Fuji Trip!

水豚先輩の週末旅日記

岳南電車と岳南原田駅

2016-04-25 21:49:55 | 駅と鉄路



日本には風情あるローカル私鉄は数あれど、静岡県の岳南電車ほど夜に乗りたいローカル線はないでしょう。

東海道線の吉原駅から岳南江尾駅までの9.2kmを結ぶ岳南電車は昔貨物営業も行っていた路線。
沿線には製紙工場が立ち並び、その明かりが夜の軌道を照らしています。

そんなことから、岳南電車は日本夜景遺産に登録されています。
展望台や橋梁が夜景遺産になることはよくあることですが、鉄道路線自体が登録されるのは珍しいことです。

10km未満の路線は、コトコトと夜に鉄道に揺られても極度に寂しくはならない絶妙な長さ。
車両も1両という可愛らしさ。
ちなみに電車の走る富士市は富士山の裾野にあるため、車窓からは雄大な富士山が見えます。
吉原といえば、東海道五十三次の「左富士」で有名ですね。

ということで、昼は富士見路線、夜は夜景路線と、小さく魅力の詰まった路線です。





岳南電車には10駅あり、起点の吉原駅からの4つ目が岳南原田駅。
1面2線で上下線が列車交換が可能な駅となっており、朝のみ駅員が配置され、それ以外の時間帯は無人駅。

昔は駅員が常駐したと思われる駅舎の待合室には多くの案内板が貼られて賑やか。
吉原乗換えの東海道線経由で東京都区内までの切符も売っているのには驚きです。

 

駅舎からホームへは貨物時代の留置線と本線を跨いで向かいます。
構内踏切はありません。




ホームはキノコのような傘のような雨避けが印象的です。
やってくる車両は1両もしくは2両編成なので、十分な大きさです。

背後には日本製紙の工場プラントが見えます。
岳南原田駅と比奈駅では製紙工場の敷地内を走るようです。

 



駅標の文字は独特なフォントで、「岳南フォント」と呼びたくなります。
岳南電車の駅名には「岳南」が付く駅名が全部で4つあります。




工場の方から吉原行きの列車がやってきました。
周囲が薄暗いので、車内の明かりがまぶしいです。


岳南原田駅に停車する、吉原行き列車。 
橙色の可愛らしい車両、もと京王電鉄の車両だそうです。

空気ばかり運んでいそうでしたが、この駅から2人の乗客がありました。




続いて到着する岳南江尾行きの列車。
こちらは2両編成の「かぐや富士号」で、朝夕の繁忙時のみ運行しています。

こちらは緑色のカラーリングになっています。


京王競馬場線

2015-11-06 02:08:23 | 駅と鉄路




京王競馬場線は京王線東府中駅から府中競馬場正門前駅間を結ぶ支線です。
その距離はなんと900m、乗車すればあっという間に到着してしまいます。

競馬場線はその名の通り、府中市内にある東京競馬場へのアクセスを目的として敷設されました。
そのため、日中の運転は毎時3本程度。2両編成のワンマン車両がピストン運行しています。

競馬開催時は増発や臨時列車の運行が行われて、都心からの直通列車もあるようです。



頭端式のホームがある府中競馬場正門駅は、広々とした改札とコンコース。
その出口はまっすぐ競馬場まで続いています。

平日は鳥の鳴き声も聞こえるほど平和なホームでは時折、映画やドラマの撮影が行われるなどしているようです。
記憶にあるものだと、映画「ソラニン」や、ゲスの極み乙女。「猟奇的なキスをして」のMVで出てました。


10両編成も停車できる長いホームに、ちょこんと2両の車両が停まっているのも可愛らしいです。

競馬場の最寄駅は他にJR線の府中本町駅がありますが、都心に直結していないことからもこちらが多く利用されています。








2両編成となった7000系が日夜往復しています。





平日と休日で利用差の激しい府中競馬場正門駅。
2面2線を有していますが、屋根は改札寄りにしか設置されていません。






7000形は外見に比べて、車内はリニューアルされており綺麗です。
日中の乗客はほとんどおらず、空気を運んでいます。



夜の湘南モノレール

2015-10-17 22:07:57 | 駅と鉄路



大船駅と湘南江の島駅間、6.6kmを結ぶ湘南モノレール。
鎌倉山周辺の鉄道空白地帯の通勤通学輸送と江の島をはじめと観光客輸送を目的に敷設された路線です。
しかしながら、現状は通勤通学利用者がほとんどであり、観光客をはじめとする他地方の人にはあまり認知されていないようです。

このモノレールは懸垂式と呼ばれて軌道が車両の上部に位置している珍しいタイプ。
日本では他に千葉都市モノレールと上野動物園内のモノレールしか例がありません。

鉄道や他の交通機関は車体の下に軌道なり路線が存在するため安定感がありますが、懸垂式モノレールでは車体が吊り下げられているため空中に浮いているような感覚です。
そのため、車窓からは直下に建物や道路が広がっている光景も目にすることができます。

沿線は山が多いため、路線は急勾配の連続。
最高速度の75kmはモノレールとしては速い方で、ちょっとした遊園地のアトラクションのよう。
車窓からは天気が良ければ富士山や相模湾を望むことができるのは楽しみのひとつです。


昼間の乗車も楽しいのですが、醍醐味はやはり夜。
前世紀の人々が夢見た近未来交通のような、メタリックなフォルムの車両が一層映えて見えますし、駅や軌道もなんだか幻想的です。

