芋子「歩きづらい衣服と履き物、都会の喧騒をも上回る人々の雑言、耳に違和感を与えるまで鳴り響く癇癪玉の破裂音。私はそれらを好む人々の理解に苦しみます」
小野「どうした芋子? 花火大会にでも行くのか?」
芋子「正確には行こうか迷っています。滝口君に誘われてしまったからです」
小野「良かったじゃないか。僕は行けば良いと思うよ」
芋子「私は花火大会が好きではありません」
小野「どうして? こんなにも楽しくて美しい夏の風物詩を嗜めるイベントは他にないではないか」
芋子「私は歩きすぎて疲れることを嫌がります。そう考える女性も少なくはありません」
小野「別に好きにすれば良いが、そのネタはせめて先月に話すべきだった」
芋子「それはブログの管理人に言って下さい」
<男がデート代を払うのは当たり前?>
小野「では今回の『対話部』の活動に入るが、テーマは『女は美容代がかかるからデートは男が奢って当然』という女性の主張は果たして正しいのか?」
芋子「ああ、この主張は良く言われますね」
小野「例えば僕の兄だ。もう立派な成人だが、最近婚活パーティーで知り合った女性とデートをした。事前に飲食店を調べて予約もした。当日は女性が遅刻した。店の中の会話は兄から話題を振ってばかりで女性は飲んで食べるほうに集中していた。兄は最後に会計の8000円を支払ったが、女性は財布を出そうせず、お礼の言葉さえも無かった。それが当たり前であるかのように」
芋子「店の予約から当日の会話、そして支払いまで、お兄さんばかりが苦労していますね。女性が支払ったのは自宅からデート場所までの往復交通費ぐらいでしょうか」
小野「この現実を兄は受け入れられなかった。確かに高級料理店ではないし、少しおしゃれなだけのリーズナブルな居酒屋だった。8000円なんて働く成人男性にとって、あるいは目腐れ程度の金額なのかもしれない。しかし兄は『金額の問題ではない』と嘆いていた。『男が奢るのが当たり前という風潮はバブル時代の負の遺産だ』と」
芋子「それに対する女性側の反論の一つに『私たちは美容代がかかるからデートは男に支払わせても許される』というのがあります」
小野「僕は疑問符を投げたい。その主張は果たして正しいのか」
芋子「私は正しいと思います。世の男性の想像を遥かに上回る額が、女性の美容維持に費やされているのです」
<女性はメイク道具にお金がかかる>
小野「それなら具体的な金額を知りたい。例えばメイク道具を一式揃えるのにいくらくらいかかるのか」
芋子「その前に、お化粧の手順について説明します。大まかな流れは『ベースメイク(BASE)→アイメイク(EYE)→リップメイク(LIP)』の順番に行います。さらに細分化した流れを画像にまとめましたので↓をご覧下さい。もちろん個人により多少の違いはあります」
小野「なるほど。予想はしていたが、メイクだけでも多くの道具を使うのだな」
芋子「このうち(1)化粧水と(2)乳液または美容液を『基礎化粧品』と言い、残りの(3)~(10)は『コスメ』と呼ばれます。後者が厚化粧かナチュラルメイクかで使用する道具も金額も大きく変わってきます」
小野「そりゃ厚化粧よりはナチュラルのほうが安いよね。公私問わず流行っているらしいし、そちらの金額を知りたい」
芋子「その金額も価値観や考え方、好みなどによって人それぞれです。あくまで一個人の金額として、Youtuberとしても活躍中のNMB48吉田朱里さんの場合で計算してみましょう」
小野「えっ、ナチュラルでもこんなに使うのか!?」
芋子「ベース、アイ、リップの合計で12,588円。アイメイクを省略したとしても5,000円を超えます。実はこれでも『プチプラ』と呼ばれるリーズナブルなものを揃えており、もっと高額な商品を使用する女性も多いということです」
小野「ていうか、最初の画像の(1)(2)にあたる『基礎化粧品』が抜けているじゃないか」
芋子「そちらも調べました。(1)(2)はあくまで『メイク前のスキンケア』です。基礎化粧品は他にもあるのですが、何だと思いますか?」
小野「メイク落としかな?」
芋子「そうです。メイク落とし、いわゆるクレンジング。それと洗顔です。以上を含めた『基礎化粧品』、吉田さんの場合の合計額は6,400円となります」
小野「揃える金額が高いのは良く分かった。ただ、出てくる道具は一回買えば長く使えるものばかりだよね」
芋子「確かにコスメは長期間にわたり使用できますが、基礎化粧品は消耗が早く、購入する頻度は多くなります。加えて化粧水や乳液は、綺麗なお肌を維持する為に金額面で妥協できない部分でもあります」
<女性が1ヶ月に費やす美容代>
小野「では1ヶ月あたりの美容代は、いくらぐらいなのか? それが知りたい」
芋子「データを見てみましょう。コスメのみならず、エステやネイルサロン、ジムに通う費用なども含めた月平均は、20代女性で17,906円、30代は19,461円だそうです」
※参考:『1ヶ月の美容代の平均ってどのくらい?美意識と金額の関係』http://josei-bigaku.jp/biyoudaiheikin23567/
小野「なるほど。女性の美容代が高いのは良く分かった。ただジムや美容室まで加算しちゃうのはどうなのか? 男も美容室や床屋に行くし、ジムに通う人もいる。もっと言うと、男だって顔に何も塗っていないわけではない。女性のデータばかりを提示するのではなく、男女で比較してこそ説得力を持つのではないか」
芋子「では、男性のデータも提示しましょう。平均額に関する資料は見つかりませんでしたが、ざっくり言うと、男性の過半数が月に費やす美容代を2,000円以内に抑えています。そのうち20代、30代については下の画像を参照下さい」
※参考:『消費実態調査「美容に対する意識調査」』http://asu-read.com/report/%E7%BE%8E%E5%AE%B9%E5%AE%9F%E6%85%8B%E8%AA%BF%E6%9F%BB
小野「これに美容室を加算してもせいぜい6,000円程度か。これは男性は安いと認めざるを得ない」
芋子「でもそれも美容室の場合です。QBハウスならもっと安くなりますよ」
<男性は理解を、女性は感謝を>
小野「われわれ男性は、女性の美容代に理解を示す必要があるのだろう。女性は年齢を重ねても常に美しくありたいし、男性も未来永劫、美しい女性を見続けたい。そこの意識は共通している。だから美容代を減らしてデート代を支払えなんて言えないし、デート代を男が奢る風潮は当分の間は無くならないだろう」
芋子「ただ、女性はそれを当たり前だと思わないことが大事です。男性が最初に財布を出したとしても、『いや私も払います』と言うだけでも男性の印象は変わってくるでしょう。本当に良い男性なら、それに対しても『払わなくて良いですよ』と返してくれるはずです」
小野「それを信用できないなら『払います』とまでは言わなくても良い。でも、せめて『ありがとうございます』と感謝の言葉は述べて欲しい。その言葉だけでも、男はきっと救われる」
芋子「もし性格が悪い女性なら、男性は奢りたくないと思うでしょう。奢られるに値する、身も心も美しい女性でありたいものです」