Fuji Trip!

水豚先輩の週末旅日記

名古屋のりものづくし[あおなみ線-犬山線-城北線]

2014-02-23 01:07:01 | とらべる!


13:34 金城ふ頭駅発 <あおなみ線>

名古屋駅へと戻る、あおなみ線の車内は非常に賑やかな様子である。
皆、リニア・鉄道館を見学してきたのだろう。

皆が座席に座りながら振り返って車窓に見えるものを目で追ったり指さしたりしているから、沿線に馴れていない乗客と一目でわかる。
私も同じように外を眺めては、見知らぬ沿線風景を楽しむ。
途中で眺めの編成の貨物列車とすれ違った。


名古屋駅は太閤口からJR線の下を通り過ぎて名鉄名古屋駅へ向かう。
名鉄フリーパスがまだ本日も使えるのでなるべく乗っておきたい。

願わくばミュースカイに乗って中部国際空港にも行ってみたいし、
常滑の「やきもの散歩道」を散策したり、のんびりと蒲郡線に乗車もしてみたいのだが時間が足りないので、
本来の趣旨である、のりものづくしを貫くことにしようと思う。






名古屋駅から2つ先の上小田井駅まで乗車したいのだが、普通犬山行きが目の前で行ってしまった。
上小田井駅は特急は停まらないために、次に乗ることのできる列車は27分の急行。

ぼんやりと次の列車を待つ私の前を矢継ぎ早に停まっては出発する電車。
行先は岐阜に弥富、新鵜沼と様々で目がまわる。

電車は私の前に停まったり、停まらなかったりする。
編成も行先も種別も異なるのだから、乗りこなすのは難しい。

結局、目的の列車が来るまでの10分ほどの時間に4本の列車を見送った。


14:29名鉄名古屋発 <名鉄犬山線急行>

ここから短区間乗車するのは名鉄犬山線。
名古屋から犬山結ぶ名鉄の幹線のひとつだろう。

地上へ出てしばらくは本線と同じ路線を通り、枇杷島分岐点で右へ大きくカーブし、本線と逸れて犬山へと向かう。
枇杷島分岐点は本線と犬山線が平面交差しているほか、分岐先同士を結ぶ路線もあり三角形のデルタ線を形成している。
駅を起点に分岐することが多い中、ここは独立して分岐点がある。平面的なセクションも珍しい。


ここからしばらくは高架線を走る。
犬山線の急行が名古屋を出て初めに停車するのが上小田井駅。
駅に滑り込む手前に、さらに背の高い城北線の高架線をくぐる。

ほぼ同時に地上から路線が吸い込まれるようにこちらに伸びてくる。
これは地下鉄鶴舞線で、この駅から犬山線に乗り入れてくる。
地下鉄との共用高架駅は都市郊外ではよくある光景。





上小田井駅を降りると、先程交差した城北線の高架線を目指して歩く。
城北線の小田井駅が歩いて5分ほどのところにある。
乗換駅としては公認されていないが意外と近い。

名鉄の線路沿いを名古屋方面に歩くとすぐに高架線が見えてくる。
名鉄線より高いところを走る城北線の高架線、周囲に高い建物が無いためか現代に生きる城壁のよう。






高架橋に沿って歩くと小田井駅がある。
たいそうご立派な高架線とは裏腹に、駅前はひっそりとしている。
高架線のコンクリートに大きく「小田井駅」と書いていなければ駅とは気付かないだろう。

駅前一等地には砂利敷きの契約駐車場。その合間を縫って駅に向かう通路が伸びていて、控えめに「小田井駅」と書いてある。
橋脚内に納まった駅構内にはトイレ以外に施設はない。
他は普通の高架駅とさほど変わらないのだが、「色」がこの駅には皆無で、冷たく押し黙ったコンクリートが不気味。
ホームは地上4階にあるので、階段を使って上っていく。






