安い税金と小さな政府を切望するふきあえずのブログ

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ロシア経済学者のエッセイに学ぶ

2022-04-26 10:50:44 | 政治
前回の日記の続きです
前々回、ロシアの経済学者セルゲイ・グラジエフ氏のエッセイを翻訳したんですが、あまりにも難解になってしまったので
要は「何を言っているのか?」という事を中心に考察し、参考になるべきものを学んでみたいと思っています

ロシアでは、2014年の西側、アメリカによる経済制裁以降、国内企業に資金需要がたくさん生じました
つまり、お金を借りたい企業が増えたわけです
ですが、ロシアの大手銀行はいずれも、国内企業に積極融資をすることができませんでした
その理由は、ロシア中央銀行による政策金利が「高すぎた」からです
日本で言えば公定歩合ですが、中央銀行の政策金利が高いと、民間銀行も金利が高くなります
そこで入ってきたのが「外資の投資会社」や「西側の大手銀行」だったわけで、安い金利でロシア企業に融資を始めたわけです

本来なら積極的にロシア企業を助けるべきロシアの大手銀行が、中央銀行の顔色をうかがい、積極的融資を渋ったことにより
外資に資本吸収されたり、利益を吸い取られる企業が続出したわけです
昔ロシアに沢山いた石油オリガルヒが、石油企業の資本金を独占してロシアの石油の利権を独占していたように
外資による「ロシア買い」が加速していったわけですね

外資に吸収されてしまった企業は、その利益を海外に持って行き、ロシアに一切税金を払わなくなり、ロシアに利益を残さなくなるわけです
その典型例が、グラジエフによるとルサール(ロシア・アルミニウム)だったわけです
それが高じていくとどうなるかというと、ルサールは安い労働力のある海外拠点を作り
アルミニウムの原材料であるボーキサイトだけをそこに送って、現地でアルミ生産して儲ける、という事をし始めるわけです
結局、ロシアは原材料だけを安く買いたたかれ、国内産業は空洞化するわけで、これは日本の構図とまったく同じなわけです

海外にはタックス・ヘイブンという、極端に税金の安い国があり、そこに本社機能だけを置けば、税金を払わなくて済むわけです
そういうロシア系の財閥をオリガルヒというわけですが、そのオリガルヒにも、受難の季節がやってきた、とグラジエフは指摘しています
ドルで持ち出したはずのオリガルヒの海外資産が、今回の西側の経済制裁によって「資産凍結」の憂き目にあってしまうかもしれない
という皮肉な結果となってしまいました(笑)
グラジエフはこの現象を、「長期的に見てロシアには僥倖(良い出来事)」と、とらえているようです

この点、日本にも大変参考になるところがあるのではないでしょうか?
海外に拠点を移してしまった大手企業の資産を、国内回帰させることこそが、日本経済復活のカギなのですからね

もう一つ、述べておきたいことは、やはり「ドルの需要が減っている」、ということについてです
アメリカはこれまで莫大な財政赤字を計上してきましたが、それでもインフレを起こすことはありませんでした
政府の予算を増やし、国債を乱発するという事は、つまりドルをたくさん発行してきた、ということです
ドルがインフレを起こさなかったのは、とどのつまり、「ドルを必要とする国がたくさんあった」という事なのです
しかし、今度ばかりは事情が変わりました。。。ロシアがドルを扱うことを拒否し、多くの商品(コモディティー)の買い付けに
ロシアルーブルが使われるようになった。。。
つまりドルのシェアが落ちて、ドル需要が減ったわけで、これが恐らくアメリカのインフレを招いている根本原因であろうと思います
金の需要が高まっている背景も、「西側諸国がルーブルを手に入れるには金と交換するしかない」からです

日本はどうなのか?と言いますとね、これはものすごくまずいことになっているように感じます
日本円は基本的にドルと連動し、ドルなしでは通貨の価値が決められないほど密接につながっていますので
これまで1200兆円を超える国債を発行してきた日本は、つまり、通貨を発行しすぎた。。。という事なのかもしれません
実体経済に比べて、通貨の発行量を多くしすぎた。。。経済を活性化することが最優先であったのに、それができなかった
このことを考えると、日本もまた、当面の間インフレに悩まされることはほぼ確実であろうと思います

今日はこれまでとします

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ロシアの経済学者のエッセイから学べるもの

2022-04-26 01:43:49 | 政治
前回の日記では、ロシアの経済学者セルゲイ・グラジエフ氏の「制裁と主権」というエッセイを、長々と翻訳してしまいました
最後の方は疲れ果てまして、機械翻訳を私がちょいと手直ししたぐらいでして、分かりにくいことこの上ないですね、まことに申し訳ありません
今日は、グラジエフ氏の語りたかったことの本質を私なりに要約し、できるだけ分かりやすく解説して
日本にとって参考になる点を学んでいきたいと思います

