吉備津彦神社と一文字違うだけなので紛らわしいかもしれません。
御祭神が大吉備津彦命というところも同じですが、
鉄道で1駅ほどの距離しかないのに、2つの神社は昔は違う地域だったのです。
ちょうど境界に位置していたのが、両神社の背後にある吉備の中山です。
桃太郎線に乗って、はじめに下車するのは備前一宮。
池にはいくつかの島があって、歩いて渡ることができます。
島には亀島神社、鶴島神社と呼ばれる2つの社があってそれぞれ風と水の神様を祀っているようです。
岡山県東部にあたる備前国を代表する神社ですから、格式も高く、本殿は三間社流作りという珍しい構造をしています。
11:36 [赤穂線直通]播州赤穂行き
乗客の乗り換えが済むと同時に発車していきました。
冷たい雨が降る米原駅を出発した新快速。
東海道線の豊橋~岐阜までの区間は、個人的に好きな区間。
瀬戸内というエリアには独特の魅力があります。
旅のはじまりは東海道新幹線の新横浜駅。
それ以外は気まぐれでどこにでも行けるようあえて事前に予定は立てませんでした。
広島駅に着いて、ひと休みするまでもなく「オトナの修学旅行」最初の目的地である宮島へと向かう。
南口改札の目の前にあるホームから発着するのは山陽本線である。
6年前に来たころには古い車両がのそのそと走っていたのだが、到着した車両は最新式。
この春のダイヤ改正で導入されたらしい。
行先表示板の「R」という記号が謎であるが、どうやら広島駅を中心としたJRの路線に新たにラインカラーを与えたらしい。
広島から宮島口・岩国方面の山陽本線は赤色なのだという。
広島駅から宮島口駅までは3分程度で着くという。
いくつもの河川を渡って、車窓から遠くなる広島の街を眺める。
市街地を抜ければ、広電の宮島線が寄り添うように走る。
路面電車として市街地を走る広電も、宮島線は専用軌道を走っているから普通の鉄道のようだ。
しばらくすると、宮島線と並走する。
道路が線路に挟まれているのも面白い。
それらの背景に、うねうねと特徴ある山々が現れたら、それが目的地の宮島である。
宮島口駅は、思ったよりも素朴。
駅前から伸びる大通りが、宮島航路の乗船口を繋いでいる。
宮島行きのフェリーは2社で運行していて、向かって右手がJR宮島航路、左手が松大汽船である。
JRは昼間は往路のみ鳥居に接近することを歌い文句にしていることくらいで、料金も運行間隔も同じなので気分次第である。
今回は松大汽船で、宮島へと向かう。
フェリーは三層構造になっていて、一層目が自動車や二輪車、二層目が客室、三層目がデッキになっている。
どうやら船は何種類かあるようのなので、それぞれ構造が異なるのかもしれない。
15分間隔で出航しているため、乗船するとすぐに船が鈍い呻りをあげて動き出す。
客室でのんびり過ごすのもよいけれど、これから向かう宮島をデッキから眺めるのもいいものだ。
3月も中旬になると瀬戸内に吹く風も暖かい。
内海だから、波も穏やかである。
遠くに見える宮島は、観音菩薩の寝姿に例えられるように、印象的な稜線をしている。
その麓に広がるのが、厳島神社を中心とした宮島の集落である。
島の人口は港や神社のある北側1ヶ所に集中しており、そのほか島の8割を山地が占めているという。
あまり関係ないのだが、こうして近づいてくる島をぼうっと眺めていると、市川崑監督作品の『獄門島』を思い出す。
原作の横溝正史は戦中に岡山に疎開していたことから、金田一耕助の活躍するシリーズをはじめ多くの作品で岡山や瀬戸内が登場する。
獄門島も瀬戸内海に浮かぶ「周囲2里ばかりの小島」という設定で、映画では実際に真鍋島で撮影が行われた。
場所は違えど、船から眺める瀬戸内の穏やかな海と、徐々に陰影を濃くする島の全貌が、『獄門島』の記憶を呼び覚ましたのである。
そんなことを思ったり、考えたりしているうちに船は宮島桟橋に到着した。
乗船している人々は、我々と同じく観光客が多いらしく、軽い足取りで船を降りていく。
初めて宮島を訪れたのは14歳の頃。
この度、大人になって再上陸である。