2階には意味深な空きスペース、3階にはコンコースもあるが自動改札機もない無人駅で、ただ広い空間があるのみ。
ホームへ上がると、視界が開ける。展望台に上ったように見晴らしが良い。
名古屋方面を見ると、駅前のビルや栄のテレビ塔の姿も確認できる。反対側には巨大なショッピングモールが見える。

これは待ち時間に景色が眺められて素敵だなと思ったが、場所が場所なだけに風が強い。
階段付近に車両1両ほどの長さの屋根があるだけで雨風をしのぐには心もとない。






高架線とは現代的だけれども、中身は地方ローカル線の無人駅さながらの簡素さ。
一体列車が来るのかすら不安になる。
名古屋にこんな場所がある事すら信じがたい。

この城北線は東海交通事業城北線と言って、JR東海の子会社が運営を行っている路線で東海道本線の枇杷島駅と中央線の勝川駅を結ぶ。

列車の本数は毎時1本と少なく、途中駅に他線との乗換駅はない。
ほぼ全線が複線高架という恵まれた環境を持ちながらも、名古屋市にあることが信じがたいほどのローカル線だ。


変わった構造の駅や路線の遺構が好きな私はいつか川島令三氏の本で城北線の存在を知り、乗ってみたいと思っていた。
が、予想をはるかに上回る本数の少なさと接続の悪さで毎回断念していたのだ。



しばらくすると、静けさを破って列車接近の放送が流れた。
やって来たのは1両編成の気動車。車体はJR東海と似た色をしている。
数人の乗客を乗せて、小田井駅を出発。


名古屋のりものづくし[ゆとり―とライン‐中央線-あおなみ線]

2014-02-17 00:30:30 | とらべる!

 

次の日はどのようにして巡ろうか、まじめに考えずにベットに入ってうとうとしていると意外にもぐっすり寝てしまった。
起きたら既に10時を過ぎており、だいぶ日が高い。

とりあえずは栄町駅から瀬戸線に乗って、大曽根を目指す。
今日は昨日乗る事の出来なかった路線を優先的に乗ろう。


10:25 栄町駅発 <名鉄瀬戸線>

相変わらず天気が良い。
都会ではなく、海か山にでも行きたくなるほどの晴天である。
今回3度目の大曽根駅を降りると、本日のお目当てのガイドウェイバス・ゆとり―とラインに乗り換える。

ガイドウェイバスは専用軌道を走るバスのことで、バスと鉄道の中間のような交通。
車両は普段の路線バスとあまり変わらないので高架線を走るバスといった感じ。

専用軌道をつくるほどの需要はあるけれど、鉄道ほどの輸送力は求められていないという特有の環境がないと生まれない都市交通だ。






ゆとり―とラインの停留所は地上3階に位置する。
駅と呼んでいいのかバス停なのかわからないほど立派な建物。
基本的には路線バスと同じ乗車方式のため、運賃は車内後払い方式になっている。
しかし、中間階には用途がよくわからない改札もある。

ホーム階は広々としているが、低床でバス停そのもの。
大曽根は終点のため、降車専用のホームが向かい側にあって、バスは回転スペースで進行方向を変えてホームにやって来る。






車両も何の変哲もない路線バス。

何故、あえて乗車人数も限られているバスなのかと疑問にも思うが、専用軌道の他に一般道も走る事ができるのが大きな利点のようだ。
道路の混雑する都市部は高架線を走り、郊外で一般道へ降りてからは路線バスになる。
そのため系統もいくつかあり、行先を見てから乗らなければならない。

専用軌道部分の運行本数は日中でも10分に1本用意されている。
出来れば中央線の高蔵寺駅行きに乗りたかったが、本数が少ないので中志段味行きに乗車。



10:40大曽根駅発<ゆとり―とライン中志段味線>

大曽根を発車して大きく右にカーブすると、しばらくは市街地を走行する。
架線がないので見晴らしが良い。右手にはナゴヤドームが見える。
守山までは地下鉄名城線と同じルート。本数においては地下鉄の優勢だろう。

