Fuji Trip!

水豚先輩の週末旅日記

篠ノ井線

2013-10-29 23:34:40 | 駅と鉄路

 

篠ノ井線は長野県内を南北に走り、塩尻から篠ノ井までを結ぶ中距離路線ですが、
実質、運行上は松本駅と長野駅を起点としているため、両都市を結ぶ性格が強い路線です。
そのため、朝夕は通勤通学客で混雑しますが、日中の普通列車はゆったりと走ります。


長野市と松本市の間には標高差があるために、天候や気温も大きく異なります。
快晴の松本を出発した列車は、途中のもっとも標高の高い冠着あたりで吹雪になり、善光寺平に出ると曇天、のような気候の変化も山間部ならでは。


篠ノ井線のハイライトは姨捨駅付近からの善光寺平の眺めではないでしょうか。
長い冠着トンネルを出て、一気に長野駅のある善光寺平へと下っていく情景はなかなか忘れられないものです。
標高差と両都市を結ぼうとする意地が生み出した雄大な景観です。

トンネルの出口は平野全体を見下ろすことのできる山の中腹に位置しており、広がる車窓を眺めつつ列車は姨捨駅へと到着します。
ここから見える景色は日本三大車窓にも指定されており、マニアでもそうでなくとも一度は見ておきたい風景です。

風景はもちろんのこと、列車に乗って、トンネルを抜けるといった過程も大事な要素だと私は思います。
トンネルから放り出されたら山の上という状況は、「トンネルを抜けると雪国」と同じくらいの別世界観です。


姨捨駅を出ると、列車は平地へ向けて山を一気に駆け降ります。
山を下る軽快な走行音とともに徐々に近づいてくる街の景色を眺めていると、旅の終わりを感じます。

もしもこの平野に故郷があるとしたら、ぜひとも帰郷時には篠ノ井線を使いたいですね。
往路の飛行機から東京を眺めるような、そんな気持ちで近づいてくる街を眺められるのではないでしょうか。

反対に、徐々に遠くなっていく街並みを眺めるのもよいかも知れません。


篠ノ井線では、長野から松本を経由し大糸線に乗り入れる観光列車「リゾートビューふるさと」が休日を中心に運行されており、
大きな窓ガラスとゆとりのある座席配置が魅力ですから、機会があれば利用したいものです。





姨捨駅を発車する篠ノ井線



善光寺平と篠ノ井線

 


千駄ヶ谷トンネル

2013-10-29 23:20:52 | 東京都



怪談話で有名な稲川淳二氏は自ら心霊スポットに赴き、「恐怖の現場」などの作品を残してきましたが、
どうやら最終巻が出たようですね。


そんな稲川氏が使い古された心霊スポットと名付けたうちの一つが「千駄ヶ谷トンネル」で
このことからも昔からかなり有名な場所だということがわかります。

場所は神宮外苑から原宿に伸びる片面2車線道路で、外苑西通りとの交差点付近にあります。
道幅の大きな通りなので格別に長くは感じないトンネルです。

それにしても、山の手沿いでもあるまいし山の少ない東京都心に何故トンネルがあるのか、
この千駄ヶ谷トンネルは東京オリンピックの際、急ピッチで進められた道路の拡張・整備の遺産でもあるのです。

神宮外苑には国立競技場をはじめ、オリンピック会場が多くある神宮外苑から
同じく会場となる体育館のある代々木まで新たに繋げる需要が出来たため、このトンネルが掘られました。

何がいけなかったのか、それはこの付近にあった寺院墓地の真下にトンネルを通してしまったことでした。
五輪開催が押し迫っていたために墓地の移設を待たずに掘削を始めたといわれています。

それからというものこのトンネルでは奇妙な出来事が度々起こるようになります。
トンネルを通過すると車に手形が付く、壁面のシミが顔になるなどトンネル怪異でありがちなものから、
天井から現れるというアクロバティックな手法で運転士を驚かせる髪の長い女性の霊も現れたといいます。

そして、千駄ヶ谷トンネルは心霊スポットとしてその名を馳せることになったのです。



眠りを妨げられた霊たちの怒りなのか、または霊道や気などを破壊したためにできたアンバランスゾーンなのか。

霊感のない私には現地に赴いて何となく感じる事しかできないのですが、トンネル本体というよりは、周辺の雰囲気があまり良くないです。


・追記・

2014年10月、東京オリンピック開催から50年が経ちました。
新たなオリンピック開催も決まり、国立競技場を中心として外苑は再開発されることになるといいます。





鴨台さざえ堂

2013-10-29 20:10:28 | 東京都

 

東京に新しくさざえ堂ができたという。


場所は、とげぬき地蔵高岩寺で有名な巣鴨地蔵通り商店街を抜けた大正大学敷地内。
名称を「すがも鴨台観音堂」といい、大正大学が25年5月に完成させたといいます。

その時点で大正大学は仏教系だったのかと思い出すのですが、敷地内には新築の高層学舎が立ち並び、さざえ堂もそれに溶け込んだ現代的デザインとなっています。


そもそもさざえ堂は江戸時代に流行した三匝堂、巡礼型仏堂の事で、堂内各所の仏様を巡礼しながら二度と同じ道を通らずに戻ることのできる構造になっています。
信仰と利便化の狭間で出来上がったこの稀なる建築は、アトラクションにも似て人気を博し、現在でも東日本を中心にいくつか現存しています。





