日曜の18時に長年放送されているアニメとして有名な『ちびまる子ちゃん』だが、
真髄は単行本巻末の「ほのぼの劇場」にある。
本編自体が作者さくらももこ氏の実話をもとにして描かれているが、
その「まる子」が大きくなってからの実話を中心に収録されているスピンオフ的作品が「劇場」なのだ。
そして5巻に収録されている『いつか遠いところで』は、
短大2年生のももこが家庭教師のアルバイトをしていた時の話。
ももこ「ヒロちゃんが5年生になったらわたし東京いっちゃうの」
ヒロ「えっほんと? なんでー!?(中略)じゃあおれの新しいユニホームも見れないじゃん」
ももこ(そう…ごめんね………)
ヒロ「でもさ東京いっちゃうのって来年の春でしょ」
ももこ「うん」
ヒロ「じゃあまだ10月だからずっと先じゃん ももこさんまだまだこれるじゃん」
ももこ「うん…そう これるよ」
(ヒロちゃん…10月から春になっちゃうまでってすごく早いよ…………)
(おそいようでね………すごく早いよ…………)
いずれ嫌でも知ることになる現実を
読者のメインターゲットであるティーン層に教えてしまう。
そんな切ないシーンである。
そしてこの話も、10月から3月までをすっ飛ばし、一気にお別れのシーンとなる。
(あっというまに冬がきて年が明けてわたしの家庭教師も最後の日になりました)