Fuji Trip!

水豚先輩の週末旅日記

都営西台アパート×志村検修場

2016-04-25 20:41:55 | 発見!不思議な世界



「高層団地の1階に地下鉄の車庫がある。」
そんな不思議な話を聞いて、平日の講義後に都営地下鉄三田線に乗り込む。

しばらくすると三田線は地下鉄のくせに地上へと顔を出して、高架橋を走る。
終点の西高島平にも近づいた西台駅で下車。
駅に直結した都営西台アパートこそが、目的地である。


1970年代前半に郊外に建てられた高層団地のひとつで、沿線上に建つかの有名な高島平団地とも同世代である。
三田線の路線と垂直になるように並ぶ団地は4棟。
東側から5号棟、6号棟、7号棟、8号棟となり、どちらも地上10階以上の高さを誇っている。
建物は、中央に吹き抜け空間のあるツインコリダー型をしており、巨大ボックスのような迫力だ。


これらの団地の直下に都営地下鉄三田線の車両基地、正式には志村検修場がある。
地下鉄だからといって、車両基地が団地の地下にあるのではなく、あくまでも地上1階にあるのである。
車両を留置・点検するための路線が地上には張り巡らされ、それらを跨ぐように敷かれた人工地盤上に4棟の団地が聳えているのだ。

あと数年で四半世紀が経とうとする建築なのになんと近未来的な立体構造であろう。
昔はこの人工地盤上に、区立小学校もあったという。








西台駅のホームは高架だが、改札口は地上にある。
地上の改札から、団地へはいくつかの階段で連絡している。

連絡階段からは基地に整然と並ぶ三田線の車両を覗き見ることができた。
地上では電車が集まって、その上では人々が集まって暮らすという都市ならではの構成。







人工地盤上は非常に静謐な空間。
自動車や人々の往来が絶えない地上とは隔たった別世界のよう。

日が暮れると、蛍光灯がコンクリートを照らす独特の寂しさがある。

団地に暮らす人々の利用する自動車や自転車なども停車していて、人工物ばかりが目につく。
ちなみに団地の北側には地上と人工地盤をつなぐスロープあり、自動車や自転車はそこを行き来するようだ。




 



北側のスロープ。
住居者の自動車用道路と歩道がある。
コンクリートに覆われて薄暗い雰囲気だが、住居者であろう老人の往来があった。

 



スロープ歩道からも車両基地を覗くことができる。
帰宅ラッシュの時間と重なったため、車両の多くは出払っているようだ。

 



似たような車両が整然と並んでいると、綺麗。

 



物音さえしない静寂の空間。
普段は音を立てて動く車両も、眠れば大人しい。

 



西台駅から、団地へと続く階段。

 

西台駅側から基地を覗く。
X型の補強柱が上部の団地を支えている。


 

 

三田線がみっしりと並ぶ。
場所によっては夕刻でも車両が多く寝ていて驚き。

 



人工地盤の下からはみ出るように2本の留置線も敷かれている。
団地に行くにはこの留置線の上を通ることになる。

人工地盤は地上3階ほどの高さにあり、階段で上るには少し疲れそうだ。

 



留置線に停まっているのは三田線が直通運転を行っている東急線の車両。
車内には電気が点いていて、今にも動き出しそうだ。




からっぽの車内はどこか水槽の中を覗いているようで楽しい。



しばらくして車両は動き出し、日吉行きとして駅へと向かっていった。
ごくろうさまです。

 



無機質な屋根も団地らしい。
単純な反復とそれを照らす白熱灯。

 