◆会津若松市にあるさざえ堂


◆二重螺旋構造を応用したすべり台


そのタイプのひとつである、「二重螺旋構造」をしたものをその容姿から主にさざえ堂と呼びます。
現存する限りでは会津若松・飯盛山のさざえ堂が有名です。


二重螺旋構造は塔型のお堂に往路復路別の回廊があり、最頂部で互いが接続する構造で、
現在では灯台内部の階段やすべり台にも採用されています。

今回建てられたさざえ堂もこの飯盛山タイプで、形も周到しています。
螺旋状の階段を登り、往路と異なる階段を下り戻る。といった構造です。




なぜ今になってさざえ堂なのかは置いておいて、洞内に入ると目の前には制吒迦童子の像。
寄託されたものということで平安時代の物らしい。

壁面に梵字の描かれた殺風景な回廊を2周近く登っていくと、塔の中心に観音菩薩が安置されています。
真新しい壁面に何処からともなく水の音が・・・

下りの回廊の壁面は何色かに彩られておりカラフルな印象。

そして一周し、裏側の出口へと到着。


このさざえ堂は大正大学の理念の具象化として建てられたといいます。
音響と言い、壁面と言い、現代に置き換えると安っぽくなってしまうのは否めないです。
また三十三観音巡礼などさざえ堂の構造を生かした空間利用はされておらず、形のみといったところでしょうか。

しかしながらさざえ堂という建築を知るにあたっては絶好の体験施設であります。


ただ、さざえ堂が建った場所が、お年寄りの多いこの街とは皮肉なものです。


東洋文庫ミュージアム

2013-10-29 02:00:59 | 東京都

 

駒込の地にある東洋文庫は東洋学の最古の図書館であり、その蔵書数は100万点とこの分野では国内最大規模だそうです。
設立は1924年と古く、インドから中国、日本を包括した膨大勝貴重な資料のを一部を、東洋文庫ミュージアムで鑑賞する事ができます。

 

東洋文庫の本館1階2階に併設されたミュージアムは 2011年というから最近できたものでしょう。
まだ真新しい館内は吹き抜けで外光を取り込むオシャレなデザイン。ガラスやLED電球を多用しており作品の生える展示です。

1階が企画展、2階が常設展示場です。
なんといっても印象に残るのは2階の「モリソン書庫」でしょう。
東洋文庫の創始者である岩崎氏がオーストラリアのモリソン博士から買受けた膨大な資料が集います。

京極夏彦氏の書斎に始まり、成蹊大学図書館、せんだいメディアアークと知の宝庫は近年魅力的になりつつありますが
ヨーロッパの図書館のような堅固たる雰囲気がたまりません。

3方を巨大な書架に囲まれ、ソファに座ってゆっくり眺めたい。
まさに「見せる書庫」です。


一方で常設展示は日本、アジアの名品が続きます。
見たこともない「浦島太郎物語絵巻」や著名な「解体新書」、小さく可愛らしい「百万塔陀羅尼」も最古の印刷物として展示されています。

マルコ・ポーロの「東方見聞録」とともに薄暗い回廊を歩くと、アジアの古地図を中心としたディスカバリールーム。
江戸時代における世界地図など興味深い資料が多く、紙面上の時空旅行を楽しめます。

東洋の歴史文化のなかで、語られるいくつもの名品たちが集う東洋文庫に
専門のミュージアムが存在することをいままで知らずにいたことを少し後悔するのでした。




 

 巨大書架は圧巻

 上部の回廊歩きたいなとか思ってみたり

 色とりどりの背表紙の本たち

 黒を基調とした展示室内、最近は主流のLED電球



百万塔かわいい

 マルコポーロの東方見聞録

 1階展示室の向こうは庭園とカフェ


東京都庁展望台【南】

2013-10-19 23:30:11 | 東京都

 

東京の街を一望する事ができて、なおかつ無料の展望室を備えているビルとしてまず挙げられるのが東京都庁でしょう。

都庁舎には新宿から動く歩道で15分、都庁前駅から直結です。(平日のみ)

都庁は、一番背の高い第一本庁舎、階段状になった第二庁舎、都民広場を挟み都議会議事堂で構成されています。
展望室は第一本庁舎の地上45階にあります。
建物が中間階から南北分かれているため、展望室も2か所に設置されています。

南展望室から見えるのは東西南の三方。
主に東京都心部と、神奈川県へと続くベッドタウン。遠く西方には丹沢大山、富士山を望む事ができます。

残念ながら二棟が並んで立っているために北方面は北棟の建物が邪魔をして望む事ができません。
北棟からは新宿超高層ビル群、池袋をはじめとする東京北部が望めます。


丹沢、富士の峰まで続くが如く広大な関東平野。びっしりと住宅に埋め尽くされています。



石造りの重厚で薄暗い都庁ですが、エレーベーター入り口の係りの人はいい雰囲気。
観光客はいたって多く、平日の日中でも外国人観光客が列をつくっています。

開館時間は曜日によって大きく前後しますが、北展望室の方が夜遅くまで開いているようです。


また、都内では文京シビックセンターや練馬区庁舎、北とぴあなど区の施設に無料展望室が備え付けられています。

 