深沢の夜景を横目に、どんどんと高度を上げながら闇を裂いていく光景は何処か銀河鉄道のようでもあって、しばしの異空間旅行へと誘われていきます。

全線乗り通しても14分という短時間コースなので、寂しさの深淵に落ち込むことなく終点に到着。
このちょっと物足りなさを感じるような、乗車時間もまた絶妙で、気軽何度でも出掛けたくなってしまいます。





今回は湘南江の島駅から深沢駅までを途中下車します。





湘南江の島駅ホーム。
夕方から夜間は大船発湘南江の島駅行きの列車が通勤通学客で混雑します。
途中駅でほとんどの人は降りて、終点までの乗車している人はごくわずかなようです。

逆に大船駅の列車を待っている人はほとんどいません。
江の島の最寄り駅といっても、夜は静かな終着駅です。

ホームに停車中の車両はシルバーに赤いライン。
メタリックな感じと配色は、どこか特撮のメカのようでカッコいいです。









一部の車両を除いて、座席がクロスシートになっているところも旅情を盛り上げてくれます。

湘南江の島駅を出ると、すぐにトンネルに入りますが、トンネル内は急勾配・急カーブ区間なので、車体がうねるよう上下左右に大きくうねります。
後方の車両から眺めていると、前方の車両が半分以上見えなくなったりします。
すごいカーブです。








勾配を上りきると、片瀬山駅に到着。
住宅地の末端に位置し、閑静な無人駅ですが、列車交換が行われます。

1面2線の簡素な駅ですが、車両が並ぶと無機物の作り出す冷たい近代的な雰囲気があります。
列車交換が終わると、それぞれの列車が闇に消えていきました。











西鎌倉駅は近年バリアフリー化が行われた行われた駅で、無人駅ですがホームに待合室があったり改札や券売機があります。
周囲には鎌倉山などの高級住宅街があるためか、利用者は多いようです。

駅前にはコンビニエンスストアもあります。




 

駅を降りて、湘南江の島駅方面に歩くと、上空の立派な軌道を眺めることができます。

周辺はどこにでもある住宅街の光景なのですが、上空を貫く建造物だけが異質。


 

 

歩道橋の上から、もう少し近い位置で眺めることができます。
軌道の下を車両が通るため、軌道は結構高い位置に造られていることがわかります。

駅付近までは自動車道路の上空を走っています。








大船行きの列車がやってきました。
湘南モノレールでは平均7,8分に1本の列車が走っているようです。

車両が懸垂している姿は、見慣れていないと不思議な感覚です。

 

 



西鎌倉駅を出ると、鎌倉山トンネルを抜けて、低地にある湘南深沢駅まで一気に勾配を下ります。
駅間隔も非常に長いので列車も結構なスピードを出します。

トンネルを出ると進行方向左手の視界が開けて、街並みが見えてきます。
県道32号線沿いに広がる住宅地と、遠くには藤沢の市街。昼間には山並に富士山の姿も望むことができます。
この区間の車窓は湘南モノレールの車窓のハイライトでしょう。








湘南深沢駅も住宅地に程近く、利用者の多い駅です。
深沢付近では道路の上空の比較的低い位置を走行するためか、街灯や信号機が通常より低いつくりになっています。

街の風景に溶け込んだモノレールがおもしろいです。








湘南深沢駅から鎌倉山へと上っていく列車は、結構速度を出しています。

地上の渋滞を見下ろして、すいすいと進みます。

 

  

沿線の湘南ボウルの裏手には湘南モノレールの深沢車庫があります。
数本の車両が待機していました。

人気のない人工物は少しだけ不気味ですが、美しくもあります。


車庫の下は駐車場になっており、地上と上空、合わせて乗り物の仮眠場所のようになっているのが微笑ましいです。
それにしても、このモノレールはずっと重力に逆らっていると思うと不思議です。

 


江ノ電 (増補版)

2015-09-28 00:02:04 | 駅と鉄路

 




江ノ電の愛称で知られる江ノ島電鉄は、鎌倉-藤沢駅間の約10kmを34分かけて結びます。

現在でも江の島鎌倉観光には欠かす事ができない江ノ電は、1902年に藤沢-片瀬間で開業。
その後順に延伸し、1910年には全線が開業しました。

停車駅は鎌倉から和田塚-由比ヶ浜-長谷-極楽寺-稲村ケ崎-七里ヶ浜-鎌倉高校前-腰越-江ノ島-湘南海岸公園-鵠沼-柳小路-石上-藤沢の15駅です。
運行するのはわずかな距離ですが、江ノ電は交通機関の域を超えて鎌倉観光のひとつともなっています。



江ノ電の人気の一つは、まず沿線の景観です。
短い距離の中、車窓からの景色が目まぐるしく変わります。

鎌倉から長谷駅までは住宅地の間をすり抜け、
御霊神社の目の前を通り過ぎると江ノ電唯一のトンネル・極楽洞を通過します。

稲村ケ崎駅を出てから腰越駅までの一部の区間は湘南海岸に沿って走るため、車窓には相模湾が広がります。
再び住宅地に入ったかと思うと、腰越駅から江の島駅までの区間は首都圏では珍しい併用軌道を走行します。