丸、三角、四角、、、、
目に見える景色がたくさんの同じカタチで作られている。
しかしそれを見ても、人は何も感じることはない。


団地への通路、駅構内の通路、従業員の通路が絡み合って、迷路のよう。
大通りに面している東口とは異なって、西口は少し裏口っぽい雰囲気がある。
 

人が住まう場所と地下鉄の住まう場所。
機械と人とが同じ場所に集う不思議な空間。


それではおやすみなさい。


夜のヘビ公園

2016-04-19 21:50:45 | 発見!不思議な世界



板橋区にある蓮根川緑道は、通称:ヘビ公園と呼ばれる。
その名前のとおり、公園には大きなヘビがいらっしゃる。それも2匹。

2匹は対峙するように向かい合って、何やら話しているようでも、威嚇し合っているようでもある。

なぜこんなふしぎなへびが現れたのであろう。

どうやらこの公園、「蓮根川」というように昔の川の跡を公園化したらしい。いわゆる暗渠である。
その緑道内に設けられた公園は非常に細長い。
道路と道路に挟まれた、横わずか5,6mの敷地が縦にながーく続いている。

そうなると公園で可能な遊びも、設置できる遊具も限られてくるのである。
すべり台にベンチ、ブランコなどが縦一列に並んでいるのが微笑ましいのであるが、この公園のエライところは細長いという特徴からヘビを雇ったところである。
これなら公園の幅にも収まるし、巨大なものでも設置することができる。

異才過ぎて若干周囲からも浮いているのだが。

このへびさん、日中は子どもたちに結構な人気で、登ったり滑ったりと自由に遊ばれている。
決してオトナが近寄れる雰囲気ではなかったので、夜にもう一度訪ねてみた。






街路灯や自動車のヘッドライトに照らされたヘビの肌は白く、そして艶めかしい。
日中の数倍は異彩を放っている。

それがまた2匹もいるのだから不思議な感じがする。

 



身体は美しくS字を描いていて、互いに同じ格好をしている。

1匹10mあるとしたら、あわせて20m。
とっても細長い。

 



へびのうしろにはすべり台もある。

すべり台も、へびと一緒で細長い。

 



細長い緑道へと続く滑走路のよう。

 


踏切の風景

2015-12-10 23:29:00 | 発見!不思議な世界



夜の街を歩いていて、思わぬところで踏切に出会う。
近年では立体交差事業などで、郊外に向かう路線は高架を走ったり、地下にもぐったりしているので、踏切は少なくなってきました。

都内で踏切が多くあるのは、山手線と接続するターミナル駅から最初の急行停車駅くらいまででしょうか。
この区間では、住宅が密集していることや、地価が高いことから、多くの私鉄はターミナル駅から離れた場所から立体化や複々線化が始まるのです。
例えば東武東上線のなら成増-和光市間、西武池袋線なら江古田-桜台間、小田急線なら代々木八幡-代々木上原間などです。







西武池袋線の池袋-桜台間には魅力的な踏切もいくつかあります。
というよりも、西武線の黄色い車体が踏切と共にすこしノスタルジックな感じがして落ち着くのでしょうね。

そこに添えられた自動販売機も味があります。





歩行者専用の踏切も小ぢんまりとしていていいですね。
狭い視野の中、ふっと現れては消えていく列車が映画のシーンのようで好きです。




特急レッドアロー号は少し急いているように見えました。



ナイトズーに行ってみた。

2015-09-25 00:40:53 | 発見!不思議な世界


この夏は上野動物園をはじめ、東京動物園協会の管理する3つの施設で夏休みのお盆休みを中心に閉園時間延長を行っていた。
ナイトズーなどと題して、夏には毎年のように行っている施設も多いが、どうにも忙しい時期であるし、予定が被ってしまって行けずじまいであった。

そんなこんなであったが、東京動物園協会は今年の広報活動に力を入れていたようで、施設それぞれのチラシを観光情報館などで配布していた。
デザインもさることながら、「真夏の夜の動物園」とか「夜の不思議の水族園」などという好奇心を煽る文句に心掴まれて、是非行こうと意気込んでいた。


ちなみに東京動物園協会は上野動物園・葛西臨海水族園・井の頭自然文化園・多摩動物公園の4施設を管理している。
そのなかで、井の頭自然文化園を除いた3施設でこの夏は夜間開園が行われていた。

