Fuji Trip!

水豚先輩の週末旅日記

2015年

2015-12-31 22:00:08 | とりっぷ!

さてさて、
今年の始めに2014年の一年間を旅というフィルターを通して振り返ったことを、今でも昨日のように覚えている。

なんだか歳をとってくると1年間が早くなるというがそれは本当のようである。
とはいってもまだ今年は学生。若いうちは実年齢に伴った心身で過ごしたいもの。

2015年のテーマは日常のなかの光景。
過去7年間でもっとも遠出の少ない一年間であったように思う。

それは日々を取り巻く状況にも要因はあるし、過ごしていく中で自然と定まっていったようにも思う。
もうひとつの要因は今年初めに購入した新しい相棒、「Canon G7X」の影響もあるだろう。
ポケットに入れることのできる高画質は、日常と深く結びついて、こなれてきた学生生活のなかの何気ない日常にももう一度興味を抱かせた。

てなわけで、日常からの脱却の意味と知見を広げる非日常の旅、つまりは長期かつ遠方への旅から日々の再認識へと着眼点が移ったのである。

大学生とは、見ているのに見えていない、知らないのに知った気になってしまう年頃である。
そんな自分と向き合う時間でもあったかもしれない。

今年印象的であった風景をひとつすれば、自転車ですぐに訪れることができる県立相模原公園付近の貯水池の夕景であろう。
20年以上もこの地に住んでいながらも、その美しさに気づいてはいなかったのである。

上半期は特に自転車を漕いで近隣の様々な場所を巡った。
きっと時間をつくって訪ね歩かなければ、身近にありなあがらも知り得ることのなかった物事に多く出会えたのはよい経験であった。


さて、来年はどう転ぶか。
つい昨日のように思える昨年の夜には、今現在のような見解に至るとは予想もつかなかったことであるし、ますます楽しみである。

 

2015年

1月
新春東海道線途中下車の旅(小田原城・尊徳神社・かまぼこミュージアム・薩埵峠)
いでゆやまどり号(大宮→横浜・東京駅丸の内駅舎・旧新橋停車場跡)
鎌倉を見ずして鎌倉を視る(田谷の洞窟・大船観音・満福寺・江島神社・稚児ヶ淵・湘南モノレール途中下車)
埼玉県こども自然動物公園
2月
鎌倉江の島その1(北鎌倉路地・円覚寺・稲村ケ崎・江島神社・稚児ヶ淵)
新宿十二社熊野神社・都庁
世田谷巡りその1(富士見坂・静嘉堂緑地・岡本民家園・岡本隧道)
世田谷巡りその2(大蔵運動公園・砧公園)
3月
新宿御苑
横浜再発見(新横浜ラーメン博物館・横浜人形の家・日本郵船歴史博物館)
オトナの修学旅行広島・岡山(宮島・お好み村・平和記念公園・てつのくじら館・倉敷美観地区・桃太郎からくり博物館・大原美術館・岡山城)
東海道途中下車(耳塚・豊国神社・京都国立博物館)
鎌倉江の島その2(明月院・茶房きらら・寿福寺・鎌倉文学館・稲村ケ崎・江島神社)
4月
春の中央線(清治芸術村「光の美術館」・勝沼ぶどう郷・旧大日影トンネル跡・ぶどうの丘・甲府城)
石神井公園→富士見台WALK
21-21DESIGN SIGHT「単位展」
日本科学未来館(チームラボ展)
相模川ふれあい科学館
5月
都営散歩(東京都現代美術館「ガブリエル・オロスコ展」・タワーホール船堀・高輪橋架道橋・戸越銀座)
下町夜散歩(ソラマチ・浅草寺・上野公園)
KITTE・インターメディアテク
高尾山登山
6月
久地→溝の口WALK
東武練馬→高島平→志村坂上WALK
生田緑地ホタルの国その1
生田緑地ホタルの国その2
横須賀・観音崎(東叶神社・西叶神社・横須賀美術館・観音崎公園)
7月
原鉄道模型博物館
横浜八景島
目黒雅叙園「和のあかり展」
卒論ゼミ合宿青森(恐山・円通寺・弘前城・弘前市立博物館・ねぷた村・弘前ねぷた祭・立佞武多の館・斜陽館・川倉地蔵堂・岩木山神社・九渡寺・青森美術館「化物展」)
平泉文化遺産センター・達谷窟・無量光院跡
8月
インターメディアテク・寄生虫博物館
千葉市博物館「ルーシーリー展」・犬吠崎・外川の街並み
ソレイユの丘・横須賀美術館・観音崎公園
静岡ドライブ(清水港・宇津ノ谷峠・明治のトンネル・三保松原・富士工場群)
浅草夜の祭り「灯篭流し」
相模川花火大会
夏の中央線(甲府散策・清里散策・パノラマの湯)
夜の動物園(多摩動物公園)
9月
きのこ探しその1~その4(県立相模原公園)
夜散歩その1(津久井城址公園)
横浜中華街・山下公園・大さん橋
日産スタジアム 「Mr.Children TOUR 未完」
夜散歩その2(絹の道・津久井湖)
相田みつを美術館 古賀政男音楽博物館・東京オペラシティアートギャラリー「意識の流れ展」・ICC「オープンスペース2015展」
目黒区美術館「村野藤吾の建築展」・松岡美術館・昭和館・しょうけい館
林芙美子記念館
夜散歩その3(多摩湖)
座間サイクリング(湧水群・谷戸山公園)
遠征きのこ探し(等々力渓谷・等々力不動尊・生田緑地)
10月
三井記念美術館「蔵王権現と修験の秘宝展」・東京都美術館「モネ展」・東京国立博物館ナイトシネマ
大國魂神社・下河原緑道・府中郷土の森博物館・三千人塚
横浜市歴史博物館・大塚歳勝遺跡公園「ニュータウンゴースト展」
印刷博物館
浅草寺・アミューズミュージアム・江戸東京博物館
11月
山梨ドライブ(富士湧水の里水族館・富士レーダードーム館・笛吹川フルーツ公園)
東京ドライブ(スカイツリータウン・東京レジャーランド)
横浜アリーナ「ゲスの極み乙女 ゲスチック乙女~アリーナ編~」
卒論図書館巡りその1~2(川崎市宮前図書館・高津図書館・多摩図書館・横浜市中央図書館・神奈川県立図書館)
卒論図書館巡りその3~4(町田市立中央図書館・多摩市中央図書館・相模原市立図書館・海老名市立中央図書館)
茨城ドライブ(牛久大仏・常陸風土記の丘)
鎌倉夜散歩(名越切通・祇園ハイキングコース)
東京国際展示場「デザインフェスタ」
新江古田~目白WALK(目白庭園)
旧古河庭園・六義園
12月
勝手に!!東海道53次 その1(日本橋‐高輪)
勝手に!!東海道53次 その2(品川‐鮫洲)
勝手に!!東海道53次 その3(鮫洲‐平和島)
勝手に!!東海道53次 その4(蒲田‐川崎)
九段・小石川(靖国神社遊就館・築土神社・東京大神宮・小石川後楽園・東京ドームシティ)
勝手に!!東海道53次 その5(川崎‐鶴見)
恩田川・鶴見川・引地川サイクリング
勝手に!!東海道53次 その6(鶴見‐藤沢)