全体を見て私が感じたのは、ロシアはいま、世界から経済制裁を受けていて、ある意味で国家存亡の危機にあることから
国家として生き残りをかけて、「主権国家の誇りと自信を取り戻そうとしている」ように見えました
「主権国家の誇りと自信」これ、いま日本が完全に捨て去りつつあるものなんですよね。。。だからこのエッセイが参考になると思ったのです

まず論文の中で私が驚いたのは、アメリカの制裁対象となっている国にとって、ドルを有害な通貨であるという認識があることです
ドルに執着し、ドルを何とか無理に使おうとすると、逆にアメリカにお金の流れを追跡され、資産凍結や資金凍結されてしまう
要するに、アメリカに敵対的な国にとって、「ドルは何よりも信用のならない通貨」だという事です

私たちは普段、ドルを「物の値段を決めるための基準になる通貨」として認識しています
グラジエフによると、ロシア中央銀行がその「罠」に陥っていて、ルーブルの価値をドルとの交換レートで計算する慣例から抜け出せませんでした
ロシア銀行は、為替レートを西側の銀行家たちの勧めるがまま「ドルとの交換レートを基準とする変動相場制のままで放置」してしまいました
その変動相場を上手く利用され、為替相場を操作され、西側の投資家たちによって、ルーブルは一斉に売り浴びせられ
価値を意図的に落とされ、「空売り」という手法で、彼ら西側の投資家は莫大な利益を手に入れました
中央銀行は、「西側のルールを守らなければロシアは孤立する」という恐怖心から、彼らのルールに乗せられ、手を打たなかったのです

しかし考えてみれば、ロシアには莫大な価値のある資産が存在します
それは石油や石炭、天然ガスなどのエネルギー資源や、鉱物・レアメタルなどの素材資源であり、小麦などの食料資源です
場合によっては極超音速ミサイルや迎撃ミサイルなどの武器も、輸出できる品物でしょう
ですから、わざわざ西側のルールに合わせることをせずとも、頭を切り替えて、ロシアのルールで交渉すればいいわけです
今のように、ドルやユーロ、円などとの交換を、ロシア側から制限すれば事足りることなのです
「石油や天然ガスが欲しければルーブルで買え、ルーブルは金とのみ交換する、ドルやユーロとは交換しない」
こうアナウンスすれば済むわけで、これだけで、形を変えた金本位制ルーブルが出来上がるわけです

ロシアはいま、いざというときのために金を貯め込んでいるようです
そして長い時間をかけて天然ガス供給パイプラインを敷設し、EU諸国と経済的な結びつきを強めてきました
結局、自国の強みを生かしながら相手との経済関係を強くしていくと、結果的に自国を守ることに繋がっていくわけです
その逆をやっているのがほかならぬ日本で、貴重な技術を海外に持ち出して日本国内を空洞化させ、自国の強みを自らドブに捨てているわけです

話はそれますが、とあるネットユーザーと動画のコメント欄で議論になったのですが、その方が言うには
今の日本のインフレの原因になっている円安は、政府のバラマキが原因で円が過剰供給されたことによるインフレではなく
「円キャリートレード」が原因のインフレだ、と主張しておりました

円キャリートレードとは
外資の投資会社が金利の安い日本円を借り、その円を売ってドルを買い、そのドルを利益率の高いところに投資する投資手法のことです
その場合、確かに日銀の政策金利は極端に安いですから、理由として考えられなくはないのですが
それだけが原因で、昨今の情勢のように急に円安になったとは私には思えないんですよね
私はね、一番の原因として考えられるのは、やはり通貨の価値感が変わってきたことだと思っています

見方によってはね、日本を含めた西側諸国のすべてが、いまインフレに苦しんでいるわけですよ
これはね。。。つまり、「西側諸国のそれぞれの通貨の価値が下落し始めている」、という事を意味するのだろうと思います
グローバリズムによって、大企業は生産拠点を労働力価格の低い国へどんどん移転させ、自国で物が生産できなくなった。。。
日本でもそうですよね?かつては半導体と言えば日本のお家芸でしたが、いま日本は半導体輸入国です
自国の産業が空洞化して売り物がなくなってきた。。。これ、日本に価値が無くなってきた、ということですよ
これをね、円キャリートレードが原因だとうそぶくのは簡単ですが、この方は本質が見えていないんじゃないでしょうか?

そして、アメリカもEUもそうだし日本もそうですが、政府が国民にお金を補助金名目でバラまきました
これば、産業の疲弊と通貨の過剰供給によるインフレに、ロシアを経済制裁したことからくる資源不足が原因のインフレが合わさった
複合的インフレ現象だと私は思います

今これを止めるには、道はある程度決まっているでしょう
それは、ロシアを見習って、自国の主権と産業を取り戻すことです
自分の国は自分で守り、自分の国は自分で繁栄させなきゃいけないんですよ、ええ

長くなりましたのでこの辺で。。。次も続きを書くかもしれません
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