多くの施設はお盆休みにあたる8月13日から16日付近が開催期間であったが、多摩動物公園は8月中の土日はすべて夜8時まで開園しているとのこと。

お盆休みを逃してしまった私たちは、8月最後の土曜日に多摩動物園に滑り込んだのである。








京王線・高幡不動駅から動物園線に乗って4分ほど。
多摩動物公園駅の目の前が、動物公園の入り口である。

広々としたアプローチの先には象をあしらった巨大なゲートが聳えている。

この巨大なコンクリートの象には既視感を覚えたのだが、幼い頃に両親に連れられてきた記憶残っているのだろう。
どうにも幼い頃に見たものというのは、大人になってから再会すると、思いのほか小さく感じることがある。
小学校の校舎とかもそうだ。

しかし、この象は今見ても大きい。

入園料は日中と変わらず大人600円。









多摩動物園といえば、動物だけではなく昆虫館があることでも有名である。
昆虫生態館では植物園のような温室の中で蝶や蛾が飛び回る姿が見学できるのだが、この施設は夜間は閉館してしまっていた。

そのかわり、隣に建っている昆虫園本館は開いていた。
二階に上がると、国内外の昆虫の生態展示。
大きな展示ケースの中の、小さな飼育ケース内で飼われている昆虫たちは狭そうであるが、それぞれ好きなように暮らしている。

大陸の巨大昆虫を見てしまうと、日本のカブトムシやクワガタムシが可愛らしく見えてくる。
超巨大なゴキブリだかダンゴムシだかの仲間もいるから、女性を連れていくには注意した方がよさそうだ。
時すでに遅かったが。


一階のグローワーム展示室は圧巻。
ホタルなどを含む発光昆虫をグローワームと総称するらしいが、ここの展示室にいるのはハエの仲間らしい。
二重扉を開けた先には、真っ暗闇の世界。
闇の奥に目を凝らすと、現れる無数の青白い光。
この光はヒカリキノコバエが餌となる虫を捕食するために出しているという。
当然、日本にいる虫ではなく、オーストラリアなど南半球に生息しているらしい。

ホタルやヤコウタケのように闇夜に光る生物はなんとも幻想的だ。
それが蠅であっても。









建物内で昆虫を見ていても、夜の動物園に来た意味は無いことに気づいた私たちはいよいよ起伏ある園内へ。
小高い丘には猿山がある。

餌を食う奴に毛づくろいする奴ら、たそがれている奴など見ていて飽きない。
岩場やロープを日が暮れてもなお闊歩する猿たちは結構視力が良いのであろう。








夏の終わりは夜がやって来るのが一段と速く感じる。
動物園はそもそも夜は閉まっている場所であるから、夜歩くための街灯などは無いに等しい。
枝分かれする園路には申し訳程度にライトが取り付けられているが、それでも闇の方がはるかに強い。

動物園特有の賑やかさは無いけれども、園内にいる子供たちも熱中して動物を探している。
動物を見るのに一生懸命になる動物園はなかなかない。

目を凝らすと、カワウソやヤギや、モモンガなど様々な動物が夜でも元気よく過ごしている。
大型の動物は宿舎に入ってしまっているものが多いが、楽屋でのアーティストを覗いているみたいな感じがあって楽しい。

蛍光灯に照らされたサイの身体の陰影が個人的には印象的であった。







時折現れる、巨大な建造物。
夜は余計なものが見えなくなるから、より印象的に視界に入ってくる。

アジアゾウのコーナーは長崎ちゃんぽんのお店にあるような赤色トンガリお屋根である。
アジアゾウはこの動物園の中でも比較的大きな動物だと思われるが、ゾウが小さく見えてしまうほどの規模。

象はどこだと探すと、すみっこの薄暗いところで夕食を食べていたのだった。






静かに腰を下ろしているのはニホンカモシカ。
草の上で眠そうにしている。本日の営業は終了、と言った雰囲気だ。


最奥のオラウータンコーナーまで到達してから折り返し。
飼育舎からオラウータンの森まで、スカイウォークと呼ばれる架線のようなものが伸びていて、昼間は上空を移動するオラウータンを見ることができるらしい。