文京シビックセンター 展望ラウンジ

2015-12-31 21:10:37 | 東京都



後楽園駅、春日駅から直結した文京シビックセンターは文京区区役所ほか会議室・ホール等を備えた総合施設。
地上25階には誰でも無料で利用できる展望ラウンジがあります。

営業時間は9時から20時30分までで、夜景も眺めることができます。
ビルからせり出すような構造で作られた展望ラウンジは、夜間は内部の光が反射しないように窓ガラスが斜めになっているなど無料とは思えぬ本格派。
区役所に展望室が備わっていることは北区や練馬区など多くの例がありますが、展望目的として外観にも影響を及ぼすまでの大規模なデザインを行っているのは珍しいことです。


地下鉄駅と連絡する地下2階や地上1階から上層階行きのシースルーエレベーターに乗って25階へ行くと、展望ラウンジと展望レストランがあります。
ラウンジは北を頂点として半円を描いているため、西北東の3方向を望むことができます。
一方で展望レストランは南側を望むことができます。東京ドームシティや丸の内などは南側にあたるのでもっとも華やかな光景はレストランの独占権になっています。

とはいえ、東にはスカイツリー、西北にはサンシャイン60、西には新宿副都心など多くの東京のアイコンたちを眺めることができます。
眼下に目を向ければ春日通りと白山通りの交差する春日町交差点や、地上に顔を出す地下鉄丸ノ内線など都市ならではの光景。
冬季の空気の澄んだ日には、新宿高層ビル街の先に富士山の姿も確認できました。

ラウンジというだけあって、ベンチや自販機が用意されており、居心地良く眺望を楽しむことのできる施設です。








25階エレベーターラウンジ。
都庁展望台などと比べると知名度が劣るので、休日でも比較的空いているのがうれしいです。






展望台後方の回廊。
内部空間が吹き抜けになっていて、下層階が見えます。






東側にはぽつんと虚空を貫く東京スカイツリー。
雑居ビル先に墨東ののどかな光景が広がります。



北西に目を向ければ、小石川植物園のこんもりとした緑地帯と、サンシャイン60をはじめとした池袋のビル群が印象的です。
若干霞んでいますが、遠くの山並みも見えます。





西側には東京都庁とモード学園コクーンビルが印象的な新宿副都心の高層ビル。
都庁の左横に富士山の姿も確認できます。

こちらの方向に日は沈むので、夕景も印象的かと思います。






西側の眼下には小石川後楽園が広がります。
紅葉の時期は色鮮やかで、園内散策とはまた異なった形で紅葉を楽しむことができます。

手前を走るのは東京メトロ丸の内線。
後楽園駅の前後は地上を走行しています。







夜景もおとなしめではありますが、美しいです。
スカイツリーは日によって色を変え、この日は赤色をしていました。




東側の眼下には春日町交差点があります。
南北方向に走る白山通りは江戸時代の5街道に数えられた中山道で、現在も主要道です。

小さな自動車の軌跡を追っているだけでも過ぎる時間を忘れてしまいそうです。


江戸東京博物館 常設展

2015-12-31 13:30:49 | 素敵な展覧会



師走もあとわずかという今日この頃になって、いよいよ冬の寒さが本格的になってきました。
そんな寒い日は博物館散歩なんてのもいいですね。

両国にある江戸東京博物館は「散歩」という言葉がよく似合う、広々とした博物館です。
展示内容は江戸から東京における文化と歴史。


比較的新しくできた博物館ですので、貴重な資料というよりは再現品やレプリカ展示の多い博物館です。
良し悪しはともかく、この手の分野に興味のない方でも、視覚的で見ていても楽しめる展示の工夫がされています。
そのため外国人観光客にも人気です。