鵠沼駅付近では境川を渡り、石上駅を出ると高架区間に変わって駅ビル2階に位置する終点・藤沢駅に到着します。

遮断機のない踏切、無人駅など情緒あふれる沿線ならではの景色と、
目の前が湘南海岸という絶好のロケーションの鎌倉高校前駅や、車両一両分ドアが開かない腰越駅など個性あふれる停車駅が魅力的です。


全線にわたり単線のため、列車交換を行うことのできる駅は長谷・稲村ケ崎・江ノ島・鵠沼の4駅と七里ヶ浜-鎌倉高校前間にある峰ヶ原信号場に限られています。




もうひとつの魅力は沿線観光。

言わずと知れた、鎌倉の鶴岡八幡宮と小町通り。
遠足といえば長谷寺の長谷観音、高徳院大仏。

腰越状で有名な万福寺、江の島駅は江ノ島水族館や江の島の最寄駅です。
アジサイの時期には成就院や御霊神社、紅葉の時期には源氏山や鎌倉宮に足を延ばしてみるのもいいかもしれません。

車両もバリエーション豊富で床が板張りの旧式車両から、観光ガイドのモニター付きの新型車両まで揃っています。
最古参の車両でレトロ気分を味わうもよし、クロスシートを備えた車両は友達との旅行時に最適です。

シンボルカラーの深緑色の車両は鎌倉の街並みとも相性が抜群。
渋いけどおしゃれで、江ノ電サブレもお土産に売っていたりします。



季節や車両によっても乗る度に異なる楽しさを見つけることができる路線が江ノ電なのです。




■沿線風景
(撮影時期が異なるため、作風に一貫性がありませんがご了承ください。
 また、初期の写真の一部にはOLYMPUSアートフィルターを利用しています。)





江ノ電ビルの二階に組み込まれている藤沢駅。
2面1線の構内は休日ともなると観光客で混雑します。

休日の日中は4両編成が基本ですが、平日は2両編成の場合もあります。

停車しているのは江ノ電最古参の300形。
車内の床が木目になっているレトロな車両です。






藤沢駅を出ると、しばらくは高架区間を走ります。
この区間は比較的新しく、昔は地上を走っていたようです。




運転室後ろの座席は特等席。
目まぐるしく変化する車窓をじっくり堪能できます。

特に2000形(写真で右手に見える車両)は進行方向に向いた座席配置になっており、窓も大きく、当たったらラッキー。






江ノ電の主要駅である江ノ島は列車交換のできる大きな駅です。
夜間はライトアップも行われています。





江の島駅を出ると、併用軌道区間に入ります。
いきなり道路に踊りだしたかと思うと、480mもの間、道路の真ん中を堂々と走行します。






ホームの短い腰越駅を過ぎると、路地裏のような狭隘な道をくねくねと進みます。
今にも民家の塀や樹木にぶつかりそうです。






民家を抜けると、次は海岸線を走ります。
ここから稲村ケ崎駅手前までの間、断続的に海が見える区間です。





鎌倉高校前駅は、ホームが海に面したロケーションが人気の無人駅。
休日には観光客も訪れますが、平日は朝夕は登下校する学生たちで賑わう駅です。





背後には断崖迫る海岸線の平地を江ノ電と県道が並走します。
鎌倉高校前、七里ヶ浜、稲村ケ崎の3駅は海岸にも近く、途中下車もおすすめです。






七里ヶ浜駅は少し路地を入った場所のため、一旦海岸から離れます。

道路と線路が道を半分ずつ使用した江ノ電らしい風景。
柵がないのが地元に密着した江ノ電ならではの景観だと思います。






稲村ケ崎駅も列車交換ができる駅です。
駅周辺には昔懐かしの商店や八百屋さんなどが立ち並び、生活感があります。
徒歩3分ほどで稲村ケ崎公園へ行くことができます。






稲村ケ崎から極楽寺駅までの間はひたすら内陸へと進んで、山間部に入ります。
谷戸と呼ばれる地形で、左右を切り立った崖に挟まれた場所に、極楽寺駅があります。

小さな駅ですが、関東の駅百選に認定された昔ながらの木造駅舎が魅力です。


付近には江ノ電の極楽寺検車場もあります。







極楽寺駅から先は鎌倉七口のひとつ、極楽寺坂の切通しのある区間です。
江ノ電は唯一のトンネル、極楽洞を通過して鎌倉入りします。

このトンネル工事が敷設当時最も困難であった事業といわれています。


 



極楽洞を出ると御霊神社の参道を通り抜けます。
御霊神社はアジサイと江ノ電が撮影できる場所ということもあり、梅雨の季節には多くのカメラマンが陣取っています。




御霊神社の参道を横切る江ノ電。
絵になる風景のひとつです。






長谷駅までは配り勾配、和田塚駅までは上り勾配を進みます。
民家には狭れた狭い場所を走行するので、あまり人目には付きません。





自動車の走行する道路には踏切がありますが、路地や玄関先には踏切がないため、線路を横断する地元の方も多いです。
江ノ電もゆっくりと走行します。





江ノ電は4両編成の場合、連結部分の車窓を眺めるのもおすすめです。
流れていく景色と、窓に幾度も反射する景色が不思議です。






和田塚駅は線路を渡って入店する甘味処の最寄駅として知られています。
付近には和田一族を埋葬したとされる和田塚があります。

駅から路線はカーブを描いて、鎌倉駅へと到着します。




終点・鎌倉駅は2面2線を有するターミナル駅。
車輪止めには陶器の蛙が鎮座しており、可愛らしいです。

駅中にはコンビニや土産店が併設されていて、電車待ちの時間に利用できます。
JR鎌倉駅へは直通改札があるので乗換えに便利です。
 


名鉄小牧線と桃花台新交通跡

2014-09-21 20:20:50 | 駅と鉄路





名鉄小牧線は名鉄犬山線と接続する犬山駅から上飯田駅までの20.6kmを結ぶ郊外路線です。
上飯田駅から先は上飯田線と相互乗り入れを行い、地下鉄名城線と接続する平安通駅まで直通運転しています。

