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◎『なつぞら』第9・10週(60話まで)感想……パイニャン動画のくだりの脚本が秀逸! 良い話だった

2019-06-08 19:19:27 | 小野と芋子

麻子役・貫地谷しほり主演朝ドラ『ちりとてちん』

 

芋子「NHKの朝ドラ『なつぞら』ですが、視聴率が微妙に下がってきていると報じられています」

小野「下がっていると言っても、直近の第10週、55~58話でも19.4→21.2→20.7→20.0%と、決して悪く無いどころか良すぎるくらいなんだけどね」

(https://news-topics24.com/natsuzora_tvrating/#i)

芋子「ただ皮肉にも、最後の山は第7週、39話の23.2%。なつが東京に行きたいと家族に打ち明け、泰樹が激怒したあたりです」

小野「その翌週から東京編が本格的にスタートし、僅かながらも下降線を辿っているというわけか」

 

<東洋動画の採用試験不合格>

芋子「個人的には十勝編より最近の展開のほうが面白いですけどね。ここ2週間の話について感想を語っていきましょう」

小野「第9週はアニメーターを目指すなつがついに東洋動画の臨時採用試験を受験。しかし、まさかの兄・咲太郎が原因で不合格に」

芋子「咲太郎の所属する『赤い星座』がプロレタリア演劇の流れを汲んだ『新劇』を行っていることや、彼の風貌が愚連隊(=暴力団)や太陽族(=不良集団)といった悪いイメージに繋がり、大杉社長の判断で不合格にしたわけです」

小野「当時、ヨーロッパ流の近代的な演劇を目指していたのが『新劇』だよね。資本主義社会へのアンチテーゼとして、演劇を通して貧困層の階級闘争、つまり“革命”を推進していたのが『プロレタリア演劇』だ。しかし、反社会的勢力故に、国家からの弾圧も厳しくなり、投獄された人もいるとかいないとか」

芋子「あの大杉社長のさらっと言った台詞にそんな闇深い意味が隠されていたのですね」

小野「赤い星座が反社会組織かどうかは置いておいても、少なくとも咲太郎は暴力団でも不良でもないことは事実だ。そこを社長に誤解されたのは大きかったね」

芋子「衝撃の不合格理由を知ったなつは、それでも最初は怒りを抑えていたのは偉いです」

小野「なのに、咲太郎が最悪のタイミングで警察に捕まるから、とうとうなつの堪忍袋の緒が切れる(笑)」

 

<なつが視聴者を代表して(笑)咲太郎に激怒>

芋子「私たちを含む一部の視聴者がヘイトを溜めていた“空気の読めない咲太郎”に対し、なつがついに言ってくれました(笑)」

小野「『私の為に働いているなら辞めてよ』『ムーランルージュを復活させたいのも亜矢美さんの為でしょ』『しかも結果的に人に迷惑をかけているだけ』と正論の連続、挙句に『人の為に頑張らなくて良い、もっと自分の為に頑張ってよ』と吐き捨てる。観ていてすげえ気持ち良かった(笑)

芋子「なつがそれを言うと重みがありますよね。幼少期からずっと柴田家への恩返しの為だけに生きてきたのに、高校の演劇を通して自分の為に頑張ることの喜びを知りました。そんな彼女だからこそ言える台詞です」

小野「その後、マダムと亜矢美によって咲太郎へのフォローが入ったね。ウッチャンも『許してやってくれ』と言っていたし、僕も今回は咲太郎を黙認することにする」

 

<東洋動画で新旧朝ドラヒロイン対決>

芋子「3か月後、なつは仕上げの臨時採用試験を受け、今度は無事合格。晴れて東洋動画に入社します」

小野「川村屋を退職し寮を出ていかねばならなくなり、住居をどうするのかと思いきや、あっさり亜矢美さんのところに決定(笑)

芋子「ネットニュースでも指摘がありましたけど、衣食住に関しては、なつはそんなに大きな苦労をしていないから感情移入しづらいのですよね」

小野「まあ尺の都合もあるだろうけどね」

芋子「しかし、第10週でついになつは職場の人間関係に悩まされます

小野「ついに貫地谷しほりさんの登場だ。彼女演じる麻子は、なつの派手すぎる衣装を指摘、『結婚相手を探しに来ているのか』と憤慨した」

芋子「確かに衣装は派手かもしれませんが、なつは仕上げの仕事に対しては一生懸命取り組んでいます」

小野「広瀬すずさんをいじめるのは許さない、パワハラだとNHKにクレームの電話を入れようとしたが、なつ自身が対抗心を燃やして戦ってくれたので、見守ることにした」

 