常設展示室は5階と6階に位置し、大規模展示場のような吹き抜け空間に再現建築なども建っていますから、ひとつの町のよう。
勉強するなど考えずに、ふらふらと気の向くままに散策しながら楽しむことができます。

基本的に写真撮影可能なので、印象的な展示物をカメラに収めることもできます。









寛永期の町人地ジオラマ





神田明神山車





神田明神行列のジオラマ






両国橋西詰めのジオラマ






助六の舞台





芝居小屋のジオラマ





芝居小屋中村座





銀座煉瓦街ジオラマ





浅草凌雲閣(一二階)





電気館





フォードA型4ドアセダンの実物展示





スバル360実物展示





戦後闇市のジオラマ


東京ドームシティウィンターイルミネーション

2015-12-23 23:55:53 | 東京都




もうすぐクリスマスですね。
都内の各所ではクリスマスイルミネーションが行われていて、寒い夜を彩っています。

新宿や六本木の高層ビル街では少し大人な印象のものが多いですが、
後楽園駅からすぐの東京ドームシティではテーマパークならではの煌びやかなイルミネーションを楽しむことができます。
ここは東京ドームを中心としたレジャーランドで、遊園地を中心としてショッピングセンターやホテルも有しています。

例年、冬季にはイルミネーションが行われているようで、今年のテーマは「光と音のファンタジー」。
入館料はないので無料で散策を楽しむことができるのでおすすめです。

 

 



東京ドームを借景にして広がる東京ドームシティアトラクションズ。
メインストリートはクリスタルアベニューと名付けられているようです。







東京ドームでは野球のオフシーズンもアーティストのライブなどが盛んに行われており夜間も賑やかです。
この日はジャニーズのライブが行われていました。

 



道路を挟んで後楽園駅側に建つラクーアエリアは比較的新しく、中心がぽっかりと空いた特徴的な観覧車が目印です。







上を見上げるとスカイフラワーと東京ドームホテル。
スカイフラワーは1979年からこの地にある老舗アトラクションで、ノスタルジックな雰囲気。

上空から見るイルミネーションも美しそうです。

 

この遊園地は「僕と握手」のフレーズで有名なヒーローショーが行われていますが、
それとは別に園内ではウルトラヒーローズEXPOも行われているようで、初代ウルトラマン像の巨像が立っています。







アトラクションズエリアの2Fエリアには長い光の回廊があります。
ルミナストンネルと名付けられたその場所は、ライブのセットのようにめまぐるしく色の変わる三角形のLEDパネルで作られています。

よくある電飾を巻きつけた回廊とはまた異なって面白いです。







もっとも南側にあるミーツポートエリアではクリエイティブ集団、KAKEDによるイルミネーションが行われています。
光の球体を中心にした演出は現代アートっぽく、白を基調とした光は園内でもっとも大人しめな印象を受けます。







クリスタルアベニューでは長い水路に沿って賑やかな電飾が施されています。
スピーカからカンガンと流れる音楽は、ドームでコンサートを行っているアーティストと連動しているようです。

水道橋駅方面へのメインストリートとなっているので、人通りが多く華やかな雰囲気です。







橋を渡った先のラクーアエリアはコンパクトですが見どころが多いです。
そのほとんどが1階広場にまとまっています。

2階から眺めると箱庭のようで可愛らしい。





ドーム型をしたイルミネーション、ギャラクシードーム。
見上げながら眺めるイルミネーションもいいものです。


 



イルミネーション池に映り込む風景も印象的です。





ヴィーナスラグーンと呼ばれる2階部分に建つメリーゴーランドが、イルミネーションと相まって幻想的な風景を作っています。


園内では、様々なイベントが催されアトラクションに乗らなくても、楽しむことができる東京ドームシティ。
イルミネーションを見ながらゆっくりすることのできる空間も豊富なので、散策にも最適です。




訪問日:2015.12.20


2014年末箱根 その2

2015-12-19 23:38:00 | とりっぷ!

 

箱根彫刻の森美術館。
云わずと知れた箱根の代名詞的美術館だ。
行った事はなくても名前は知っていた。

チケットを購入し、箱根登山鉄道の線路をトンネルでくぐると、園内へと到着する。
トンネルの導入部がとても気分を高揚させてくれる。




山々が見渡せる広い園内に野外彫刻が点在している。
それらが青い空になんとも映える。

カール・ミレスの「人とペガサス」は天高くジャンプして月を捕ろうとしているみたい。




西洋ルネサンス的な?像が多い中、岡本太郎の「樹人」もあった。
端正な日本的な像ではなく、非常に肉感的で生命力に満ち溢れた作品は、西洋のそれと引きをとらない。

 



