グラフィックディレクター 大里早苗 ブログ

東京港区のデザイン会社、グラフィックメイトの代表を務める大里早苗のブログです。

デザインと印刷加工

2017-06-28 12:47:14 | DTP覚え書き
東京港区のデザイン会社 グラフィックメイトの大里早苗です。
このところ梅雨空の多くなった東京です。お向かいの国立新美術館では二大人気企画が終了し、連日の長蛇の列は見られなくなりました。社窓は落ち着いた初夏の庭園という風情です。

最近、医学書の装幀デザインのお仕事が増えています。先日は英語版の表紙デザインのご依頼をいただきました。 英語版なのでデザインは洋書のイメージでとのことでしたが、洋書のイメージとは?

洋書、特に医学関係の書籍では、濃紺に赤いラインとか黒にオレンジ色の文字とか…かなりはっきりしたデザインという感じですよね、とイメージの共有はできました。しかし「濃紺や黒などダークカラーの印刷面積が多いと表紙が汚くなってくるんですよね」。それはどういうことなのでしょう??

書籍やカタログなどでは、耐久性や見栄えを良くするために印刷物に表面加工をすることがほとんどです。今回の書籍はPP加工といわれるポリプロピレンフィルムを印刷面に圧着させる加工をすることになっています。印刷の保護という点では良いのですが、樹脂自体が柔らかい系統であるために細かな摩擦キズが発生してしまうそうです。これらのキズは輸送時の振動による書籍同士の摩擦などによって生じるようですが、墨ベタや色の濃い印刷物などはそのキズが非常に目立ってしまうのです。


黒い部分はキズが目立つが白い部分はキズが目立たない

表面加工の種類はいくつかあり、「UVコート」や「「耐マットPP」などはキズがつきにくいようですが、使用感やコスト面なども考慮しなければなりません。デザインにあたっては自社の工程のみならず、販売方法や利用方法も考える必要があるのだな、と改めて思いました。
今回は濃い色のベタ塗りは避け、一部にダークな色を使い洋書感を出しました。お客様からも「ベタ塗りなくても洋書っぽいですね!」と言っていただけるデザインとなりました。




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個人情報と広報誌

2017-06-16 13:57:07 | 中小企業の広報誌制作
東京港区のデザイン会社 グラフィックメイトの大里早苗です。
暦のうえでは入梅を迎えたものの、梅雨空の少ない6月の東京です。

今年度は娘の学校のPTA広報委員となり、先日第1回目の広報誌を発行しました。
これまでは「外のひと」として学校や企業の広報誌制作に関わってきましたが、今回は「中のひと」として制作に関わったわけです。

仕事として広報誌などを制作する際は、「この写真はお顔が分かるけれど掲載してかまいませんか?」「お名前出して大丈夫ですか?」といった確認を心がけています。ところが「中のひと」として関わった今回は、「へぇ、〇〇ちゃんは〇〇委員やってるのね」などと知り合いのおばさん目線で見てしまい、個人情報保護の観点が抜け落ちていました。
学校およびPTAとしては「ホームページや配布物への掲載にあたっては個人が特定できないように配慮します」としています。ということは、生徒会や〇〇委員の生徒さんだって勝手に記名で写真を掲載してはいけないのです。

これは企業においても同じことで、入社にあたって知り得た情報を広報誌や社内報に載せることは、本来の「利用目的」とは異なるため本人の許可なく行うことは不適切です。あらためて「利用目的」を説明した上で許可をとり掲載するのが本来です。

さて我が娘の学校のPTA広報誌。これは広報委員長が「名前を出す生徒さんには許可をとるべきかな」と気づいてくださり、各ご家庭の了承を得ての掲載となりました。
委員長、ありがとうございます!




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