上飯田線は名古屋市営地下鉄を第二種鉄道事業者にして2003年に完成した地下鉄で上飯田-平安通間の0.8kmの路線です。
以前の小牧線は上飯田駅を終着としており、栄方面へは名古屋市電に乗り継ぐ形になっていましたが、1971年に廃止。
小牧線は名古屋主部に繋がっていない中途半端な路線になってしまいました。
800m先にある平安通駅まで徒歩で乗り継ぐ通勤客も多かったそうです。
他の路線との接続駅は上飯田とは反対側の終着点の犬山駅ひとつ。
こうなってしまっては都市と郊外を結ぶ鉄道としての役割を果たし切れず、平安通りまでの延伸を計画。上飯田連絡線が第三種鉄道事業者として路線建設し、上飯田-平安通間を市営地下鉄が
上飯田以北を小牧線が営業する事となりました。
この際に、当時地上駅だった上飯田駅を地下化、単線区間の味鋺‐上飯田間を複線高架線と地下線へと移すことになりました。
平安通まで直通することで小牧線の利便性は飛躍的に向上しました。

小牧線の沿線には小牧や犬山と言った中規模都市が存在しますが、都市部のアクセスが悪いことから他の名鉄路線とは異なる印象を受けます。
路線のイメージカラーや車両も他の名鉄線のスカーレットとは異なるピンク色。また、急行などは存在せず、各駅停車の設定しかありません。
各駅は名鉄の駅集中管理システムを導入しており、駅員は不在で自動券売機のみの無人駅となっています。


沿線の利用者は増加傾向にあるため、幾度か改良工事が行われた結果、沿線風景は地下区間や高架区間、複線と単線が混在して目まぐるしく変わります。
ラッシュ時には小牧始発、小牧止まりの列車が設定されていることからも小牧駅までの利用者が多いと思われます。
そのため、小牧駅以北は未だ単線となっています。




名城線のホームより深い場所に位置する地下鉄上飯田線のホームから犬山駅の列車は発車します。
日中は毎時4本の運転本数で、すべて普通列車犬山行きでして運行されています。

ピンク色のラインをまとった通勤型の名鉄らしくない4両編成の車両に乗り込むと、車内はセミクロスシート。
車両は地下鉄上飯田線との直通運転開始時に一新されたようです。

転換クロスシートに腰を下ろして出発を待っていると、日中の下り線はさほど混雑していないものの、名城線からの乗換え客と思われる人々が定期的に乗って来ます。


平安通駅を発車して次の上飯田駅までが地下鉄上飯田線。上飯田から先が名鉄小牧線です。
しばらくは地下区間を走り、外に出ると味鋺駅に着きます。

味鋺駅から味美駅の直前までは高架線を走ります。
途中、名古屋第二環状自動車道と城北線がさらに高い高架橋でオーバークロス。
緩やかに地平に降り立つと味美駅です。

味美駅から間内駅までは平地を走ります。この区間、左手には県営名古屋空港(小牧空港)があります。
車窓からは見ることはできませんが、味美駅上空ではジェット機が低空を飛んでいる姿を目にします。

間内駅を過ぎると架線の新しい高架へと変わり、いくつかの道路と立体交差した後、小牧口駅に向けて切通しに入ります。
工事時期が異なるためか、地下にもぐったり、高架を走ったり目まぐるしいですが、名古屋都市圏にこのような鉄道路線が多いのは鉄道本位ではなく自動車本位だからでしょう。
路線が道路を避けて走っているような気がします。

切通しにある小牧口駅を過ぎると、天井に蓋がされてトンネルに変わります。
しばらく進むと小牧駅に到着します。 


 



小牧駅は小牧線の中心駅のひとつで、当駅発着の列車の設定もあります。
大半の乗客がこの駅で降車しました。

小牧駅は桃花台交通桃花台線との乗換駅でしたが、2006年に桃花台線は廃線となり、名鉄の単独駅となりました。
東口出口の前には現在でも桃花台線の駅舎が残されています。






駅前一等地に駅の廃墟という好ましくない環境です。
入り口は完全に閉鎖され、「当面の間、閉鎖いたします」との張り紙が目に付きます。

看板や表記などは最低限取り払われていますが、かつて駅があったことは明らかです。
小牧駅は桃花台線の起点駅でした。






桃花台線交通桃花台線は小牧市東部の丘陵地帯に開発された桃花台ニュータウンへの足として建設されました。
小牧駅と桃花台東駅を結ぶ7.4kmの路線は1991年に開業し、ピーチライナーの愛称で親しまれていたそうです。
路線は全線高架(一部地下)線で建設されたゴムタイヤ式の新交通システムです。