多摩動物公園の目玉といえば、今も昔もコアラのようだが、コアラ館までは距離もあるために諦めることにする。
道端に建っていたダミーで我慢。





最後にライオンを中心とするアフリカ園に行くために、近道。
メインストリートはそれなりに人がいるものの、脇道にそれると人が一気に少なくなる。

フライングゲージには鷲のシルエットが。
先程のダミーコアラのようにまったく動かない。

一方でフクロウは元気に活動中である。
元気に飛んだり首を動かしているから、逆に写真を撮影することはできなかった。

昼間のフクロウは眠っていて動かないから貴重な活動シーン。
うとうと眠っているのもそれはそれで可愛らしいのだけれど。





小高い峠を抜けるとアフリカ園に到着。
広い盆地に動物図鑑でお馴染みのキリンやゾウやライオンが飼育されているから、この動物園のハイライトでもある。
確か昼間はライオンバス(有料)が運行されていて、間近で猛獣が見れるということで人気。

チンパンジーの遊具は立派で、何かのオブジェのよう。

 



キリンは普通に野外で休んでいる。
日中ずっと立っていたら疲れるもんな。

それにしてもキリンも結構無防備に座るんだなぁ。
互いに背中合わせで座っているのはこれも用心?

 




飼育舎の中にもキリンの姿が。
本日のお仕事を終えたキリンのプライベート的空間を覗いている感じがいい。

キリンも窓から外の世界を見てどう思うのだろう。

 



アフリカ園を歩いていると、突如に現れる異国調の寺院建築に驚く。
ちょいと昔の遊園地に来ているかのような気分にさせてくれる。
よみうりランドの聖地公園みたいな。

どうやらこの建物付近にライオンバスの乗り場があるらしい。
バスもリニューアルされたようなので乗ってみたいものだ。






気付けば、閉園間近。
ライオンたちの生活スペースの上に架かるアフリカ橋からライオンを眺めていると、思い出したかのようにむくっと立ち上がって歩いていく。
寝床に帰るらしい。

橋の反対側から見える大きな飼育舎からはガラガラと扉を開ける音やライオンたちの吠える声が聞こえてくる。

なんだか、不思議と動物たちに「お仕事ご苦労様です」という気持ちになる。
別に動物が動物を演じているわけでも、営業しているわけではないのだけれど。

 

 

夜の動物園。
思ったよりも不思議な空間である。

賑やかで、明るい昼の動物園とはうってかわって静かで少しだけ寂しい。
動物たちも、今まで見たことのないような姿を見せたりするのでなんだかすべてが新鮮である。

園内は丘陵地帯になっているので、散策にもちょうどいい。
それにしても散策にも楽な気温になってきた。

涼しい風に吹かれて、いよいよ夏の終わりを感じるのだった。


夜の車庫 その2 馬込車両検修場

2015-06-16 22:49:05 | 発見!不思議な世界




都営浅草線は相互乗り入れ先が多く、行先も種別も多種多様で目が回ってしまう。
泉岳寺駅で京急線分岐すると、すっかり本来の地下鉄としての落ち着きを取り戻したような感じで落ち着いた雰囲気になる。

終着駅まで、五反田・戸越・中延と活気のある雑多な街の下を通るのはさすが都営地下鉄である。
国道1号線に沿って西へ進む浅草線は、他線の乗換駅でもない西馬込駅でなくぷつりと切れてしまう。

丸ノ内線の方南町駅や、都営三田線の西高島平駅のように終着駅らしからぬ単調な駅はわりと好きではある。
この西馬込駅も中心となる大きな改札のない構内や、ロータリーのない単なる地下鉄駅だ。


地上に出ると、目の前が第二京浜で、自動車がびゅんびゅん走っている。
出口から第二京浜を川崎方面に徒歩5分程度。
日蓮終焉の地としても知られる、池上本門寺に程近い場所に馬込車両検修場がある。

