
吉備津神社の見どころは、社殿だけではありません。
拝殿横から旧社務所に向かって伸びる廻廊もそのひとつ。
地形に沿って一直線に伸びています。
全長は360mあるので圧巻です。

建築は天正7年の再建。
こんな長い屋根付きの廊下がある神社は珍しいですが、
吉備津神社は境内が縦に長いので、神事や祭礼の時に使われたものだと思われます。

廻廊をしばらく歩くと、右に伸びる道があります。
道の先にあるのは、御釜殿という建物。
釜の鳴動によって吉凶を占う、鳴釜神事が行われている場所です。
ご祭神である大吉備津彦命が退治した鬼「温羅」の首を埋めた場所とも伝わっており、謎多き神事として古来より有名でした。

鳴釜神事に関して、江戸時代に書かれた上田秋成『雨月物語』にも登場しています。
私も雨月物語の「吉備津の釜」を読んだ時に初めて吉備津神社と鳴釜神事について知りました。
神事は毎日のように執り行われており、一般の参拝客も見学することができるようです。
残念ながら、当日は正月期間だったため見ることができませんでした。

御釜殿のあたりから境内を見ると、廻廊と本殿を一望することができます。
廻廊は本殿に向かって美しい曲線を描いています。

日が暮れてきたので、吉備津駅に戻ります。
もう一度、総社行きの列車に乗車して旅を続けましょう。
【その10】につづく