弦楽器を背負いながらバイクに乗っていた女子・悠(ゆう)。下校中に転んでいたいろはるを見兼ね、わざわざバイクを降り話しかけてくれた。
「いいなぁー。私ゲロチュウ大好きなんだー」
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学校で貶されたポーチを褒めてくれた。いろはるは思わずその場で泣き出してしまう。そのまま2ケツで悠行きつけのラーメン屋へ向かい、初めて女子2人での外食を体験。学校や学年こそ違えど、いろはるにこの地で友達が出来た。その後も定期的に会っては一緒にラーメンを食べ、次第に仲を深めていく。
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しかし、悠の男友達・凪(なぎ)に惚れたいろはるは、告白するも撃沈。それでも諦めきれず何度も会いに行ったりメールを送り続けるなど、ストーカーまがいの行為をし、凪に「迷惑」と完全に切り捨てられる。悠は励ましてくれたが、今度は彼女に一方的にメールを送り続け、「しばらく忙しくなりそう。メールできない」と距離を置かれる。
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ここに来て“痛い”のみならず“自己中”な性格も災いし、学校でもプライベートでも“ぼっち”になったいろはるは教室で号泣。
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その時、手を差し伸べたのはなんとクラスで一番イケている女子グループの一人、珠理奈だった。いつかの街で父親と二人で歩くいろはるを“援助交際”と勘違いしていた罪悪感から昼食に誘ってくれるなど、彼女のお陰でいろはるはイケている女子グループの仲間入りを果たす。そこまでは良かったのだが、ハイスペックな会話に何とか付いていこうと、転校前の学校ではモテていたなど話を捏造し盛り上げようと必死になり、珠理奈と同じポーチやリップ、トリートメントまで買ったり、過去に貰ったとホラを吹いたストーカーからの手紙を“自分で書いて”証拠として見せるなど、痛さがエスカレートし結局ハブられる末路に。
傷心に傷心を重ねボロボロのいろはるは、理想の自分と本当の自分、そのギャップに悩んだ末、一つの答えに辿り着く。そして、既にメールで仲直りしていた悠と久々に会った。
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『悠ちゃんは親友だから本当のことを話しました。やっぱり悠ちゃんはわかってたみたいで、ムリをしないで焦らず少しずつなりたい自分になる努力をしていこうよって応援してくれました。悠ちゃんの為にも私は変わりたい』
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翌日からいろはるは、学校で一人、クラスメートの動きを観察し、会話を良く聞き、自分が入り込む隙を窺うようになった。辞書を忘れる女子が居ればすかさず自分のスペアを差し出し、家庭科の授業で指に傷を負う女子が居れば誰よりも早くバンドエイドを手渡す。焦らず少しずつ当たり障りのないクラスメートになること。それが、自己中な痛い系ぼっち女子・真島いろはるの答えだった。
それぞれの新生活が始まりもうすぐ一月が経とうとしている。ぼっちで悩んでいる全ての人へ、今からでも遅くない。いろはるのようなほんの少しの気遣いで良いから、孤独から抜け出す為に、勇気を出して一歩前に踏み出してみてはいかがだろうか。
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「いいなぁー。私ゲロチュウ大好きなんだー」
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学校で貶されたポーチを褒めてくれた。いろはるは思わずその場で泣き出してしまう。そのまま2ケツで悠行きつけのラーメン屋へ向かい、初めて女子2人での外食を体験。学校や学年こそ違えど、いろはるにこの地で友達が出来た。その後も定期的に会っては一緒にラーメンを食べ、次第に仲を深めていく。
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しかし、悠の男友達・凪(なぎ)に惚れたいろはるは、告白するも撃沈。それでも諦めきれず何度も会いに行ったりメールを送り続けるなど、ストーカーまがいの行為をし、凪に「迷惑」と完全に切り捨てられる。悠は励ましてくれたが、今度は彼女に一方的にメールを送り続け、「しばらく忙しくなりそう。メールできない」と距離を置かれる。
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ここに来て“痛い”のみならず“自己中”な性格も災いし、学校でもプライベートでも“ぼっち”になったいろはるは教室で号泣。
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その時、手を差し伸べたのはなんとクラスで一番イケている女子グループの一人、珠理奈だった。いつかの街で父親と二人で歩くいろはるを“援助交際”と勘違いしていた罪悪感から昼食に誘ってくれるなど、彼女のお陰でいろはるはイケている女子グループの仲間入りを果たす。そこまでは良かったのだが、ハイスペックな会話に何とか付いていこうと、転校前の学校ではモテていたなど話を捏造し盛り上げようと必死になり、珠理奈と同じポーチやリップ、トリートメントまで買ったり、過去に貰ったとホラを吹いたストーカーからの手紙を“自分で書いて”証拠として見せるなど、痛さがエスカレートし結局ハブられる末路に。
傷心に傷心を重ねボロボロのいろはるは、理想の自分と本当の自分、そのギャップに悩んだ末、一つの答えに辿り着く。そして、既にメールで仲直りしていた悠と久々に会った。
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『悠ちゃんは親友だから本当のことを話しました。やっぱり悠ちゃんはわかってたみたいで、ムリをしないで焦らず少しずつなりたい自分になる努力をしていこうよって応援してくれました。悠ちゃんの為にも私は変わりたい』
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翌日からいろはるは、学校で一人、クラスメートの動きを観察し、会話を良く聞き、自分が入り込む隙を窺うようになった。辞書を忘れる女子が居ればすかさず自分のスペアを差し出し、家庭科の授業で指に傷を負う女子が居れば誰よりも早くバンドエイドを手渡す。焦らず少しずつ当たり障りのないクラスメートになること。それが、自己中な痛い系ぼっち女子・真島いろはるの答えだった。
それぞれの新生活が始まりもうすぐ一月が経とうとしている。ぼっちで悩んでいる全ての人へ、今からでも遅くない。いろはるのようなほんの少しの気遣いで良いから、孤独から抜け出す為に、勇気を出して一歩前に踏み出してみてはいかがだろうか。
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