ここは都営地下鉄浅草線の検車や修車を行う大規模な車両基地である。





広大な基地を横断する歩行者用の跨線橋が架かっていて、西馬込駅から池上本門寺への最短ルートともなるので利用者もほどほどにいる。
100mほどの歩道橋の下はすべて線路。
学校帰りの子供は何の興味も示さずに橋を渡っていく。







線路があるだけ架線もあるため、全体を見渡しづらいが敷地は広大である。
西馬込方面に向かって広がる構造になっているため、跨線橋から川崎方面を見ても車両は少ない。






唯一停車しているのがE5000系。
日本の地下鉄では唯一の電気機関車であり、この馬込車両検修場に都営大江戸線の車両を回送するために2005年に導入された。

都営大江戸線はリニアモーター駆動なので、浅草線内を自走することができないためにこの電気機関車が牽引して運んでいるという。
ちなみに浅草線大門駅と大江戸線汐留駅間に業務用の連絡船が結ばれており、両線間を行き来している。

そんな裏方の電気機関車はさすがに地下鉄内で見ることはできないから、かなりのレアキャラである。






跨線橋から西馬込側を望めば留置線と車両工場がある。
いわば検修場の中枢部。





もっとも第二京浜に近い場所には西馬込駅と検修場を繋ぐ引き込み線がある。
西馬込駅から先の留置線から分岐してきたこの引き込み線は、一旦川崎側まで進んでから折り返して検修場内に入る。





薄暗い工場の扉は開いており、浅草線5300系が顔を出している。
浅草線は多くの鉄道会社相互直通運転を行っているが、自社車両はこの5300系のみである。
先述したように、電気機関車に連れられた都営大江戸線の車両もこの工場で検査を受ける。



外の留置線にも5300系。
留置線には相互乗り入れ先の車両が留置されることもあるらしいが、見る限り5300系のみである。
それにしても、この車両の前面は地下鉄らしからぬ重厚さだと思う。





同じ顔をしていても、スカートがあったりなかったりと若干の違いが見て取れる。
なんだか間違い探しのようでもある。





車両の種類は少ないが、検修場全体を俯瞰できるのは素敵だ。
地下鉄は狭い地下空間を走っていることもあり、ゆっくり眺めることはないからなおさらである。

久々の空気を吸って、のびのびとした車両たちに会うことができる。

 


高さ1.5m! 高輪橋架道橋

2015-05-04 21:49:07 | 発見!不思議な世界



JR東日本は、山手線の品川駅と田町駅の間に新たに新駅を設置するということを発表した。

この区間もともとは山手線内でも駅間距離が長い場所であった。
それもそのはず、品川-田町駅間には東京総合車両センター田町センター(旧田町車両センター)と呼ばれる広大な車両基地があったからである。

田町センターは長らくの間、東海道線を中心とした車両の点検・整備の場として活躍したが、2014年3月に上野東京ラインの運転が開始されるの機に、規模を大幅に縮小することになった。

縮小した際に出る創出用地は、2020年に開催される東京五輪に向けて再開発が行われる。
その中心となるのが、山手線の新駅設置である。


前置きが少し長くなってしまったが、この車両基地の地下には高輪橋架道橋と呼ばれる1本の道路が通っている。
広大な車両基地に分断された東西を結ぶ唯一の道路でもある。
その道路が色々と個性的なので、再開発が行われないうちに行ってみることにした。




やって来たのは都営浅草線泉岳寺駅。
A4出口から地上に出て、第一京浜沿いにある高輪大木戸跡を過ぎると、一方通行の道路が並走する山手線の線路方面へと伸びている。
ここが高輪橋架道橋へと繋がる道路なのだが、まさか通り抜けられる道だとはわからないだろう。

少しばかり道沿いに進むと、ガード下の制限高を告知する規制標識が立っている。
その数字は1.5m。自動車なのでぴんと来ないかもしれないが、人間で考えると非常に低い。
日本人の平均身長は男性で1.71m、女性で1.58mだというから、平均身長を大きく下回っている。