入口付近の円形広場からゆるやかな坂道を下っていくと天に吊られた球体がある。
井上武吉「マイスカイホール 天への道」という作品らしい。

今にも落ちてきたりしそうで恐いが、近づく自分たちが映し出されて面白い。

迷路のような星の庭を横目に最奥まで進むと、ピカソ館がある。
その名の通り、ピカソの作品を展示する
2階建ての屋内美術館だ。美術館in美術館と言ったところだろう。

その先のカフェ&ギャラリーは1階がカフェとショップ、2階がギャラリーとなっている。
足湯も併設されているが、寒い時期なので非常に人気で入ることはできなかった。

 

 



ガブリエル・ロワール「幸せを呼ぶシンフォニー彫刻」。
真下に螺旋階段があって、内部へと入ることができる。



内部空間はあっと驚く円筒ステンドグラス。
やわらかい明かりに包み込まれる。

中心には二重螺旋階段が設置されていて、さらに上階に登ることができる。

 



なんと屋上は展望台。
箱根の山々を眺望することができる。

園路はここらで折り返し地点。
既視感のある、ニキ・ド・サン・ファール「ミス・ブラックパワー」を眺めながら、上り坂のデッキを過ぎる。
最後には幾何学系の彫刻やアートを堪能し、一周を終えた。

この時期は緑が少ないため、しんりょくの季節などに訪れたら、また違った楽しみ方ができるだろう。


さてさて、日もだいぶ西へ傾いたので、すごろくは諦めて大涌谷を目指す。
先輩の一人が大涌谷を強く推していたのと、私自身も箱根ロープウェイに一度乗ってみたかった。

箱根登山鉄道で強羅まで行き、そこで箱根ケーブルカーに乗り換え、終点の早雲山でロープウェイに乗り換える。

 



スキー場を思わせる乗り場から、順々にゴンドラの中へ詰め込まれていく。
乗車の列は長かったが、思いのほか待たずに乗ることができた。

 



ゴンドラの扉が閉まると、急加速して急斜面を登っていく。
しばらくは山塊しか見ることができないが、これは一種のアプローチと言ってもいい。

 



山を登りきると、一気に視界が開けて、大涌谷が眼下に広がる。
乗客からは「おおっ」と歓声が上がるほどいきなりの絶景である。
私もかなり驚いた。

大きな谷の上をわずか2本のロープが両端を繋いでいる。
その姿が自然の中ではちっぽけすぎて、ぷつっと切れて落ちてしまいそうとか考えてしまうほどである。






大涌谷がミニチュアのように見える。
この旅行後の2015年には噴火レベルが上がってしまい、ロープウェイも運休してしまった。

 



眼下の景色に見とれているうちに、大涌谷駅へと到着。
ここは芦ノ湖・桃源台方面のロープウェイの接続駅でもあり、せかせかと乗り継ぐ人もいる。

ここ大涌谷は山々の景観も良く飲食店も充実しているので、ここを目当てに訪れる人もいるようだ。
硫黄の匂いを嗅ぎながら、先程ロープウェイから眺めた景色をもう一度見ることもできる。

一方で、反対の西に目を向ければ富士山の雄姿も拝むことができる。

 



ここでは、かねてから噂に聞く「黒たまご」を食す。
真っ黒なたまごを見ていると何とも不可思議な気持ちになるが、中身は至って普通のたまごである。
塩をかけて戴くとなかなかの美味である。

さて、初めての箱根を満喫したところで本日は帰路につくとする。
年末は宿泊料金が跳ね上がるため、日帰り客も多いのだろう、ロープウェイは人数制限があるとして、ケーブルカーは通勤電車並みの混雑であった。




強羅から乗り継ぐ、箱根登山鉄道も満員御礼。
車両は2014年にデビューしたばかりのアレグラ号であったが、楽しむ余裕もなく。残念。

30分と少しで箱根湯本駅へ到着。
駅前商店街でお土産を購入して、ふたたびホームへ。

 



帰路は小田急ロマンスカーVSE。
箱根観光輸送に特化した車両なので、お馴染みの展望席のほか一般の席も車窓が楽しめるよう窓に向かって5度傾いている。

 

車内も暖色の照明で、居心地抜群。
これまでの混雑とはおさらばして、優雅に町田まで帰るとしよう。

 


2014年末箱根 その1

2015-12-18 00:57:00 | とりっぷ!




最寄駅から線路は繋がっているのに、一度も訪れたことのない土地、箱根。
灯台下暗しとはこのことか。
いつでも行けるだろうと思っていたら、いつまでも行かなかった。

この度、女子会?に誘われて初めての箱根入りを果たすことになった。
暦は12月30日。
2014年もあと残すところ2日という頃に、すっからかんの下り列車に乗って箱根へと向かう。

昔は小田急線が箱根湯本駅まで直通していたようだが、現在は小田原以西は分割して運転されているらしい。
小田原駅に着いたら、頭端式ホームに停車中の赤い列車に乗り換える。

ゆるゆると坂を登りつめると箱根湯本駅である。
さすがに年末年始、駅のホームは観光客でごった返していて、強羅行きの列車待ちに長蛇の列ができている。
こんな休日に満員電車とは現実に引き戻されてしまうが仕方ない。


本日のコースはというと、珍しくも私は何も考えていない。
先輩が電車すごろくとやらを作って来て、くじ引き方式で行くらしい。

初めに出したのは「一駅すすむ」。


 