しかし、ニュータウン開発は入居者が予想を下回ったため規模を縮小、桃花台線は開業当初から利用者に伸び悩むことになります。
JR中央線・高蔵寺駅への延伸計画もありましたが、赤字が累積し15年目の2006年に廃止されました。



現在でも桃花台線の高架線は解体に巨額の費用がかかることから残されたままになっています。
桃花台線は無計画なニュータウン開発な例として現在へ遺産を残す結果となりました。

路線の利用者の伸び悩みには開発の縮小の他にもあります。
桃花台線は小牧市内で完結した路線で、都市部へ向かう際には乗り換えが必要なこと。
また、唯一の乗り換え路線であった小牧線が名古屋駅や栄駅に直結していない郊外路線だったことが挙げられるでしょう。

高架線とは近未来的ではありますが、乗降りに手間がかかり、なおかつ有人駅以外ではエレベーターが設置されていなかったことも利用者を選ぶ結果となったでしょう。

 



桃花台線の特徴は折り返し運転がなかったことです。
運転席と乗降用扉は一方向にしか無く、終点で乗客を降ろすとループ線を用いて方向転換していました。
このような手法を用いる路線は日本には現在ありません。



高速道路のJCTのような急カーブの橋が残されています。
何も知らずに見つけたら何の橋なのか気になってしまいそうです。
建設中の道路か鉄道路線と見間違っても不思議ではないほど立派なつくりをしています。

時代に適応することができずに姿を消していく路線とは異なり、近未来的な交通機関が短命に終わり廃墟と化してしまう姿は皮肉なものです。
何らかの形で利用できないものでしょうか。

現在、桃花台線の代行として駅前からはピーチバスが運行しているとのことです。
路線バスで足りるのであれば、当初からバス運行でよかったのでは、という疑問が生じます。



小牧線で小牧駅から再び犬山行きに乗車し、次の小牧原駅に向かいます。
小牧駅から先は終点に犬山駅まで単線になっています。
トンネルを出ると単線の狭い切通しをカーブで抜けて、高架線へと変わると小牧原駅です。

降車すると、駅ホームの真上に桃花台線の高架橋が跨いでいます。
以前は桃花台線にも小牧原駅が存在していました。



小牧線小牧原駅上空でカーブした高架橋は桃花台に向けて伸びています。
営業運転している小牧線が単線であるのに対し、桃花台線は複線あります。

小牧線も路線脇に複線用の用地は残っていますが、過去に利用されていたものなのか今後利用されるものなのかはわかりません。





駅前には道路とバス停があるだけの小さな駅。
無人駅のため、ひっそりとした印象です。

人気も少なく、立派なコンクリートの高架橋も寒々しいものがあります。
駅を軸として生活する東京郊外と異なって、乗降するだけの機能としての駅です。

 



小牧線の小牧原駅から歩道を少し南下すると、桃花台線の小牧原駅跡があります。
この駅も入り口のシャッターは閉められているものの、往時の姿を今に留めています。

 新交通システムの利点は路線用地が確保されていえば高架下に駅舎がつくれるためコンパクトで済むことでしょうか。

 

高架橋の下にすっぽりと収まる駅舎の前は今や無料駐輪場と化しています。
入り口付近には始発と終電の表記された掲示板が今も残っています。

これらの遺構はいったいいつごろまで放置され続けるのでしょうか。


歩道橋の上から眺めると、巨大な複線の軌道上には不法投棄されたソファや自転車が寝ころび、今はもう列車も通ることのない空虚な場所だということ知らされます。
高度経済成長以降、郊外の開発は積極的に行われてきましたが、一斉開発が生んだ建造物の老朽化と入居者の高齢化が問題となっています。
それに伴った郊外の過疎化問題なども懸念されます。

この桃花台線の廃墟のような戦後の文化の生んだ現代遺産が増えてくる日も遠くはないのかもしれません。

桃花台線跡が示してくれているのはくら新しい技術を導入したところで利用者の需要に柔軟に適応することができなければいけないということ。
どんなものでも時代と共に古びていくことは世の常ですから、いかに利用者に寄り添っていけるかということが大切です。

自動車中心の社会が浸透した名古屋都市圏で、公共交通はどのように変わっていかなければならないのでしょうか。


ゆとりーとライン

2014-07-10 21:17:28 | 駅と鉄路

 
「ゆとり―とライン」の愛称で知られる名古屋ガイドウェイバスは、案内軌条に沿って進む日本初の交通機関です。
案内軌条方式をとるのは大曽根から小幡緑地までの区間で、専用高架線を走ります。
この区間を特に「ガイドウェイバス志段味線」と呼ぶそうです。

専用高架線を走るガイドウェイバスは輸送力は鉄道に劣るものの、路線バスに多くある交通事情による遅延の恐れもなく定時運行が可能。
車社会の名古屋都市圏では輸送力はあまり期待されていないのかも。
それでも日中は10分おきに運行していることからも利用しやすいです。

また、ガイドウェイバスのメリットは専用軌道から一般道路へ乗り入れも可能なことです。
郊外は住宅地が分散するため、一般道に直通した後は路線バスと同じくいくつかの系統に分かれ運行されます。

都市部では他の影響を受けない高架区間、郊外では枝分かれが可能な地上区間を使い分けたガイドウェイバスは鉄道とバスの中間のような存在になっています。

 



