「ここぞとばかりにアイドルたちが『リプしなくても怒らないでください』『病まれるのは迷惑です』『文句言わないでください』『そんな人たちは応援に来ないでください』と今までやんわりとしか伝えてなかったことをストレートにツイートし始めてオタクをふるいにかけ始めた」
2016年5月22日、ある男性会社員のツイートである。その前日には元アイドルの女性がファンとみられる男に20ヶ所以上も刺される凄惨な事件が日本中を震撼させた。
地下やローカルも含め、今や日本に5000人以上居るとも言われている“アイドル”、その多くは握手会やSNSなどによるファンとの“接触型交流”を売りにしているが、それ故に迷惑行為をしてしまう心無いファンも少なからず存在する。それがエスカレートした結果が今回の殺傷事件である。
そして今、保身の如くファンをふるいにかけるアイドルは急増している。2015年にSKE48を卒業した松井玲奈は主演舞台『新・幕末純情伝』でキスシーンや胸を揉まれるシーンなども演じることが確定しており、多くのファンが落胆の声を上げている。また“まりやぎ”の愛称で知られる元AKB48の永尾まりやは、6月17日に放送されたバラエティー番組でイケメンモデルとディープキスを交わし、画面の向こうに居る数多のファンを意気消沈させた。
残酷な事件が起きてしまっている以上、彼女たちの自己防衛に口を出すことは出来まい。むしろ、ふるいにかけた先に残る“真のファン”のみを大事にしていくことがアイドルにとっての幸せなのかもしれない。しかし、今本当に必要なのは我々“ファン”側の意識改善ではないのか。
突然だが皆さんは声優のライブをご覧になったことがあるだろうか。2014年夏にさいたまスーパーアリーナで開催されたアニソン歌手の祭典『Animelo Summer Live』(通称アニサマ)で、μ'sやミルキィホームズのメンバーでも知られる女性声優・三森すずこが登場したときのことだった。観客席のファン達が一斉に“キングブレード”と呼ばれるサイリウムをピンク色に切り替えたのだ。
「初めてのソロ出演で不安ですけど、ここにあるピンクの一本一本が、私の支えです」
3万本のピンクを目の当たりにした三森のその言葉を、現場に居た当方は今でも忘れていない。もちろん歌唱中は合いの手で一体化。一人一人は名前も顔さえも覚えてもらえていないけれど、3万人が束になり息を合わせれば忘れられない思い出となって相手に届けられるのだ。そのことを全国のアイドルオタクは決して忘れないで欲しい。握手会に行きたい、SNSに直接メッセージを送りたい気持ちは分かる。それを止めるつもりは無いが、例え認知されなくても、返信が来なくても、あるいはふるいにかけられても悲観しないで欲しい。それがアイドルとファンの“本来の距離”であり、お互いが幸せで居られる“適度な距離”なのだから。
(#9:1196字)
2016年5月22日、ある男性会社員のツイートである。その前日には元アイドルの女性がファンとみられる男に20ヶ所以上も刺される凄惨な事件が日本中を震撼させた。
地下やローカルも含め、今や日本に5000人以上居るとも言われている“アイドル”、その多くは握手会やSNSなどによるファンとの“接触型交流”を売りにしているが、それ故に迷惑行為をしてしまう心無いファンも少なからず存在する。それがエスカレートした結果が今回の殺傷事件である。
そして今、保身の如くファンをふるいにかけるアイドルは急増している。2015年にSKE48を卒業した松井玲奈は主演舞台『新・幕末純情伝』でキスシーンや胸を揉まれるシーンなども演じることが確定しており、多くのファンが落胆の声を上げている。また“まりやぎ”の愛称で知られる元AKB48の永尾まりやは、6月17日に放送されたバラエティー番組でイケメンモデルとディープキスを交わし、画面の向こうに居る数多のファンを意気消沈させた。
残酷な事件が起きてしまっている以上、彼女たちの自己防衛に口を出すことは出来まい。むしろ、ふるいにかけた先に残る“真のファン”のみを大事にしていくことがアイドルにとっての幸せなのかもしれない。しかし、今本当に必要なのは我々“ファン”側の意識改善ではないのか。
突然だが皆さんは声優のライブをご覧になったことがあるだろうか。2014年夏にさいたまスーパーアリーナで開催されたアニソン歌手の祭典『Animelo Summer Live』(通称アニサマ)で、μ'sやミルキィホームズのメンバーでも知られる女性声優・三森すずこが登場したときのことだった。観客席のファン達が一斉に“キングブレード”と呼ばれるサイリウムをピンク色に切り替えたのだ。
「初めてのソロ出演で不安ですけど、ここにあるピンクの一本一本が、私の支えです」
3万本のピンクを目の当たりにした三森のその言葉を、現場に居た当方は今でも忘れていない。もちろん歌唱中は合いの手で一体化。一人一人は名前も顔さえも覚えてもらえていないけれど、3万人が束になり息を合わせれば忘れられない思い出となって相手に届けられるのだ。そのことを全国のアイドルオタクは決して忘れないで欲しい。握手会に行きたい、SNSに直接メッセージを送りたい気持ちは分かる。それを止めるつもりは無いが、例え認知されなくても、返信が来なくても、あるいはふるいにかけられても悲観しないで欲しい。それがアイドルとファンの“本来の距離”であり、お互いが幸せで居られる“適度な距離”なのだから。
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