満員の登山電車に乗って、一駅。
降り立ったのは塔ノ沢駅である。

両方向をトンネルに挟まれた小さな駅で、塔の峰の登山口や、アジサイ寺と呼ばれる阿弥陀寺の最寄駅だ。
しかし、無人駅。


山登りをできる季節でもなく、格好でもないのでとりあえず上りホームにある深沢銭洗弁財天へお参り。
駅チカというか駅ナカ神社だ。

神奈川県内でよき水が出るところには銭洗弁天が多い。


さて、次のくじを引くと「一駅戻る」。
行先は先程の箱根湯本駅。
ふりだしに戻った感はあるが、食事をするにはちょうどいいかもしれない。


 




次の電車を待っていると、さすがは登山鉄道といった感じで、トンネル内は急勾配になっている。
この路線は日本唯一の本格的な登山鉄道で、箱根湯本-強羅駅間での高低差は445mある。
最も急な区間では80‰といい、1kmの間で80mの高低差が生じる計算となる。

鉄道は勾配に弱い交通機関であるから、日本ではせいぜい30‰程度に抑えられているのだからいかに急かがわかる。
自動車なら楽々越えていける傾斜でも鉄道では苦労するのである。







さて、箱根湯本駅に戻って食べ歩き。
温泉まんじゅうに煎餅にすり身団子・・・ちょっと数十年後に出直してきたいくらい温泉街らしいメニューの数々。

よく熱海の衰退、箱根の成功みたいに観光的には語られるけど、古臭さというか本来の温泉街のスタイルを捨てずにここまで栄えたのはすごいと思う。


さてさて、少しお腹の満たされた私たちはもう一度気を取り直して箱根登山鉄道に乗車。

次に出されたお題は「足湯カフェ」にいく。
駅前に足湯カフェがあるのは宮ノ下駅だ。


 




またも満員御礼の登山電車。
分散して乗車した挙句、ドアにへばりつくような形で何とか乗車した私たちであったが、車窓は見ごたえがある。
是非とも新型のアレグラ号に乗ってゆっくり車窓を楽しみたいところだ。

先程下車した塔ノ沢駅を過ぎると、トンネルの果てに鉄橋を渡ってまたトンネル。
気付けば先程の鉄橋がずいぶん下方に見えるというように、目まぐるしく標高が上がっていく。

時にはスイッチバックも辞さない。

車内は混雑してるし、進行方向は変わるし、カーブは多いしでどうにも宮ノ下駅に着く頃にはだいぶ乗り物酔いの状態になっていた。

 




宮ノ下の駅は、温泉街よりも高いところに建っていて、駅前から長い下り坂が続いている。
坂を少しばかり下ったところにある「NARAYA CAFE」こそ、足湯のあるカフェだ。

古民家を改築したカフェで、野外に源泉かけ流しの足湯がある。
さすが温泉街だ。

みんなで仲良くスープセット。
温かいスープとイカのような形をしたパンが付いてくる。

足湯とスープでぽかぽかと温まる。

駅近だから時刻を調べて置けば、ぎりぎりまでゆっくりしていられるのもいいところ。

 



お次は「美術館にいく」。
ということで、2駅だけ登山電車に乗って、彫刻の森駅で下車。

箱根彫刻の森美術館に入館する。




つづく


踏切の風景

2015-12-10 23:29:00 | 発見!不思議な世界



夜の街を歩いていて、思わぬところで踏切に出会う。
近年では立体交差事業などで、郊外に向かう路線は高架を走ったり、地下にもぐったりしているので、踏切は少なくなってきました。

都内で踏切が多くあるのは、山手線と接続するターミナル駅から最初の急行停車駅くらいまででしょうか。
この区間では、住宅が密集していることや、地価が高いことから、多くの私鉄はターミナル駅から離れた場所から立体化や複々線化が始まるのです。
例えば東武東上線のなら成増-和光市間、西武池袋線なら江古田-桜台間、小田急線なら代々木八幡-代々木上原間などです。







西武池袋線の池袋-桜台間には魅力的な踏切もいくつかあります。
というよりも、西武線の黄色い車体が踏切と共にすこしノスタルジックな感じがして落ち着くのでしょうね。

そこに添えられた自動販売機も味があります。





歩行者専用の踏切も小ぢんまりとしていていいですね。
狭い視野の中、ふっと現れては消えていく列車が映画のシーンのようで好きです。




特急レッドアロー号は少し急いているように見えました。



新戸トンネル

2015-12-09 23:23:00 | 神奈川




新戸隧道はキャンプ座間の下を貫通する唯一の一般道路で、相武台前駅と一段地形の低い新戸・新磯方面を結ぶ貴重な道である。
キャンプ座間は相模原市から座間市にかけての広範囲を占めており、往来には迂回を強いられている。

駅前から続くこの道は、約1kmに渡って他の道と交差・分岐しない専用道路になっている。
敷地内が見えないように新戸側半分が隧道で、相武台側半分が切通し区間。

しかも自動車は新戸方面からの一方通行であり、案内板も少ないので地元の知る人ぞ知る道であった。
一応歩道があるので、歩行者での通行も可能。


どうやら掘削されたのは座間キャンプ以前、陸軍士官学校時代(正確には1937年ごろ)のようで、相当な古株である。
いつかこのトンネルに軍人が出ると風の噂で聞いたことがあったが、その理由が何となく理解できる。