バスの欠点は定時運行ができないところにあるが、このように専用軌道を使えば急停車の危険も減り、交通渋滞に悩まされることはない。






ガイドウェイバスのもう一つの特徴は軌道部に付くガイドレールと車体の案内装置によって運転されること。
専用軌道で運転手はハンドルを握ることなくバスが動く仕組みになっている。
運転手はいるのに運転しないとはまた不思議。


バスなので多少縦揺れはするが無駄な停車をしないので快適。
ちょっとしたトンネルのような停留所をいくつか通って、郊外の丘陵地帯を進む。

リニモと同じように住宅街を過ぎると上り坂になる。
坂を上りきるとまもなく小幡緑地に着く。




専用高架は小幡緑地までで、この先から一般道路に入る。
ガイド運転から手動に切り替わる。

この先も乗っていたいところだが、帰るのに時間がかかるので下車。
大曽根から240円。通常のバスよりかは割高だろうか。

駅前は名前通りに森林公園になっているようだが、何も見ずに踵を返して大曽根行のバスに乗る。
下りのバスよりは混んでいて、既に座席は空いていない。

10:57小幡緑地発<ゆとり―とライン中志段味線>



大曽根駅に戻って朝飯とも昼飯とも言えないご飯を食べ、中央線で名古屋駅へ。

名古屋からはあおなみ線に乗り換える。
JR名古屋駅に寄り添うように建つホームで金城ふ頭行きの列車を待つ。

隣では東海道線が頻繁に入線しているというのに、こちらは日中15分間隔の運行のようだ。
しばらくすると、新しそうな車両が来た。






12:00名古屋駅発<あおなみ線>

名古屋駅を出発すると近鉄線と関西本線と並走する賑やかな区間。
近鉄特急が停まっているのが見える。

関西本線と別れを告げると、金城ふ頭に向けて南下する。

あおなみ線は、正式には名古屋臨海鉄道南名古屋港線と言う長い名前がある。
貨物線を改良し旅客化した比較的新しい路線で、旅客以外に貨物列車の運行が頻繁に行われているという。

走行するのは他線との接続がない鉄道空白地帯。
それもそのはず、周囲に広がるのは倉庫や工場の類ばかりである。
高架線を走るため、遠くの運河越しに名古屋港も望める。新しい路線は景色を楽しめていい。

周囲に住宅の少ない地域なので、各駅には生活感が無く、こざっぱりしているように見える。
地元密着、というよりは臨海地域の通勤者向けの路線なのだろう。

そのために利用しにくい路線だが、2011年に終点の金城ふ頭駅近くにJR東海リニア・鉄道館が完成したこともあって、観光客も利用しやすくなった。
折角なので、あおなみ線の車窓を楽しみつつ、リニア館にも足を運んでみようと思う。

高架が続くあおなみ線。終点に近づくにつれて港が目の前に見えてくる。
巨大な斜張橋、名港トリトンの下をくぐると金城ふ頭に着く。

名古屋から乗車してきた人はきっと同じくリニア館に行くんだろうなあ。




金城ふ頭は感動的ではないけど見晴らしのいい駅。
到着しても、対岸に見える工場群が雄大で、車内からしばらく眺めていたくなる。

無機質な工場は近くから眺めると無機物に拒絶される恐怖を覚えることもあるが、遠く眺めていると何処か異国の島を見ているようでいい。






駅を降りると、名古屋の南の最果て感が漂っていて、
これ以上は伸びる事のない高架線が虚空に突き出している。




歩いて1分ほどでリニア・鉄道館に着く。
リニアモーターカーを模したような平面的な建築だ。

ここはJR東海が運営する鉄道博物館で、JR東海内で活躍した車両の展示を行っている。
新しく大宮にできた鉄道博物館も未だ訪れたことはないが、パンフレットで見た展示空間に惹かれたので入ってみよう。
大人は入館料1000円。