起点となる大曽根はJR中央線・地下鉄名城線・名鉄瀬戸線が停車するターミナル駅。
瀬戸線・中央線・ゆとり―とラインの順に高架駅が平行に並んでいます。


ゆとり―とラインの乗降場は地上3階に位置しておりバス停とは思えないほど立派な造り。



大階段を登って、2階部分には改札のようなものがありますが、実際には使われていないようです。
起点のため右手が乗り場、左手は出口専用になっています。
大曽根はゆとりーとラインで唯一、有人の停留所。



乗り場はバス2両分くらい停まることができそうなプラットホーム。
行き先によって停車位置が異なるそうでだが、現在は高蔵寺行と中志段味行(2系統あり)の3系統しか運行していないよう。
小幡緑地までの高架区間はすべての系統が通ることになります。

見た目は路線バスと変わりない車両ですが、高架区間では前後輪に付いた案内装置を使ってハンドルなしの走行が可能。
案内装置を格納することによって一般道では路線バスになります。





道路の両側にあるレールに従って進むので、出発しても運転手はハンドルを握らずに安全確認をするだけ。

大曽根を出発するとすぐに右に90度曲がって環状線の上空を進みます。
地上の環状線の地下には地下鉄名城線が走っており、三層構造になっています。




「ナゴヤドーム矢田」を過ぎて「砂田橋」までの区間を名城線と並走。
架線も無く、視界は良好。

停留所はすべて相対式のかまぼこドーム型になっているようです。
休日の日中とはいえ、短距離区間で利用するお客さんも多いようで、砂田橋で何人か降りていきました。

 



砂田橋を出て、次は左に90度曲がると矢田川を渡り、守山付近で名鉄瀬戸線と交差。
いよいよ都市部に背を向けて郊外を目指します。

遠くの山脈と煙を吐くのは製紙工場の煙突。
普段地上からでは見ることのできない景色を車窓から楽しむ事ができます。

信号も道路工事もなく、愁い知らず。
バスなのでスピードは出ませんが快適です。




「川村」を過ぎると小幡緑地まで急坂を上ります。
名古屋郊外には丘陵地帯が多くあり、急傾斜が苦手な鉄道より新交通が選ばれるのでしょう。

坂を上りきると「白沢渓谷」、その次が「小幡緑地」です。




小幡緑地の先で高架線は終わり、一般道に乗り入れます。
一般道に出る前に案内装置を格納するためのモードインターチェンジが設けられています。

軌道と道路を使い分けるデュアルモードの開発は昔からなされていますが、なかなか実用に辿り着きません。
そんな中、西洋で実用化しているガイドウェイバスを改めて取り入れたわけですが、都市部(専用道)・郊外(一般道)という切り替えは便利かと思います。

しかし一般道に降りた先の系統が少なくてはあまり効果を発揮できていないような気も。
安産装置付きの特殊車両への統一も予算などの関係で難しいのかもしれません。

一般道路上に専用レーンを設ける基幹バスも名古屋では実例がありますが、浮き彫りになった課題からよりよい交通手段を整備してほしいものです。
実用化するためのスペースもない東京では不可能でしょうし、そういう意味でも名古屋は交通手段の発展を最も望める都市ではないでしょうか。



リニモ

2014-06-13 01:10:50 | 駅と鉄路



愛知県の東部を駆ける愛知高速交通東部丘陵線はリニモの愛称で親しまれています。
愛・地球博のメイン会場への輸送を担うため2005年に開業した新しい路線です。
市営地下鉄東山線の藤が丘駅から愛・地球博記念公園(現在)を経て愛知環状線の八草駅の約9kmを結びます。

高低差のある丘陵地帯を走るために、リニアモーターが導入されています。
都営大江戸線をはじめ、近年地下鉄で利用されているリニアモーターは通常の鉄道と同じように軌道上を車輪で走行するものですが、
リニモは常に車体が軌道から浮いたまま走行する、磁気浮上式のリニアモーターカーです。

2027年に開通見込みのリニア中央新幹線に先立って、実用化は日本初。
磁力による浮上走行は摩擦がなく、ゴムタイヤで走行する新交通システム以上に加減速に優れ、揺れも少ないことが特徴です。
そして最高速度は100km。
高架・高速・リニア・無人運転。夢に見た21世紀の交通の具現化です。
万博から数年が経って、初めてリニモに乗りましたが、高架線からの眺めもよく、乗り心地も快適。
特に車両は全面ガラス張りとなった車端部がおすすめ。
藤が丘駅付近では新交通では珍しい地下線も存在します。






しかし、リニモは利用者に伸び悩み、羽振りが良くないのが現状です。
鉄道空白地帯を走るリニモ沿線は住宅開発の行われていない地区が多く、開発当初から都市鉄道ほどの輸送力は求められていませんでした。
万博開催時は小ぶりの駅と車両から混雑を招くことが危惧され、万博側は名古屋駅から高蔵寺経由のエキスポシャトルの利用を推奨していました。

沿線には未だ更地や緑地が多く目につきます。ほとんどの駅に駅員がおらず自動放送がこだまする「兵どもが夢の跡」状態。
最新鋭のローカル線と言った雰囲気が漂います。もったいない話ですが。

浮上式リニアは建設費も他の交通よりかさむために、残念ながら新たな建設は当分の間は無さそうです。







起点となる藤が丘駅は地下鉄東山線との接続駅で、地下鉄駅が高架線、リニモが地下線という一般常識的に逆転現象が起こっています。
地下の藤が丘駅のホームは1面2線。珍しく、先端に行くにつれて狭くなる扇型をしています。