<パイニャン問題の解決方法が秀逸>

芋子「本当に電話しそうで怖いから落ち着いて下さい。その後なつは、動画マンの堀内が上手く描けず悩んでいる中割りを描くことで、麻子をギャフンと言わせます」

小野「『パイニャン問題』と名付けよう。ここの脚本が秀逸なんだよね。問題の動画は『戦いに敗れたパイニャンが白蛇に戻ることを知って、シュウセンを想って泣くシーン』。原画のパイニャンの感情を読み取って中割りを描いてほしいという麻子の指示に、堀内が応えられない、しかも逆ギレまでする始末」

芋子「そして、なつが絵の勉強の為に描いてみた中割りは『泣く直前に一瞬何かを振り向いてまだ戦う目、強くて恨みがましい目をしながら泣き伏せる』というものでした。ラフ画だったとはいえ、麻子が高く評価します」

小野「面白いのは、当初麻子はこの中割りを堀内が描いたものだと勘違いして、堀内の評価が上がりかけていたところだったのに、堀内自身がキッパリ否定したところ。しかも道徳心からではなく『僕はこんな稚拙な絵は描かない、こんな絵を描いたと思われたら心外』と本心から反論した」

芋子「仲はなつの勝手な行動に対し『彼女はアニメーター志望だ』と補足し、井戸原は堀内に『純粋で正直な絵だ。技術はあるから発想の仕方でいくらでも変わることができる』とフォローを入れたのもイケメンでした」

小野「麻子もすぐデレたし(笑)、実は良い人しか居ないホワイト企業だった。この感動は第4週に匹敵するかもしれない。久々に良い話だったよ」

 

<天陽が久々の登場>

芋子「最後に天陽君ですが、母親にキッパリ『なつのことは諦めろ』と言われてしまいます」

小野「これもまたハッキリ言いきったね。十勝の酪農を継ぐ宿命にある彼が東京で頑張るなつと結ばれることは不可能」

芋子「この問題があるので、なつが誰と結ばれるのか、ネット上でも議論が白熱しています」

小野「もう雪次郎で良いんじゃないかな(笑)」

 

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◎『アメトーーク! バラエティ観るの大好き芸人』感想……“非予定調和”“ライブ感”“下ネタ無し”で面白い番組になるはず

2019-06-01 02:01:04 | 思ったことそのまま

※今回は1200字に収めることは出来なかったので、『思ったことそのまま』カテゴリーにて執筆させていただきます。





 5月30日放送の『アメトーーク!』は異色の企画だった。出川哲朗や品川祐を始めとする8人のお笑い芸人を迎えて良く観るバラエティー番組の面白かった回について熱く語るというもの。しかもテレビ朝日のみならず他局の番組まで含めて語っていた。

 コーナーは2本立てで、前半が「良く観る番組発表(複数回答)と、その中から一番組を取り上げ面白かった回について語る」、後半が「俺の永久保存版」である。


 前半は8人の芸人のセンスが表れていた。個人的に「良いところを突いた」と思った人と、「一つしか語れないのにそこかよ」と突っ込みたくなる人に分かれていたので、まずは8人がどの番組をフィーチャーしたのかまとめてみる。



<1:出川哲朗『水曜日のダウンタウン』>

 出川は「おぼんこぼん解散ドッキリ」と「クロちゃんドッキリ」を高く評価。クロちゃんの流れで品川が「モンスターハウス」も取り上げていた。
 個人的にはこのパートが一番良かった。『水曜日』は現存するバラエティーの中でも数少ない“非予定調和”が面白さのカラクリになっている番組であり、あの出川が的確に解説できたのも番組に対する愛というか、本当に面白いと思っているからこそだろう。



<2:品川祐『ゴッドタン』>

 実は『ゴッドタン』を語る前に「深夜に移動してからお笑いではなく魂を研磨する番組になった」と『ロンドンハーツを高く評価していた。おそらく4月16日に放送された「狩野英孝とフルポン村上の仲裁企画」のことを言っているのだと思うが、確かにこの回は当方も、2人がリアルにぶつかり合う様子を見て「このライブ感は久々に観た」と思った。“ライブ感”という表現で伝わっているのか不安だが、昨今のバラエティー番組でそれを感じることはほぼ無くなったし、“ライブ感”も“非予定調和”と同様に番組を面白くする要素だと思っている。