そのため薄暗く、陰気な雰囲気が拭いきれないので、近年大規模な改修工事が行われている。
もう、かれこれ4、5年ほど工事を行っているようで、現在通れるのは、歩行者と自転車のみだ。




■2010年8月




相武台前側の坑口。
500mに及ぶ隧道のため、待避所が数か所と非常電話が設置されていた。

内部には隧道特有のオレンジ色の照明のほか補助照明もいくつかある。







直線のため、出口を望むことはできるが非常に長い。
壁面のコンクリートも老朽化しており、模様のように見える。

2010年まで新戸側に県立新磯高校があったため、登下校時には多くの高校生が通っていたが、中間や夜間に通る人は少ない。
1kmにわたって人目に付かない場所が続くため、敬遠されていたようであるが、徒歩で通行している人もいるにはいた。







■2015年9月

 



相武台前駅側の入口。
厳重なバリケードが設置されており、歩行者・自転車のみ通行できる。






一気に高度を下げて、一般道をアンダーパス。
下り坂の切通し区間が約500m続く。
しばらくは直線区間。





定期的に待避所が用意されていることからも緊急車両が通るためか、それとも以前は片側通行ではなかったのか。
謎が深まる。

切通しの上に針葉樹林が見えてくると、座間キャンプ内に入ったことを示している。
道路は一度鉤の路にカーブして、もう一度直線区間になる。








隧道の入口は2015年9月現在見ることは出来ず、歩道橋を上って仮設道路を通ることになる。
両サイドをパネルで塞がれ、天井にも柵が設置されているので、周囲の状況は確認することができない。
仮設区間は短く、また階段を下りる。






隧道は新たに掘削され、以前より広くなった。
しかし、片側1車線+歩道を設けるなら若干狭いような気もする。

以前は直線だったが、新たな隧道は途中で大きく左にカーブしてからもう一度右にカーブしている。
何かを避けるように道路が迂回しているような構造となっている。

隧道は自動車の事故が多いため、なるべく曲線は好ましくないように思うが、なぜ効能な形状になったのだろうか。






隧道の構造を見ると、切通しと同じ工法で開削してから、天井に蓋をしたのであろう。
他に特に構造上目立った箇所はない。

以前は天井に通気口のようなモノがあったがなくなった。






カーブを過ぎると出口が見える。
新戸側は隧道を出るとすぐに住宅街になっている。






路面も舗装しておらず、しばらくは歩行者専用の期間が続くと思われる。
これからどういった道路になっていくのか楽しみではある。

 



新戸側坑口。
壁面も新たに造られたものに変わった。

 



新戸側のバリケード。


夜の座間サイクリング

2015-12-08 23:18:45 | とりっぷ!



秋夜は風に吹かれての散策が楽しい。
特に自転車を漕いで風を切る心地がなんとも表現し難い。

十五夜から1日遅れのこの日も、友人と暗くなってから漕ぎだしたわけであるが、
たまには見慣れた景色よりも新しい景色を求めて座間方面へと向かった。


相模原市から座間市、大和市を結ぶ県道507号線は、通称:村富線と呼ばれて昼夜を問わず交通量が多い。

相模台を抜けて、相武台団地付近では騒音軽減のため、地上でありながらもスノーシェードのようなトンネル構造になっている。
トンネル区間にバス停もあったりして、ちょっぴり不思議な構造をしている。

自転車はトンネル内を通ることはできないので、両側の歩道を通ることになる。
夜の団地を眺めるのもなかなかよい。







相模原の中央区から南区には「台」の付く地名が多く、比較的平らな土地が多いが、座間市に入るといきなり地形が暴れだす。
東急田園都市線沿いを初めとする横浜の新興住宅街を彷彿とさせるV字型の谷がいきなり現れる。
平凡な景観に変化をもたらして、見ていて楽しいので、住宅渓谷とでも名付けたい。

遠くに見えるのは小田急相模原のマンション群であろう。
今日はビルを背にして、南へと向かう。







相武台前駅の周辺までくると、会社帰りの人々が多く歩いている。
駅前には行かず、逸れるように進むのは新戸隧道の入口。

新戸隧道はキャンプ座間の下を貫通する唯一の一般道路で、駅前と一段地形の低い新戸・新磯方面を結ぶ貴重な道である。
駅前から続くこの道は、約1kmに渡って他の道と交差・分岐しない専用道路になっている。
しかも自動車は新戸方面からの一方通行であり、案内板も少ないので地元の知る人ぞ知る道であった。