館内に入ると最初は導入部ともいうべきシンボル展示。
照明が控え目になっていて、3つの車両が浮かび上がって引き込まれる。

手前は蒸気機関車、最奥のリニアモ-ターカーは見てすぐに分かったが、中央の新幹線は何だろう。
説明版を見ると、世界最高速度を叩き出した試験用新幹線らしい。

高速化に貢献した3つの車両。
ここに東海の歴史と方向性が具現化されているのだ。

確かに、JR東海と言えば東海道新幹線に建設中のリニア中央新幹線と日本の鉄道の高速運転に力を入れている。
シンボル展示を通して博物館のテーマを掴むことができるというわけか。


次の空間は観光情報誌でもよく見る広々とした車両展示。10種類以上の車両が一堂に会している。
手前からは見たことのある新幹線車両が並ぶ。

この景色には鉄道好きでなくても驚かされるだろう。







思い入れがあるのは300系。記憶の中に一番残っている新幹線だ。
私が幼い頃には最速の新幹線「のぞみ号」だったはず。
中学の修学旅行の時、初めて乗った新幹線も300系だった。
いつの間にか現役を引退して、次々と新しい車両が生まれている。






形式とか機械的なことには興味はなかったけれど、電車は車両のデザインが好き。
とはいっても実際は間近で見ることはできないから、貴重な体験。
きっと幼い頃に同じように眺めたらもっと大きく、かっこよく見える事だろう。
新幹線の流線と光沢はいいなぁ。

カモノハシみたいなのは700系か。






新幹線以外の在来線は見たこともない車両も並んででいる。
昔に本の中で見たことのあるものから、初めて見るものもいる。

車体は茶色をしたものが多い事からも近年の車両は鮮やかになったと思う。
それでも昔の車体のなめらかさが気に入っている。
現代のステンレス車体は溶接跡が見え、汚れが目立つのでどうなんだろう。


目の前にあるものが何だか知らなくても、デザインや乗り心地を比べて意外と楽しめる。
車窓や関連建築が専門の私も長々と鑑賞してしまった。


名古屋のりものづくし [各務ヶ原線-名鉄本線-中央線‐瀬戸線]

2014-02-15 17:59:00 | とらべる!



 

犬山の駅は3面6線。真ん中の3番線に到着。隣や向かいのホームから忙しそうに列車が発着している。
小牧線は全列車がここ犬山で折り返しているようだ。

同じく犬山を起点にする広見線はこの先、新鵜沼まで直通する列車もあるらしい。
主軸となる名鉄犬山線は中部国際空港へ向かうミュースカイなどの有料特急も走っており、華やか印象だ。

この駅からは名古屋方面に戻らず、犬山線で北上を続けることにする。
2つ先の新鵜沼駅から名鉄岐阜を結ぶ各務ヶ原線へ乗り入れる岐阜行きの急行が来たので乗車。

15:41 犬山駅発 <名鉄各務ヶ原線 急行>

観光客であろう外国人団体もおり、座席はほぼ満席。
次の犬山遊園駅は国宝・犬山城の最寄駅。是非とも訪れたいが、明治村や桃太郎神社など周囲に魅力のある施設が点在しているのでまた別の機会に降りることにしよう。





犬山遊園-新鵜沼間では木曽川をトラス橋で渡る。やけに幅の広い橋は以前自動車と共用だったため。
木曽川と言えば篝火のもと行われる鵜飼。これもいつの日か見てみたい。

橋を渡りきると新鵜沼。犬山と同じく多くの列車が発着するため広々としている。
ここからは各務ヶ原線。「かがみがはら」という読みは最近地名の本を読んで知った。
新鵜沼を出ると進路を西に変え、終点の岐阜を目指す。