 しかし、品川がフィーチャーしたのはロンハーではなく『ゴッドタン』の「西野をもう一度嫌いになろう」だった。お互いの尻の匂いを嗅ぎ合うという、要は下ネタだったのだ。あれだけオープニングで評論家気取りをしておいて下ネタに逃げてしまったのは誠に遺憾である。



<3:銀シャリ橋本『探偵!ナイトスクープ』>

「オナラでシャボン玉を出す」と「北海道を旅するオジサン」を取り上げた。後者は良かったが、前者はまたしても下ネタ。少なくとも当方は下ネタで笑いを獲ることは卑怯というか最終手段だと思っている。



<4:ロッチ中岡『全力!脱力タイムズ』>

 まさに“非予定調和”の真骨頂とも言える番組。なんやかんや4年以上も続いているのは昨今のフジテレビ23時枠では奇跡に近い。中岡は、ピース綾部に通訳の人を付けた回と、ロンブー淳がにゃんこスターのネタをやらされている途中に元カノのmisonoが乱入するシーンを高く評価していた。この選び方はセンスがあると思う。
 また、中岡から「この番組に出演する芸人は本当に事前情報無しで収録に臨んでいる」という証言を得られただけでも大きな収穫である。ヤラセ無しのライブ感を味わえる数少ない番組。



<5:ハナコ菊田『アメトーーク!』>

 この選択は禁断技だが、おそらく番組自身について熱く語った回(いわゆる「アメトーーク!大好き芸人」という形での放送)は無かったので、逆に新鮮に感じた。しかし、肝心のハナコのお気に入りは「相方大好き芸人」の「タカトシのロケ」という、少し的を外している感があった。むしろ出川の選んだ「(仮)バラシ芸人」のほうがセンスがあった。



<6:パンサー向井『くりぃむナンチャラ』>

 伝説の『くりぃむナントカ』の血を受け継いだ番組。「ラジオのノリに近い」という意外な評価をするも、向井が笑ったというシーンは「鈴木亮平選手権でのパンティ仮面相撲でポロリ」という、またしても下ネタだった。そこは残念。もっと他にあったはず。



<7:ずん飯尾『東野・岡村の旅猿』>

 うーん……申し訳ないが、あえてノーコメント。



<8:アンガールズ田中『相席食堂』>

 大ブレイク中の千鳥の番組。長州力の回を神回とし、そのロケ映像の一部も流れたが、当方には良さがイマイチ伝わらなかった。


===


 そして後半はいよいよ「俺の永久保存版」である。出川は『とんねるずのみなさんのおかげでした』『めちゃ×2イケてるッ!』のいずれも最終回、品川は『笑っていいとも!グランドフィナーレ』、飯尾は『内村プロデュース』の出川をモニタリングした回と『リンカーン』の説教先生(有吉編)、橋本も『めちゃイケ』だが初期(1997年)の「オファーシリーズ」における岡村がSMAPライブに乱入した回、中岡は『にけつッ!!』の中岡vsアンガ田中をそれぞれ取り上げた。


 ほとんど有名な伝説回で、特に『みなおか』『めちゃイケ』『いいとも』の最終回については多くの識者が既に語り尽くしているほどの伝説だが、3番組ともここ5年以内のフジテレビの番組であるというのは驚きである。近年は落ち目と言われているフジだが、長寿番組の最終回では必ず伝説を残す傾向にあるので、いずれ訪れるであろう『ネプリーグ』『VS嵐』『アンビリバボー』最終回に期待したい。特に『VS嵐』は2020年までの終焉が現実のものとなっているので、今から最終回の内容を考えて欲しいくらいである。



 というわけで『アメトーーク!』の企画としては久々に面白かった。個人的には『マツコ有吉かりそめ天国』『陸海空 こんなところでヤバいバル』『超人女子戦士ガリベンガーV』『松之丞カレンの反省だ!』など、他にもフィーチャーして欲しい番組はいくつかあったものの、あまりディープすぎる番組を取り上げるのも冒険になってしまうので、23時枠の地上波で語るのであれば、このくらいがベストなのかもしれない。

 

 

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