前回
ねじれたトンネルを抜けると境内だった。
と言っても言い過ぎではないくらいに雰囲気が一変し、右も左も見えるのは寺院である。
たぶんもう、南禅寺の塔頭なのだろう。
山口氏はレンズを繰り出して瓦の上の獅子を狙う。
門の獅子もなかなかかわいい。(山口氏撮影)
人によって同じ風景を見ていてもピントの合い方が違って面白い。
それが目に見えてわかるのがカメラで撮った写真であると思う。
京都の道端には狸だとか鍾馗様だとか色々なものと出会う。
かの有名な金地院の前を通って、南禅寺三門へ。
松の林を抜けると現れたのは三門。
想像していたのと同じような大きさで、古色で、静かで、いい。
小さいころから様々な媒体を通して自ら作りあげた寺、のイメージはまさしくこれに近い。
背後には山に抱かれ、背の高い樹林に囲まれた閑静な地。
そこに現れる、思わず見上げてしまうような三門。
絵に描いたような寺だ。
そんなことを思う。
1泊目の宿の主人は、「雨の日の朝の南禅寺はいいですよ」と言っていた。
霧がかる境内で聴こえる念仏、、、
私たちのような観光客が消え去った時、
ここは俗世から離れた異世界になるに違いない。
とりあえず最初は高いところから、境内を見渡すことにしょう、
南禅寺は京都でも珍しく、年中三門に登れる。
寺院の三門は基本的に登れないのだが、
京都では他に東福寺とか知恩院の三門は期間を限って登る事ができる。
知恩院の三門は日本最大級というからいつか登ってみたいと思う。
飾りとしての大きな門ではなく、しっかりと人が登れるようになっているのがいい。
きっと高い建物がなかった時代、三門からの景色を楽しみにしていた奴がいるに違いない。
登ることの許されたものだけの特権だったのだけれど。
石川五右衛門はかつてこの三門に登りこう言ったという。
『絶景かな 絶景かな』
五右衛門が言ったか言わなかったかは置いておいて、そんなことを言われたら自ら登ってその景色を堪能するしかない。
本当に絶景かな?