のどかな田園地帯をひた走る。
右手にはJRの高山線並走し、背景には険しい山々がすぐそこまで迫っている。名古屋を中心に南北に広がる平野の端っこに近い。

乗車したのは急行のはずだが途中から各停へと変わった。
車窓を眺めていても起伏は少なく、住宅と田畑が続くが、「切通」という駅名があり気になる。

岐阜に近づくと、色んなものをオーバーパスする高架線となり見晴らしが良い。周囲に高架より高い建物が少ないからだろう。





名鉄岐阜駅はビルに挟まれた地上にある。日がもう傾いているので、ホームは薄暗い。
名鉄は昔、岐阜を中心に路面電車に近い路線を多く敷いていたが、10年前頃までに全廃。名鉄岐阜駅に乗り入れるのは名古屋本線と各務ヶ原線だけだ。

地上の各務ヶ原線と、名古屋本線のホームは離れており、連絡通路を渡って乗り継ぐ。
岐阜は終着駅のため頭端式ホームになっている。
一番外側、1番線に停車中の快特・豊橋行きに乗車。パノラマカーの付いた一部特別車だが今回は一般車に乗る。

16:18 名鉄岐阜発 <名鉄名古屋本線 快特>

JR線の高架を潜って出発。
西日が射して暖かく、すでに眠い。


羽島方面へと分岐する竹鼻線と分岐すると木曽川を渡る。

先程、犬山で渡った時よりも明らかに川幅が大きくなっている。
このあと木曽川は長良川、揖斐川と並走し、伊勢湾へと流れ出る。

地図と共に旅に出ると景色の中で気になったことをすぐに調べられるから良い。


気付けばぐっすり寝ていて、乗客が増えているなと思えば名鉄名古屋駅だった。
見覚えのある、早朝に出発したホームだ。

様々な乗り物を乗り継いで歪な一周から戻ってきた。
乗車区間の被ることがない一筆書きは気持がいい。

預けた荷物を引き取って今日はホテルに向かう。
休日とはいえ夕方の名古屋駅は混んでいて、慣れないから人とぶつかりそうになる。
名古屋の人は歩くのが速い気がする。

ホテルは栄だが、JR中央線を使って大曽根経由で行く。
短距離ランナーの高蔵寺きに乗車。

17:04 名古屋駅発 <JR中央線>

首都圏に住んでいると中央線というと平野を西へまっすぐ走る印象だが、名古屋方面は高蔵寺をすぐると山間路線になる。
とはいえ西側の名古屋‐塩尻間は乗車したことがない。
中山道に沿った馬籠、妻籠宿などを歩いてみたいものだ。


金山からは市街を高架で走るので、名古屋の計画的で幅の広い道路を眺める。
東京よりも街がすっきり整った印象を受ける。電線も地中に埋められているようだ。




大曽根駅で名鉄瀬戸線に乗り換える。
先程、この駅から名城線に乗り換えたため、ここから先の栄町駅までの乗車は初めて。
尾張瀬戸方面のホームではたくさんに人が列車を待っている。

栄町行は真っ赤な列車が来た。

17:10 大曽根駅発 <名鉄瀬戸線>


薄暗い夜の闇を高架で走っていく。
この時間の上り列車の乗客は少なく、一人につきロングシート1つが与えられている様な感じだ。

途中駅から乗る人もいない。
入ってくるのは冷たい風だけで、静けさが沁みる。

いつの間にか地下に潜って、名城線と並走して南下する。地上には久屋大通が走っている。


17:19 栄町駅着

今日の乗り継ぎはこれにておしまい。
瀬戸線の真っ赤な車両は今年中にも引退するようで、ホームでシャッターを切る青年が3人ほどいる。
それに混じってじっくり写真を撮ってみる。

スタイリッシュとは程遠い重厚なボディ。
何処か野暮ったさが拭えないところがいい。
わかる、わかるよそんなにシャッターを切ってしまう気持ちが・・・・!

