横浜の山下公園に気づいた時から停泊しているのが、氷川丸。
舟の行き交う港でも、日常風景となっています。
この氷川丸は、今から約85年前の1930年に建造された貨客船です。
当時の最新式であったこの船は横浜-シアトル航路に就き、戦中は海軍の病院船としても活躍しました。
戦後はシアトル航路に復帰し、就航30年後になる1960年に引退しました。
30年の間に太平洋を横断した回数は254回に上りました。
翌年の1961年からは、この山下公園で第二の人生を送っています。
日本近代化の産業遺産としても価値が高く、現在では横浜市の有形文化財にも指定されています。
船内は「日本郵船氷川丸」として公開されているので、誰でも見学することができます。
入館料も一般300円と良心的なので、おすすめです。
桟橋から、船内に入るとエントランスロビー。
ロビーはリニューアルされて広い印象を受けますが、回廊へと進むと天井は低く、幅も狭いです。
壁面もペンキは上塗りしてありますが、年季が入っていることを伺えます。
突き当りにあるのは一等食堂。
床は中央が高く、両端に向かって低くなっています。
決して広い空間とは言えませんが、落ち着きのある空間です。
吹き抜けの階段を上がると、一等社交室があります。
シアトル航路に就いていた時代の実物資料を展示したコーナーでは、乗客が船旅をどのように楽しんでいたかよくわかります。
ダンスパーティにトランプゲームと、到着までの間は優雅な?船旅を満喫していたようです。
お手洗いの看板や禁煙室のガラスなど細やかな意匠がお洒落。
一等客の利用するエリアは、全体的にアールデコ調の装飾がなされており、眺めるのも楽しみです。
一等客室も内装に凝っています。
特に一等特別室はリビングと寝室、シャワールームの3室から成っています。
どのような人が利用していたのでしょうか。
ひととおり内部を見たあとは、屋外デッキに出ます。
晴れた日は気持よいであろうデッキにはベンチが用意されており、みなとみらいを眺めながら寛ぐことができます。
急な階段を上ると船長室と操舵室があります。
海上を見渡すことのできる操舵室は年季の入ったごちゃごちゃしたものが備え付けられ、この船の司令塔といった雰囲気。
奥には無線室も備え付けられています。
操舵室中央にある神棚には氷川神社の御守が飾られています。
操舵室の直下が船長室になっており、パイプを使って直接連絡が取れるようになっていました。
今では考えられないほどアナログな手法・・・
現在の船舶はどのような操舵室があるのか気になってきます。
もう一度内部に戻ると、階段を2階分下って機関室へと行きます。
ここはこの氷川丸見学コース内で最後のハイライトとなっており、壮大な内部空間に圧倒されてしまいます。
いわば、この氷川丸の心臓部となっており、無言の機械が85年の歴史を物語ります。
優美な客室階もいいですが、無骨な機械室も素敵です。
そして、最後には3等客室。
一行客室を見て来た後に見ると、なんとも窮屈そうな空間でしょうか。
これが一般人の世界です。
機関室も近く、音も響きそう。
もう、40年以上前のことです。
あの時は3等客室だったのでしょうか?
田舎者が中華街を散策して、いよいよ明日は東京だという興奮を覚えています。
カラーが高価だった頃に、船内やデッキで友と撮った写真が宝物です。
神奈川に転勤した時、家内と子供たちを連れて自慢げに訪問したのがもう20数年前になります。
この記事を拝見して、近いうちに行こうと決めました。
閲覧して頂けてうれしいです。
現役の氷川丸に乗船されたことがあるんですね。
こうしていまだに、様々な人々の記憶装置としての役割も果たしているなんて、文化財には計りきれない価値がありますね。
氷川丸は変わりゆく横浜の街を背に、ずっと山下公園に停泊していて、愛されているなあとつくづく感じます。
氷川丸に行かれた際は、往時を思すことのできるひと時になるといいですね。
是非楽しんできてください。
松山から横浜に行く機会があれば・・・
愛犬プルートの故郷は神奈川平塚です。
山下公園近くで氷川丸数回みましたが、今回画像拝見
させていただき乗ってみたくなりました。
息子は横浜在住、愛犬プルートは神奈川平塚が故郷です。
ところで先日、東京港のみなと祭りで、いろいろな船を見学できました。自衛隊の護衛艦、海上保安庁の測量船、東京都のしゅんせつ船、海洋大学の練習船。入れるところは限られていましたが、なんかわくわくします。
コメントありがとうございます!
神奈川の地にご縁があるのですね。
是非、来られた際は是非入館してみてください!
横浜には歴史遺産が大切に残されているので、気軽に触れることができてよい街です。
コメントありがとうございます!
そんなお祭りがあるのですね。
普段は見ることのできない機械室や司令室などは興奮しますよね。
様々な用途の船が揃っていて興味深いです^^