気を引き締めて、先へ進むと、道路はクランク状に折れ曲がりながら、高架下へと潜っていく。

手前から山手線、京浜東北線の順に高架橋が並んでいる。
営業路線だけではなく、先述の通り車庫や新幹線の高架橋も連なっていることから、200m以上の距離があるのだ。






一番手前の山手線の錆びた高架橋には再度確認するように制限高1.5mの文字が書かれている。
ここからはこうべを垂れて歩かなくてはならない。

自転車に乗った地元の少年たちは、スピードをあまり緩めることなく突入していったから驚いた。






鉄骨剥き出しの橋梁のため、振動はもちろん風圧や走行音がそのまま伝わってくる。
レールはわずか5cmほど上にあるのだから当たり前のことではある。

どうにか真下を歩行中の高架橋に電車が来ないことを祈るしかない。
山手線は日中3分から4分間隔で走っているので、高確率でやって来るから怖い。





山手線を潜り終えると、京浜東北線の高架橋はやや高い位置を走っているため、小休止区間がある。
最初の山手線はお試し的な感じで、ここからが本番ということだろう。
TDLのスプラッシュマウンテンが序盤で少しだけ降下するのと似ている。

ここから先は継続的に高架線が続くので、外光は射し込まないトンネルのような区間だ。






カメラで撮影すると明るく映ってしまうが、内部は非常に暗い。
照射灯も1.5m以下の場所から照らしているためであろう。
道路は一方通行のため、歩道スペースは十分に確保されている。

上空から聞こえてくる轟音に脅かされながら、200m歩くのは正直つらい。
人気がないのも少し不気味だが、かといって向こう側から人が頭を垂れて歩いてくるのも怖い。

奥へ進んでいくにつれて、少しづつ天井が低くなっているようにも思えてくる。






この道は以前、水路であったらしく、それを道路へと転換したらしい。
それならこの低い高さも頷ける。

コンクリートで埋め立てられてしまって、水はけは悪いらしく、入り口付近には「冠水注意」の標識もあった。






抜け道として利用されているためか、自動車は頻繁に通る。
特に多いのはタクシーで、昔は自動車上部に取り付けられた社名表示灯がこの高架橋で無残にも散る事故が多発した。
そのため、「行燈殺しのガード」の異名を持っていたらしい。

現在では、この道路を通ることができるように表示灯を改良したタクシー会社もあったという。
東京都下にまだ、このような場所が残されていることが不思議である。


ちなみに、この制限高1.5mという数字は国内で最も低いわけではなく、大阪には1.4mや1.2mといった強者が現在でも残っているという。
自動車の通ることのできる道としては、都内で最も低いであろう。

新駅設置と再開発によって、今後の動向が気になるところではあるが、ひそかに残ってくれることを期待している。


夜の車庫 その1 大野総合車両所

2015-02-24 01:10:48 | 発見!不思議な世界






CanonのG7Xという新しいコンパクトカメラを買ったら、なお夜歩きが楽しい。
コンパクトカメラとしては大きな1.0型センサーにF1.8という明るいレンズが搭載された、夜歩き向きのカメラなのだ。
三脚などなくても、気軽に夜景を撮影できる。

サイズも小さいから上着のポケットにしのばせて毎日のように持ち歩いてしまう。

気まぐれに散策したくなった日にカメラがあるのは嬉しい。

近頃は光に照らされた金属に魅せられて、鉄道の車両基地を眺めるのにはまっている。


最寄りの相模大野駅にも、大野総合車両所という巨大な車両基地兼工場がある。
駅の西側にあるものといえばこの車両基地くらいなもので、普段はあまり通ることはない。

直帰するのがもったいないような夜、ちょっとだけ歩いてこの車両を眺めてから帰るのが最近のマイブーム。


私にとってのこだわりは「夜間」ということで、夜は無機物たちの時間だとも思っている。
里山の生活に戻れば、きっと夜は魑魅魍魎の時間なのだとも思うのだろうが、電気に依存した都市生活民の私たちにとって、夜に見るものはやはり無機物なのである。