藤が丘駅停車中の折り返し車両は出発時に浮上するそうです。
プワァと浮く瞬間はわかりませんでしたが、いざ発車サイン音が鳴り終わって出発するとなめらかな発進に驚かされます。

しばらくは地下線を走りますが、自らの走行が順調か試すかのようにゆっくりと進みます。
新交通の地下区間は他にアストラムラインの愛称で知られる広島高速交通の本通-城北間のみとなっています。
地上へ出るとすぐに次のはなみずき通駅に到着。





はなみずき通駅からは高度を上げて高架線を走ります。
青空が射し込む最前部の座席は展望席も同然。
無人の運転席にちょこんと乗った鏡餅が可愛らしい。





周囲は宅地造成地が多く、名古屋らしく整備された自動車道路がまっすぐに伸びています。
そんななかリニモの軌道はその先にある丘陵地帯を目指します。






軌道が平坦な区間でリニモは思った以上に速度を出します。
何と言っても最高速度は100km。静かな加速はさすがリニアモーターカー。
高速道路をアンダーパスすると、いよいよ丘の上にある万博公園に向けて急勾配を登ります。








鉄道ではありえない傾斜を難なく上り続けると、右手には万博の遺構の大観覧車を横目にまだまだ進みます。
万博の敷地はさすがに広く、公園西駅を過ぎて坂を登りつめたら愛・地球博記念公園駅に到着です。
愛・地球博長久手会場の最寄駅でした。








愛・地球博記念公園駅は2面3線を有するターミナル駅。
現在真ん中の路線はあまり使用されていない模様。

海抜152mの駅からは遠く名古屋市街を見わたすことができます。
藤が丘駅へ向かう列車は街を見下ろしながら坂を下いくので先頭車からの眺めは最高でしょうね。
空を飛んでいる気分を味わえるかもしれません。少し浮いているのは事実なので。






愛・地球博記念公園駅はリニモの駅では数少ない有人駅ですが、利用客の姿はなく広い構内は寂しげです。
万博跡地は長いプロムナードの先にあります。





丘の上の万博跡地の空は高く、リニモの高架線が目立っています。
愛・地球博記念公園は自然公園の他に温水プールやアイススケート場もあり、家族で楽しめそうな総合公園ですが、自動車で来園する人が多いようです。





愛・地球博記念公園から先は陶磁資料館南駅を過ぎて、終点・八草駅に着きます。
緑が多い区間ですが、高架線の標高は相変わらずなので眺めが良いです。

陶磁資料館南駅から少し歩くと陶磁美術館があります。
愛知県には焼物の生産地として有名な常滑や瀬戸があるため、この地に県立の陶磁器専門の美術館があるそうです。






終点・八草駅は愛知環状鉄道との乗換駅。
万博時の混雑緩和のためか両駅間は少し距離があり、連絡通路で少し歩きます。

リニモの延伸計画はないですが、駅の先には折り返し用の引き込み線があります。


愛知環状鉄道

2014-06-02 22:00:55 | 駅と鉄路




愛知環状鉄道という路線の名前を初めて耳にしたのは2005年の愛・地球博の時。
名古屋駅から長久手会場までの交通機関のひとつには、地下鉄東山線で藤が丘まで行き、そこから新交通システムのリニモに乗り換えるという方法もあったが、
リニモ自体の輸送力が低いために、JR中央線で高蔵寺を経由して愛知環状鉄道の八草駅(当時は万博八草)を繋ぐエキスポシャトルが推奨されていました。

環状と名が付いていますが環状運転は行っておらず、名古屋都市圏の東側の外周を結んでいるにすぎません。
岡崎ではJR東海道線、途中には豊田市や瀬戸市を通り、JR中央線と接続する高蔵寺に至るルートです。

愛知環状鉄道の前身は、鉄道貨物の輸送力増強のため岡崎から新豊田へ伸ばされた国鉄岡多線で、旅客運転も行われていました。
また同じく貨物線としてJR東海道線の稲沢信号所からJR中央線の勝川・高蔵寺を経て瀬戸市へと至る瀬戸線が計画されていましたが、貨物は衰退し計画は頓挫。
計画通りに、路線が開通していれば、名古屋を中心として環状型の路線ができていた可能性があります。

国鉄岡多線自体、貨物による自動車輸送が80年代に終了し、旅客需要も少ないために第三セクター化され愛知環状鉄道に引き渡されました。
この時に、計画されていた瀬戸線の一部を含む新豊田-高蔵寺間も開業して、現在と同じ岡崎-高蔵寺間で運行されるようになりました。

また瀬戸線の名残である勝川-枇杷島間は現在、東海交通事業城北線に引き渡されて旅客化されています。

愛知環状鉄道は名古屋へと向かう路線ではなく、周辺都市間を結ぶ路線の為に利用者は多くないようです。
首都圏で例えるならば、JR武蔵野線でしょうか。
三河豊田駅はトヨタ自動車の本社最寄駅となっていますが、そもそも自動車工場の御膝元ですから車通勤が多いことが予想されます。

