まで飛び交う始末
(好きなわけねえだろ誰があんなジャニオタ)。

 しかも「何がやりたかったのか」って、何故それすら伝わっていないのか。

 ***

 そんな一部始終を参加したスタッフから聞き、僕はショックを隠せなかった。
 ちなみにプレゼントや手紙を用意したのは僕だけである。
 結局おまえら、送別云々よりも飲み会がしたかっただけなんだろ?
 ストレートを送別するという純粋な心は何人が持っていたのだろうか。

(つづく)

◎所信表明・私が小説を書く理由(第1話)

2014-10-12 00:39:15 | ある少女の物語

 あなたに純粋な心はあるだろうか。

 そして、純粋な心を踏みにじられたことはあるだろうか。



 これは半年も前の話である。

 何故今更なのか、何故今になってなのか。

 もちろんちゃんとした理由がある。

 まあそれをいきなり言っても説得力に欠けるので、まずは順を追って話そうと思う。

『小説物語』以来、実に半年ぶりに仕事の話を小説形式でブログに掲載することになる。

 時間も限られている為、過去の記事の引用が多めだが、温かい目で見守って下さい。



 ***



 2014年3月。
 僕がコンビニの店長代理に就任してから半年が過ぎようとしていた。


>仕事量は2倍、3倍に増えた。店員としての業務に加え、発注量の増加、シフトの作成、売場作り、そして売上を伸ばす為のあらゆる策など、どんなに長く居ても仕事が終わらない。初期は昼12時に出勤して朝5時までかかる日々が続いた。しかし、何よりも悩んだのは他でもない、人間関係だった。


 どんなに過酷な仕事を頑張っても、結果を出せなければ左遷の末路が待っている。


>最悪の事態──それを考えていないと言ったら嘘になる。今の地位より下に逆戻りしてしまうことを。
>この店だけでも過去に約二名の強者が左遷になっている。当方はその二人より遥かに劣っている。今の地位がずっと続くとは思っていない。でもこのチャンスを棒に振りたくない。少しでも、1日でも長くいたい……


 悩みに悩んだ末に決めた目標はストレートだった。


>3月で辞める“ストレート”を笑顔で見送ること、ただそれだけである。いずれ異動になっても構わないが、せめて来年の春までは意地でもここに這いつくばってやる。


 ストレートよりも早く異動や左遷になったら、格好悪い。
 それだけは避けたい。本当にそれだけの思いでこの半年間を死ぬ気で乗り切ったのだと思う。
 3月16日のストレート最後の出勤日にも無事に僕の姿はあった。目標達成である。

「僕は仕事で出られないですけど、今夜楽しんできて下さい」
「ハイ(笑)」

 最後の日もストレートは笑顔を見せてくれた。そしてこの日の夜には、ある女性スタッフの提案により、ストレートの送別会が居酒屋で開かれていた。
 そして僕は不参加にも関わらず余計なことを企ててしまったのである。

 ***

 それは遡ること1月23日。
 僕はストレートが大好きなジャニーズの某若手ユニットのポスターを彼女の誕生日プレゼントとして渡した。
 プレゼントと言えば、かつてはKSMに吹きガラスのコップ、CBJ(キャバ嬢の常連客)にハンカチ、そしてカピバラには合格祈願のお守りと顔画イラスト(黒歴史)など、仕事絡みで数名の女性にプレゼントをし、その度にブログの記事に起こしてきたが、いずれも女性たちの反応はイマイチであった。
 それがなんとこの日、ストレートは物凄く喜んでくれたのだ。

>勝利を掴むとはこういうことなのだろう。反省点もあったが、現状でできる最大限のことはしたと思う。とりあえずこれで悔いはなくなった。

 ***

 そして今回、送別会である。僕は餞別としてのプレゼントを改めて用意した。
 会がある程度盛り上がってきたところで
「実は今日来れなかった僕さんからプレゼントがあります」
 というサプライズ。しかも開けたらプレゼントだけでなく手紙まで入っている。
 それを幹事が皆の前で読み上げ、拍手喝采。
 感動の手紙に何人かは涙さえも流している。

 そんな鉄板の流れをイメージし、幹事にプレゼントを預けた。
「みんなが居る時にみんなの前でプレゼントを渡して……」
 僕が詳しい段取りを説明しようとしたら、
「任せてください」
 幹事はその一言で僕の説明を遮った。
 まあそこまで言うなら大丈夫だろうと思ったが、それが完全な油断だった。

(つづく)