東にスカイツリー、手前にはNTTビル、南東に東京タワー


ごじゃまぜ港区方面


横浜みなとみらいはランドマークタワーが目印


ビルの隙間をすりにける首都高速


西の彼方には大山が見えるはず。甲州街道沿いにビルが列をつくっていて楽しい


中野駅筆頭とする中央線、西武線沿線の住宅地


局地的に残る緑地


北方面にはもうひとつの、北展望室が見えます

 


東京ゲートブリッジ

2013-10-13 23:31:34 | 東京都

 

東京ゲートブリッジは東京港臨海道路事業の一環として建てられた比較的新しい橋梁です。
臨海道路は湾岸線の通る臨海副都心を経由せずに大田区と江東区を結ぶ路で、臨港部の混雑緩和が期待されています。

この橋梁の一度見たら忘れられない独特の構造、
「連続トラス・ボックス複合構造」という聞いたこともない構造形式をしているのです。

橋下の運河は東京港へ往来する航路となっているため、高さを確保しなければなりません。
そのためには海岸沿いの標高0mに近い地点から徐々に高度を上るため、幅が2,6kmあります。

ですから橋は海上の中央にトラス構造をした主梁部と、両端に陸からのアプローチ部に分かれています。
狭い空間で高低差をクリアするために、レインボーブリッジでは芝浦側がループ橋になっていましたっけ。


橋のみどころは、なんといっても「恐竜の対峙」と名付けたくなるような、不思議なトラス構造。
夜になるとライトアップされて、陰影が美しい。

若洲側のアプローチ橋がやや湾曲しているため、葛西方面からの見る橋はまた違った印象を与えます。


また、若洲公園からエレベーターを使い、遊歩道へ行くとこもできます。渡りきることはできないようですが・・・
しかし、歩道のある海上橋は少ないので、高所マニアは是非。

 

これが、連続トラス・ボックス複合構造

日没からのライトアップ

若洲公園橋脚下より

海釣りを楽しむ人々に混じってトラスに酔いしれる



橋をくぐれば、東京はあと少し

 


明治神宮 内苑

2013-10-12 00:04:05 | 東京都

 

東京に局地的に残る樹林も多くあっても、明治神宮に敵う場所は少ないでしょう。
地図を見てもその大きさは十分に感じることはできますが、実際に歩いてみるのがいいでしょう。

本殿は南の方角を向いており、背後数キロ先には新宿の超高層ビル群が控えるとはいえわずかにしかその姿を見ることができない程、
広々とし樹木に覆われています。

見どころは何と言っても木、木々の神々しさを改めて感じます。新宿や渋谷に近い都心だからこそ。

しかしこの樹林、ほとんどが植林でもとは畑だったといいます。

御存じのとおり、明治神宮は明治天皇と昭憲皇太后をおまつりする神社であり、大正9年(1920年)に創建されました。
創建時に全国や大陸からも木々が献上されこの森は出来上がったのです。


ここは正式には内苑と呼ばれており緑豊かで、流造の社殿や宝物館があります。
中でも神宮御苑は散策路の配された風情ある庭園でおすすめ。(有料・大人500円)

御苑は大正以前から存在し、明治天皇も度々来られた場所だそうで、神宮がこの地に建てられたきっかけでもあります。

入り口付近に飾られた写真を見ると、ツツジの時期が一番綺麗なようです。
御苑一番奥には、にわかにブームとなった清正井があり、澄み切った水をたたえています。
小鳥たちと仲良しな警備員さんも素敵です。

休日ともなれば、多くの外国人観光客でにぎわう内苑も、原宿駅から本殿を結ぶ南参道を逸れれば比較的穏やか。

社務所で戴けるおみくじは他の神社とは異なり、明治天皇、昭憲皇太后が詠まれた御歌が載っています。
また、無料で携帯版の教育勅語を戴くことができます。

内苑の隣には芝生を備えた代々木公園もあり、一日中緑に囲まれて過ごせそう。

 

時間のある方は、神宮外苑と合わせて見たいものです。
イチョウ並木や聖徳記念絵画館があります。 

 

 

御苑内、隔雲亭

 御苑内の散策路

 西日射す木々

 御苑内南池

  御苑内清正井

 社殿前の楠

 


国立博物館 仏教彫刻の神髄

2013-10-03 22:51:51 | 素敵な展覧会



何度訪れても新しい作品に出会える東京国立博物館。

なんと言っても仏教彫刻は興味深いです。
興味深すぎて近づきすぎると注意されます。

東博内では本館、東洋館、法隆寺宝物館と三ヵ所で仏教彫刻を拝む事がまさに聖地です。

照明やガラスにこだわった東洋館、法隆寺宝物館もお勧めです。

この夏休み、本館では天部の展示が多く神仏習合の影響を垣間見る事ができます。