それなりの労働環境は整っていると自負している我がスーパーマーケットの会社に労働基準監督署の調査が入り、2点の指摘を受けた。
(1)労働時間の計算を15分単位ではなく1分単位にすべき
(2)1日8時間以上勤務する労働者に超過勤務手当を付与すべき
(2)についても色々言いたいのだが、今回は一見大したことの無いように見える(1)について言及する。
当然、労基署の命令としては、例えば「定時より10分前に出勤したアルバイトに10分分の給料を付与しなさい」ということである。時給1020円なら1日当たり170円の加算となる。
しかし、いわゆる10分前行動するスタッフは相当数存在しており、その部分にまで給料を与えてしまうと、会社全体の人件費は年間で何百万、いや何千万も膨らんでしまう試算になるというのだ。
それを防ぐ為に会社が検討していることは“定時ジャスト出勤の義務化”である。8時始業なら8時ジャストのタイムカード打刻のみ認めるというもの。職場に早く来てくれるスタッフも、定時になるまで休憩室で休んでいなければならない。そんなこと誰も望んでいない。そもそも10分前行動なんて当たり前のことだと思うのだが、それを禁止にしたら確実に全体の仕事量が減る分、仕事のクオリティも下がってしまう。完全に労基署の思惑から外れてしまっている。
現状の15分単位のシステムで不満を言うアルバイトスタッフは皆無だし、社員は社員で固定給に20時間分の含み残業手当が含まれているとはいえ、20時間を超える残業分についてはちゃんと時間外手当を付与してくれる。休みも月9日以上は必ずあるし、今春からの有給休暇義務化に伴い10休、11休できる月も出てきた。やはり不満を言う社員は居ない。つまり今回の問題は、労基署が勝手にブラック認定して文句をつけているだけなのだ。
文句をつけるなら、当社以上にブラックな企業が先なのではないか。例えば当方が過去に勤務していたコンビニエンスストアは最悪と言って良い労働環境だった。社員は1日12時間勤務、15時間勤務も珍しくなく、時間外手当は実質ゼロで、週1休のはずがそれさえ貰えない週もあったり、それが夜勤の明け休みにされることも多々あった。ひどい時で3ヶ月以上も無休連勤を余儀なくされる社員も私を含め何人も居た。有給休暇を義務付けても現実的に1日すら消化は不可能である。
極めつけは、その過酷な中で5年4ヶ月も勤務した人に対するひどい仕打ち。就業規則を労基署に提出しないことで賞与も退職金も自由に減額やゼロに出来るというやりたい放題。
コンビニなんて、特にフランチャイズはどこもそんなものである。低賃金の割に膨大な作業量が慢性的なアルバイト不足に繋がり、社員の負荷が重くなる一方なのだ。そのような、法律を無視しまくっている超暗黒会社にこそ文句を言っていただきたい。労基署はメスを入れる順番が間違っている。
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