青年たちはひと通り撮り終わると、反対側の車端部まで駆けていった。


栄町の改札前から地上へ続く大階段を登ると、セントラルパークに出る。久屋大通に挟まれた細長い公園。
振り向くと内藤多仲の傑作、名古屋テレビ塔が反り立っていた。


もう少し暖かければゆっくりと公園を散策して、飽きるまで塔を愛でたいが、どうにも寒いので地下を歩く。
栄は地下街が恐ろしいほど発達していて、すべての用が地下で済んでしまいそうだ。
この時期は暖かくていい。

飲食店街にファッション雑貨店も並んでいる。
驚いたことに角を曲がる度に書店を見つける。1km²あたりの書店点在率は日本でも有数だろう。



ホテルに荷物を置いてもまだ出歩ける時間があったので、名古屋の松坂屋に行ってみる。
松坂屋美術館で開催されている『スヌーピージャパネスク展』が気になっていた。

この展覧会で展示されるのは、日本国産のスヌーピー。
米国産であるスヌーピーが海を渡り、日本の伝統工芸技術によって再生産されているのだ。

備前焼や那智黒石で生まれたスヌーピーは何とも艶やかで思わず手触りを確かめたくなる。
スヌーピーがテーマの全国伝統工芸展だと思っていただければ間違いない。

一般生活には程遠い伝統工芸はお堅いイメージが付きまとうが、思ったより順応性があるのだと思う。


旅は日常の気分転換も兼ねていると思うが、旅行中も何処かで旅の気分転換をすると面白い。
旅先で何ら関係のない展覧会を見たり、ホテルでいつもと同じTV番組を見て少しだけ現実を想うのもいい。

流れる景色を一日中見てきたため、自分の速度や距離で見る展覧会は対照的。
思いのほか満足して、いくつかのお土産を購入し、ホテルへと帰る。


名古屋のりものづくし[上飯田・小牧線]

2014-02-15 01:00:13 | とらべる!



 

 

 

長いエスカレーターを下って地下4階のホームから上飯田線に乗る。
ピンク色のラインカラーと比較的新しそうな車両。 

しかし、列車は15分に1本程度と少なく、発車までまだ時間がある。
地下鉄には珍しい転換クロスシートに腰を掛けて待っていると、名城線からの乗り継ぎ客であろう人たちが乗ってきて出発。


14:28 平安通駅発 <地下鉄上飯田線>

平安通を出発すると、次の上飯田駅で上飯田線はおしまい。
この地下鉄は1kmにも満たない短距離路線で、日本で一番短い地下鉄の名を冠しており、そのまま名鉄小牧線に乗り入れて犬山まで直通している。 

平安通駅・上飯田駅・名鉄小牧線味鋺駅の3駅間は「上飯田連絡線」ともいい、第3種鉄道事業者が所有する路線を市営交通と名鉄が借りて運転をしている。
大手鉄道会社とは異なる分離式の営業形態だ。

 

名鉄の小牧線はもともと犬山‐上飯田間で運行していた。
終点の上飯田駅から名古屋市街方面への他線との接続が無かったため、第三セクターの会社が路線を名城線と接続する平安通駅まで伸ばし不連続を解消したのだそうだ。
なぜ、名鉄が路線を伸ばさなかったかはよくわからないが、2003年に上飯田線と直通するまで小牧線は都市へ接続しない郊外路線だったらしい。

そんな不思議な小牧線は上飯田駅を過ぎると地上へ脱出し勢い余って高架線になる。
味鋺駅あたりの街を高架でパスし、さらに高い高架で高速道路がオーバークロスする。


それにしても味鋺に味美と駅名に“味”が付く。「あじま」に「あじよし」と読み方も難解だ。
由来について少し気になったので調べてみると、どうやらこの地の神社に祀られる「味饒田命」から来ているというのが定説のようである。
味覚とは関係ないらしい。

高架線を降りて味美駅を過ぎるといきなりのどかな雰囲気の住宅街へ変わる。
都市と直結していないという理由もあるのか、隣を幹線道路が走ることもなく見えるのは用水路。とても名古屋市街から10分とは思えない静けさだ。