工場にしても、車両基地にしても、無機物が中心の世界である。
人気のない、無機物だけの空間。

私はただ、柵の外から機械たちの世界を見つめることしかできない。
内側の世界では、毎朝ギチギチに詰め込まれて乗車している車両たちが、からっぽになって停まっている。

車内灯を付けたまま停車している電車は水槽みたいにも見える。

特に最近の車両はUVカットガラスが使われているから、見える景色が若干青っぽいのも一因だろう。
中にグッピーとか泳いでいそうだ。





小田原線と江ノ島線の線路の内側に留置線と車両工場がある。




江ノ島線の下り線と上り線の間には留置線があって、1000系が停車中。






昨年からリニューアルが始まった1000系は小田急で唯一の幕式の行先表示。
出番をじーっと待っている様子。




江ノ島線の上り線は小田原線をオーバーパスして相模大野駅に入るため、盛土を進む。

ボーノ相模大野を中心とした北口再開発で背景が一変した。
一見、相模大野ではないような光景に驚く。







車両工場の西端には車止め。
ちょっとした最果て感がある。

日中には特急車両が停まっていたりもするが、夜間はからっぽのようだ。
すぐ横を小田原線の急行が走る。





猫の目線で見てみてもおもしろい。

列車が頻繁に通るため、遮断機の音が鳴り響いている。
電車の通る音、車が走る音など様々な音が聞こえる。





プラザシティの目の前の道路は路線と並行して走っているので、鑑賞しやすい。

階段とか信号機とかよくわからないものがひとつの景色をつくりだしていることろがいい。
専門的な知識はまるでないから、ただぼんやりと眺めてみる。





電光に照らされて、車両の質感がよくわかる。

影とか、反射とかが複雑に絡み合っていて切り取りたい風景はたくさんあるが、コンデジではなかなか遠くまで寄れない。

限界があるところはカメラのいいところでもある。
残りは記憶を使おう。






あれはなんだろう。とか思うが、やっぱりよくわからない。
人間は動くものを追ってしまう習性があるが、動かないものを見ているときはどうするのだろう。

やはり目は動いて、何か面白いものを探してしまう気がする。



ヘビ公園

2013-04-30 00:20:49 | 発見!不思議な世界

 

公園の遊具にも様々な種類がある。

私は昔、近くの団地の中にある蛸の滑り台が大好きだった。
その頃の思い出を胸に公園の遊具を調べたことがある。
すると各地には様々な変わった遊具が点在していることが分かった。特に象や恐竜など動物を象ったものは多い。

「ヘビ公園」もその時に見つけた。
ヘビ公園とは細長い敷地に巨大なヘビがいる公園らしい。何故ヘビの遊具が造られたかは誰も知らないという。
細長い敷地にぴったりだからか、それとも土地の伝説が関係あるのか。想像をめぐらす。

 

今年が巳年ということもあって、ある雑誌を頼りにヘビ公園に行ってみることにした。場所は板橋区。
私は神保町から地下鉄三田線に乗って最寄りの蓮根駅へ向かった。列車を降りると地下鉄のくせに高架の駅で驚かされた。東京の郊外ではよくあることらしい。


さっそくヘビ公園を目指し、駅から歩き始める。
駅前の通りを北上して、幹線道路を横断すると、迷うことなく見つけることができた。
道路に沿った細長い公園に2匹の巨大なヘビが対峙している。色から見ても白ヘビだろうか。一匹、十メートルは超えるだろう。
うねうねと体をくねらせている。巨大な身体につぶらな目が可愛らしいと思えなくもない。 滑り台になっているわけでも、鉄棒になっているわけでもない。

ただモニュメントのように巨大なヘビがいるだけ。遊び方はいっこうに謎だか、子供たちはヘビのまわりを駆け回って遊んでいる。

そうか、このヘビは遊び方を定めない万能型遊具なのだ。
子供たちの自由な目線で遊ぶことのできる遊具。子供たちは小さな限られた場所で創造して駆け回る。ヘビはその手助けをしているのだろう。

しばらく眺めていても、2匹のヘビは愛されているようで、ほっこりした。
私もヘビと触れ合いたく思ったが、人が多いので今回はやめておこう。