『宮城』というバス停で途中下車。
バス通りから路地に入るとすぐ目の前には低めの山が構えていて木々が生い茂っている。
その山の麓にはひっそりと館山海軍航空隊・『赤山地下壕跡』がある。
館山は東京湾の先端部という立地条件からも戦中に館山海軍航空隊が組織された。
そのために館山市には現在も多くの戦争遺跡が残っているという。
現在海辺にある海上自衛隊館山航空基地もその名残であるし、この赤山地下壕もそうである。
入壕するためには、入り口付近にある『豊津ホール』と呼ばれる施設の一階で入壕料200円を支払う。
すると懐中電灯とヘルメットが手渡される。
長野県松代の大本営跡と同じように、ここからは案内無しで各自で入壕する。
パンフレットももらう事ができ、内部の地図も描かれているため参考になる。
ちょっとした冒険気分だし、地下ということもあり緊張感が高まる。
軍の施設だけあって、木々に隠れるように入り口が構えている。
中に入ると地下特有のしっとりひんやり感がたまらない。
湿度の関係で空気がもやっとしている。
入り口付近の天井は高く、倉庫としても使えそうな広い部屋だ。
小さな山の下にこんな世界が広がっているとは誰も思うまい。
奥へと続く道はいきなり狭くなり、侵入者を拒んでいるかのようだ。
内部へ入っていくと通路は枝分かれする。
通路は碁盤の目のようにまっすぐに掘られた場所もあれば、クランク状の通路など不規則に掘られた場所もある。
全体的に見て、歪な形をしていることは間違いない。
なぜこのように掘られたか、そして何のために計画されたのかなど
赤山地下壕の全貌については明らかにされていない。
戦時中の詳しい資料は残っておらず、歴史の闇の中に消えた。
しかし実際に壕内を歩くと、戦争遺跡としての価値もさることながら
トンネル壁に現れた地層の美しさに目を奪われる。
トンネル内にいる人を包み込むように流れる模様はまさに芸術作品!
夏休み期間だというのに誰もいない壕を入口まで戻り、
日の光に包まれると視界も気温も現実へと引き戻された。
ここから館山航空隊まではバス停1つ分なので
ゆっくりと歩いて向かうことにする。
つづく