路線は単線区間と複線区間が入り乱れている状況です。
国鉄時から複線で計画されていたために、ほぼ全線で複線化の用地は確保されていましたが、実際に複線区間がつくられたのは愛環発足後のこと。
北岡崎、北野桝塚付近と三河豊田-新豊田間、新瀬戸-高蔵寺間は複線です。
沿線には明らかに複線用につくられた相対式ホームや、トンネルを見る事ができます。
現段階では需要が高くはないため、複線化に踏み切れないのが現状かと。

点と線を結ぶ愛知環状鉄道の今後に期待です。







名鉄線と接続する中岡崎駅から新豊田駅まで乗車します。
第三セクターが運営するため、運賃は割高な印象。



JRの高架駅に似た薄暗い構内から、エスカレーターのない階段を上がるとホームです。
ホームは広くつくられていますが、実際に運行されている車両は2両編成。ラッシュ時は10両編成も走ると言います。



車両はJR東海の313系に似たもので、緑色のペイントがなさています。
車内はセミクロスシートで、綺麗です。



しばらくは盛土を走り、沿線風景は田園と寄り添いあう住宅地。複線用の用地が確保されています。



三河豊田駅は右手にトヨタ自動車工場が見え、駅構内には広々とした空間が確保されています。
いずれは2面4線のターミナル駅構内にする構想もあるのでしょうか。



三河豊田以北は遠くに見える豊田市街地へと向かって走ります。
新豊田駅は名鉄三河線と豊田線との接続駅で、中岡崎駅同様に3階建ての高架駅です。


名鉄特急

2014-06-01 15:40:21 | 駅と鉄路




愛知県を中心に走る名鉄線の特急列車には特別車と呼ばれる有料指定席車が付いています。
常滑線を走る中部国際空港発着の特急は全車特別車で運行される「ミュースカイ」になっていますが、名鉄本線や本線と乗り入れを行う主要路線には
一部の車両のみ特別車になっています。

そのなかでも、名鉄特急には今世紀初頭に引退した名車、パノラマカーの流れをくむ前展望席の付いた車両があります。

「パノラマスーパー」の名前で登場した当初は、全車特別車の使用で両端部に展望車が付いていましたが、並走するJRが普通車に新型車両を導入して高速化を図ったことにより
有料特急は不利な状況に追い込まれます。

そのために、すべてのパノラマスーパーを特別車を2両に減らし、転換クロスシートの一般車を増結した一部特別車の編成に置き換えました。
現在では豊橋・河和・内海方面の先頭車とその後ろの車両のみが特別車です。

関西などでは追加料金不要の転換クロスシート特急を走らせ、関東では回転リクライニングシートの有料特急が走っていますが
名鉄特急はこの中間位置にいるのは中部地方ならではだと思います。

展望車両は娯楽性も高く、パノラマカー時代から人気のようです。
展望席を初めて設けたのは名鉄で、その後は小田急ロマンスカーや伊豆急リゾート21など人気の特急車両が誕生しています。

現在の名鉄展望車は運転室の上部に客室が乗る構造で、通常の客室より床が高い「ハイデッカー」式のため眺望は良い。
また、展望車の座席は階段状になっているため、どの席からも眺望が楽しめるようになっています。
ガラスは曲面一枚のため反射が少ないことも特徴です。

進行方向の展望を楽しめるのは豊橋や河和行きとして運転される列車で、逆に岐阜・新鵜沼行きの場合は最後尾になります。
乗車する場合は、自動券売機でミューチケットを購入する際、「展望席」を指定すれば乗れます。
ミューチケットは一律360円です。
小田急ロマンスカーほど倍率が高くないことも嬉しいです。










通常より高い位置に座席がるのが分かります



車内にはカーテンが付いています



シアターのような座席配置の車内



曲面ガラスは空が良く見えます



枇杷島分岐から金山付近まではJR線との並走区間



早朝の豊橋行きは朝日を望みながら進みます。



運転手さんも眩しかろう。



岐阜・新鵜沼側の先頭は一般車。



一般車も転換クロスシートで贅沢。


リゾート21

2013-12-24 02:40:08 | 駅と鉄路

 

伊豆急行線は伊豆半島東海岸伊東から伊豆急下田までの約45kmを結ぶ路線で、JR伊東線と直通運転を行い、熱海から下田までの間、いくつもの温泉街を結ながら走ります。

伊豆急行線は他の私鉄と比べると運賃が割高な印象があります。
しかし、片道24kmを越える乗車券の場合は戻らない限り途中下車ができることや、特急並みの車両に普通乗車券のみで乗れるなどの魅力があります。 

特に、普通列車として運行される「リゾート21」号は特急列車顔負けのリゾート列車で、
展望を意識した大きな窓の2×2のシート、座席が海側を向いたパノラマシート、先頭車の展望席など普通列車にはない趣向がたくさん。

海岸を走るこの路線ならではの車両になっています。





リゾート21は正式には
・水色のカラーリングの3次車「リゾートドルフィン」編成
・幕末下田を意識した4次車「黒船列車」編成
・内外ともに更なる改良を施した「アルファ・リゾート21」編成
の3タイプがあり、それぞれ異なった魅力があります。








なかでも全列車共通で設置されている展望車はハイデッカーからの階段状になっており、どの席からも快適に前展望を楽しむ事ができるのが特徴です。

海沿いを走るとはいえ、トンネルが多い路線ですが、展望席から見るトンネル走行は運転士気分が味わえておすすめ。

伊豆旅行には時間を合わせてまで是非乗りたい列車。 
通勤通学にこの列車を利用している人が羨ましいです。