この道路、新戸側半分が隧道で、相武台側半分が切通し区間となっている。
その歴史は古く、開削されたのは戦前のことであるらしい。

そのため薄暗く、陰気な雰囲気が拭いきれないので、近年大規模な改修工事が行われている。
現在通れるのは、歩行者と自転車のみだ。

入口のバリケードを越えて、切通区間に入る。







一部ゆるいS字カーブを描きながら、500m続く切通区間。
街灯はあるものの、薄暗いので夜中にひとりで通りたいとは思えない道だ。

しかし、風を切りながら、進んでいると川を流れる水になったような、そんな気分が味わえる。

以前隧道のあった場所は現在改修中なので、一旦歩道橋を上がってからもう一度下る。







そこに現れたのは巨大な地下空間。
いつのまに新しい隧道は完成しつつあったようで、歩行者と自転車だけが一足早く利用できる。

地面も舗装されておらず、自動車が走るようになるのにはまだしばらくかかりそうだ。

それにしても未完成の隧道を利用できる機会はなかなかないので嬉しい。







新戸隧道を抜けた先で、県道46号線に合流して、さらに南下。
座間の市街に入ったら、湧水を巡ってみる。

座間は寺院や湧水が多く、路地に入ると小京都とまではいかないが魅力的な街が広がっていた。
側道に綺麗な流れがあって、水の音がするのがもっとも魅力的だ。







もっとも雰囲気があるのは鈴鹿神社裏にある鈴鹿の小路。
龍源院境内にある龍源水も湧水のひとつで、弁財天が祀られている。
弁財天というよりかは、弁財天と習合した人面蛇体の宇賀神が鎮座しておられる。






街中には多くの湧水があるが、最奥にある番神水公園はポケットパークのように整備されていて落ち着く空間だ。
ビオトープのような流れの上にはウッドデッキがあって自然観察もできる。

これだけ水が綺麗であれば、サワガニや夏ならホタルがいてもいいような気がする。








座間の鎮守である鈴鹿明神社も落ち着く空間である。
桜の木が植わっているので、春には花見もできそうだ。


空を見上げると、いよいよ月が高く登ってきたので、隠れないうちに1日遅れの月見でもしようかと、近くのマクドナルドに立ち寄って月見バーガーを購入。
小田急線の線路を渡って座間谷戸山公園へ。






谷戸山公園は里山の自然を残した公園で、昔はよくザリガニ釣りに来た記憶がある。
非常に森が深い公園で、周囲に人家も少ないから夜はとてつもなく暗い。

暗い場所の方が、月が映えるかと思い訪れてみたものの、その暗さに一度は怖気づいた。
友人がいなかったら、一人では厳しいだろう。

竹林を望む、小高い坂道で、月見をしながら月見バーガーを戴く。
古風と今風が混じり合ってなんとも、「今を生きている感じ」がする。

月見を堪能したあとは、調子に乗って園内を縦貫しようとするも何度も道に迷って、予定の倍以上の時間をかけて脱出。
自然の中では方向感覚も失ってしまう。

それほどの里山が身近にあるってのもまた貴重だろう。






公園から出ると、大規模な道路工事を行っていて、賑やかであった。
一瞬にして現実に引き戻される。

それでも少し、その明りが恋しくなっていたりもした。




夜の鎌倉〈ちょっぴり怖い夜〉 その3

2015-12-07 22:35:54 | とりっぷ!



名越切通を下った先にあるのは、現代版名越切通。
一方通行の自動車用隧道が上下3本ずつ山肌を貫通していて、計6本の隧道が鎌倉と逗子方面を結んでいる。
それにしても、隧道が6本もあるとは名越の山がどれだけ険しく入り組んでいるかわかる。

それでも名越は重要な交通要所であることは今も昔も変わりなく、夜も更けた時間でも定期的に自動車は通る。

隧道はもっとも鎌倉側に位置するものが名越隧道、中間が逗子隧道、逗子側が小坪隧道となっており、現在下り専用になっている。
上り用の隧道はそれぞれ後に開通し、新名越隧道、新逗子隧道、新小坪隧道と名が付いている。

さてさて、目の前にある隧道群、20世紀には鎌倉随一の心霊スポットとして知られていたのだが最近はそれほどでもないようである。
今世紀に入ってから大規模な改修が行われたことも大きいだろう。

上りの新隧道たちはまったく関係なく、問題があるのは古い方の隧道らしい。
インターネットなどで検索すると名越隧道がもっともヒットするが、小坪隧道の方が「化けトン」とよばれているらしい。

有名な話は神の長い女性が立っている、通行中にボンネットに女性が落ちてくるなどいわゆるありがちな話だが、火のないところに煙は立たぬ。
怪しげな場所であることは間違いないようで、それが頭上にある火葬場やまんだら堂に起因するのではないだろうか。

川端康成『無言』でも登場し、その名は全国区であったと思われる名越隧道群。

この一帯は鎌倉そして逗子の境界にあたる。
境界とは人々が遠ざけようとする存在や概念が寄せ集められる空間として成り立つことは昔も今も変わらず。
付近には火葬場や清掃工場、病院などが集まっている。

あちらとこちらを結ぶ曖昧な空間でもあるわけで、色々な噂が絶えないのだろう。

我々は「小坪7」交差点から小坪隧道を目指す。
手前の隧道は新隧道であるが、奥の旧隧道へも横断歩道が用意されている。
歩行者も一応はいるのだろう。

我々が最初に向かう小坪隧道はもっとも逗子側にある隧道である。







坑口は古めかしく、近代土木遺産といった趣である。
内部は進行方向左手に一段高くなった歩道が用意されているので歩行は安全だ。
側面にはパネルが備えられているものの古さが滲み出ている。