小牧線というのだから核となる街は名前通りに小牧だろう。
小牧口の駅の手前から切通しを走り、地下へ潜ると小牧駅に到着。
途中下車をする。






ホームは2面3線あるが最大編成が6両のために、思いのほか小さく感じる。
それでもこの駅発着の列車もあるのだろう。引き込み線で停車中の車両も見える。
 

この駅は以前、桃花台新交通桃花台線(通称:ピーチライナー)との乗換駅でもあった。

市内東部に位置する桃花台ニュータウンと小牧駅を結ぶピーチライナーはニュータウン開発と共に計画され1991年に開業した。
しかしながら開業当初から利用客が大幅に下回り、運営に伸び悩んだ結果2006年に営業を終了してしまった。

これだけ聞いて分かるのは明らかに接続する路線を誤ってしまったという事だろう。
何故、都市に直結しない小牧線をあえて選んだのか・・・・
上飯田線との直通が行われたのは2003年。すでに遅し、という事か。

のちにはピンチライナーと呼ばれる始末だったようで、他にもニュータウン予想移住人口の見誤りなど多くの失策が浮き彫りになっている。

ピーチライナーは小牧駅から終点の桃花台東駅までほぼ全線高架橋を走り、駅にはホームドア完備と立派な新交通だった。
コンクリートの高架橋は未だ撤去されずに残されたままだという。

まさに21世紀遺産、現代の廃墟ともいえる。


その様子を少しだけ見てみようと思う。






ピーチライナーの駅舎は名鉄小牧駅の出口の目の前にある。

閉じられた扉に貼られた「当面の間、閉鎖いたします」の文字が生々しい。
駅正面の小牧駅の文字もそのままになっている。

ピーチライナー無き今は、ニュータウンへの輸送手段はバスへと代わり、駅前ロータリーからは「ピ―チバス」が発着している。






小牧口方面に歩みを進めると、立派なループ橋が現れる。
ピーチライナーでは折り返し運転は行わず、常に車両は一方通行で運転されていたために終着駅ではループ線を使い進行方向を変えていたらしい。
わざわざループ線をつくったのはこの例が最初で最後だろう。


駅前の道路もピーチライナーの駅を避けるように地下化され、その上を巨大な高架橋が広がっている。

立体になった駅前は近未来的なのだが、廃墟なのだから何とも言い難い。
街の中心に廃墟が放置されている光景はどうみても活気のあるようには感じられない。

何らかの方法で再利用などはできないものか。




15:15 小牧駅発 <名鉄小牧線>

再び小牧線に乗って、犬山方面へと向かう。小牧線は上飯田から犬山まで北上を続ける路線。名古屋から離れるように北へ向かう。
小牧駅を出て、気づくと路線は単線になっている。

しばらく蛇行した切通しを走ると地上へ出て、高架線へ上がると小牧原駅に到着。

 



頭上にはピーチライナーの高架線が見える。
小牧から並走して、ここから進路を大きく変えて桃花台へ向かうのだろう。
さらに高い高架橋からの眺めは良かったのだろうな、と思ってももう眺める事は叶わない。

 

再び地上に降り、西日の射した田園地帯を走る小牧線。
沿線を眺めていると、複線化するための用地は確保されているように見える。

味岡駅も複線相対式ホームで造られているが、片方には線路は未だ敷かれていない。

この路線は地下や高架を駆使している割に、ゆとりのあるダイヤや単線区間が目立つ。
ちぐはぐ感は沿線が段階的に発達してきているからか。

無条件に発展できない理由を兼ね備えている小牧線はこの先どうなるのだろう。





田園風景の先に岡本太郎の若い太陽の塔が見えたら、もう犬山駅は近い。
犬山と言えばモンキーパークに明治村とテーマパークが多い印象。
名鉄犬山駅もターミナルになっており、犬山線・広見線・各務ヶ原線と接続する。