山下公園のすぐ隣に横浜人形の家があります。
「あなたと世界をつなぐドールワールド」と銘打ったこの施設は、世界各国から集められた人形を展示しています。
開国以降、世界からの玄関口であった横浜らしい博物館です。
施設自体は山下公園からフランス山やアメリカ山のふもとまで続く歩道橋に隣接していて、横浜観光の最中に何気なく横を通っていることがあるかもしれません。
建物の入り口に面した壁はガラス張りになっているため、内部が外からでもよく見えます。
以前はこの部分に人形の展示があり、夜間に通ると、真っ暗な館内に佇む人形が見えたりして少し怖かった記憶がありました。
入館料は大人400円。
館内には常設展示室は2階と3階、同じく3階には企画展示室もあります。
入り口のすぐ前にある展示室はノスタルジックハーバーと名付けられた導入部分。
横浜と人形の関わりを紹介しており、友情人形としてアメリカから日本へやって来た青い目の人形などが展示されています。
2階の中心展示はワールドフェスティバル。
世界141の国と地域の人形が一堂に会する空間は人形好きならずとも圧倒させられてしまいます。
中高の社会科で習ったような民族衣装を着た人形や、旅行先の土産屋で見たような郷土玩具も揃っています。
日本では博多人形や犬張子、土人形など地方別に並べられていて、その中で、こけしの占める割合は高い気がします。
東北地方に広く分布するこけしは子供用の玩具として温泉街で作られたのが始まりとされています、現在では10を超える系統に分けられ形状や表情が異なるらしい。
なるほど、よくよく見てみると髪型や瞳は系統によって様々であり好みも分かれるのでしょうね。
こけしを見つめていると、
凍てつく東北の畦道をこけしを胸に抱きながら帰路につく少女の姿を想像してしまいます。
その頬は寒さでりんごのように赤くなっていて・・・
そんな想像はさておき、振り返れば世界の民族人形が並びます。
人形は産地の風土を端的に表していますが、それぞれどのような経緯や目的で作られるようになったのか気になります。
続くドールメモリーは、20世紀以降の大衆と共にあった人形の歴史を展示。
人それぞれの記憶の片隅にある人形たちが展示されているはずです。
どいつの時代も変わらぬ人形への需要を伺うことができます。
ダッコちゃんやモンチッチなどは記憶がある人も多いことでしょう。
3階へと続く階段は年表になっており、ここ100年間の人と人形の関わりが写真で展示されています。
3階の展示はコレクションモール。
展示されているのは西洋と日本の人形の名品たちです。
先程の大衆人形とは異なって何処か気品の漂う人形ばかり。
端麗で芸術性に優れた人形たちは気品をも身にまとい、静かに佇んでいます。
当たり前ではあるが、人形は作り手の影響を非常に強く受けます。
いつも人のそばにあるものですから、より人間に近い姿をしており、仏像などの偶像とは異なります。
そのため、地域や時代といった差異をまとっていますし、また普遍性を見出すこともできます。
そんな人形を通しての歴史旅や世界旅行に出てみるのもいいかもしれません。
人形との出会いも一期一会。
きっと目が合って、お気に入りが見つかることでしょう。
翁萌え 稚児萌え
◆おまけ
階段の踊り場には展示ケースがあって、こけしが一体だけ展示されています。
照明も相まってラスボス感があります。