そして、入り口付近は照明が付いているが進むにつれて少なくなるので暗い。
逗子寄りの隧道のため、すでに峠は越して、道路自体も若干下り坂である。


隧道を過ぎると、いよいよ下り坂で、途中に左に折れると、JR横須賀線の久木踏切がある。
左折してすぐに現れるので見通しはよくなく、横断した後も道路は右に直角に折れる。

この踏切も噂が絶えないそうで、こちらは横須賀線の運転手がよく「遭遇」するようである。
線路も名越トンネルを過ぎて逗子市内に下りていく下りカーブに位置しているので、自動車にも鉄道にとっても見通しの良くない場所であることは間違いないようだ。

踏切の先にある法性寺から衣張山方面へ抜けたかったが、どうやら夜間は通ることができないようなので、もう一度隧道方面へと戻る。







先程通った小坪隧道を抜けると、小坪7交差点。
その先は逗子隧道になる。

この隧道は片側2車線になっていて比較的新しい印象を受ける。
どうやら前後にある名越隧道と小坪隧道は19世紀後半にはすでに掘削されていたというが、逗子隧道の開通は昭和40年ごろ。
中間に位置するこの隧道出来るまで、自動車は山を迂回していたという。

ということは、歴史も浅くそこまで噂も無いと思われる。

ちなみに小坪方面に折れる右折専用レーンがあるために隧道内は2車線用意されている。

逗子隧道を抜ければ、次は名越隧道。
隧道と隧道の間の道には橋が架かっており、これが火葬場へと繋がる道である。







歩道から火葬場方面へと繋がる階段があるが、執拗なまでの金網が張られていて登ることはできない。
そして本日もっとも怪しい雰囲気がこのあたりからしているのである。
(上掲の写真は以前新逗子隧道あたりから撮影したもの)

この火葬場は、川端康成の『無言』でも触れられているため、ずいぶんと古いものらしい。



最後の名越隧道は専用の歩道が存在しない唯一の隧道で、逗子側の入口は補修されていて新しくなっているが、内部は小坪隧道と同じように古い。
特に壁のシミが様々なモノに見えそうな怪しさがある。

小坪隧道よりは短いが、歩道がないためか落ち着かない雰囲気である。
隧道の中間あたりが鎌倉市と逗子市の行政的境界が存在している。


ようやく3つの隧道を潜り抜ければ、名越周辺の探訪も終了。
それにしても、疑問が残るのはGoogleマップ等で名越を見ると名越隧道の鎌倉側坑口のやや北よりにもう一つ坑口が開いているということ。
専門会社の駐車場になっていて現在は確認できないが、なにか隧道が残されているのか、それとも地図の誤植なのか・・・










さてさて、名越から大町へと降りてきてついに今回の探訪もクライマックス。
真夜中の祇園山ハイキングである。

鎌倉には天園、裏大仏、衣張山とハイキングコースは数あれど、祇園山ハイキングコースは比較的距離が短く利用しやすい。
途中に特に何か史跡があるとかそういうことはないのですこし残念だが、尾根からの景色はよい。
夜だから関係ないが。



入口は八雲神社の境内にあった。
参道を通って、本殿右手の細道を進むと真っ暗な闇が待ち構えている。

すぐに急傾斜になってつづら折りの道が続く。
途中は分岐がありながらも、頂上近くまで登りきると、材木座方面の夜景が美しい。

名越と同じように音のない世界。
耳を澄ませると、何かが落ちる音やカサカサと草木が揺れる音がする。
普段は気にもならない音が、気になる。

皆の歩行速度が若干速くなっているような気がする。
前へと進んでいく以上に背後が気になることは皆うすうす気が付いていて、どんどんと速くなる。

それでも、尾根伝いの道は意外と暗くはない。
右手には雪ノ下、左手には小町の住宅街が木々の合間から見える。

目指すのはこのハイキングコースの出口にある東勝寺腹切りやぐらである。
時折、用意されている案内板にも「腹切りやぐら」まで何mという表示。

あまり見ていて希望の見出せる目的地でないことは確かだ。




小1時間、アップダウンの激しい道を歩き続けると、ようやく下り坂になって周囲の外光が届かなくなるといよいよ腹切りやぐらだ。

この腹切りやぐらは鎌倉幕府滅亡の際、隣接する東勝寺において自害した北条高時らを弔う場所である。
東勝寺はその時に全焼したため、現在は廃寺となり鬱蒼とした荒地が広がる。

ハイキングコースの階段を下り終えると、目の前が腹切りやぐらとなっている。
入口には「霊処浄域につき参拝者以外立入禁」と高札がある。

北条一門は成仏することができずに、未だ供養が続けられているのであろうか。
ここに限らず、鎌倉のやぐらや武将らの墓といった空間にはなんとも不思議な空気が張りつめている。


腹切りやぐらは山と住宅街の境界に位置していて、すぐに住宅街へと出ることができる。
夜の深い鎌倉を一巡して、ほっと一息つく我々は住宅街で何気なく立ち止まると、いきなり放置自転車置き場のインターホンがひとりでに鳴りだした。
防犯のためとはいえ肝を冷やしたのであった。




今回は、普段は意識することない鎌倉を覗いてきた。
昼に対する夜、光に対する闇ということで、いわば鎌倉観光の裏面を成している。

実際に赴かなければ感じることのできない、歴史の片隅にあるもやもやとした黒い塊が都心周縁には点在しているのである。