2023年5月24日、水戸の友人U氏と大徳寺へ行きました。京都春秋が開催する、大徳寺本坊伽藍の特別公開が目的でありました。特別公開期間は4月27日より6月4日まででしたが、U氏の希望で5月下旬に計画していたものでした。
大徳寺の山門は周知のように東にありますが、U氏はなぜか上図の「中門」と呼ばれる南側の門から入るのが好きで、いつも北大路通に面したこの門から入っては「また大徳寺にやってきたなあ」と感慨にひたるのでした。
今回の特別公開では、ふだんは公開されていない本坊伽藍の諸堂宇が対象となっていました。上図の三門(金毛閣)や仏殿、法堂などは普段は外から見るだけで建物に近寄ったり中へ入ったりすることは出来ませんから、稀有の機会といえました。
それで、2月の時点でその特別公開情報を知ったU氏が「絶対に行く。万難を排してでも行く」と言ったのは勿論、私自身も初めてのことでしたから、とにかく見にいかねば、と楽しみにしていました。
特別公開の時間までまだ間があるので、とりあえず三門を見ました。現在の建物は、応仁の乱で焼失した後、大永六年(1526)に一休和尚参徒の連歌師 宗長の寄進により、初層部分が完成されました。その六十年後に、千利休によって二層部分が完成し、金毛閣と名づけられました。
楼上は広い一室で、釈迦如来像と、二大弟子像、さらには千利休が寄進した十六羅漢像が安置されています。天井や柱には長谷川等伯による雲竜図や迦陵頻伽(かりょうびんが)、仁王像などが一面に描かれていています。この楼上に草鞋を履いた利休像を安置したことで豊臣秀吉の怒りを買い、利休の切腹の一因になったことは有名です。
今回の特別公開で、その金毛閣の楼上に入れるのかなと期待していましたが、案内チラシを見ると、「三門下をくぐり間近で拝観する機会をご用意しています」とのことでした。U氏が「なんだー、利休の草履の下をくぐるだけか」、とガッカリしていました。
近くに立ててあった特別公開の案内看板です。御覧のように特別公開は10時からとなっていました。私たちが大徳寺に到着したのは9時37分でしたから、23分の待機時間があったわけでした。
ですが、ただ待機するのではなく、特別公開の手続きをとって拝観料2000円を支払わないといけませんでした。どこで手続きしてるんだ、とあたりを見回して探しているU氏に、上図の「茶所」と呼ばれる建物を指して「あれや」と教えました。
「茶所って何かね」
「今でいうと参拝者休憩所やな」
「なるほど」
ということで手続きをして拝観料を払い、番号札を渡されました。どうやら、時間毎に人数を限定して入場して、案内人に率いられて解説を聞くツアー形式であるようでした。
私たちが最初の団体であったようで、番号札の1番から30番までが呼ばれました。U氏が22番、私が23番でしたので、列に連なって上図の臨時出入口から本坊伽藍の区域内に入りました。
まず三門の南側で解説を聞き、それから門をくぐりながら建物の細部などを紹介され、背後に抜けて門の脇などへ回って見学しました。なので、上図のアングルなどは、普段の外からの撮影では撮れません。
次の仏殿に向かう途中で、後ろを振り返って三門を北から撮りました。このアングルも普段の参拝では撮影出来ませんので、いい絵が撮れたな、と感動しました。門口の向こうには、次の30人が南側の勅使門裏で解説を聞いている様子が見えました。 (続く)