現在放送中のTVアニメ『けものフレンズ2』に主人公サーバル役で出演中の若手声優・尾崎由香。2月12日に放送されたTBSのバラエティー番組『有田哲平の夢なら醒めないで』に“アイドル声優”としてゲスト出演し、発言の一部がネットで炎上、尾崎本人がTwitterで謝罪する事態にまで発展している。
先輩への失礼な態度や「アニメは全く観ない」発言、喉に影響の出そうな激辛の食べ物を好む、バラエティー番組でイモトアヤコのように活躍したいと思っているなど、声優に対するプロ意識の欠如が何度も見られ、とても擁護するのは難しい惨状だったが、当方が一番気になった発言は以下である。
尾崎「今の声優って、声のアフレコだけじゃなくて、歌ったり踊ったりとか、結構キャラクターに近い人が選ばれる可能性が高いんですよね。だから、歌って踊れる声優が今、一般的?」
言うほど尾崎はそこまで歌ったり踊ったりしていないとは思うが、昨年ソロデビューを果たし、どうぶつビスケッツという人気ユニットでも活動していることは紛れもない事実。しかし、「歌って踊れる声優が一般的」という、あたかも声優がアイドルと同義であるかのような発言には疑問を覚える。
当方はこのブログでも過去に「声優とアイドルは違う」「声優はアイドルではない」と力説してきた。特にここ数年は女性声優のソロ歌手デビューが驚くほど相次ぎ、それだけでも「声優がアイドル化している」と思う人が多いようなのだが、その意見は彼女たちのライブをご覧になられてから発言していただきたい。当方は三森すずこ、水瀬いのり、東山奈央、大橋彩香など、何人もの女性声優の単独ライブを生で観てきたが、そのいずれもアイドルではなく“歌手”として、歌と真剣に向き合ったパフォーマンスを魅せてくれた。
(参考:◎東山奈央1stライブ感想……感謝を言葉のみならず行動で示せる人間になりたい)
とはいえ、ごく稀に例外がある。小倉唯が歌って踊る様はアイドルのテンプレそのものだし、アイドルアニメから誕生した声優ユニット(Aqours、デレマスなど)はどうしてもアイドルのように見えてしまう。前述の水瀬さえも自らを“アイドル声優”と呼称したことがあるという。声優自身が歌って踊る行為のみをアイドルだと認識してもらっては困る。歌と真剣に向き合う声優をAKBや地下アイドルなどと一緒にしないでいただきたい。
尾崎はどうビスでアイドルのようなパフォーマンスを見せるのでややこしいのだが、ソロ歌手としてはアイドルの要素は皆無である。今回の騒動で下げてしまったイメージを取り戻すには、ソロ活動を真剣に取り組み、いずれ単独ライブを実現、成功させるしかないだろう。声優はアイドルとは全く違うということを、三森や水瀬だけではなく、尾崎自身も証明して見せてほしい。せっかく楽曲は良曲に恵まれている(特に2nd)のだから、あとは自身がどのようにして歌い上げるかだ。
2019年は“ソロ歌手・尾崎由香”としての真価が問われる年になるだろう。
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